2005年12月26日
大阪市長
關 淳一 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 木下 平和
弁護士 上坂 明
弁護士 在間 秀和
弁護士 大川 一夫
弁護士 北本 修二
弁護士 冠木 克彦
市民生活の改善・向上のため、ご尽力されていることに敬意を表します。
貴職が委嘱した「福利厚生制度等改革委員会」は、労使関係について実態調査を行うこととし、11月29日、「労使関係に関するアンケート調査」を各所属長・組合窓口担当者に対して調査票を配付するとともに、市労連に対しても協力が求められたところです。
11月30日、市労連は、「福利厚生制度等改革委員会」に対して、この「労使関係アンケート調査」の内容・項目が、労使協議事項であるにも関らずあたかも管理運営事項とし、協議することが違法であるかのような設問になっており、極めて意図的に構成されていることなどを指摘し、さらに、調査が「労働組合組織内部に対する露骨な干渉であり、不当な支配介入として、労働組合に対する不当労働行為である」として、「アンケート調査の即時中止」と「不当労働行為等に対する見解」の文書回答を求めたところです。
12月14日の「福利厚生制度等改革委員会」回答は、「中止」については回答しているものの、求めていた「不当労働行為等に対する見解」については、一切触れておらず不誠実なものとなっています。
市労連は、我々の指摘と即時中止の申し入れによって、「福利厚生制度等改革委員会」がアンケート調査の中止をせざるをえなくなったと判断します。しかし、「アンケート調査」を「中止」したとしても、このような明らかな不当労働行為を安易に行おうとしたこと自体由々しき問題であり強く抗議するとともに、かかる行為を二度と行うことのないよう求めるものです。
さらに、同回答は、「同種の調査を改めて職制として行うよう市長に要請した」としています。たとえば、組合費の額の妥当性等、組合内部の自治にかかる問題まで、市の職制を通じて調査をするということとなり、これも明らかな不当労働行為とみざるを得ません。従って、貴職が委嘱した公的機関である福利厚生制度等改革委員会が実施してはいけないことを市・職制側に押し付けることについても問題であると考えます。
そして、12月15日に公表された市の「市政改革マニフェスト(案)」の中でも、「市民の多くからの批判と疑惑の的になっている組合との関係について実態を明らかにするための調査を実施」「平成17年度中に実態調査を終える」「全局長と区長は各職場における組合との協議事項や組合活動と業務の関係について、平成17年度中に調査し、市民に対して自ら説明する」等が示されました。
市労連は、「改めるべきは改める」との姿勢で、市政改革を取り組むものであり、これからも労働組合として労使協議・合意を重視し、憲法・法令・条例・規則等の遵守と透明性を高め、市民への説明責任を果たす立場です。その上で、「管理運営事項」であっても、勤務労働条件に影響を及ぼす事項や労働関係法規の遵守等の内容については、労使交渉・労使協議の事項であり、既に法令・条例等を遵守した労使交渉・協議等の新たなルールに則り取り組んでいるところであり、労使交渉等の情報公開にも対応してきているところです。
この上に立って、市労連は、二度と不当労働行為という法違反が行われないことが最も重要との立場から、下記の点について、使用者である大阪市長としての認識と対応について、早急に文書回答を求めます。
記
1.貴職が委嘱した公的機関である「福利厚生制度等改革委員会」が不当労働行為を行おうとしたことについての認識を示されたい。
2.「福利厚生制度等改革委員会」は、「同種の調査を改めて市役所の職制として行うよう市長に要請した」と回答しており、また、市の「改革マニフェスト」でも「労使関係の調査の実施」を方針化しているが、このことについての認識と対応を明らかにされたい。
3.「不当労働行為」「不当労働行為につながる」アンケート調査・内容については、実施しないこと。
以上