更新日:2025年9月30日
2025年大阪市人事委員会報告及び勧告
大阪市人事委員会は9月30日「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。
報告内容に対し市労連は、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、当然のものとして受け止めることを表明した。
また、本年から公民給与の比較方法を国と同様に企業規模を50人以上から100人以上に見直されたことについて、当然のこととして受け止めるとしたうえで、原則的な概念や客観的・合理的な根拠が示されていないことから、今後の社会情勢の変化等によって、再度見直すことのないよう要請した。
給料表の構造等については、昨年4月に号給の増設となったものの、一時的な対策であることを指摘し、執務意欲の観点からも、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格条件等の改善を含めた人事・給与制度の構築を求めた。
多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備などについては、出産・子育てはもとより、超高齢化社会の到来を見据え、介護も含め誰もが不安なく働くことができる職場環境づくりや制度改善について、引き続き人事委員会としての働きかけと対応を求めた。
最後に、2025賃金確定闘争においては、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うことを表明した。
行政委員会事務局長 本日、令和7年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を市長及び市会に対して行いましたので、ご説明します。内容については、任用調査部長から説明申し上げます。
任用調査部長 はじめに、公民給与の比較方法についてですが、本年は国と同様に、比較対象企業規模を50人から100人に見直しました。
これは、行政課題の複雑化・人材獲得競争を前提に、公務の職務・職責を重視した比較対象としたものであります。
次に、本年の給与改定についてですが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行いました。職員給与については、行政職給料表適用者の平均給与月額は408,077円であり、民間給与は420,730円となっております。その差は、民間給与が12,653円、率にすると3.10%上回っております。
また、特別給については、民間の支給割合は4.65月分という調査結果でした。
本年は公民較差3.10%を解消するために給料表の引上げ改定を行うよう勧告いたしております。
行政職給料表の改定については、人材の確保及び採用市場での競争力向上の観点から、初任給の給料月額を大学卒は12,000円、高校卒は12,300円引き上げるとともに、国の改正内容に準じた改定を行い、全年齢層を対象に引上げるよう、言及しております。
なお、定年前再任用短時間勤務職員につきましては、国の改定傾向を参考に改定することとしております。
次に、保育士につきましては、民間の保育士の給与をやや下回る状況から、人材確保の観点も踏まえて、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとしております。
幼稚園教員でございますが、他の給料表の改定状況等や人材確保の観点も十分考慮して対処する必要があるとしております。
特別給については、先に述べたとおり、民間の支給割合は4.65月分という調査結果でした。勧告では、本市職員の期末・勤勉手当の年間支給月数を4.60月分から0.05月分引き上げて、4.65月分とすること、引上げ分については期末手当及び勤勉手当に均等に配分することとしております。
このように月例給・特別給ともに引上げ改定の勧告となり、4年連続の引上げ改定の勧告となります。
改定の実施時期についてですが、給料表の改定及び初任給の改定は、令和7年4月1日に遡及して実施し、特別給については、本年12月期の期末手当及び勤勉手当は改定条例の公布日から実施することを、令和8年6月期以降の期末手当及び勤勉手当は令和8年4月1日から実施することを勧告しております。
勧告に基づく職員給与の試算でございますが、勧告どおりに改定が実施された場合、本委員会の試算によりますと、行政職職員の平均年間給与額は約23万1千円の増加となります。
次に、意見として、給与・人事管理制度等に関する課題について言及しています。
まず、「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持・向上」としまして、職務や職責に応じた給与上昇をより確保する観点での給料表の見直しや、65歳定年を見据えた給与カーブの在り方についての国の検討を踏まえた給料表の在り方について、引き続き検討する必要があることを述べております。
「諸手当」としまして、「通勤手当」では、自動車等使用者に対する通勤手当について、本市の状況を考慮のうえ、現行の距離区分に応じた手当額を国と同様に引き上げることが適当であること、また、駐車場等の利用に対する手当について、国と同様の手当を新設することが適当であることを述べております。更に、月途中に採用された職員等の通勤手当について、国と同様の改正を行うことが適当であることを述べております。
また、「宿日直手当」では、宿日直対象職員の給与の状況を踏まえ、その支給水準を見直すことが適当であることを述べております。
「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、「人材の確保」において、本市が必要とする人材に的確にアプローチできるように、またその方策について述べております。「人材の育成」では、多岐にわたる行政課題に的確に対応できる専門性やチャレンジ精神を持った職員の自律的な学びを支援するとともに、職員の人材育成、管理監督者のマネジメント力の向上の支援に取り組むよう言及しました。
「保育所の運営体制」では、公立保育所に求められる役割がより重要かつ複雑化しており、保育所長の担う職責が以前に比して重くなっていることから、現状に見合った運営体制を構築するよう言及しました。
それ以外に、「定年の引上げに伴う対応」や「人事評価制度」についても述べております。
また、「多様なワークスタイル・ライフスタイルに対応した職場環境整備の推進」としまして、「多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備」において、取組を一層進めるとともに、管理職層を含めた職員への制度周知に努めていただきたい旨を言及しております。
そのほかにも「長時間勤務の是正」、「職員の心の健康づくりの推進等」及び「ハラスメント対策」の各種課題について言及しております。
最後に、「結びに」として、本市の給与制度や人事管理制度が職員の持てる力を最大限に発揮できるものになっているか、また、職員の執務意欲向上や高い志を持った有為な意欲ある人材の確保につながる実効性のある制度となっているか、更に研究を進め、必要な提言を行う等の役割を適切に果たしてまいりたい旨を述べております。
以上が本年の給与報告・勧告の概要でございます。
市労連 冒頭、人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。
さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。
まず、公民給与の比較方法について、行政課題の複雑化・人材獲得競争を前提に、公務の職務・職責を重視した比較対象とするため、本年より国と同様に比較対象企業規模を50人以上から100人以上に見直したと説明があった。市労連としても、この間、適切な企業規模への見直しを求めてきたことからも、当然のこととして受け止める。しかしながら、原則的な概念や客観的・合理的な根拠が示されていないことから、今後の社会情勢の変化等によって、再度比較対象企業規模を見直すことのないよう求めておく。
そのうえで、公民給与比較であるが、月例給については12,653円(3.10%)民間が公務を上回っており、一時金については、年間支給月数について0.05月分民間が上回っているとの説明があった。
改定にあたっては、公民較差3.10%を解消するために給料表の引き上げ改定を行うとともに、一時金については、年間支給月数を0.05月分引き上げて、年間支給月数を4.65月分とするとの勧告がされた。大阪市においては、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、当然のものとして受け止めるとともに、再任用職員についても、国の改定傾向を参考に改定を行うとしたことも同様に受け止める。
保育士給料表については、民間をやや下回る状況から、人材確保の観点も踏まえて、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとし、幼稚園教員については、他の給料表の改定状況等や人材確保の観点も十分考慮して対処する必要があると言及されている。さらに、保育所の運営体制に関わって、組織体系や職階のあるべき姿について検討し、適切な運営体制を構築するよう言及している。保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。人事委員会として、引き続き職務の重要性に鑑み、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、人材確保の観点からの処遇改善の必要性や国の対応も踏まえ、給料表の水準回復を言及されるよう引き続き求めておく。
「給料表の構造等」については、職務や職責に応じた給与上昇をより確保する観点での給料表の見直しや、65歳定年を見据えた給与カーブの在り方における国の検討状況を踏まえた給料表の在り方について検討する必要があると言及されている。市労連として、現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、早急に抜本的な見直しが必要であるとの認識である。また、昨年4月より号給増設となったものの、一時的な対策であり、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない組合員の執務意欲の向上につながるものとはなっていない。そうしたことから、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格条件等の改善も含めた人事・給与制度の構築に向けた言及を行うよう引き続き要請しておく。
「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、「人材の確保」に関して、多様化・複雑化する行政課題への対応のため、高い志と意欲を持った有為な人材確保の必要性やその方策について言及されている。市労連としては、試験制度や給与制度の改善だけではなく、長時間勤務の是正や多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備などについても、必要な人材の確保につながるものと認識している。そうした課題に対するとりくみについても言及されているが、特に誰もが安心して出産・子育てをすることはもとより、超高齢化社会の到来を見据え、言及されたように、多様なワークスタイル・ライフスタイルの実現に向け、介護も含め誰もが不安なく働くことができる職場環境づくりや制度改善について、引き続き人事委員会としての働きかけと対応を求めておく。
以上、「報告及び勧告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。
いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く組合員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。
行政委員会事務局長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしました。
本委員会としましては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えております。
以 上