更新日:2025年3月25日
2025年統一賃金要求対市人事委員会申し入れ
市労連は、3月25日(火)午後4時45分から市人事委員会に対して「2025年統一賃金要求に関する申し入れ」を行った。
申し入れに際し、市労連は、50歳台後半層における昇給制度について、年齢による一律的な昇給抑制は公平性を欠くことから、定年引き上げにより増加していく高齢層職員の執務意欲の維持・向上につながるよう制度改善に向けた勧告を行うよう求めた。さらに、賃金・労働条件は、労使においての主体的な交渉・協議によって決定されることが大前提であることから、近年の勧告における、原資配分を含む給料表の改定内容への言及は問題であることを強く指摘した。
勧告時期については、十分な交渉期間を確保するため、勧告時期を考慮されるよう要請した。
※ ※ ※
組 合 それでは、ただ今より、2025年統一賃金要求を申し入れる。
なお、具体的な内容については、書記長より説明する。
申し入れ書 手交
2025年3月25日
大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 川口 篤志
2025年統一賃金要求に関する申し入れについて
貴人事委員会におかれては、常日頃から私ども大阪市職員の賃金を中心とした勤務・労働条件の改善に尽力されていることに敬意を表します。
さて、市労連は、昨年12月13日に大都市労連連絡協議会として、大都市人事委員会連絡協議会課長会議に対し、勧告(報告)の準備作業にあたり「大都市の諸事情が十分反映されたものになるよう」申し入れを行いました。また、本年2月6日には、公務労協地公部会を通じて、全国人事委員会連合会に対し「2024年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を精確に把握するとともに、中高齢層職員及び再任用職員を含めた地方公務員全体の賃金水準を引き上げること」などの要求書を提出しました。加えて、3月21日には、大都市労連連絡協議会において、春闘期の要求として大都市人事主管者会議に対し、「2025年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書」を提出しました。
2025年春闘においては、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、中長期視点を持って「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求めるとともに、誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながりえる賃上げが必要であると認識しています。
昨年、大阪市の人事委員会勧告では、3年連続となるプラス較差が示されました。月例給は11,631円、一時金は0.10月分の引き上げが勧告されましたが、組合員の給与水準は依然として低い状況にあります。また、近年多発する大規模な自然災害への対応など、市民の生命と生活を守るためにも、職員が不安を抱えることなく、安心して業務に従事できるよう給与と勤務条件の確保が必要です。
貴人事委員会におかれましては、精確な公民比較調査を行うとともに、多くの課題がある賃金センサスについては、その解決がはかられないまま活用することなく、改めて、中立・第三者機関としての責任を果たされることを求めます。
貴人事委員会として、政治的・社会的圧力が強まる中での作業となりますが、主体性と役割を十二分に果たされることを強く求めます。
その上に立って、下記の通り2025年統一賃金要求を申し入れますので、要求事項の実現に向け最大限の努力を払われるよう要請します。
記
以上
申し入れについては以上である。
その上で、申し入れにあたって市労連としての考えを申し上げる。
大都市労連連絡協議会は、3月21日に大都市人事主管者会議に対して「国際情勢の不安の高まりや、エネルギーや食料等の生活必需品が価格高騰しており、実質賃金が3年連続で減少するなど、勧告制度による賃金改善が追いついていない状況を踏まえ、職員が安心して業務に専念できるよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善に向けた要求の実現に尽力されること」とする内容の要求について申し入れを行った。
2024年賃金確定では、月例給は2.92%の引き上げ、一時金は0.10月分の引き上げとなったものの、物価高騰による実質賃金の減少により職員の生活水準は引き続き厳しい状況となっている。
また、職員が減少している一方で、市民サービスは多様化・複雑化し、求められる行政サービスは増加の一途をたどる状況の中、日々の業務を遂行していくには困難を極める状況にある。
昨年の報告・勧告において、人事委員会は「職務や職責に応じた給与上昇をより確保することは職員のモチベーション向上に有意である」との意見を述べていることや、昨年4月からの号給増設については一時的な改善策であることから、引き続き昇給・昇格を含む人事・給与制度の改善に向けた勧告を行うよう求めておく。
次に、人事評価制度についてである。人事評価制度は、組合員の十分な理解の下で人材育成のための制度とすることが必要と認識している。能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であると認識している。市労連としては、引き続き相対評価の廃止を求めていくところであるが、人事委員会として、現行制度の改善に向けた大阪市への対応も含め要請しておく。
次に、50歳台後半層における昇給制度については、定年引き上げに伴い、退職前10年間において昇給が抑制されることから、高齢層職員のモチベーションの低下は必至となっている。また、近年の幅広い年齢層の採用や職種変更・事務転任等により年功的な給与上昇とならない職員も多く、年齢による一律的な昇給抑制は公平性を欠くものであり、人事委員会としても、今後増加していく高齢層職員の執務意欲の維持・向上につながるよう制度改善に向けた勧告を行うよう求めておく。
市労連は、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告が、その機能を発揮し、社会経済情勢の変化に対応した公務員の処遇を確保することが、人事委員会としての使命であると考えており、大都市に働く職員の置かれている生活実態を十分精査され、人事委員会として、その使命を果たして頂くよう改めて要請する。
そのうえで、職員の賃金・労働条件は、労使においての主体的な交渉・協議によって決定されることが大前提であることから、原資配分を含む給料表の改定内容にまで人事委員会が言及することは、問題であると言わざるを得ない。近年の勧告においても、初任給の改定額を含む若年層へ重点を置いた改定内容に言及したことにより、労使協議に多大な影響を及ぼしている。人材確保の観点から、若年層への重点的な配分を否定するものではないが、今後も同様の勧告がなされれば、特に中高齢層職員の執務意欲の低下は必至である。さらに、近年増加傾向にある早期退職者の更なる増加に繋がることも危惧される。
最後に、勧告時期についてである。近年の勧告時期が過去と比べて遅くなっていることについて市労連として問題意識を持っており、人事委員会の報告・勧告後に、給与改定をはじめとした確定交渉を行っているため、勧告時期が遅くなるほど交渉期間が圧縮されることとなる。十分な交渉期間を確保するため、勧告時期を考慮されるよう改めて要請しておく。
行政委員会事務局 ただ今、2025年統一賃金要求に関する申し入れをお受けいたしました。
人事委員会は、地方公務員法により、職員の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう勧告を行う機能を与えられており、本市給与勧告を行うにあたりましては、これまでも、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきております。
本日は申し入れをお受けしたところであり、内容等につきましては、人事委員会に報告させていただきます。
以上