更新日:2024年9月27日
2024年大阪市人事委員会報告及び勧告
大阪市人事委員会は9月27日「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。
報告内容に対し市労連は、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、当然のものとして受け止めることを表明した。
給料表の構造等については、本年4月に号給の増設となったものの、一時的な対策であることを指摘し、執務意欲の観点からも、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格条件等の改善を含めた人事・給与制度の構築を求めた。
人材の確保に関わっては、試験制度や給与制度の改善だけではなく、多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備などについても、必要な人材の確保につながるものと認識を示したうえで、出産・子育てはもとより、超高齢化社会の到来を見据え、介護も含め誰もが不安なく働くことができる職場環境づくりや制度改善について、引き続き人事委員会としての働きかけと対応を求めた。
最後に、2024賃金確定闘争においては、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うことを表明した。
行政委員会事務局長 本日、令和6年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を市長及び市会に対して行いましたので、ご説明します。内容については、任用調査部長から説明申し上げます。
任用調査部長 はじめに、本年の給与改定についてですが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行いました。職員給与については、行政職給料表適用者の平均給与月額は398,309円であり、民間給与は409,940円となっております。その差は、民間給与が11,631円、率にすると2.92%上回っております。
また、特別給については、民間の支給割合は4.58月分という調査結果でした。
本年は公民較差2.92%を解消するために給料表の引上げ改定を行うよう勧告いたしております。
行政職給料表の改定については、優秀な人材の確保及び採用市場での競争力向上の観点から、初任給の給料月額を大学卒は23,800円、高校卒は21,400円引き上げるとともに、若年層に重点を置きつつ全ての職員を対象に引上げる旨、言及しております。
なお、定年前再任用短時間勤務職員につきましても、この取扱いに準じて改定する必要がある旨、勧告しております。
また、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当については、人材確保の観点から、人事院が勧告した措置等を勘案の上、引き上げる必要があるとしております。
次に、保育士につきましては若年層の給与が民間の保育士の給与を下回る状況から、人材確保の観点も踏まえて、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとしております。
幼稚園教員でございますが、他の給料表の改定状況等や人材確保の観点も十分考慮して対処する必要があるとしております。
特別給については、先に述べたとおり、民間の支給割合は4.58月分という調査結果でした。勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しており、4.58月分では4.60月分となります。そのため、本市職員の期末・勤勉手当の年間支給月数4.50月分から0.10月分引き上げて、4.60月分とすること、引上げ分については期末手当及び勤勉手当に均等に配分することを勧告しております。
このように月例給・特別給ともに引上げ改定の勧告となり、3年連続の引上げ改定の勧告となります。
改定の実施時期についてですが、給料表の改定及び初任給の改定は、令和6年4月1日から実施し、特別給につきましては、本年12月期の期末手当及び勤勉手当は改定条例の公布日から実施することを、令和7年6月期以降の期末手当及び勤勉手当は令和7年4月1日から実施することを勧告しております。
勧告に基づく職員給与の試算でございますが、勧告どおりに改定が実施された場合、本委員会の試算によりますと、行政職職員の平均年間給与額は約23万2千円の増加となります。
次に、給与制度のアップデートについて言及しています。
国の勧告した内容について、本市人事委員会の見解を述べております。
まず、「初任給」につきましては、先ほど説明したとおりでございます。
「給料表」につきましては、国においては様々な視点からの見直しが勧告されました。本市においては、国や他都市の動向も勘案しながら検討が必要、としております。
次に、「扶養手当」につきましては、国と同様の支給水準となるよう見直すこと、としております。
次に、「管理職員特別勤務手当、特定任期付職員の特別給」につきましては、国に準じた改正を行うこと、としております。
実施時期についてですが、扶養手当、管理職員特別勤務手当、特定任期付職員の特別給につきましては、令和7年4月1日から実施することを勧告しております。
次に、意見として、給与・人事管理制度等に関する課題について言及しています。
まず、「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持・向上」としまして、国の給与制度のアップデートにあります、職務や職責に応じた給与上昇をより確保する観点での給料表の見直しや、65歳定年を見据えた給与カーブの在り方についての国の検討を踏まえた給料表の在り方について検討する必要があることを述べております。
「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、「人材の確保」において、本市が必要とする人材を将来にわたって確保していく必要性、またその方策について述べております。「人材の育成」では、質の高い市民サービスを継続的に提供するためには、職員それぞれが主体的かつ継続的に学び・学び直すことが重要であり、職員の人材育成、管理監督者のマネジメント力の向上の支援に取り組むよう言及しました。
それ以外に、「定年の引上げに伴う対応」や「人事評価制度」についても述べております。
また、「多様なワークスタイル・ライフスタイルの実現に向けた職場環境整備」としまして、「多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備」において、取組を一層進めるとともに、管理職層を含めた職員への制度周知に努めていただきたい旨を言及しております。
そのほかにも「職員の心の健康づくりの推進等」、「長時間勤務の是正」及び「ハラスメントの防止」の各種課題について言及しております。
最後に、「結びに」として、本市の給与制度や人事管理制度が職員の持てる力を最大限に発揮できるものになっているか、また、職員の執務意欲向上や多様で有為な意欲ある人材の確保につながる実効性のある制度となっているか、更に研究を進め、必要な提言を行う等の役割を適切に果たしてまいりたい旨を述べております。
以上が本年の給与報告・勧告の概要でございます。
市労連 冒頭、人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。
さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。
まず、公民給与比較であるが、月例給については11,631円(2.92%)民間が公務を上回っており、一時金については、年間支給月数について0.08月分民間が上回っているとの説明があった。
改定にあたっては、公民較差2.92%を解消するために給料表の引き上げ改定を行うとともに、一時金については、年間支給月数を0.10月分引き上げて、年間支給月数を4.60月分とするとの勧告がされた。大阪市においては、職員・組合員の給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、当然のものとして受け止めるとともに、再任用職員についても、この取り扱いに準じて改定を行うとしたことも同様に受け止める。
保育士給料表については、若年層の給与が民間を下回る状況から、人材確保の観点も踏まえて、行政職給料表との均衡を考慮して改定する必要があるとし、幼稚園教員については、他の給料表の改定状況等や人材確保の観点も十分考慮して対処する必要があると言及されている。保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。人事委員会として、引き続き職務の重要性に鑑み、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、人材確保の観点からの処遇改善の必要性や国の対応も踏まえ、給料表の水準回復を言及されるよう引き続き求めておく。
「給料表の構造等」については、国の給与制度のアップデートに関わって、職務や職責に応じた給与上昇をより確保する観点での給料表の見直しや、65歳定年を見据えた給与カーブの在り方における国の検討を踏まえた給料表の在り方について検討する必要があると言及されている。市労連として、現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、早急に抜本的な見直しが必要であるとの認識である。また、本年4月より号給増設となったものの、一時的な対策であり、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない組合員の執務意欲の向上につながるものとはなっていない。そうしたことから、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格条件等の改善も含めた人事・給与制度の構築に向けた言及を行うよう引き続き要請しておく。
「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」では、「人材の確保」に関して、必要とする人材を将来にわたって確保していく必要性やその方策について言及されている。市労連としては、試験制度や給与制度の改善だけではなく、長時間勤務の是正や多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備などについても、必要な人材の確保につながるものと認識している。そうした課題に対するとりくみについても言及されているが、特に誰もが安心して出産・子育てをすることはもとより、超高齢化社会の到来を見据え、言及されたように、多様なワークスタイル・ライフスタイルの実現に向け、介護も含め誰もが不安なく働くことができる職場環境づくりや制度改善について、引き続き人事委員会としての働きかけと対応を求めておく。
以上、「報告及び勧告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。
いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く組合員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。
行政委員会事務局長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしました。
本委員会としましては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えております。
以 上