更新日:2024年3月15日
2024年統一賃金要求対市申し入れ
市労連は、3月14日(木)に開催した、2023年度市労連第1回委員会において、確認された「市労連2024年統一賃金要求」について、3月15日(金)午後4時45分から、市側に対して以下のとおり申し入れを行った。
申し入れで市労連は、昇給・昇格条件の改善等も含めた人事・給与制度の構築をはじめ、諸課題解決に向けて、通年的な交渉・協議を要請した。特に、55歳昇給停止の課題については、高齢期の働き方にも影響することから、引き続き55歳昇給停止の廃止を求めるとともに、引き続き交渉・合意による改善を行うよう強く要請した。さらに、業務上の交通事故に対する失職特例の制定や職業生活と家庭生活の両立支援策について、制度改正が行われたが、職場状況等を十分に把握するとともに、誰もが取得しやすい職場環境づくりに取り組むよう求めた。
交渉については、労使対等の原則に則り、健全な労使関係の構築に努めるよう要請した。
※ ※ ※
組 合 本日は、2024年統一賃金要求について交渉を行いたい。
市労連は、3月14日に市労連第1回委員会を開催し、当面する春季生活改善闘争を闘う方針と、市労連2024年統一賃金要求を確認した。
それでは、ただ今より、2024年統一賃金要求を申し入れる。
なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。
申し入れ書 手交
2024年3月15日
大阪市長 横山 英幸 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 川口 篤志
市労連2024年統一賃金要求に関する申し入れについて
政府は、給与制度の総合的見直し、退職手当の見直しなど、地方自治体及び人事委員会に助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、自治体職員の給与制度は改悪の一途をたどっており、生活実態は悪化しています。これ以上の地方公務員のさらなる給与制度の改悪による給与引き下げは容認できません。
大阪市においては、昨年の人事委員会報告・勧告で、月例給は0.95%の引き上げ、一時金は0.10月分の引き上げが示され、勧告に基づいた改定となりましたが、組合員の給与水準は引き続き厳しい状況にあります。
また、「給与制度改革」以降、多くの組合員が最高号給に達しており、結果的に昇給できない組合員が年々増加しています。本年4月から全ての給料表で号給増設となりますが、一時的なものであることから、55歳昇給停止の廃止や昇給・昇格条件の改善を含め具体的な人事・給与制度を構築すべきです。
さらに、人事評価制度の本来の主旨にそぐわない「相対評価」による昇給や一時金への給与反映が実施されており引き続き廃止を強く求めます。
大阪市として、「賃金・労働条件は、労使の交渉によって決定すべき事項」という基本態度を堅持し、組合員の生活実態、勤務条件・環境の改善にかかる下記の要求事項について、これまでの交渉経過と自主性をもった労使協議と交渉により実現されるよう申し入れます。
記
生活保障のため、大都市に見合う現行賃金水準の改善をはかること。
賃金体系の改善にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時にあたる若年層と中高年層の体系是正をはかり、配分については本給重視とすること。また、職務・職責に応じた給与制度を構築し、給与水準の改善を行うこと。
人事評価制度については、4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)2要件(労使協議制度の確立・苦情処理機関の設置)の確立した制度に改め、人材育成を主眼とする制度運用をはかること。また、「職員基本条例」に基づく相対評価は、人事評価制度の本旨に反していることから廃止すること。
全国一律最低賃金制度確立のため、国に強く働きかけること。また、大阪市に働く者の最低賃金を月額188,800円(日額9,437円)以上とするとともに、労働条件(一時金・休暇等)についても改善すること。
以 上
申し入れについては以上である。
その上で、申し入れにあたって市労連としての考えを申し上げる。
2024年春闘においては「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、中長期視点を持って「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求めるとともに、誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながりえる賃上げが必要であると認識しています。
市労連としては、例年、人事・給与制度をはじめ、さまざまな諸課題の解決に向けた交渉を行っているが、組合員の賃金・勤務労働条件に関する課題については、確定交渉のみならず、通年的に交渉・協議を行い、解決をはかっていくべきと認識するところである。総務局として、本日の申し入れ以降、速やかに市労連との交渉・協議に応じるよう要請しておく。
まず、2012年の給与制度改革以降、多くの組合員が昇給・昇格もできずに各級の最高号給の適用を受けている。本年4月より号給増設されることとなるが、今後数年の間に、最高号給にとどまる組合員が再度発生・増加することから、一時的な対策でしかなく、課題解決に繋がるものではないとの認識である。引き続き組合員の勤務意欲向上につながるよう、昇給・昇格条件の改善等も含めた人事・給与制度の構築を求めておく。
また、55歳昇給停止の課題については、定年の引き上げに伴い、10年間の昇給が抑制されることとなり、高齢層職員のモチベーションの低下は必至である。さらに、役職定年制により、組合員層における高齢層職員の占める割合が増加し、今後はさらに多くの職員が対象となる。そうしたことは、高齢期の働き方にも影響することから、引き続き55歳昇給停止の廃止を求めておく。
業務上の交通事故に対する失職を防ぐための特例について、とりわけ、政令市においては20市中、18市が特例を制定しており、他の自治体においては、その特例を活用された事例も存在していることから、大阪市においても優秀な人材を失うことのないよう、引き続き積極的に制定に向けた検討を行うよう求めておく。
次に職業生活と家庭生活の両立支援策については、この間、多様で柔軟な働き方が可能となる制度改善が行われてきたところであるが、とりわけ、育児・看護・介護等の休暇制度については、誰もが安心して働き続けられるようさらなる改善をはかるよう求めておく。
一方で、勤怠管理等が非常に煩雑化・複雑化していることから、改正された制度の周知徹底はもとより、管理監督職員による対応や利用しやすいシステムづくりに取り組むよう求めておく。
最後に、本日申し入れた「市労連2024年統一賃金要求」は、引き続き組合員が大阪市の公共サービスを担う上で重要な要求であり、使用者である大阪市の責務において、組合員の置かれた状況を十分踏まえて真剣に対処されることを強く求めておく。
市側 ただ今、多岐にわたる要求をお受けしたところであるが、現段階での認識を申し上げる。
まず、昇給・昇格条件の改善を含めた人事・給与制度の構築については、最高号給に達した職員の執務意欲の維持向上などの要求をいただいているところである。この点に関して、令和2年度からは、技能職員が従事する職域において、業務主任を補佐する役割等を担う2級班員を必要に応じて設置しており、行政職3級相当級への昇格では、令和5年度より人事委員会の選考試験において、事務職員、技術職員で実務能力、職場への貢献をより重視した区分の新設が行われるなど、最高号給に達した職員の執務意欲の維持向上につながる取組みを実施しているところである。
また、給料表については、本市人事委員会の意見を踏まえ、最高号給に達した職員の執務意欲の維持向上という点も考慮し、号給の増設を令和6年4月に実施することとしている。
55歳以上の昇給抑制については、世代間の給与配分の適正化を趣旨としており、国における50歳代後半層における官民の給与差の状況を踏まえた昇給抑制の取扱いに準じて、また、国からの要請も受けて実施しているところである。国、他都市と均衡した制度となっているところであり、今後も、国、他都市の動向を注視してまいりたい。
失職に関する分限の基準については、地方公務員法の趣旨などから、現時点では、特例を定めることは困難であるが、今後も必要に応じて協議を行ってまいりたい。
働き方改革に関する制度改正については、私どもとしても、誰もが取得しやすい職場環境を構築することが重要であると認識しており、ご指摘も踏まえながら引き続き取り組みをすすめてまいりたい。
その他の要求項目についても、制度の透明性を確保し、市民に対する説明責任を果たす観点から、今後、慎重に検討するとともに、大阪市労使関係に関する条例に基づき、適正かつ健全な労使関係の確保に努め、十分な協議のもと交渉を進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。
組合 ただ今、市側から、市労連の要求に対する考え方が示された。
組合員の賃金、勤務条件・職場環境の改善は、労使の自主的・主体的な交渉と合意により決定されるものであり、この間の労使交渉・協議において確認してきた経緯を踏まえ、誠意と責任ある市側の対応はもとより、交渉は労使対等が原則であり、市側の一方的な思いだけでは合意はありえない。引き続き、労使対等の原則に則り、市労連及び傘下の各単組との健全な労使関係の構築に努めるよう要請しておく。
以 上