更新日:2024年3月15日
2024年統一賃金要求対市人事委員会申し入れ
市労連は、3月15日(金)午後5時10分から市人事委員会に対して「2024年統一賃金要求に関する申し入れ」を行った。
申し入れに際し、市労連は、50歳台後半層における昇給制度について、今後増加していく高齢層職員の執務意欲の維持・向上につながるよう制度改善に向けた勧告を行うよう求めるとともに、人事評価制度については、引き続き相対評価の廃止を求めた上で、現行制度の改善に向けた大阪市への対応を強く要請した。また、人事院が「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の成案化に向けた検討を進めていることから、安易に人事院の勧告に追従することなく、大都市の事情が十分に反映されたものとなるよう、大阪市人事委員会として主体的な対応をはかるよう要請した。
勧告時期については、十分な交渉期間を確保するため、勧告時期を考慮されるよう要請した。
※ ※ ※
組 合 それでは、ただ今より、2024年統一賃金要求を申し入れる。
なお、具体的な内容については、書記長より説明する。
申し入れ書 手交
2024年3月15日
大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 川口 篤志
2024年統一賃金要求に関する申し入れについて
貴人事委員会におかれては、常日頃から私ども大阪市職員の賃金を中心とした勤務・労働条件の改善に尽力されていることに敬意を表します。
さて、市労連は、昨年11月28日に大都市労連連絡協議会として、大都市人事委員会連絡協議会課長会議に対し、勧告(報告)の準備作業にあたり「大都市の諸事情が十分反映されたものになるよう」申し入れを行いました。また、本年2月13日には、公務労協地公部会を通じて、全国人事委員会連合会に対し「2024年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を精確に把握するとともに、地方公務員の賃金水準を改善すること」などの要求書を提出しました。加えて、3月22日には、大都市労連連絡協議会において、春闘期の要求として大都市人事主管者会議に対し、「2024年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書」を提出します。
2024年春闘においては、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、中長期視点を持って「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求めるとともに、誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながりえる賃上げが必要であると認識しています。
昨年、大阪市の人事委員会勧告では、2年連続となるプラス較差が示されました。月例給は3,869円、一時金は0.10月分の引き上げが勧告されましたが、組合員の給与水準は依然として低い状況にあります。また、近年多発する大規模な自然災害への対応など、市民の生命と生活を守るためにも、職員が不安を抱えることなく、安心して業務に従事できるよう給与と勤務条件の確保が必要です。
貴人事委員会におかれましては、精確な公民比較調査を行うとともに、多くの課題がある賃金センサスについては、その解決がはかられないまま活用することなく、改めて、中立・第三者機関としての責任を果たされることを求めます。
貴人事委員会として、政治的・社会的圧力が強まる中での作業となりますが、主体性と役割を十二分に果たされることを強く求めます。
その上に立って、下記の通り2024年統一賃金要求を申し入れますので、要求事項の実現に向け最大限の努力を払われるよう要請します。
記
以上
申し入れについては以上である。
その上で、申し入れにあたって市労連としての考えを申し上げる。
大都市労連連絡協議会は、3月22日に大都市人事主管者会議に対して、「国際情勢の不安の高まりや、世界的インフレによって円安が進行し、生活必需品の価格高騰に対し、勧告制度による賃金改善が追いついていない状況を踏まえ、職員が安心して業務に専念できるよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善に向けた要求の実現に尽力されること」とする内容の要求を申し入れることとしている。
2023年賃金確定では、月例給は0.95%の引き上げ、一時金は0.10月分の引き上げとなったものの、職員の生活水準は引き続き厳しい状況となっている。
また、これまで政府が地方自治体及び人事委員会に対して、助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、給与制度の総合的見直し、持ち家に係る住居手当や配偶者に係る扶養手当の見直し、退職手当の見直しなどが行われたことで、自治体職員の生活実態は悪化の一途を辿っている。
さらに、職員が減少している一方で、市民サービスは多様化・複雑化し、求められる行政サービスは増加の一途をたどる状況の中、日々の業務を遂行していくには困難を極める状況にある。
昨年の報告・勧告において、人事委員会は、「現在の職務給の原則に沿った給与体系の維持を原則として、最高号給に達した職員の執務意欲の維持・向上につながるような方策を継続的に検討」との意見を述べていることや、本年4月からの号給増設については一時的な改善策であることから、引き続き昇給・昇格を含む人事・給与制度の改善に向けた勧告を行うよう求めておく。
次に、人事評価制度についてである。現行の人事評価制度は、相対評価を行うことで公平・公正性、客観性を著しく毀損しており、組合員の十分な理解の下で人材育成のための制度とすることが必要と認識している。人事評価を利用して、能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であると認識している。市労連としては、引き続き相対評価の廃止を求めていくところであるが、人事委員会として、現行制度の改善に向けた大阪市への対応も含め要請しておく。
次に、50歳台後半層における昇給制度については、定年引き上げに伴い、退職前10年間において昇給が抑制されることから、高齢層職員のモチベーションの低下は必至となっている。また、近年の幅広い年齢層の採用や職種変更・事務転任等により年功的な給与上昇とならない職員も多く、年齢による一律的な昇給抑制は公平性を欠くものであり、人事委員会としても、今後増加していく高齢層職員の執務意欲の維持・向上につながるよう制度改善に向けた勧告を行うよう求めておく。
次に、教職員の長時間労働や産育休等の代替不足により、教職員のモチベーションが大きく低下している。また、教員をめざす志望者も減少していることから抜本的な改善に向けた勧告を行うよう求めておく。
現在、人事院は、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の成案化に向けた検討を進めており、2023年の勧告で示された「骨格案」においては、地域手当の大括り化など、2025年度には、必要な措置を講じるとの考え方が示されたところである。地域手当の大括り化に関しては、都道府県単位に広域化し支給割合のあり方などについても検討されていることから、安易に人事院の勧告に追従することなく、大都市の事情が十分に反映されたものとなるよう、大阪市人事委員会として主体的な対応をはかるよう求めておく。
市労連は、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告が、その機能を発揮し、社会経済情勢の変化に対応した公務員の処遇を確保することが、人事委員会としての使命であると考えており、大都市に働く職員の置かれている生活実態を十分精査され、人事委員会として、その使命を果たして頂くよう改めて要請する。
その上で、職員の賃金・労働条件は、労使においての主体的な交渉・協議によって決定されることが大前提であり、人事委員会が給与改定の内容にまで言及することは、問題であると言わざるを得ない。
最後に、勧告時期についてである。近年の勧告時期が過去と比べて遅くなっていることについて市労連として問題意識を持っており、人事委員会の報告・勧告後に、給与改定をはじめとした確定交渉を行っているため、勧告時期が遅くなるほど交渉期間が圧縮されることとなる。十分な交渉期間を確保するため、勧告時期を考慮されるよう改めて要請しておく。
行政委員会事務局 ただ今、2024年統一賃金要求に関する申し入れをお受けいたしました。
人事委員会は、地方公務員法により、職員の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう勧告を行う機能を与えられており、本市給与勧告を行うにあたりましては、これまでも、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきております。
本日は申し入れをお受けしたところであり、内容等につきましては、人事委員会に報告させていただきます。
以上