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更新日:2023年3月16日

2023年統一賃金要求対市申し入れ

賃金・労働条件の改善にかかる9項目の要求書を提出!
組合員の生活実態を十分踏まえ、市側の誠意と責任ある対応を要請!

 市労連は、3月9日(木)に開催した、2022年度市労連第1回委員会において、確認された「市労連2023年統一賃金要求」について、3月16日(木)午後4時45分から、市側に対して以下のとおり申し入れを行った。

 申し入れで市労連は、総合的な人事・給与制度の構築をはじめ、諸課題解決に向けて、通年的な交渉・協議を要請した。特に、人事評価制度について「相対化」の廃止を強く求めるとともに、引き続き交渉・合意による改善を行うよう強く要請した。また、育児短時間勤務や部分休業の対象年齢の引き上げなどを求めた。さらに、業務上の交通事故に対する失職特例の制定や今年度から運用された出生サポート休暇や病気休暇も含めた休暇制度等について、都度の検証とともに必要な充実・改善を求めた。

 交渉については、労使対等の原則に則り、健全な労使関係の構築に努めるよう要請した。

※ ※ ※

組 合  本日は、2023年統一賃金要求について交渉を行いたい。

 市労連は、3月9日に市労連第1回委員会を開催し、当面する春季生活改善闘争を闘う方針と、市労連2023年統一賃金要求を確認した。

 それでは、ただ今より、2023年統一賃金要求を申し入れる。
 なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。

申し入れ書 手交

2023年3月16日

大阪市長 松井 一郎 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 金子 俊雄

市労連2023年統一賃金要求に関する申し入れについて

 政府は、給与制度の総合的見直し、退職手当の見直しなど、地方自治体及び人事委員会に助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、自治体職員の給与制度は改悪の一途をたどっており、生活実態は悪化しています。これ以上の地方公務員のさらなる給与制度の改悪による給与引き下げは容認できません。

 大阪市においては、昨年の人事委員会報告・勧告で、月例給は1.93%の引き上げ、一時金は0.10月分の引き上げが示され、勧告に基づいた改定となりましたが、組合員の給与水準は引き続き厳しい状況にあります。

 また、「給与制度改革」以降、多くの組合員が最高号給に達しており、結果的に昇給できない組合員が年々増加しています。昨年からの確定交渉においては、全ての給料表で号給増設が行われたとはいえ、一時的なものであることから、早急に総合的な人事・給与制度を構築すべきです。

 さらに、人事評価制度の本来の主旨にそぐわない「相対評価」による昇給や一時金への給与反映が実施されており「相対評価」による給与反映は、組合員の納得性が高いとは言えません。また、昨年には生涯賃金への影響を考慮し、給与反映方法等が改正となりましたが、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価で下位区分になる課題が解消されていないことから、引き続き、早急かつ慎重に検討を行い、十分な交渉・合意による改善をはかることはもとより「相対評価」自体の廃止を強く求めます。

 大阪市として、「賃金・労働条件は、労使の交渉によって決定すべき事項」という基本態度を堅持し、組合員の生活実態、勤務条件・環境の改善にかかる下記の要求事項について、これまでの交渉経過と自主性をもった労使協議と交渉により実現されるよう申し入れます。

  1. 賃金引き上げについて

     生活保障のため、大都市に見合う現行賃金水準の改善をはかること。

  2. 賃金体系の改善と配分について

     賃金体系の改善にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時にあたる若年層と中高年層の体系是正をはかり、配分については本給重視とすること。さらに、55歳以上の昇給停止を見直すこと。

     また、職務・職責に応じた総合的な人事・給与制度を早急に構築し給与水準の改善を行うこと。

  3. 賃金決定基準の改善について
    • (1) 初任給基準(中途採用者を含む)の改善をはかること。
    • (2) 格付基準の改善をはかるとともに、昇格枠の拡大と昇格条件の改善をはかること。また、昇格について公正・公平・納得性のある選考方法とすること。
    • (3) 給与制度改革に伴う各級最高号給到達者の勤務実績が昇給に反映されるよう改善すること。
    • (4) 病気休職等の昇給抑制者に対する復元措置を講ずること。
    • (5) 給料表については、職員構成及び業務実態を踏まえつつ、給料表構造の改善をはかること。また、専門職給料表においては、国・他都市事情を考慮して検討すること。
    • (6) 初任給調整手当について、支給額の引き上げを行うこと。
    • (7) 技能労務職給料表について、技能職員が果たしている職責を踏まえ、職務給の原則に基づいた給料表の構築に向け、給料表構造を抜本的に改めること。また、賃金センサスについては調査対象や調査時期等の問題が多いことから活用しないこと。
    • (8) 保育士・幼稚園教員については、その職の社会的重要性や国の動向等を踏まえた給与水準の改善と昇格枠の拡大をはかること。
    • (9) 医療職等の専門職については、新型コロナウイルス感染症への対応と人材確保・定着の観点から、給与処遇の改善をはかること。
  4. 諸手当の改善について
    • (1) 扶養手当は属性区分の見直しや支給基準など、都度必要な協議を行い支給額の改善を行うこと。
    • (2) 通勤手当は支給基準の改善を行い、交通用具利用者に対する手当の基準を改善し、全額非課税となるよう国に働きかけること。また、制度改正に伴う特例措置の課題は、公平性を欠くことのないよう、十分な検証とともに引き続き必要な協議と改善を行うこと。
    • (3) 住居手当は、国と異なる実態を踏まえ、大都市での住宅事情に見合ったものとして、持ち家にかかる手当の回復を含めた制度改善と支給額の引き上げをはかること。
    • (4) 地域手当については、本給繰り入れを基本に改善をはかること。
    • (5) 夜間勤務手当及び超過勤務手当(深夜勤務を含む)の支給率の改善をはかること。
      また、必要な時間外手当財源を確保し、全額支給を行うとともに、労働基準法を遵守した超過勤務命令の運用を行うよう周知徹底をはかること。
    • (6) 一時金については、期末手当一本とし、年間5.0ヶ月以上とするとともに、支給方法の改善をはかること。また、引き上げ改定分については、期末手当に配分すること。
      また、勤勉手当への相対評価結果の反映については、評価結果の納得性が得られないことから、労使合意を基本に十分な交渉・協議を行うこと。
    • (7) 特殊勤務手当については、業務実態を十分踏まえた手当制度として改善すること。さらに、新型コロナウイルス感染症対策に伴う手当については、あらゆる事態を想定し、柔軟性をもって額及び対象業務の拡大をはかること。
    • (8) 夜間看護手当については、医療技術の高度化等、深夜における看護業務の実態を踏まえ、支給額の引き上げをはかること。
    • (9) 課長代理、課副参事については、その役割を十分考慮した上で、給与水準の回復をはかること。研究職給料表については、課長代理に対応する級を新設すること。
  5. 昇給・昇格制度と人事評価制度について

     人事評価制度については、4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)2要件(労使協議制度の確立・苦情処理機関の設置)の確立した制度に改め、人材育成を主眼とする制度運用をはかること。また、「職員基本条例」に基づく相対評価は、人事評価制度の本旨に反していることから廃止すること。

     さらに、昇給制度等の検討については、将来の人事給与制度の全体像を見据え、あるべき昇給制度等の検討を早急に行い、労働組合との必要な交渉・協議を行うこと。

  6. 労働条件等の改善について
    • (1) 仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性を踏まえ、労働時間を短縮するとともに、勤務間インターバルを確保すること。また、完全週休2日制の実施に伴う十分な条件整備をはかること。
      また、働きやすい勤務環境の整備のため、安全衛生委員会を活用し、定期的な職場点検を行うこと。
    • (2) 職員基本条例に基づく、分限処分は行わないこと。
    • (3) 業務上交通事故に対する失職を防止するための特例を定めるなど、分限にかかる基準を見直すこと。
    • (4) 休職者の給与、給付内容などの改善をはかること。大阪市職員共済組合の傷病手当金附加金廃止に伴う代替措置を早急に講じ、休職期間中の無給期間を生じさせないこと。また、近年の休職者の実態をふまえ、「大阪市職員心の健康づくり計画」を十分に踏まえたメンタルへルス対策の一層の充実をはかること。特に、心の健康の保持・増進の観点から職場における勤務環境の改善をはかること。さらに「パワーハラスメントの防止等に関する指針」に基づき、法改正の趣旨を十分踏まえたパワーハラスメント対策の充実をはかるとともに、あらゆるハラスメント対策を講じること。
    • (5) 職員の福利厚生については、福利厚生制度の果たしてきた意義をふまえ、地公法第42条に基づく使用者責任を果たしつつ、労使で十分な意見交換を行いながら「安心して働き続けることのできる制度の確立」「組合員の働き甲斐」につながる福利厚生制度の確立・充実に向け、福利厚生協議会等での協議を進めるなど、早期に改善をはかること。
    • (6) 病気休暇・休職制度の運用改善をはかること。また、現行の休暇制度・職免制度の改悪を行わず、災害時など緊急時における特別休暇、有給教育休暇など休暇制度の新設・改善をはかること。
    • (7)職業生活と家庭生活の両立支援策については、育児短時間勤務や部分休業の取得要件について、対象年齢を引き上げるなど実態に応じた効果的な運用がはかられるよう努めるとともに、国の法改正の趣旨を踏まえ、女性の活躍推進や、育児・介護休暇の男性取得促進に向けた勤務環境の整備・充実に努めること。さらに、看護、介護等の休暇制度についても、政策的な見地から充実をはかること。出生サポート休暇については、プライバシー保護への配慮や取得しやすい勤務環境の整備をはかるとともに、運用状況の検証を行い、実態に即したものとなるよう必要な改善をはかること。これらの休暇・休業等の取得による不利益を生じさせないこと。
    • (8) 高齢期雇用制度については、業務実態を十分に踏まえ、65歳まで安心して働き続けられるよう職場環境の整備をはかるとともに、多様で柔軟な働き方が可能となるよう、処遇改善を含めた高齢期雇用制度を構築すること。また、当面の再任用制度については、雇用と年金の接続の観点から、希望する全職員の雇用を確保するとともに、生活できる給与水準を前提とし、十分な労使交渉のもと再任用制度の充実・改善をはかること。
    • (9) 臨時・非常勤職員及び任期付職員をはじめとする非正規職員の勤務・労働条件の改善をはかること。会計年度任用職員の勤務・労働条件については、正規職員との権衡を確保するとともに、勤勉手当の支給も含めた賃金水準の改善を行うこと。任期付職員制度の運用にあたっては、職の流動化や人件費抑制を行わないこと。
    • (10) 時間外労働の上限規制について、賃金不払残業の発生防止に向け適正に勤務管理を行うこと。
    • (11) 年次有給休暇付与義務について、労働基準法及び人事院通知を最低基準として、5日間以上の年次有給休暇の取得を義務化するとともに勤務環境の整備を行うこと。
    • (12) 災害発生時における交通費の自費負担をはじめ、勤務体制の整備をはかること。
    • (13) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、市民及び職員の安全を確保するため、職員が安心して業務に従事できるよう、職場環境の整備や制度等の充実をはかるなど最大限の対策を講じること。
  7. 総合的な人事・給与制度の構築について

     2014確定において「将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討は不可欠である」とする人事委員会の言及を、市側としても検討するとしたことから、職員のモチベーション維持・向上に向けた研究・検討を行い具体案を提示すること。

     労使で、具体的に人事・給与制度全般にわたり、日常的に研究・検討するための場を設置するなど、必要な交渉・協議を行うこと。

  8. 最低賃金について

     全国一律最低賃金制度確立のため、国に強く働きかけること。また、大阪市に働く者の最低賃金を月額178,900円(日額8,945円)以上とするとともに、労働条件(一時金・休暇等)についても改善すること。

  9. 賃金改定の実施ならびに支払いについて
    • (1) 賃金改定の実施については、労使協議を前提とすること。
    • (2) 賃金改定の支払いについては、決定後すみやかに行うこと。
    • (3) 外郭団体への派遣等職員について、賃金改定に必要となる財源的措置を行うなど、本市職員同様の改定を確実に実施すること。

以 上

 申し入れについては以上である。

 その上で、申し入れにあたって市労連としての考えを申し上げる。

 2023年春闘においては「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、中長期視点を持って「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求めるとともに、誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながりえる賃上げが必要であると認識している。

 市労連としては、例年、総合的な人事・給与制度の構築をはじめ、さまざまな諸課題の解決に向けた交渉を行っているが、組合員の賃金・勤務労働条件に関する課題については、確定交渉のみならず、通年的に交渉・協議を行い、解決をはかっていくべきと認識するところである。総務局として、本日の申し入れ以降、速やかに市労連との交渉・協議に応じるよう要請しておく。

 まず、総合的な人事・給与制度について、昨年からの確定交渉において、人事委員会からの意見に基づき、行政職給料表5級以下の級やその他の給料表も同様に8号給の号給増設となった。しかしながら、定年引き上げを理由としたことから、実施時期が2024年4月となり、市労連がこの間求めてきた経過からすると不満が残るものとなった。また、数年後には最高号給に達する組合員が発生・増加することから、昇給・昇格条件の改善等も含め、あらゆる観点から総合的な人事・給与制度の早急な構築を改めて求めておく。

 人事評価制度について「相対評価」による給与反映は、職員の士気に影響を及ぼし、人材育成からは程遠い制度であることを再三指摘してきた。昨年、生涯賃金の影響に考慮した制度改正がなされたものの、絶対評価点と相対評価区分の不整合については依然、解消されていない状況である。市労連として「相対化」の廃止を強く求めるとともに、市側の一方的な運用を許さない立場から、改善すべき点は改善すべきであるという認識のもと、引き続き交渉・合意による改善を行うよう求めておく。

 業務上の交通事故に対する失職を防ぐための特例について、とりわけ、政令市においては20市中、18市が特例を制定しており、他の自治体においては、その特例を活用された事例も存在していることから、大阪市においても優秀な人材を失うことのないよう、引き続き積極的に制定に向けた検討を行うよう求めておく。

 次に職業生活と家庭生活の両立支援策については、育児短時間勤務や部分休業の対象年齢を引き上げるなど、実態に応じた効果的な運用と、国における法改正の趣旨を踏まえた女性の活躍推進や、育児・介護休暇の男性取得促進に向けた勤務環境の整備・充実をはかるべきと認識するところである。子育てや介護については、今日、社会的にも強く求められているものであり、今年度から運用された出生サポート休暇等の休暇制度において、引き続き、取得しやすい職場環境の整備をはかるとともに、病気休暇をはじめ、その他の休暇制度等についても、実態に即した制度となるよう都度の検証を行い、必要な充実・改善をはかるようあらためて求めておく。

 最後に、本日申し入れた「市労連2023年統一賃金要求」は、引き続き組合員が大阪市の公共サービスを担う上で重要な要求であり、使用者である大阪市の責務において、組合員の置かれた状況を十分踏まえて真剣に対処されることを強く求めておく。

市側  ただ今、多岐にわたる要求をお受けしたところであるが、現段階での認識を申し上げる。

 まず、昇給・昇格条件の改善を含めた人事・給与制度の構築については、この間、最高号給の滞留の解消などの要求をいただいているところである。この点に関して、令和2年度からは、技能職員が従事する職域において、業務主任を補佐する役割等を担う2級班員を必要に応じて設置しており、令和4年度からは、人事評価の給与反映を見直し、勤勉手当のめり張りを強めており、最高号給に滞留する職員の執務意欲の維持向上につながる取組みを実施しているところである。

 また、給料表については、「現在の給与体系は職務給の原則に沿ったものであり、現在の給与体系の維持を原則とする一方で、定年引上げに伴う昇給機会の確保によって高齢層職員の執務意欲の維持向上を図るために、号給の増設を行うことを検討することが適当」とされた本市人事委員会の意見を踏まえ、最高号給滞留者の執務意欲の維持向上という点も考慮したうえで、定年引上げに伴う昇給機会が生じる令和6年4月から号給の増設を行うこととしたところである。

 人事評価制度については、職員の人材育成、執務意欲の向上を目的として実施している。引き続き、制度趣旨に沿った運用となるよう、これまでの人事評価結果や人事委員会からの意見、職員アンケートの結果等の分析、検証を行い、公平・公正性、透明性、客観性、納得性を確保し、職員の十分な理解が得られるよう改善に努めるとともに、今後も協議を行ってまいりたい。

 失職に関する分限の基準については、地方公務員法の趣旨などから、現時点では、特例を定めることは困難であるが、今後も必要に応じて協議を行ってまいりたい。

 職業生活と家庭生活の両立支援策については、今後とも事業主の責務として、特定事業主行動計画に基づく取組を推進するとともに、管理者層に対する研修を継続し、男性職員の育児休業等の取得促進を進めるなど、職員が様々な働き方を選択することができる環境づくりに努めてまいりたい。

 その他の要求項目についても、制度の透明性を確保し、市民に対する説明責任を果たす観点から、今後、慎重に検討するとともに、大阪市労使関係に関する条例に基づき、適正かつ健全な労使関係の確保に努め、十分な協議のもと交渉を進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。

組合  ただ今、市側から、市労連の要求に対する考え方が示された。

 組合員の賃金、勤務条件・職場環境の改善は、労使の自主的・主体的な交渉と合意により決定されるものであり、この間の労使交渉・協議において確認してきた経緯を踏まえ、誠意と責任ある市側の対応はもとより、交渉は労使対等が原則であり、市側の一方的な思いだけでは合意はありえない。引き続き、労使対等の原則に則り、市労連及び傘下の各単組との健全な労使関係の構築に努めるよう要請しておく。

以 上


 

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