更新日:2022年3月14日
2022年統一賃金要求対市申し入れ
市労連は、3月11日(金)に開催予定であった、2021年市労連第1回委員会について、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点により中止としたことから、同日午後6時30分から第3回闘争委員会を開催し、確認された「市労連2022年統一賃金要求」について、3月14日(月)午前10時00分から、市側に対して以下のとおり申し入れを行った。
申し入れで市労連は、総合的な人事・給与制度の構築をはじめ、諸課題解決に向けて、通年的な交渉・協議を要請した。特に、人事評価制度について「相対化」の廃止を強く求めるとともに、引き続き交渉・合意による改善を行うよう強く要請した。また、看護・介護・保育・幼児教育などにかかわって、国の経済対策による処遇改善についても改めて実施を求めた。さらに、業務上の交通事故に対する失職特例の制定や次年度から運用される出生サポート休暇の都度の検証とともに必要な充実・改善を求めた。また、新型コロナウイルス感染症にかかわっては、収束の見通しがついていない状況から、引き続き職場環境の整備や制度の充実をはかるなど、必要な対策を講じるよう求めた。
交渉については、労使対等の原則に則り、健全な労使関係の構築に努めるよう要請した。
※ ※ ※
組 合 本日は、2022年統一賃金要求について交渉を行いたい。
市労連は、3月11日に市労連闘争委員会を開催し、当面する2022年春季生活改善闘争を闘う方針と、市労連2022年統一賃金要求を確認した。
それでは、ただ今より、2022年統一賃金要求を申し入れる。
なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。
申し入れ書 手交
2022年3月14日
大阪市長 松井 一郎 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 金子 俊雄
市労連2022年統一賃金要求に関する申し入れについて
政府は、給与制度の総合的見直し、退職手当の見直しなど、地方自治体及び人事委員会に助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、自治体職員の給与制度は改悪の一途をたどっており、生活実態は悪化しています。これ以上の地方公務員のさらなる給与制度の改悪による給与引き下げは容認できません。
大阪市においては、昨年の人事委員会報告・勧告で、月例給は改定なしとなったものの、一時金は0.15月分の引き下げが示され、勧告に基づいた改定となりましたが、一時金は2年連続の引き下げとなり、組合員の給与水準は極めて厳しい状況にあります。
また、「給与制度改革」以降、多くの組合員が最高号給に達しており、結果的に昇給できない組合員が年々増加しています。2015確定交渉においては、一部の給料表で号給増設が行われたとはいえ、極めて限定的なものであることから、現在の大阪市の給与制度は他に例もなく早期に見直すべきであり、早急に総合的な人事・給与制度を構築すべきです。
さらに、人事評価制度の本来の主旨にそぐわない「相対評価」による昇給や一時金への給与反映が実施されており「相対評価」による給与反映は、組合員の納得性が高いとは言ません。また、来年度以降、生涯賃金への影響を考慮し、給与反映方法等が改正となりますが、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価で下位区分になる課題が解消されていないことから、引き続き、早急かつ慎重に検討を行い、十分な交渉・合意による改善をはかることはもとより「相対評価」自体の廃止を強く求めます。
大阪市として、「賃金・労働条件は、労使の交渉によって決定すべき事項」という基本態度を堅持し、組合員の生活実態、勤務条件・環境の改善にかかる下記の要求事項について、これまでの交渉経過と自主性をもった労使協議と交渉により実現されるよう申し入れます。
記
生活保障のため、大都市に見合う現行賃金水準の改善をはかること。
賃金体系の改善にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時にあたる若年層と中高年層の体系是正をはかり、配分については本給重視とすること。さらに、55歳以上の昇給停止を見直すこと。
また、職務・職責に応じた総合的な人事・給与制度を早急に構築し給与水準の改善を行うこと。
人事評価制度については、4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)2要件(労使協議制度の確立・苦情処理機関の設置)の確立した制度に改め、人材育成を主眼とする制度運用をはかること。また、「職員基本条例」に基づく相対評価は、人事評価制度の本旨に反していることから廃止すること。
さらに、昇給制度等の検討については、将来の人事給与制度の全体像を見据え、あるべき昇給制度等の検討を早急に行い、労働組合との必要な交渉・協議を行うこと。
2014確定において「将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討は不可欠である」とする人事委員会の言及を、市側としても検討するとしたことから、職員のモチベーション維持・向上に向けた研究・検討を行い具体案を提示すること。
さらに、労使で、具体的に人事・給与制度全般にわたり、日常的に研究・検討するための場を設置するなど、必要な交渉・協議を行うこと。
全国一律最低賃金制度確立のため、国に強く働きかけること。また、大阪市に働く者の最低賃金を月額170,800円(日額8,540円)以上とするとともに、労働条件(一時金・休暇等)についても改善すること。
以 上
申し入れについては以上である。
その上で、申し入れにあたって市労連としての考えを申し上げる。
2022年春闘においては、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、経済・社会の活力の原動力となる「人への投資」を積極的に求めるとともに、誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながりえる賃上げが必要であると認識している。
市労連としては、例年、総合的な人事・給与制度の構築をはじめ、さまざまな諸課題の解決に向けた交渉を行っているが、組合員の賃金・勤務労働条件に関する課題については、確定交渉のみならず、通年的に交渉・協議を行い、解決をはかっていくべきと認識するところである。人事室として、本日の申し入れ以降、速やかに市労連との交渉・協議に応じるよう要請しておく。
人事評価制度について「相対評価」による給与反映は、職員の士気に影響を及ぼし、人材育成からは程遠い制度であることを再三指摘してきた。人事委員会報告において、制度見直しに言及されたことから、生涯賃金の影響に考慮した制度改正がなされたものの、絶対評価点と相対評価区分の不整合については依然、解消されていない状況である。市労連として「相対化」の廃止を強く求めるとともに、市側の一方的な運用を許さない立場から、改善すべき点は改善すべきであるという認識のもと、引き続き交渉・合意による改善を行うよう求めておく。
業務上の交通事故に対する失職を防ぐための特例について、とりわけ、政令市においては20市中、18市が特例を制定しており、他の自治体においては、その特例を活用された事例も存在していることから、大阪市においても優秀な人材を失うことのないよう、引き続き積極的に制定に向けた検討を行うよう求めておく。
また、先の団体交渉でも申し上げたが、看護・介護・保育・幼児教育などにかかわって、国における経済対策が示され、そこで働く者への賃金引き上げを趣旨とする各種補助金が創設された。さらに、各府省より、地方自治体に対して、積極的に活用するよう通知も出されていることから、大阪市においても早急に看護師や保育士等の処遇改善を実施するよう求めておく。
次に職業生活と家庭生活の両立支援策についてである。
これまでも市労連として求めてきた内容であるが、育児・介護休暇の制度運用については、職場実態に応じた効果的な運用と、国における法改正の趣旨を踏まえた女性の活躍推進や男性の取得促進に向けた、勤務環境の整備・充実をはかるべきと認識するところである。子育てや介護については、今日、社会的にも強く求められているものであり、来年度から運用される出生サポート休暇等の休暇制度において、取得しやすい職場環境の整備をはかるとともに、実態に即した制度となるよう都度の検証を行い、必要な充実・改善をはかるよう求めておく。
また、新型コロナウイルス感染症について、大阪市においてもさまざまな感染防止対策が講じられていると認識するところであるが、第6波の到来により収束の見通しがついていない状況となっている。引き続き人事室として、市民生活を守るためにも感染拡大の防止に向けた対策の取り組み強化と、職員が不安を抱えることなく、安心して業務に従事できる業務執行体制を構築するよう求めておく。さらに、安全衛生面にも十分配慮した職場環境の整備や制度の充実をはかるとともに、関係業務に従事する職員への必要な手当等の措置を講じるよう求めておく。
最後に、本日申し入れた「市労連2022年統一賃金要求」は、引き続き組合員が大阪市の公共サービスを担う上で重要な要求であり、使用者である大阪市の責務において、組合員の置かれた状況を十分踏まえて真剣に対処されることを強く求めておく。
市側 ただ今、多岐にわたる要求をお受けしたところであるが、現段階での認識を申し上げる。
人事評価制度については、職員の人材育成、執務意欲の向上を目的として実施している。引き続き、制度趣旨に沿った運用となるよう、これまでの人事評価結果や人事委員会からの意見、職員アンケートの結果等の分析、検証を行い、公平・公正性、透明性、客観性、納得性を確保し、職員の十分な理解が得られるよう改善に努めるとともに、今後も協議を行ってまいりたい。
失職に関する分限の基準については、地方公務員法の趣旨などから、現時点では、特例を定めることは困難であるが、今後も必要に応じて協議を行ってまいりたい。
保育士等の処遇改善については、総務省からの通知等を踏まえ、本市としても検討を行ってきたところであるが、保育士及び幼稚園教員の給与は、本市人事委員会において、保育士等給与の公民比較を行っているところであることから、その結果を踏まえることが原則であり、公民比較の結果に従うことは、地方公務員における給与決定原則である情勢適応の原則に沿ったものである。
今回の国の施策により、民間保育士等の給与水準に変動があった場合には、人事委員会の調査結果に反映され、給与水準の変動を踏まえた勧告がなされることとなる。そのため、本市としては、民間の給与水準の変動を踏まえた勧告に基づき給与改定を行うことが基本であると考えており、その他の職種についても、人事委員会の勧告を基本として改定を行っていることから、当該勧告に従うことが基本であると考えている。
職業生活と家庭生活の両立支援策については、今年度から特定事業主行動計画の後期行動計画期間が始まったことから、目標達成に向けて引き続き取組を進めてまいりたい。
新型コロナウイルス感染症にかかる感染拡大の防止についてであるが、業務執行体制の構築については、職制自らの判断と責任において行う管理運営事項であるが、人事室として、状況に応じて各所属と連携を図るとともに、職員の健康管理、安全管理等においても各所属・職場に応じた対策が適切に講じられるよう注意喚起・意識啓発に取り組んでまいりたい。また、新型コロナウイルス感染症にかかる特殊勤務手当については、支給対象を拡大するとともに日額を増額改定等しているところである。新たな業務が発生した場合には、適宜国、他都市状況も踏まえ検討をしてまいりたい。今後も勤務労働条件などに関わる課題が生じた場合には、十分な交渉、協議を行ってまいりたい。
その他の要求項目についても、制度の透明性を確保し、市民に対する説明責任を果たす観点から、今後、慎重に検討するとともに、大阪市労使関係に関する条例に基づき、適正かつ健全な労使関係の確保に努め、十分な協議のもと交渉を進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。
組合 ただ今、市側から、市労連の要求に対する考え方が示された。
組合員の賃金、勤務条件・職場環境の改善は、労使の自主的・主体的な交渉と合意により決定されるものであり、この間の労使交渉・協議において確認してきた経緯を踏まえ、誠意と責任ある市側の対応はもとより、交渉は労使対等が原則であり、市側の一方的な思いだけでは合意はありえない。引き続き、労使対等の原則に則り、市労連及び傘下の各単組との健全な労使関係の構築に努めるよう要請しておく。
以 上