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更新日:2021年4月23日

大都市協が大人連委員長会議に申し入れ

人事院の動向や政府の圧力に屈せず主体的立場の堅持を!
大都市で働く職員の生活実態を直視した要求実現を求める!

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は4月23日(金)、大都市人事委員会連絡協議会(大人連)に対し、以下の申入れを行った。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、名古屋市で開催が予定されていた代表者会議は中止とし、「申し入れ」については当番都市である名古屋市が大都市協を代表して行った。

2021年4月23日

大都市人事委員会連絡協議会
 委員長会議 様

大都市労連連絡協議会

申し入れ書

 日頃から、大都市職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている貴職に敬意を表します。

 新型コロナウイルス感染症の発生から1年超を経過しましたが、感染拡大は一向に収まらず、2度目の緊急事態宣言解除後も新規感染者が増加しています。

 さて、人事院は昨年、新型コロナウイルス感染症の拡大を理由として、先行して一時金0.05月分引下げを勧告し、その後、月例給については改定を行わないとの報告を行いました。その影響を受け2020年地方賃金をめぐっては、すべての大都市人事委員会において一時金の引下げ勧告が行われ、その後、月例給について据え置き報告又は引下げ勧告が行われました。その結果、すべての都市で一時金の引下げが行われるとともに、月例給ともに引下げられた都市もありました。さらには財政難を理由とした時限的な賃金カットが行われる都市もあるなど、給与改定交渉の結果は、コロナ禍のもと大都市住民の生命と暮らしを守り支えている職員の生活実態を顧みない厳しいものとなりました。

 長時間労働の是正については、過労死ラインを超える上限規制さえ守られていない状態があり、職員の健康・安全やワーク・ライフ・バランスの確保のためにも、月45時間、年360時間以内を遵守することが求められます。また、新型コロナウイルス感染症への対応が迫られる中、時間外労働の増加は明らかであり、これを解消するための必要な正規職員の確保も必要です。

 また、今年度から運用が始められた会計年度任用職員や臨時的任用職員など非常勤職員制度については、均等待遇とは程遠い不十分なものと言わざるを得ません。同一労働・同一賃金の原則を推進するため一層の処遇改善が必要です。

 さらに、雇用と年金の確実な接続を図るため、段階的な定年引上げを中心とする新たな高齢期雇用施策を早急に確立することが求められるとともに、再任用職員制度の抜本的な改善・給与水準の引上げが必要です。

 コロナ禍の影響により、今後、民間における雇用や所得の環境がさらに悪化していくことが懸念されますが、現状の厳しい環境を認識した上で、新型コロナウイルス感染症対策や近年多発する大規模な自然災害への対応などに、職員が自身の生活に不安を抱くことなく、高い使命感と責任をもって住民のいのちと暮らしを守るために専念できる給与と勤務条件の確保こそが必要です。

 そのためにも、人事委員会が、労働基本権を一部制約した代償措置として、また第三者機関として公平・公正な立場で勧告作業を進め、責任を果たすことが求められます。

 各都市人事委員会におかれましては、人事院の動向や政府の圧力に屈することなく、人事委員会としての主体的立場を堅持し、大都市で働く職員の生活実態を直視し、以下の要求を受け止め、その実現に尽力されますよう申し入れます。

  1. 人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、不利益不遡及の原則を守り、労使合意事項、労使交渉の経過および組合の意見を十分に尊重すること。
  2. 勧告に係る内容について、政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、第三者機関としての独立性を守り、公平・公正な立場で勧告作業を進めること。
  3. 諸手当の改善については、組合と十分な交渉・協議に基づき地方公務員の実情と実態を踏まえ、次の事項の実現に努めること。
    • (1) 住居手当については、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた対応を行うこと。
    • (2) 扶養手当制度については、単に国に準ずることなく各都市の実情に応じた改善を図ること。
    • (3) 退職手当制度の改善に向けて意見申出すること。
  4. 高齢者雇用施策について
    • (1) 雇用と年金の接続方法については、人事院の意見の申出に基づき、65歳までの段階的定年引上げを中心とする新たな高齢者雇用施策を直ちに意見申出すること。
    • (2) 再任用制度を含む高齢期雇用制度など、公務における高齢者雇用施策について、一層の充実を図り、雇用と年金の接続を確実に保障すること。
  5. 会計年度任用職員の賃金労働条件については、正規職員との均等待遇を確実に実現する具体的な改善と、任用の適正化等について早急に必要な勧告・報告を行うこと。
  6. ワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
    • (1) 厚労省「ガイドライン」に沿った客観的な時間外労働管理や時間外勤務の上限規制を超えた場合の原因分析など、実効性ある長時間労働規制の施策推進
    • (2) 年次有給休暇取得の促進
    • (3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策構築
    • (4) 育児休業の男性取得の促進
    • (5) 介護休暇を取得しやすい職場環境の整備
  7. ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇制度の新設・拡充、総合的な休業制度などを実現すること。特に、有給による家族看護休暇および、リフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設、不妊症・不育症の検査・治療に関わる休暇及び通院保障の制度化ならびに夏季休暇日数の改善をはかること。
  8. 各種ハラスメントの積極的な防止策を推進すること。また、男女共同参画社会の実現に向けて、必要な施策の確立をはかること。
  9. 公務職場における障がい者や外国人の採用促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。
  10. 新型コロナウイルス感染症への対応について、公務職場の実態を踏まえた感染防止策や安全確保を強化するとともに、適切な要員の確保や労働条件等の改善を図ること。また、医療従事者への負担が増大し人材不足が生じる中、保健師や看護師などの人材確保に向けた処遇改善などの対策を行うこと。
  11. 人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進め、大都市協の意向を十分に反映し早期勧告に向けて努力すること。

以 上

大人連委員長会議 本日は、慣例により、当番都市である名古屋市から、ただいまの申し入れについて、大都市人事委員会連絡協議会を代表してお答えする。

 ただいまの申し入れについては、大人連として確かに承った。

 さて、最近の経済状況であるが、3月23日に政府が発表した3月の月例経済報告は、景気の基調判断について「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。」としている。

 先行きについては「感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としている。

 本年の春季労使交渉であるが、3月中旬の大手企業の一斉回答では、一部企業で満額回答がある一方、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないとして、賃上げ額を縮小する回答が相次いだ。まだ多くの企業で労使交渉が続けられていることから、引き続きその動向を注視する必要があると考えている。

 これまでも、各人事委員会では、民間従業員の給与の状況をできる限り広く、より適正に公務員給与に反映させるよう努めてきた。

 引き続き、民間給与の実態を精確に把握するとともに、今回申し入れのあった諸手当の改善、高齢者雇用施策、会計年度任用職員の賃金労働条件、ワーク・ライフ・バランスの確保、新型コロナウイルス感染症への対応など個々の項目については、民間や国の動向にも留意しつつ、各都市区それぞれの団体の状況を踏まえて検討してまいりたいと考えている。

 景気の先行きや、国の財政健全化に向けた動向の影響など、公務員給与を取り巻く環境は、不透明で、予断を許さない状況にあるが、各人事委員会においては、これまでと同様、地方公務員法の趣旨に則り、中立かつ公正な第三者機関としての立場を堅持し、適正な給与勧告を行ってまいる所存である。

以 上

 

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