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更新日:2021年3月18日

正常な労使関係の構築を求める団体交渉

早急に検証を行い人事室の考え方を明らかにするよう求める!

 市労連は、3月4日(木)午後5時30分から三役・常任合同会議、午後6時30分より闘争委員会を開催し、労使関係条例のあり方について協議を行い、3月18日(木)午後4時30分から「正常な労使関係の構築を求める」団体交渉を行った。

 関係単組とそれぞれの任命権者において、組合費チェック・オフの再開に向けた交渉を行っているが、各任命権者から現行の大阪市労使関係に関する条例の下でチェック・オフを再開することは困難であるとの考え方が示されたことから、市労連として労使関係条例の見直しにかかる交渉を行うこととした。

 労使関係条例については、制定当時の交渉において、「今後、労使関係の適正化が図られたということが確認できれば、条例を改正することにより、便宜供与を認めることができる」という大阪市の認識が示されていることから団体交渉において、市労連及び関係単組との労使関係の現状について大阪市としての考え方を質すとともに、条例第8条2項の労使関係の検証について、大阪市としてどのような検証と努力を行ったか認識を示すよう求めた。

 これに対し大阪市は、労使関係の現状について「条例の制定以降、現在まで、適正な労使関係を築きながら、市民からの信頼確保に努めている」また、労使関係の検証については「主体的に適切な時期、手法を判断してまいりたい」との考えが示された。

 市労連は、「適正な労使関係を築きながら」としつつも検証を行っていない大阪市の対応について極めて不満であることを指摘し、早急に検証を行った上で考え方を示すよう求めるとともに、今後、新たに示される人事室の考え方を踏まえ、引き続き正常な労使関係の構築に向けた交渉・協議を行っていくことを確認し団体交渉を終了した。

※ ※ ※

組 合  大阪市は、2011年の橋下市長就任以降、「組合事務所退去通告及び団交拒否」「チェック・オフ廃止通告」「労使関係条例の制定」等、労働組合に対して不当な支配介入を行い団結権の侵害を行うなど、不当労働行為を繰り返し行ってきた。市労連及び関係単組は、労働組合に対する不当な攻撃には毅然とした態度で立ち向かうとして、労働委員会への救済申し立てや裁判所への訴訟提起などに取り組んできたところである。
  大阪市が、最後まで争った「チェック・オフ廃止通告」に関する訴訟について、2019年4月25日、最高裁は上告棄却の判断を下した。この最高裁での判断を受け市労連は、2019年7月11日、「正常な労使関係の構築を求める」団体交渉を行い、大阪市は「条例に定める範囲内の交渉事項については、誠実に交渉してまいりたい」との認識を示した。また、組合費チェック・オフの課題解決に向けた、関係4単組とそれぞれの任命権者との団体交渉の取り扱いについては、「チェック・オフについては、交渉事項と認識している」、「申し入れがあり次第、関係単組と任命権者において、大阪市労使関係に関する条例に基づき、誠実に交渉を行う」との認識も示されたところである。
 この交渉経過を受けて、関係単組からそれぞれの任命権者に対し組合費チェック・オフの再開を求め申し入れを行い、交渉を重ねてきたところであるが、現時点で、どのような検討を行ってきたのか明らかにされたい。

市 側 ≪人事室≫ ただ今、執行委員長より、令和元年7月11日の団体交渉以降、本日に至るまで、各関係単組との交渉を重ねるなかで、市側として適正な労使関係の構築や市民の信頼確保に向けた対応について、この間、各任命権者として検討した内容について質問があったが、現時点における市側の回答を、任命権者ごとに回答をお示ししたい。
 まず、市長部局についてであるが、この間、適正な労使関係を築くべく大阪市労使関係に関する条例に基づき、誠実に交渉に取り組んできたところであり、法的観点も含めた、様々な観点から検討を行ってきたが、現行の大阪市労使関係に関する条例のもとでチェック・オフを再開することはできないと判断せざるを得ないと考える。
≪教育委員会事務局≫ 教育委員会としては、令和元年7月11日の市労連の交渉内容を受け、「大阪市労使関係に関する条例」に基づき、大阪市学校給食調理員労働組合、大阪市学校職員労働組合と同年8月、令和2年1月、令和3年2月とそれぞれ誠実に交渉を重ねてきたところである。
 この間、条例の解釈などの法的観点も含め、様々な観点から検討を行ってきたが、現行の「大阪市労使関係に関する条例」のもとではチェック・オフを再開することはできないと判断せざるを得ないと考えている。
≪水道局≫ 水道局としては、最高裁の判断以降、単組交渉における労働組合側からの意見を踏まえ、条例の解釈の範囲内で局としてどのような対応ができるか検討し、本市の労使関係条例を所管する人事室とも調整したうえで、法律の専門家である弁護士にも見解を求めた。
 弁護士の見解では、現行の労使関係に関する条例第12条で労働組合への便宜供与を禁止しており、個々の解釈で実施できるものではなく、チェック・オフを再開することは、条例違反であることは明白であるとのことであった。
 したがって、現行条例の下ではチェック・オフの再開は非常に困難であることをご理解願いたい。

組 合  ただ今、それぞれの任命権者から、組合費チェック・オフについては、労使関係条例第12条の下では再開することは出来ないとの考えが改めて示されたが、同じ回答を繰り返す大阪市の対応は誠に遺憾である。
 中央労働委員会は命令の救済方法において、文書手交を命じたことに加えて、「労使関係条例第12条を前提としても、新協定を締結してチェック・オフを再開する余地が全くないわけでもないと考えられることから、市は、本件通告が不当労働行為に当たると判断されたことを踏まえ、今後、組合らからチェック・オフ再開に関する協議等の申入れがあった場合には、誠実に対応すべきである」としている。
 このことから、単に交渉に応じるだけでは誠実な対応とは言い難く、それぞれの任命権者は中労委の示した命令を真摯に受け止めて検討し、回答すべきである。さまざまな検討を行わずに、「文書手交は行った」、「条例12条があるからできない」だけでは中労委及び最高裁判断を軽視していると言わざるを得ない。
 組合費チェック・オフの課題については単組交渉であることは認識しているが、市労連として、課題解決に向け、引き続き、検討や努力を行うことを各任命権者に指摘しておく。
 その上で、労使関係条例にかかわる課題である。
 労使関係条例については、2012年当時、新たな労使間ルールを条例化するとの市側提案を受け、交渉を行ってきた。市労連は、それまでの労使関係がすべて不適切なものであるとは認識しておらず、提案そのものの撤回を求めてきたところである。また、大阪市が、一部の不適切な時間内組合活動を引き合いに、この間の労使関係がすべて正常ではなかったかのように、断定することも極めて問題であると指摘してきた。
 市労連は、条例の制定には反対であるとしながらも、労使交渉に関する内容や便宜供与など、今後の労使関係に直接かかわる重要事項が含まれていることから、条例案文の内容について一定の理解を示しながら交渉に応じてきた。しかしながら、大阪市は、急遽、それまでの交渉経過を蔑ろにし、条例12条の便宜供与について、「適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り、原則として」という規定を削除した修正提案を行い、労使合意のないまま、一方的に議会に提出し制定した。
 市労連として、組合活動に制限を加え、存在そのものを否定するかのような条例を決して認めることは出来ず、この条例を理由に組合費チェック・オフの再開は厳しいとする判断は、決して納得できるものではない。
 当時の交渉において、「今後、労使関係の適正化が図られたということが確認できれば、条例を改正することにより、便宜供与を認めることができる」という大阪市の認識が示されている。労使関係条例が制定され、すでに8年が経過しているが、大阪市として、市労連及び関係単組との労使関係の現状についてどのように考えているか示されたい。

市 側  執行委員長より、労使関係の現状に関する質問があったので、現時点における市側の考えをお示ししたい。
 平成24年当時、認められていない便宜供与や、勤務時間中の認められない組合活動など、長年にわたる労使間の不適正な事案が明らかになり、市民の信頼を大きく失墜させる事態を招いていたため、大阪市労使関係に関する条例を制定し、適正な労使関係を再構築し、市民からの信頼を回復するために、便宜供与をゼロベースで見直したものである。
 大阪市労使関係に関する条例の制定以降、現在まで、適正な労使関係を築きながら、市民からの信頼確保に努めているところであると認識している。
 引き続き、大阪市労使関係に関する条例に基づき、適正な労使関係の構築に努めてまいりたい。

組 合  ただ今、人事室長より、市労連及び関係単組との労使関係の現状について「現在まで、適正な労使関係を築きつつ、市民からの信頼回復に努めている」との認識が示されたところである。また、「引き続き大阪市労使関係に関する条例に基づき、適正な労使関係の構築に努めていく」との認識も明らかにされた。
 先にも指摘したが、2012年の労使関係条例にかかる交渉当初から市労連として、それまでの労使関係そのものが決して不適切であるとは認識していない。市労連としては、この条例そのものが労働組合の活動を不当に制限することを目的としてつくられた条例であることから、大阪市が労使関係の適正化をはかるとして策定した条例が、正常な労使関係の構築を妨げる要因であると認識するところである。
 関係単組で交渉している組合費のチェック・オフについても、各任命権者は不当労働行為を認め謝罪文の交付を行いながらも、労使関係条例12条があることから、課題の解決には至っていないこともその一つである。
 あえて指摘するが、大阪市労使関係に関する条例の第8条2項では「任命権者は、適正かつ健全な労使関係が確保されているかどうかを検証し、必要かつ適切な措置を講じなければならない」とされており、先ほど人事室より示された認識を踏まえ、この間、大阪市として適正な労使関係の構築に向けてどのような検証と努力を行ったのか、その内容を示されたい。

市 側  労使関係の構築に向けた検証に関して、現時点における市側の考えをお示ししたい。
 まず、大阪市労使関係に関する条例は、任命権者が「この条例が適正に運用されるように努め」、また、「適正かつ健全な労使関係の確保に努めなければならない」ことを定め、労使関係の適正化に向けて、交渉のルールの順守や適正かつ健全な労使関係の確保など任命権者としての責務を規定したものであり、労働組合に対して制約を加えようというものではない。
 大阪市労使関係に関する条例第8条第2項に定める、「適正かつ健全な労使関係が確保されているかどうかの検証」については、先程も申し上げたが、大阪市労使関係に関する条例の制定以降、現在まで、適正な労使関係を築きながら、市民からの信頼確保に努めているところであるため、本市として、主体的に適切な時期、手法を判断してまいりたい。

組 合  改めて人事室長より認識が示された。
 大阪市は、「適正な労使関係を築きながら」としているが、冒頭でも指摘したように橋下市長就任以降、労働組合に対して不当労働行為を行ってきたのは大阪市である。そのことは司法の場や労働委員会において判断されており、大阪市としてもその事実を認め謝罪文の手交などを行ってきた。しかし、謝罪は行われても、われわれが受けた不利益の解消には至っていない。
 こうした状況にあるのは、大阪市が「大阪市労使関係に関する条例」に基づいた交渉を行いつつも、その条例の中に第12条が存在していることが要因であることは先ほども指摘したとおりである。条例は「労働組合に制約を加えない」との認識を示しているが、結果として組合活動は制約されており、そのことは、会議室使用など活動場所の制限や事務所問題とともに、先ほどの組合費チェック・オフの交渉についての各任命権者からの回答からも明らかである。
 労使関係の一方の当事者である大阪市として、現在の労使関係について適正であると認識するのであれば、条例制定当時の交渉経過に基づき、労使関係条例の見直しについて提案を行うべきであると考える。
 しかしながら、条例第8条2項にある、「労使関係の検証」について、「主体的に適切な時期、手法を判断してまいりたい」との市側回答は、「適正な労使関係を築きながら」としつつも検証を行っておらず、そのような大阪市の対応には極めて不満であることを表明しておく。
 その上で、現段階においても検証が行われていない状況であることから、大阪市として早急に労使関係についての検証を行い、検証結果を踏まえた考え方を明らかにするよう要請する。市労連は、今後、新たに示される大阪市の考え方を踏まえた上で、引き続き交渉を行っていくこととするが、今後、市労連及び関係単組と誠実に交渉・協議を行うことを要請し、本日の交渉は終了とする。

以 上

 

 

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