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更新日:2020年12月22日

2020年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
公民較差▲0.03%(115円)、管理職手当の減額措置後は0.14%(544円)を報告!
民間給与との較差が小さく、適正な改定を行うことが困難なことから、月例給の改定なし!
【市労連】
一時金が引き下げられたことを踏まえると、コロナ禍において、昼夜を問わず懸命に働く組合員の職責と努力を十分に受け止めたものとは言い難く極めて残念!

 大阪市人事委員会は12月22日、「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。報告内容は月例給について、本年4月時点でマイナス115円、率にしてマイナス0.03%、給与減額措置後では544円、率にして0.14%となる。

 市労連は報告に際し、人事委員会から明らかにされた報告結果は、先に勧告された一時金が引き下げられたことを踏まえると、コロナ禍における民間給与実態を反映したものとはいえ、市政の発展と市民サービス向上のため、昼夜を問わず懸命に働く組合員の職責と努力を十分に受け止めたものとは言い難く残念であることを表明した。

 また、公民比較の在り方に関して、これまでスミルノフ・グラブス検定を用いた過去3年間の実施状況を検証した結果、今回より同手法は使用しないとした。市労連として導入当初より、従来の手法に改めるべきと強く指摘してきたことからも、当然の結果として受け止めることを表明した。

 さらに、人事委員会は現行の人事評価制度について、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価によって下位区分となる課題が解消されておらず、公平性を欠くとの懸念が生じていると言及した。市労連として、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることを指摘してきた。

 市労連は、2020賃金確定闘争では、組合員の生活を守るべく、粘り強く闘う意思を表明した。

行政委員会事務局長 本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」につきましては、新型コロナウイルス感染症に係る状況から、職種別民間給与実態調査を二段階で実施する等、前例のない対応となったことが影響し、令和2年度の特別給については本年10月30日に先行勧告を行ったところです。

 引き続き月例給についても人事委員会にて鋭意検討を進めておりましたが、本日、大阪市会議長及び大阪市長に対し、報告を行いました。

 これらの内容については、部長から説明申し上げます。

任用調査部長 はじめに、本年の給与改定についてですが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行いました。

 職員給与については、現在、一部の幹部職員を対象とした給料及び管理職手当の減額措置が実施されていますが、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は397,673円であり、給与減額措置後の平均給与月額は397,014円です。一方、民間給与は397,558円であり、その差は、給与減額措置がないものとした場合にはマイナス115円、率にするとマイナス0.03%となり、給与減額措置後は544円、率にすると0.14%です。

 勧告に当たりましては、職員に本来支給されるべき給与、すなわち給与減額措置がないものとした場合の職員給与と民間給与との較差に基づき行うことが適当であると判断し、本年の給与改定につきましては、公民比較の結果、本市職員については、民間給与との公民較差(△0.03%)が小さく、給料表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難であることから、月例給の改定を行わないことが適当としております。

 また、保育士及び幼稚園教員でございますが、こちらも本年については、月例給の改定は行わないことが適当としております。

 次に、意見として、給与制度等に関する課題と、人事管理制度に関する課題について言及しています。

 まず、給与制度等に関する課題でございますが、「公民比較の在り方」としまして、本市独自の取組でありました『スミルノフ・グラブス検定』により外れ値となったデータを公民比較から除外する取扱いについて、過去3年間の実施状況を検証した結果、民間給与データから除外されることが必ずしも適切とは言えない外れ値が確認されたことなどから、今回より、同手法を使用しないことといたしました。

 「給料表の構造等」について、最高号給に滞留する職員が一定数存在しておりますが、職務給の原則を踏まえますと、これ以上の号給の増設については慎重に検討する必要がある旨言及しています。

 次に、人事管理制度に関する課題につきましては、「長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材の育成」として「人材の確保及び育成」「高齢層職員の活用」「人事評価制度」について言及しております。ほかに「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場環境整備」として、「長時間勤務の是正」「働きやすい職場環境の整備」「社会動向に対応した仕事と家庭の両立支援」「職員の心の健康づくりの推進等」「ハラスメントの防止」について言及しております。また、結びとして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、市民の安全・安心の確保に向けて、厳しい勤務環境の下、困難な業務であっても誇りを持って真摯に取り組んでいる職員に対し、心からの敬意を表する旨を述べております。

 以上が本年の月例給報告の概要です。

市労連 人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善に尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げる。

 まず、公民給与比較であるが、月例給については現在、管理職において給料及び管理職手当の減額措置を実施しており、この給与減額措置がないものとした場合には115円(0.03%)民間が公務を下回っており、給与減額措置後では544円(0.14%)民間が公務を上回っているとの説明があった。

 本年の給与改定については、公民較差が小さく、給料表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難であることから、月例給の改定を行わないことが適当とする報告がされた。先に勧告された一時金が引き下げられたことを踏まえると、コロナ禍における民間給与実態を反映したものとはいえ、市政の発展と市民サービス向上のため、昼夜を問わず懸命に働く組合員の職責と努力を十分に受け止めたものとは言い難く残念な結果である。

 保育士及び幼稚園教員についても、月例給の改定は行わないとされているが、保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。人事委員会として、本市と民間とでは組織・人事の構造が大きく異なっているため、直接的に本市給与水準と民間給与水準とを均衡させることには慎重であるべきとしている。職務の重要性に鑑み、人材確保の観点から処遇確保の必要性、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、早急な給料表の水準回復を言及されるよう引き続き求めておく。

 給与制度等に関する課題として、「公民比較の在り方」について、これまで大阪市独自であったスミルノフ・グラブス検定を用いて、平均値からの乖離が極端なデータを除外するとした手法が、過去3年間の実施状況を検証した結果、必ずしも適切とはいえない外れ値が確認されたことから、今回より同手法を使用しないとされた。市労連として導入当初より、一定条件に基づいて抽出したデータである以上、比較対象とすべきであり、データを除外すること自体、職員の給与水準引き下げが目的であるとの認識を示し、従来の手法に改めるべきと強く指摘してきた経過もあり、今回から使用しないことについては当然のことと認識する。

 また、この間、市労連として、調査対象企業規模50人以上とした比較方法を改め、以前の調査対象企業規模に戻すとともに、団体交渉によって賃金・労働条件を決定している事業所を対象とするよう求めていることを、改めて指摘しておく。

 「給料表の構造等」については、昨年に引き続きこれ以上の号給の増設については慎重に検討する必要があるとの言及にとどまっている。現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、各級最高号給付近に位置付けられて昇給や昇格ができない職員が多数存在しており、職員の勤務意欲の観点からも検討ではなく、早急に抜本的な見直しが必要であることから、総合的な人事・給与制度の構築に向けた言及を行うよう引き続き要請しておく。

 高齢層職員の活用について、高齢層職員の能力を最大限活かし、意欲を持って働き続けられる環境整備を早急に行い、長期的視点に立った業務執行体制の構築に言及している。高齢層職員の給与、処遇、勤務体系等ついては、定年の引き上げと密接にかかわることから、55歳昇給停止などを含めた定年引き上げの制度設計と併せて検討するよう人事委員会としての対応を求める。

 人材の確保については、多くの受験者を確保できる試験制度を検討するとしているが、安定的な行政運営を確保するためにも若年層職員の計画的な採用は必要であり、年齢や人員構成のバランスが取れた組織の構築に向けての対応を求めておく。

 人事管理制度に関する課題として人事評価制度について、絶対評価点が期待レベルに達しているにもかかわらず、相対評価において下位区分となる課題が解消されておらず、また、所属ごとで結果が異なり、公平性を欠くとの懸念が生じていると言及している。現行の人事評価制度は、相対評価を行うことで公平・公正性、客観性を著しく毀損しており、組合員の十分な理解の下で人材育成のための制度とすることが必要と認識している。人事評価を利用して、能力実績主義に基づく競争を煽り、評価結果を勤勉手当や昇給号給数に反映するなど、職員間に格差を生じさせることを目的とすることはあってはならず、職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることを指摘しておく。

 長時間勤務の是正については、昨年4月に時間外勤務時間の上限設定が規則により定められた。その上で、昨年度の時間外勤務の状況は、一人あたりの年間時間外勤務時間数がほぼ変わっていないとされており、引き続き恒常的な時間外勤務が発生しているものと考えられる。また、今年はコロナ禍の影響により時間外勤務が増加しており、今なお感染拡大が続いていることから、今後はさらに長時間勤務の増加が懸念される。いずれも職員不足が原因であることは明らかであり、適切な勤務時間の管理・改善指導はもとより、要員の確保も含め人事委員会としての対応を求めておく。

 以上、「月例給報告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。

 いずれにしても、今後、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く職員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めて使命と職責を果たされるよう求めておく。

行政委員会事務局長 ただいま、市労連の皆様の「月例給報告」の内容に関する考え方について、お聞きしました。

 本委員会としましては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えております。

以 上

 

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