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更新日:2020年10月22日

大都市協が大都市人事委員会連絡協議会に申し入れ

勧告にあたり、人事院勧告に追随することなく、要求実現に向けた最大限の努力を要請!

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は10月22日(木)、大都市人事委員会連絡協議会に対し、以下の「申し入れ」を行った。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、人事院及び各人事委員会による勧告が遅れていたため、大都市協としても各会議の開催、及び、申し入れを見合わせてきたが、10月7日に人事院より一時金のみの勧告が出されたことをふまえ、大都市協を代表して当番都市である神戸市において申し入れを行った。

2020年10月22日

大都市人事委員会連絡協議会
 各都市区事務局長 様

大都市労連連絡協議会

申し入れ書

 日頃から、大都市職員の賃金・労働条件改善に尽力されている貴職に対して敬意を表します。

 さて、人事院は10月7日、内閣と国会に対して2020年の国家公務員の一時金および公務員人事管理に関しての勧告・報告を行いました。

 その主な内容は、一時金については官民較差に基づき0.05月引下げ、12月の期末手当で調整することとしました。一時金の支給月数の引下げは、新型コロナウイルスの感染拡大に対し、住民の命と暮らしを守るために職務に奮闘している職員の努力を踏まえると、容認できるものではありません。また、引下げの調整を期末手当で行うことは、この間勤勉手当で引上げを行ってきた経過からも「成績主義」を一層強めることにほかなりません。さらに制度導入初年度の会計年度任用職員について多くが勤勉手当の支給がないことを踏まえれば、処遇改善が進まない一方で引下げのみ行われることとなり、極めて不当な取扱いといわざるを得ません。

 人事管理に関する報告では、新型コロナウイルス感染症対策としての在宅勤務など新たな働き方への改革、長時間労働是正やハラスメント防止対策の措置を求める内容について報告が行われました。人材確保や育成、非常勤職員の適切な処遇の確保については盛り込まれましたが、具体的な改善措置は示されませんでした。また、定年の引上げについては、「定年を段階的に65歳に引き上げるための措置が早期に実施されるよう改めて要請する」にとどまっています。

 各人事委員会におかれましては、今後、勧告作業が本格化を迎えることになりますが、こうした人事院勧告に追随することなく、大都市で働く職員の労苦に応え、公務に対する誇りと働きがいを向上させるためにも、すべての職員の生活改善が図られる勧告を行うことを強く求めます。

 貴職におかれましては、労働基本権制約の代償措置としての役割と責任を認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われるよう強く要請いたします。

  1. 人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、不利益不遡及の原則を守り、労使合意事項、労使交渉の経過および組合の意見を十分に尊重すること。
  2. 勧告に係る内容について、政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、第三者機関としての独立性を守り、公平・公正な立場で勧告作業を進めること。
  3. 給与勧告にあたっては、民間給与との較差のみでなく生計費に重点を置き、職員の生活と労働の実態にふさわしい給与水準に引き上げること。また、給料表については、労使交渉の決定事項を最優先とし、作成に関しての内容に踏み込まないこと。
  4. 一時金については、比較対象職種を行政職(一)相当職種に見直すなど現行比較方法を改め、年間支給月数の引上げを行い、期末手当に一本化すること。
  5. 地域手当については、本給繰り入れを基本とし、支給率の改善を行うこと。
  6. 諸手当の改善については、労働組合と十分な交渉・協議に基づき地方公務員の実情と実態を踏まえ、次の事項の実現に努めること。
    • (1) 住居手当については、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた対応を行うこと。
    • (2) 扶養手当制度については、単に国に準ずることなく各都市の実情に応じた改善を図ること。
    • (3) 通勤手当については、自己負担が生じないよう、支給額を改善するとともに、全額非課税となるよう関係機関に働きかけること。
    • (4) 退職手当制度の改善に向けて意見申出すること。
  7. 高齢者雇用施策について
    • (1) 雇用と年金の接続方法については、人事院の意見の申出に基づき、65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢者雇用施策を直ちに意見申出すること。
    • (2) 再任用制度を含む高齢期雇用制度など公務における高齢者雇用施策について、一層の充実を図り、雇用と年金の接続を確実に保障すること。
  8. 同一労働同一賃金をはじめとする均等待遇原則に基づき、非常勤職員等の待遇改善について一層努力すること。特に一時金については勤勉手当を早期に支給すること。
  9. ワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。
    • (1) 時間外労働の上限規制など、実効性のある超過勤務規制のための施策推進
    • (2) 年次有給休暇取得の促進
    • (3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策構築
    • (4) 育児休業の男性取得の促進
    • (5) 介護休暇を取得しやすい職場環境の整備
  10. ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇制度の新設・拡充、総合的な休業制度などを実現すること。特に、家族看護休暇および、リフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)・不妊治療休暇の新設・改善ならびに夏季休暇日数の改善を図ること。
  11. 各種ハラスメントに対する積極的な防止策を講じること。また、男女共同参画社会の実現に向けて、必要な施策の確立を図ること。
  12. 公務職場における障がい者や外国人の採用促進を図るため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。
  13. 新型コロナウイルス感染症への対応については、公務職場の実態を踏まえた感染防止や安全確保を強化するとともに、適切な要員の確保や労働条件等の改善を図ること。
  14. 人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進め、大都市協の意向を十分に反映し早期勧告に向けて努力すること。

以 上

大都市人事委員会連絡協議会 慣例により、当番都市である神戸市から、大人連を代表してお答えする。

 ただいまの申し入れについては、大人連として確かに承った。

 本年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、民間給与の実態調査を例年より時期を遅らせた上で、2回に分けて行った。そして人事院は、特別給について月例給に先行して勧告を実施し、支給月数を0.05月分引き下げることとした。

 現在、各人事委員会において、民間給与の実態を精確に職員給与に反映させるよう、作業を進めているところである。

 本日、皆様から申し入れのあった給与水準や特別給、各種手当、制度の充実、定年の引上げに向けた取組などについては、民間や国の動向に留意しつつ、各人事委員会がそれぞれの団体の事情等を踏まえ、検討してまいりたいと考えている。

 人事委員会は、従来から、地方公務員法の趣旨に則り、中立かつ公正な第三者機関として、自主的な判断に基づき、適正な勧告を行ってきた。

 公務員の給与を取り巻く環境は、依然として厳しいものがあるが、引き続き、従来からの立場を堅持していく所存である。

以 上

 

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