更新日:2020年7月30日
職員基本条例における懲戒処分基準の改正について対市団体交渉
市労連は、7月30日(木)午後5時から「職員基本条例における懲戒処分基準の改正について」団体交渉を行った。
市側から、令和2年1月、厚生労働省において、パワー・ハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等について定めた指針が告示され、国の人事院規則が制定され、懲戒指針についても一部改正が行われたことを踏まえ、大阪市においても国の規定に準じて取り扱いを定める必要があることから、職員基本条例の別表にパワー・ハラスメントに関する懲戒処分の標準例を規定したいとの考え方が示された。
提案に対し市労連は、2012年の条例制定時の交渉において、条例の内容には多くの問題があることから、条例の制定時にも合意には至っていない経過を改めて表明した上で、今回の提案内容について、国の規則制定に基づき、条例で定めるとする内容と認識するところではあるが、まず重要なことは、パワー・ハラスメントの発生防止であり、そのことに向けた職場環境の整備や対策について市側の考え方を質した。
これに対し市側より、各種ハラスメント研修を実施する予定であり、研修の充実や職場環境の整備に向け、市として取り組んでいくとの考え方が示された。
市労連は、パワハラを引き起こす要因はさまざまであることから、内容を十分に分析することの必要性を質した上で、大阪市として発生防止に向けた対応を図るよう要請し、引き続き誠意ある対応を求め、団体交渉を終了した。
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市 側 本日は、職員基本条例における懲戒処分基準の改正について、提案をしてまいりたい。
令和2年1月、厚生労働省において、パワー・ハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等について定めた「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」が告示され、その中で、行為者への対処方針及び対処内容を規定するよう示された。これを受け、国家公務員においては、パワー・ハラスメントに関して適切に対応するための措置に関して定めた「人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)」の制定がなされるとともに、「懲戒処分の指針について」の一部改正が行われ、パワー・ハラスメントに関する懲戒処分の標準例が追記され、令和2年6月1日から施行された。これに伴い、国からは、地方公共団体においても、厚生労働省指針に基づき、関係規程への規定をする等、適切に対応するよう要請を受けているところである。
本市としてもこれらを踏まえ、現行の本市職員基本条例上、パワー・ハラスメントに関する懲戒処分の標準例を設けていないため、国の規定に準じて取り扱いを定める必要があり、提案文書のとおり実施してまいりたい。
職員基本条例の別表に規定する内容としましては、
また、その他規定整備として、平成29年7月に、刑法の一部が改正され、「強姦罪」の法定刑について、「強制性交等罪」とする処罰規定の整備が行われた。これに伴い、大阪市職員基本条例別表62中、「強姦」の規定について、「強制性交等」に改める。
なお、実施時期としては、令和2年9月市会での議決後、可能な限り速やかに施行できるようにしてまいりたい。
本日の本交渉において、ご判断をいただきたいと考えているので、何卒よろしくお願いしたい。
組 合 ただいま、人事課長より職員基本条例における懲戒処分の基準の改正について考え方が示された。
懲戒処分の基準について、大阪市では「大阪市職員基本条例」によって定められているが、市労連は2012年の条例制定時の交渉において、条例の内容には、多くの問題があることから、条例の制定については市労連として到底、理解できるものでなく、納得も合意もできないことを表明してきたところである。
合意に至っていない職員基本条例ではあるものの、勤務労働条件に影響する課題については、市側の一方的な考え方だけで制度運用を行わせないよう交渉事項として取り扱ってきた経過がある。
今回の市側より示された提案内容は、国の人事院規則の制定に基づき、パワー・ハラスメントに関する懲戒処分の標準例を条例で定めるとする内容と認識するところではあるが、何より重要なことは、パワー・ハラスメントが起こることのない、職場環境をしっかりと整備するべきであると考えているところであり、雇用主の責務として、そうした取り組みを行ったうえで、職場におけるパワー・ハラスメントの発生防止に向けた対策を行うべきであると認識するところである。
人事院規則10-16においても、各省各庁の長はパワー・ハラスメントの防止に関し、必要な措置を講ずるとともにパワー・ハラスメントが行われた場合においては、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならないとされている。
事象発生後の処分を関係規程へ規定する事のみではなく、防止に関して必要な措置を講ずることも明記されており、大阪市としても職場におけるパワー・ハラスメントの発生防止に向けた更なる研修体制の充実や職場環境の整備に向けた取り組みが重要であると認識するところである。パワー・ハラスメントの発生防止に向けた市側の考え方を明らかにされたい。
市 側 ただいま、書記長からご指摘いただいたところであるが、パワー・ハラスメントの防止・対策の取組みを一層充実させる必要があることから、全所属長に向け、部下職員におけるパワー・ハラスメントの防止に加え、自らもパワー・ハラスメントと捉えられるような行為を厳に慎むよう市長名による全所属長あて通知を既に発出した。また、今後、現行の所属内相談員に加えて、幹部職員からのパワー・ハラスメントに対しても組織として対応することができるよう各所属におけるパワー・ハラスメント防止に係る会議体の設置と、所属長等を対象とした各種ハラスメント研修を実施する予定であり、パワー・ハラスメントの発生防止に向けて、研修の充実や職場環境の整備に向け、市として取り組んでまいりたい。
組 合 ただいま人事課長より、市労連の指摘に対する考え方が示された。
パワー・ハラスメントの防止対策として、各所属における会議体の設置や所属長を対象とした研修を実施していくとのことであるが、パワー・ハラスメントについては事象として認められることが難しく、ハラスメントがあったが故に、受けた職員はメンタル不調にも陥り、職場復帰も厳しくなる事例も想定され、こうした職員の心痛を考えれば、実効ある防止策を講じるべきと認識するところである。さらに、パワー・ハラスメントを引き起こす要因はさまざまであることから、それらの内容を十分に分析することも必要である。各所属における取り組みも重要ではあるが、国と同様、大阪市として、しっかりとした指針やガイドラインを策定すべきであり、全体としての発生防止に向けた対応をはかるよう求めておく。
また、今回の提案はパワー・ハラスメントに関する内容ではあるが、パワー・ハラスメントのみならず、あらゆるハラスメントについても社会問題化している状況もあり、市労連としても例年の申し入れ交渉の際、限られたハラスメントだけでなくすべてのハラスメントへの対策を講じるよう求めてきている。そうしたことについても改めて要請するとともに、勤務労働条件に関する課題については市側の誠意ある対応を引き続き求め、本日の交渉を終了する。
以 上
【提案資料】
懲戒処分の基準の改正について(案)
(1)パワー・ハラスメントにかかる懲戒処分標準例の追加
令和2年1月、厚生労働省において、パワー・ハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等について定めた「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「厚生労働省指針」という。)が告示され、その中で、行為者への対処方針及び対処内容を規定するよう示された。これを受け、国家公務員においては、パワー・ハラスメントに関して適切に対応するための措置に関して定めた「人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)」の制定がなされるとともに、「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)」の一部改正が行われ、パワー・ハラスメントに関する懲戒処分の標準例が追記され、令和2年6月1日から施行される。これに伴い、国からは、地方公共団体においても、厚生労働省指針に基づき、関係規程への規定をする等、適切に対応するよう要請を受けていることを踏まえ、現行の本市条例(大阪市職員基本条例)上、パワー・ハラスメントに関する懲戒処分の標準例は設けていないため、国の規定に準じて取り扱いを定める必要がある。
(2)その他規定整備
平成29年7月に、刑法の一部が改正され、「強姦罪」の法定刑について、「強制性交等罪」とする処罰規定の整備が行われた。これに伴い、大阪市職員基本条例別表62中、「強姦」の規定について、「強制性交等」に改める。