更新日:2020年7月13日
「技能労務職員給与の見直しについて」対市第4回団体交渉
市労連は、「技能労務職員給与の見直し」について、7月8日(水)午後5時から、団体交渉を行った。
団体交渉で人事室は、本年5月に、人事委員会から「技能労務職相当職種民間給与調査の結果等について」の報告がなされ対応を検討した結果、「各種分析をすることによって算出した較差からは是正するほどの確定的なものは認められないことから、今回の調査による給与改定は行わないこととする」との内容を示した。
さらに、今後については、人事委員会勧告による行政職との均衡を考慮して給与改定を行うことにより、民間準拠をはかっていくとした。
市労連は、人事室がこうした手法による給与の見直しは行わないとの考え方を示したことは、これまでの交渉経過を踏まえ当然の結果と認識しているとし、「技能労務職員給与の見直しについての民間給与比較の調査」について、人事室としての認識を質し、人事室からは、職員構成が大きく異なっていることなどから適切な公民給与比較が困難であることは認識するとし、これまで同様、誠実に対応するとの考え方が示された。
技能労務職相当職種民間給与調査については、技能労務職給料表の引き下げを企図したものでしかなく、大阪市の技能職員が担っている業務実態を踏まえたものではないことから、決して認められるものではないことを表明し、引き続き市労連と誠実に交渉・協議を行うことを要請し、団体交渉を終了した。
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市 側 技能労務職員給与の見直しについては、平成30年8月に提案し、皆様方と協議を重ねてまいったが、公民給与較差を解消するための給与改定に当たっては、より直近の民間の状況を反映させることや、現在の本市の業務実態に沿う職種や調査対象産業等の選定を行うことなどがより望ましいと考え、平成31年2月に、改めて技能労務職相当職種民間給与調査を人事委員会にお願いし、直近の社会経済状況を反映した調査結果の報告を受けたうえで、具体の改定額について、改めて提案を行ってまいることをお示ししたところである。
この度、本年5月に、人事委員会から「技能労務職相当職種民間給与調査の結果等について」の報告がなされたことを受け、本市として対応を検討してまいったところであり、本日はその内容についてご説明させていただく。
人事委員会報告においては、職員構成が大きく異なるためにラスパイレス方式による直接比較が困難であるとされ、年齢や勤続年数、職種別構成の補正等を行ったうえで、平均給与月額や、勤続年数・年齢区分に応じた給与水準の比較のほか、賃金センサスに基づく給与水準の比較など、多面的な比較が行われている。
その比較結果については、統計手法を用いて民間給与を推計していることや、職種構成を加重平均により補正していることなどから、適切な公民給与比較とは言い難いとしつつ、「本市が民間を下回る」、「本市が民間をやや下回る」、「概ね均衡」となっている。民間の平均給与月額については、前回同様、統計手法を用いて推計されているが、「推計される給与額が実態よりも高いものになる」という問題があると報告書に記載されており、前回はそれでもなお、非役職者について本市が民間を上回る結果となっていたが、今回は先ほど申し上げたような結果であった。
また、有識者会議において、「現時点では、ラスパイレス比較は、方法論として有効」、「民間の実態を踏まえ、勤続年数を考慮して補正すべき」との意見が出されていることを踏まえ、民間の職種別構成割合の補正を行うなどしてラスパイレス比較を行ったところ、前回は全て本市が民間より高く、較差が認められたが、今回は手法によって、本市が民間より高くなったり、逆に低くなるなどし、明確な較差は認められなかった。ただし、このラスパイレス比較においても、本市と民間の勤続年数が一層乖離しているため、データ利用率が約60%にまで大きく下落しており、適切な比較とは言い難い面は否定できないと考えている。
人事委員会報告にもあるとおり、適切な公民給与比較は非常に困難であるが、その中にあっても、各種分析をすることによって算出した較差からは、是正するほどの確定的なものは認められず、平成31年2月の交渉において、改定額は改めて提案するとしたところであるが、今回の調査による給与改定は行わないこととする。
今後について、市として職員給与に民間準拠が必要との方針に変わりはないが、今回の調査により、現時点において明確な較差が見られないことを踏まえ、当分の間は、人事委員会勧告による行政職との均衡を考慮した給与改定を行っていくこととし、これにより民間準拠を図ってまいりたい。
組 合 ただ今、技能労務職員給与の見直しについての人事室の考え方が示された。
技能労務職給料表については、2012年の給与制度改革により、5級制から3級制への見直しが行われ、大幅に給与水準が引き下げられた結果、政令指定都市の中でも低水準であり、組合員の生活実態は厳しく、もはやギリギリの状態におかれている。また、大阪市が2015年と2017年に民間の技能労務関係職種従業員の給与水準等に関する調査を2度も行い、「大阪市技能労務職員給与検討有識者会議」を設置して議論を進めてきたことは、技能労務職給料表の引き下げを企図したものでしかない。市労連として、こうした一連の技能職員の給与引き下げに向けた作業は決して認められるものではないとの指摘を、この間の交渉において、繰り返し行ってきたところである。
また、2017年に人事委員会が行った調査結果については、調査完了率が比較的低いことや産業別に相当の差異があり、調査対象従業員が正社員として所属していた事業所の割合が小さく、調査データ数が少ないため、分析が困難な職種や特定の事業所または特定の個人の状況の影響を大きく受ける職種があること、などを人事委員会としても明らかにしている。市労連としては、大阪市が唱える同種類似相当職種とはいえ、大阪市の技能職員が担っている業務内容そのものが民間とは大きくかけ離れていることから比較そのものができるものではなく、重ねて申し上げるが、業務実態を踏まえたものとはなっておらず、調査対象職種や調査方法にも極めて問題があるとの指摘を繰り返し行ってきたところである。
本年5月に人事委員会が報告した今回の調査結果についても、先ほど人事室長より示された内容であるが、適切な比較とは言い難く、公民給与比較すること自体非常に困難であるとの結果となっている。
今回の人事委員会の報告結果を受けて、人事室がこうした手法による給与の見直しは行わないとの考え方を示したことは市労連として当然の結果と認識しており、これまでの交渉経過を踏まえたものと受け止める。その上で、「技能労務職員給与の見直しについての民間給与比較の調査」について、人事室としてどのような認識を持っているのか明らかにされたい。
また、大阪市の技能職員等の給与について人事室は、現時点において明確な較差が見られないことを踏まえ、当分の間は、人事委員会勧告による行政職との均衡を考慮した給与改定を行っていくとしているが、総務省は「技能労務職員等の給与について、職務の内容や性格を踏まえつつ、同一または類似の職種の国および地方公共団体の職員ならびに、民間事業の従事者の給与等を考慮することが求められている」としており、民間準拠のみを考慮するなどとの認識は示されていない。大阪市として民間準拠の方針とするのではなく、他の政令指定都市との比較も考慮すべきと認識するところである。
人事室として、これまで数度にわたる調査を行いつつもこの度、改定しないとしていることは、こうした手法を用いて適切な公民給与比較を行うことが困難であると判断したものだと認識するところであり、市労連としては、今後、国や他都市と同様に行政職給料表の改定とあわせて取り扱うべきと認識している。そのことについて、人事室としての考え方を明らかにされたい。
市 側 委員長から、これまでの民間給与調査に関する認識や給与改定の取り扱いについてご指摘をいただいたところであるので、本市の考え方を申し上げたい。
職員基本条例において、「職員の給与は、情勢適応の原則に基づき、民間の同一の職種又は相当する職種の給与の水準を参考にするものとする。」と定められており、今後も民間準拠の方針には変わりはない。
これまでの人事委員会による調査や、調査データに基づく比較・分析においては、職員構成が大きく異なっていることなどから適切な公民給与比較が困難であることは認識するところであるが、様々な手法により比較をした結果、前回の調査では明確な較差が見られたところ、今回の調査では見受けられず、現時点において民間準拠が一定図られていると判断し、今回の調査による給与改定を行わないこととしたものである。
また、今後の給与改定の手法については、先ほども申し上げたとおり、当分の間は人事委員会勧告による行政職との均衡を考慮した給与改定を行っていくこととし、これまで同様、誠実に対応してまいりたい。
組 合 人事室長より、技能職員等の今後の給与改定の手法については、人事委員会勧告による行政職との均衡を考慮して行っていくとの考えが示された。
職員基本条例の定めによる考え方が明らかにされたところではあるが、地方公務員の給与は民間準拠のみではなく、地方公務員法、第24条において職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならないとされている。上位法である地方公務員法を踏まえ、技能職員等も含め、給与改定については引き続き確定期の市労連交渉において決着をはかっていくこととする。
また、技能労務職相当職種民間給与調査については、繰り返しになるが、技能労務職給料表の引き下げを企図したものでしかなく、大阪市の技能職員が担っている業務実態を十分踏まえたものとはなっていないことから、決して認められるものではないことを表明しておく。
その上で、市労連組合員の勤務労働条件は、労使における自主的・主体的な交渉と合意がはかられなければならず、人事室の一方的な思いだけでは、労使合意はあり得ないことを改めて申し上げておく。こうした課題の解決に向けては、引き続き市労連と誠実に交渉・協議を行うことを要請し、本日の交渉を終えることとする。
以上