更新日:2020年5月1日
大都市協が大人連委員長会議に申し入れ
大都市労連連絡協議会(大都市協)は4月17日(金)、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、静岡市で開催が予定されていた書記長会議及び代表者会議は中止とし、大都市人事委員会連絡協議会(大人連)に対する「申し入れ」については、以下の内容を当番都市である静岡市が大都市協を代表して行った。
なお、回答については、申し入れ書の受け取り後、大人連で協議を行った上で、4月23日(木)に当番都市である静岡市から大人連を代表して回答が示された。
2020年4月17日
大都市人事委員会連絡協議会
委員長会議 様
大都市労連連絡協議会
申し入れ書
日頃から、大都市職員の賃金・労働条件の改善にご尽力されている貴職に敬意を表します。
さて、2019年地方賃金をめぐっては、6年連続となる人事院の月例給及び一時金の引き上げ勧告の下、地方では、較差僅少の中で、都市によっては、初任給、若年層を注視しつつ、高齢層にも配慮した月例給引き上げ勧告のあった点は一定評価できるものの、改定なし・据置、大幅マイナス勧告の都市もあったことを踏まえれば、全体としては大都市職員の抜本的な生活改善には繋がらなかったといわざるを得ません。
一方で、長時間労働対策について働き方改革関連法の成立に伴い、昨年2月人事院は時間外労働の上限規制について、他律的業務の比重の高い部署では、過労死ラインを超える月100時間、年間720時間としたことなど、社会的に求められているワーク・ライフ・バランス実現とは正反対の規則改正を行ったことはきわめて遺憾とするところです。教員についても、長時間労働の抜本的な解消にはつながらない、給特法の改正が行われています。
また、非正規労働者全体の処遇改善が社会的にも求められる中、臨時・非常勤職員の賃金・処遇について、会計年度任用職員制度の導入・移行によって、「均等待遇」、「同一価値労働・同一賃金」を実現する制度構築と適正な運用が引き続き求められます。
雇用と年金に関わっては、政府が骨太方針に「公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討」と明記し、無年金期間が延長され再任用制度での対応では限界を迎える中で、2018年8月に人事院が行った定年引上げに関する意見の申出を踏まえ、ようやく通常国会に法案が提出されました。職員が納得できる制度を早期に実現していく必要があります。
地方財政は、税収増を見込み、会計年度任用職員の期末手当経費について地方交付税措置をするとし、前年度を上回る一般財源総額が確保されていますが、職員の増員は十分とは言えず、地方財政は、依然として厳しい状況にあります。また、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が大変懸念されています。
こうした中で、公務員労働者が国民・市民の期待に応え、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、国民生活の安心と安全を確保していくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件が確保されなければならないと考えます。
本年の賃金・労働条件改善にあたっては、公務員労働者の賃金・労働条件を維持・改善することはもとより、会計年度任用職員の処遇と雇用のあり方を引き続き改善すること、雇用と年金の確実な接続に向けて定年引上げ及び高齢者雇用施策について、各都市の実情に応じた職員が納得のいく内容に言及することなどが貴職の最も重要な課題であると考えます。
各都市人事委員会においては、人事院の動向や政府の圧力に屈することなく、人事委員会としての主体的立場を堅持し、大都市で働く職員の生活実態を直視し、以下の要求を受け止め、その実現にご尽力されるよう申し入れます。
記
以上
大人連委員長会議 慣例により、当番都市である静岡市から、今回の申し入れについて、大都市人事委員会連絡協議会を代表してお答えする。
今回の申し入れについては、大人連として確かに承った。
さて、最近の経済状況であるが、3月26日に政府が発表した3月の月例経済報告は、景気の基調判断について「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、足下で大幅に下押しされており、厳しい状況にある。」としている。
先行きについては「感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれる。また、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。」としている。
本年の春季労使交渉であるが、3月中旬の大手企業の一斉回答では、米中対立の長期化や英国によるEU離脱の問題、新型コロナウイルスの感染拡大などが懸念される中、多くの企業で賃上げ額を縮小する回答が相次いだ。まだ多くの企業で労使交渉が続けられていることから、引き続きその動向を注視する必要があると考えている。
これまでも、各人事委員会では、民間従業員の給与の状況をできる限り広く、より適正に公務員給与に反映させるよう努めてきた。
引き続き、民間給与の実態を精確に把握するとともに、今回申し入れのあった諸手当の改善、高齢者雇用施策、会計年度任用職員の賃金労働条件、ワーク・ライフ・バランスの確保など個々の項目については、民間や国の動向にも留意しつつ、各都市区それぞれの団体の状況を踏まえて検討してまいりたいと考えている。
景気の先行きや、国の財政健全化に向けた動向の影響など、公務員給与を取り巻く環境は、不透明で、予断を許さない状況にあるが、各人事委員会においては、これまでと同様、地方公務員法の趣旨に則り、中立かつ公正な第三者機関としての立場を堅持し、適正な給与勧告を行ってまいる所存である。
以 上