更新日:2019年7月23日
正常な労使関係の構築を求める団体交渉
市労連は、7月10日(水)午後5時30分から三役・常任合同会議、午後6時30分より闘争委員会を開催し、市側の不当労働行為への対応について協議を行い、7月11日(木)午後5時から「正常な労使関係の構築を求める」団体交渉を行った。
団体交渉で市労連は、労働組合を敵視した市側の行為すべてが不当労働行為と認められたことをふまえ、労働組合への一連の対応について猛省すべきである旨を指摘した。また、不当労働行為によって改悪されている状態を早急に回復することを強く求め、とりわけ、チェック・オフの課題については、関係4単組(市従、水労、学職労、学給労)より、それぞれの任命権者に対し団体交渉の申し入れを行うことを質した。
これに対し市側は、チェック・オフについては交渉事項と認識していることから、誠実に交渉してまいりたいとの回答が示された。
市労連は、それぞれの任命権者が誠意をもって交渉に応じるよう求めるとともに、引き続き、正常な労使関係の構築に向けた協議を継続することを確認し団体交渉を終了した。
組 合 市側は、2011年の橋下市長就任以降、「組合事務所退去通告及び団交拒否」「強制アンケート調査」「チェック・オフ廃止通告」等、労働組合を敵視した対応を行ってきた。
これらは、労働組合が行う正当な活動に対して行った不当な介入であり、憲法が保障する団結権を侵害するものであることから、市労連及び関係単組は、労働組合に対する不当な攻撃には毅然とした態度で立ち向かうとして、労働委員会への救済申立や訴訟に取り組んできた。
「強制アンケート調査」については、大阪府労働委員会が不当労働行為を認め誓約文の手交を命令、中央労働委員会では市側の再審査申立を棄却したため、市側は2014年8月に誓約文の手交を行った。また、2015年には大阪高裁が市側に対し損害賠償を命じている。
「組合事務所団交拒否」についても、大阪府労働委員会が不当労働行為を認め誓約文の手交を命令し、中央労働委員会でも同様の判断が下され、市側は2015年4月に誓約文の手交を行った。「組合事務所退去」についても大阪高裁は、市側に対し損害賠償を命じている。
市側が最後まで争った「チェック・オフ廃止通告」については、本年4月25日に最高裁判所が上告棄却とする決定を出した。この決定を踏まえ市側は、不当労働行為を認め、今後このような行為を繰り返さないとし、関係4単組に誓約文の手交を行った。そもそも労働委員会命令についてはすぐさま履行すべき行政処分であり、東京地裁へ提訴している状況であったにせよ履行の義務を伴うものであることを、まず指摘しておく。
また、今回の「チェック・オフ廃止通告」の最高裁決定によって、市側の行為すべてが不当労働行為と認められたこととなる。地方公共団体が、これほど多くの違法行為を繰り返すこと自体、異常であり、訴訟に係る公費や人的な労力は決して少ないものではない。労働組合に対するこれら一連の対応について、市側は猛省をすべきである。
われわれとしては、労働委員会が判断した命令の趣旨は不当労働行為がなかった状態に戻すことであり、誓約文の手交をもって市側の不当労働行為が免罪されるものではないことを強く申し述べておく。
加えて、市労連としては、市側には正常な労使関係を確立する義務があると認識することから、市側に対し、不当労働行為によって、改悪されている状態を早急に回復することを求める団体交渉を進めていく所存である。市側には誠実な交渉と誠意ある対応を求めるところであり、そのことに対する市側としての考え方を示されたい。
市 側 まず、この場をお借りし、この間の不当労働行為に対しまして、あらためてお詫び申し上げる。
ただ今、委員長から、「正常な労使関係の構築を求める団体交渉について」の申し入れを受けたところであるが、それにかかわって、本市の考えをお示ししたい。
「誠実な交渉と誠意ある対応を求める」ことについては、大阪市労使関係に関する条例の制定以降、条例に定める交渉事項は誠実に交渉を重ね、適正な労使関係を築くべく、取り組んできたところである。
先般の労働委員会命令を踏まえ、今後も、条例に定める範囲内の交渉事項については、誠実に交渉してまいりたいと考えている。
なお、「労働委員会命令についてはすぐさま履行すべき」との指摘であるが、救済命令については、確定に至る前においてもその命令を履行しなければならない行政上の義務を負うことについては認識している。しかしながら、本市の主張が認められなかったため、救済命令の取り消しの訴えを提起することができることから、提訴に踏み切り、判決後、速やかに命令を履行した次第である。何卒ご理解を賜るようよろしくお願いしたい。
組 合 市側から交渉に対する考え方が示された。
先ほども申し上げたが、われわれは不当労働行為によって、改悪されている状態を早急に回復することを求める団体交渉を進めていく所存であり、まずは、チェック・オフの課題について、関係4単組よりそれぞれの任命権者に対し団体交渉の申し入れを行うことを考えている。
市側は、「条例に定める範囲内の交渉事項については、誠実に交渉してまいりたい」としているが、そもそも「大阪市労使関係に関する条例」については、労使合意に至らないままに、市側の一方的な強い思いで制定された条例であることが問題である。今後、申し入れるチェック・オフの課題については交渉事項であることから、条例によってこれらの交渉の進展が妨げられることが無いよう市側に確認しておきたい。
市 側 チェック・オフについては、交渉事項として認識している。
ついては、申し入れがあり次第、関係単組と任命権者において、大阪市労使関係に関する条例に基づき、誠実に交渉してまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。
組 合 今後、各単組から申し入れを行い、交渉を進めていくこととするが、それぞれの任命権者が誠意を持って交渉に応じるよう求め、引き続き正常な労使関係の構築に向けた協議を継続することを確認し、本日の団体交渉については終了する。
以 上