更新日:2019年4月22日
大都市協が大人連委員長会議に申し入れ
大都市労連連絡協議会(大都市協)は4月18日(木)、新潟市で書記長会議及び代表者会議を開催し、2019年賃金に関する中央情勢及び各都市からの報告と、大都市人事委員会連絡協議会(大人連)に対する「申し入れ」を中心に協議した。
その後、当地で開催中の大都市人事委員会連絡協議会委員長会議に対し、以下の申し入れを行った。
2019年4月18日
大都市人事委員会連絡協議会
委員長会議 様
大都市労連連絡協議会
申し入れ書
日頃から、大都市職員の賃金・労働条件の改善にご尽力されている貴職に敬意を表します。
さて、2018年地方賃金をめぐっては、5年連続となる人事院の月例給及び一時金の引き上げ勧告の下、地方では、較差僅少の中で、都市によっては、初任給、若年層を注視しつつ、高齢層にも配慮した月例給引き上げ勧告のあった点は一定評価できるものの、改定なし・据置、大幅マイナス勧告の都市もあったことを踏まえれば、全体としては大都市職員の抜本的な生活改善には繋がらなかったといわざるを得ません。
一方で、長時間労働対策について働き方改革関連法の成立に伴い、人事院は時間外労働の上限規制について、他律的業務の比重の高い部署では、過労死ラインを超える月100時間、年間720時間としたことなど、社会的に求められているワーク・ライフ・バランス実現とは正反対の規則改正を行ったことはきわめて遺憾とするところです。
また、非正規労働者全体の処遇改善が社会的にも求められる中、臨時・非常勤職員の賃金・処遇について、非常勤職員給与決定指針などに基づく確実な雇用・賃金などの処遇改善と、改正自治法・地公法の施行に向け、会計年度任用職員制度の導入・移行によって、「均等待遇」、「同一価値労働・同一賃金」を実現する制度構築と適正な運用が求められます。
雇用と年金に関わっては、政府が骨太方針に「公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討」と明記し、無年金期間が延長され再任用制度での対応では限界を迎える中で、2018年8月に人事院が行った定年引上げに関する意見の申出を踏まえ、早期実現に向けた議論を加速していく必要があります。
地方財政は、ゆるやかな景気回復に伴う地方税の増収を見込み、地方交付税の増加と幼児教育無償化のための臨時交付金の確保、臨時財政対策債の大幅な圧縮など、前年度を上回る一般財源総額が確保されていますが、高齢化に伴う社会保障費の増加等地方財政は、依然として厳しい状況にあります。
こうした中で、公務員労働者が国民・市民の期待に応え、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、国民生活の安心と安全を確保していくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件が確保されなければならないと考えます。
本年の賃金・労働条件改善にあたっては、公務員労働者の賃金・労働条件を維持・改善することはもとより、臨時・非常勤職員等の処遇と雇用のあり方を抜本的に改善すること、雇用と年金の確実な接続に向けて人事院が行った段階的定年引上げの意見の申出を踏まえた高齢者雇用施策について確実に言及することなどが貴職の最も重要な課題であると考えます。
各都市人事委員会においては、人事院の動向や政府の圧力に屈することなく、人事委員会としての主体的立場を堅持し、大都市で働く職員の生活実態を直視し、以下の要求を受け止め、その実現にご尽力されるよう申し入れます。
記
以上
大人連委員長会議
本日は、慣例により、当番都市である新潟市から、ただいまの申し入れについて、大都市人事委員会連絡協議会を代表してお答えする。
ただいまの申し入れについては、大人連として確かに承った。
さて、最近の経済状況であるが、3月20日に政府が発表した3月の月例経済報告は、景気の基調判断について「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している。」としている。
先行きについては「当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」としている。
本年の春季労使交渉であるが、3月中旬の大手企業の一斉回答では、米中貿易摩擦の長期化などによる世界的な景気減速懸念が足かせとなり、ベアは前年の水準を割り込む回答が相次いだ。まだ多くの企業で労使交渉が続けられていることから、引き続きその動向を注視する必要があると考えている。
これまでも、各人事委員会では、民間従業員の給与の状況をできる限り広く、より適正に公務員給与に反映させるよう努めてきた。
引き続き、民間給与の実態を精確に把握するとともに、本日申し入れのあった諸手当の改善、高齢者雇用制度、臨時・非常勤職員の賃金労働条件、ワーク・ライフ・バランスの確保など個々の項目については、民間や国の動向にも留意しつつ、各都市区それぞれの団体の状況を踏まえて検討してまいりたいと考えている。
景気の先行きや、国の財政健全化に向けた動向の影響など、公務員給与を取り巻く環境は、不透明で、予断を許さない状況にあるが、各人事委員会においては、これまでと同様、地方公務員法の趣旨に則り、中立かつ公正な第三者機関としての立場を堅持し、適正な給与勧告を行ってまいる所存である。
以 上