更新日:2019年3月19日
「時間外勤務時間の上限規制について」対市団体交渉
市労連は、3月13日(水)「時間外勤務時間の上限規制について」団体交渉を開催し、市側より提案を受けた。その後、事務折衝等での協議を経て、3月19日(火)第2回団体交渉を開催した。
市労連は、第2回団体交渉で、上限規制を行うこと自体は否定するものではないが、実質的に労働時間や業務量が減らなければ、サービス残業を招来しかねないものと質し、市側として超過勤務縮減を呼びかけるだけでなく、具体的な改善策を示すよう求めた。また、今後、勤務労働条件にかかわる問題が生じた場合には、誠意をもって交渉に応じることを要請し、提案された内容を確認し団体交渉を終了した。
【第1回団体交渉(2019年3月13日)】
市側 本日は、時間外勤務時間の上限規制について、提案をしてまいりたい。
目的であるが、労働基準法及び人事院規則の改正により時間外勤務時間の上限規制が導入されるとともに、地方公務員についてもこれらの趣旨を踏まえた措置を図るよう助言を受けていることから、本市においても時間外勤務時間の上限時間を定めることとし、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの推進を図ってまいりたい。
具体的な上限時間については、原則、月45時間以下、年360時間以下とする。ただし、特別な事情がある場合については、月100時間未満、2〜6月平均80時間以下、年720時間以下とし、特別な事情がある場合について月45時間を超えることができる回数は年6回までとする。この場合における年とは4月から翌年3月までをいう。
また、選挙対応・災害対応その他重要性・緊急性が高い業務に従事するため、時間外労働を行う場合は、先程の時間数とは別に計上することができるものとする。
実施時期については、平成31年4月1日からとしてまいりたい。
なお、労働基準法第36条による協定を締結している事業場については、当該協定の内容によることとしている。。
組合 市側より、労働基準法及び人事院規則の改正に伴う時間外勤務時間数の上限規制についての提案を受けた。
まず、労働基準法第36条による協定を締結している事業場については、その協定の内容が優先することとして認識しておく。
連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現をめざすため、長時間労働の是正、「過労死等ゼロ」の実現など、誰もが働きやすく、生きがいをもって生活できる社会への変革に取り組んでいる。市労連としても、この間長時間労働の是正を求めてきたところであり、ワーク・ライフ・バランスの推進については、必要であるとの立場である。
提案内容では、国と同様に上限時間を原則、月45時間以下、年360時間以下としながらも、特別な事情がある場合には長時間の勤務を認めるものとなっており、その定義や運用については事務折衝における確認が必要と認識するものである。
また、選挙対応・災害対応その他重要性・緊急性が高い業務における例外扱いの必要性も行政の役割として一定理解するが、厚生労働省が示す過労死ラインを越える勤務時間の扱いであるだけに、あくまでも緊急避難的な例外に限られなければならない。
いずれにしても、本日、提案を受けたところであり、詳細な内容説明や協議が必要と認識している。人事室として今後、事務折衝等において詳細な説明と誠意ある協議を要請しておく。
市側 こちらとしても、事務折衝等について、適切に対応・協議してまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。
【第2回団体交渉(2019年3月19日)】
市側 3月13日に提案した時間外勤務時間の上限規制について、非常に厳しい日程の中で協議を行ってきたところであるが、本日の本交渉において、ご判断をいただきたいと考えているので、何卒よろしくお願いしたい。
組合 事務折衝において確認した事項も含め、いくつか確認すべき事項があるので、市側認識を示されたい。
まず、労働基準法第36条による協定を締結している事業場における扱いについてである。先日の提案の中で、「時間外勤務時間の上限規制」については、いわゆる36協定の締結職場については、その協定の内容によるとされている。労使で合意した協定であり、当然にその内容は重視されるべきものである。今回の提案では、年720時間までとなっているが、それだけをもって安易にこれまでの協定内容から引き上げることがないよう求めておく。
次に、上限時間を「原則、月45時間以下、年360時間以下とする」としつつ、「特別な事情がある場合」に月100時間未満、2〜6月平均80時間以下、年720時間以下という3パターンの上限時間をもうけている。また、選挙・災害などの一定の場合には、月100時間以上となることもあり得るとのことである。長時間労働や過労死を防止するためという労基法改正の趣旨からも、選挙・災害などの一定の場合については、厳格に運用されるべきであると考えるが、市側認識と運用のイメージを示されたい。
市側 36協定については、これまで所属-支部間で合意した内容であり、法令・規則が定める上限時間の範囲内である限り、その内容は優先されるものと考えているところである。
また、選挙・災害などについては公務の性質上、臨時に対応する必要が生じるものであるが、まずはこれらの業務を含めて、上限時間内に収まるように努めていきたいと考えている。そのうえで、やむを得ず上限時間を超える場合についても厳格に運用してまいりたい。具体的には、選挙時の業務のほか、災害が発生した場合において動員体制時における動員にかかる業務を時間外に行う場合、また避難所開設に伴う業務など、その他の業務としては児童虐待等の通報があり緊急的に対応する場合などを想定しているところである。
組合 36協定については、市側が回答した内容が各事業場において履行されるよう、求めておく。
「特別な事情がある場合」及び選挙・災害等の業務における上限時間については、現時点における市側の考え方として理解するが、これを適用した場合など実際に長時間勤務が生じる際には、単組及び支部と所属における交渉・協議事項として、適切に対応するよう求めておく。
また、これら上限規制を行うこと自体は、組合として否定するものではないが、実質的に労働時間や業務量が減らなければ、サービス残業を招来しかねないものと考えるものである。市側として、現場に超過勤務縮減を呼び掛けるだけでなく、具体的な改善策が必要と考えるが現時点で考えていることがあれば示されたい。
市側 ご指摘を頂いている、選挙・災害等の業務により、上限時間を超えることとなる長時間勤務が生じる場合において、その状況の説明等が支部から求められた場合には丁寧に対応してまいりたい。
また、いわゆるサービス残業については決してあってはならないものと認識しており、これまでも常に周知をしてきているところであるが、改めて管理監督者に対して労働時間の管理の徹底を図るとともに、人事室としても各所属の運用が適切になされているかのモニタリング等を進めてまいりたい。
さらに時間外勤務の縮減にかかる具体的な方策の1つとして、例えば、終業時刻を過ぎた時間外に会議や打ち合わせが予定されている場合においては、事前に所定の手続きを行い、出勤時刻を遅らせるような勤務時間の割振りの変更を行うことが、時間外勤務時間の縮減にとどまらず、職員の健康保持という点からも有効な取組みであると考えている。
実際には1月単位の場合に変更を行っている所属もあれば、日単位など柔軟に変更を行っている所属があるとのことであり、今後は人事室としても、日単位での変更も含め、各所属に対して積極的な活用を促してまいりたい。
組合 時間外勤務時間の上限規制にかかわる指摘に対して、市側から一定の回答があったところである。
回答について誠実に扱うことを前提に、提案された内容で判断することとするが、今後、勤務労働条件にかかわる問題が生じた場合には、誠意をもって組合との交渉に応じることを確認しておく。
また、教育職員については、超勤4項目以外での時間外勤務が常態化しており、これらの解消に向けては、誠意をもって単組協議に臨むことを求めて本日の交渉を終える
以 上
【提案資料】
1 目的
労働基準法及び人事院規則の改正により時間外勤務時間の上限規制が導入されるとともに、地方公務員についてもこれらの趣旨を踏まえた措置を図るよう助言を受けていることから、本市においても時間外勤務時間の上限時間を定め、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの推進を図ることを目的とする。
2 上限時間
原則、月45時間以下、年360時間以下とする。
ただし、特別な事情がある場合については、月100時間未満、2〜6月平均80時間以下、年720時間以下とし、特別な事情がある場合について月45時間を超えることができる回数は年6回までとする。この場合における年とは4月から翌年3月までをいう。
また、選挙対応・災害対応その他重要性・緊急性が高い業務に従事するため、時間外労働を行う場合は、上記の時間数とは別に計上することができるものとする
3 実施時期
平成31年4月1日
4 その他
労働基準法第36条による協定を締結している事業場については、当該協定の内容による。