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更新日:2019年3月13日

2019年統一賃金要求対市申し入れ

賃金・労働条件の改善にかかる9項目の要求書を提出!
組合員の生活実態を十分踏まえ、市側の誠意と責任ある対応を要請!

 市労連は、3月5日(火)午後6時30分から開催した、2018年度市労連第1回委員会において確認された「市労連2019年統一賃金要求」について、3月13日(水)午前9時30分から、市側に対して以下のとおり申し入れを行った。

 申し入れで市労連は、総合的な人事・給与制度の構築をはじめ、諸課題解決に向けて、通年的な交渉・協議を要請した。特に、技能労務職給料表については、2月8日の団体交渉において市側より、「次年度の調査結果を踏まえ、改めて提案を行う」と明らかにされたが、市労連としては、極めて大きな課題であり、これ以上、技能労務職給料表の改悪を行わないよう強く要請した。また、会計年度任用職員制度の導入における課題に対する指摘や、災害時など緊急時における交通費の対応、特別休暇等の新設についても求めた。さらに、両立支援策として、不妊治療にかかる休暇制度の充実・改善について早急な対応をはかるよう求めた。

 交渉については、労使対等の原則に則り、健全な労使関係の構築に努めるよう要請した。

組合 本日は、2019年統一賃金要求について交渉を行いたい。

 市労連は、3月5日に2018年度市労連第1回委員会を開催し、当面する2019年春季生活改善闘争を闘う方針と、市労連2019年統一賃金要求を確認した。

 それでは、ただ今より、2019年統一賃金要求を申し入れる。
 なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。

2019年3月13日

大阪市長 吉村 洋文 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 𠮷田 隆一

市労連2019年統一賃金要求に関する申し入れについて

 政府は、給与制度の総合的見直し、退職手当や扶養手当の見直しなど、地方自治体及び人事委員会に助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、自治体職員の給与制度は改悪の一途をたどっており、生活実態は悪化しています。これ以上の地方公務員のさらなる給与制度の改悪による給与引き下げは容認できません。

 大阪市においては昨年の人事委員会勧告で、月例給は453円、一時金は0.05月分の引き上げが示され、勧告に基づいた改定となりましたが、組合員の給与水準は極めて厳しい状況にあります。

 また、「給与制度改革」以降、多くの組合員が最高号給に達しており、結果的に昇給できない組合員が年々増加しています。2015確定交渉においては、一部の給料表で号給増設が行われたとはいえ、極めて限定的なものであることから、現在の大阪市の給与制度は他に例もなく早期に見直すべきであり、早急に総合的な人事・給与制度を構築すべきです。

 さらに、人事評価制度の本来の主旨にそぐわない「相対評価」による昇給や一時金への給与反映が実施されており「相対評価」による給与反映は、組合員の納得性が高いとは言えず、評価制度において慎重に検討を行い、十分な交渉・合意による改善をはかることはもとより「相対評価」自体の廃止を強く求めます。

 大阪市として、「賃金・労働条件は、労使の交渉によって決定すべき事項」という基本態度を堅持し、組合員の生活実態、勤務条件・環境の改善にかかる下記の要求事項について、これまでの交渉経過と自主性をもった労使協議と交渉により実現されるよう申し入れます。

1.賃金引き上げについて

 生活保障のため、大都市に見合う現行賃金水準の改善をはかること。

2.賃金体系の改善と配分について

 賃金体系の改善にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時にあたる若年層と中高年層の体系是正をはかり、配分については本給重視とすること。さらに、55歳以上の昇給停止を見直すこと。

 また、職務・職責に応じた総合的な人事・給与制度を構築すること。さらに、号給延長など給与水準の改善を行うこと。

3.賃金決定基準の改善について

(1) 初任給基準(中途採用者を含む)の改善をはかること。

(2) 格付基準(臨時期間・前歴の格付通算を含む)の改善をはかるとともに、昇格枠の拡大と昇格条件の改善をはかること。また、昇格について公正・公平・納得性のある選考方法とすること。

(3) 給与制度改革に伴う各級最高号給到達者の勤務実績が昇給に反映されるよう改善すること。

(4) 病気休職等の昇給抑制者に対する復元措置を講ずること。

(5) 給料表については、職員構成及び業務実態を踏まえつつ、給料表構造の改善をはかること。また、専門職給料表においては、国・他都市事情を考慮して検討すること。

(6) 初任給調整手当については、支給額の引き上げを行うこと。

(7) 技能労務職給料表について、賃金センサスをはじめ民間企業給与データを活用した公民比較は、技能職員との業務実態と比べて正確性を欠き問題であることから、単純比較を行わないこと。また「市政改革プラン2.0」などに基づく技能労務職給料表の改悪は行わないこと。

(8) 保育士・幼稚園教員については、その職の社会的重要性を踏まえた、給与水準の改善と昇格枠の拡大をはかること。

(9) 医師・看護師・福祉職員については、人材確保・定着の観点から、給与処遇の改善をはかること。

4.諸手当の改善について

(1) 扶養手当は属性区分の見直しや支給基準など、都度必要な協議を行い支給額の改善を行うこと。

(2) 通勤手当は支給基準の改善を行い、交通用具利用者に対する手当の基準を改善し、全額非課税となるよう国に働きかけること。また、経路認定基準の見直しに伴う課題は、十分な検証とともに引き続き必要な協議と改善を行うこと。

(3) 災害時など緊急時における交通費の自費負担を解消すること。

(4) 住居手当は、国と異なる実態を踏まえ、大都市での住宅事情に見合ったものとして、持ち家にかかる手当の回復を含めた制度改善と支給額の引き上げをはかること。

(5) 地域手当については、本給繰り入れを基本に改善をはかること。

(6) 夜間勤務手当及び超過勤務手当(深夜勤務を含む)の支給率の改善をはかること。

 また、必要な時間外手当財源を確保し、全額支給を行うとともに、労働基準法を遵守した超過勤務命令の運用を行うよう周知徹底をはかること。

(7) 一時金については、期末手当一本とし、年間5.0ヶ月以上とするとともに、支給方法の改善をはかること。さらに引き上げ改定分についても、期末手当に配分すること。

 また、勤勉手当への相対評価結果の反映については、評価結果の納得性が得られないことから、労使合意を基本に十分な交渉・協議を行うこと。

(8) 特殊勤務手当については、業務実態を十分踏まえた手当制度として改善すること。

(9) 夜間看護手当については、医療技術の高度化等、深夜における看護業務の実態を踏まえ、支給額の引き上げをはかること。

(10)課長代理、課副参事について、その役割を十分考慮した上で、給与水準の回復をはかること。研究職給料表について、課長代理に対応する級を新設すること。

5.昇給・昇格制度と人事評価制度について

 人事評価制度については、4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)2要件(労使協議制度の確立・苦情処理機関の設置)の確立した制度に改め、人材育成を主眼とする制度運用をはかること。また、「職員基本条例」に基づく相対評価は、人事評価制度の本旨に反していることから廃止すること。

 さらに、昇給制度等の検討については、将来の人事給与制度の全体像を見据え、あるべき昇給制度等の検討を早急に行い、労働組合との必要な交渉・協議を行うこと。

6.労働条件等の改善について

(1) 仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性を踏まえ、労働時間を短縮し、完全週休2日制の実施に伴う十分な条件整備をはかること。

 また、働きやすい勤務環境の整備のため、安全衛生委員会を活用し、定期的な職場点検を行うこと。

(2) 職員基本条例に基づく、分限処分は行わないこと。

(3) 業務上交通事故に対する失職を防止するための特例を定めるなど、分限にかかる基準を見直すこと。

(4) 休職者の給与、給付内容などの改善をはかること。大阪市職員共済組合の傷病手当金附加金廃止に伴う代替措置を早急に講じ、休職期間中の無給期間を生じさせないこと。また、近年の休職者の実態をふまえ、「大阪市職員心の健康づくり計画」を十分に踏まえたメンタルへルス対策の一層の充実をはかること。特に、心の健康の保持・増進の観点から職場における勤務環境の改善をはかること。さらに「パワーハラスメントの防止等に関する指針」に基づき、パワーハラスメント対策の充実をはかるとともに、全てのハラスメント対策を講じること。

(5) 職員の福利厚生については、福利厚生制度の果たしてきた意義をふまえ、地公法第42条に基づく使用者責任を果たしつつ、労使で十分な意見交換を行いながら「安心して働き続けることのできる制度の確立」「組合員の働き甲斐」につながる福利厚生制度の確立・充実に向け、福利厚生協議会等での協議を進めるなど、早期に改善をはかること。

(6) 病気休暇・休職制度の運用改善をはかること。また、現行の休暇制度・職免制度の改悪を行わず、災害時など緊急時における特別休暇、不妊治療における特別休暇、有給教育休暇など休暇制度の新設・改善をはかること。

(7) 「育児のための短時間勤務制度」をはじめとした職業生活と家庭生活の両立支援策について、職場実態に応じた効果的な運用がはかられるよう努めるとともに、女性の活躍推進の観点をふまえ、育児・介護休暇の男性取得促進に向けた勤務環境の整備・充実に努めること。さらに、子育て、看護、介護等の休暇制度については、政策的な見地から充実をはかること。とりわけ、育児職免については継続して実施すること。これらの休暇・休業等の取得による不利益を生じさせないこと。

(8) 雇用と年金の接続に関しては、年金支給開始年齢の引き上げと連動したものとし、大阪市においても総務省通知に基づき、再任用制度を基本としていることから、給与水準についても生活実態を踏まえた検証と処遇改善を行い、希望者全員の雇用を確保すること。また、定年退職後の生活設計が安心できるような高齢者雇用施策については、業務実態を十分ふまえた高齢者雇用制度となるよう検討すること。また、定年延長にあたっては、職務給の原則のもと、給与水準を確保するとともに、役職定年などの制度設計にあたっては現場実態を踏まえ、労働組合との協議を行うこと。

(9) 臨時・非常勤職員及び任期付職員をはじめとする非正規職員の勤務・労働条件の改善をはかること。会計年度任用職員の賃金水準の決定にあたっては、労働組合との十分な協議を行うこと。任期付職員制度の運用にあたっては、職の流動化や人件費抑制を行わないこと。

(10)時間外労働の上限規制について、労働基準法および人事院規則が定める原則(1月45時間・1年360時間)を上限として、条例・規則化を行うこと。

(11)年次有給休暇付与義務について、労働基準法および人事院通知を最低基準として、5日間以上の年次有給休暇の取得について義務化するとともに勤務環境の整備を行うこと。

7.職員のモチベーション維持・向上について

 2014確定において「将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討は不可欠である」とする人事委員会の言及を、市側としても検討するとしたことから、職員のモチベーション維持・向上は喫緊の課題であり、早急に研究・検討を行うべきである。

 労使で、具体的に人事・給与制度全般にわたり、日常的に研究・検討するための場を設置するなど、必要な交渉・協議を行うこと。

8.最低賃金について

 全国一律最低賃金制度確立のため、国に強く働きかけること。また、大阪市に働く者の最低賃金を月額166,700円(日額8,335円)以上とするとともに、労働条件(一時金・休暇等)についても改善すること。

9.賃金改定の実施ならびに支払いについて

(1) 賃金改定の実施日については、2019年4月1日とすること。

(2) 賃金改定の支払いについては、決定後すみやかに行うこと。

(3) 外郭団体への派遣等職員について、賃金改定に必要となる財源的措置を行うなど、本市職員同様の改定を確実に実施すること。

以 上

 申し入れについては以上である。

 その上で、申し入れにあたって市労連としての考えを申し上げる。

 2019年春闘においては、「経済の自律的成長」と「社会の持続性」を実現するため、継続した所得の向上と将来不安の払拭による消費の拡大が欠かせない。加えて、あらゆる格差の是正を進めるためには、一人ひとりの労働の価値が重視され、その価値に見合った処遇が担保される社会の実現が必要不可欠と認識している。

 市労連としては、例年、総合的な人事・給与制度の構築をはじめ、さまざまな諸課題の解決に向けた交渉を行っているが、組合員の賃金・勤務労働条件に関する課題については、確定交渉のみならず、通年的に交渉・協議を行い、解決をはかっていくべきであると認識している。市側には、本日の申し入れ以降、速やかに交渉・協議に応じるよう要請しておく。

 技能労務職給料表については、この間、大幅な水準引き下げに向けたさまざまな動きが行われ、市側が一方的に提案している「技能労務職給料表の見直しについて」であるが、2月8日の団体交渉で市側は、次年度に行う調査結果を踏まえ、改めて提案を行うことを明らかにしてきた。組合員の賃金を見直すということは、極めて大きな課題であり、これ以上、技能労務職給料表の改悪を行わないよう強く求めておく。

 会計年度任用職員制度の導入については、大綱判断を行っているが、今回の制度改正を機とした指定管理者制度の導入や委託化などは、法改正の趣旨にそぐわないものであり、市側にとって都合の良い、一方的な対応があってはならない。また、対象となる職種や業務について、本来、正規職員が行うべき業務は、正規職員を配置するよう求めておく。

 昨年は、大阪市内においても大規模自然災害が直撃した。市労連として、2018年賃金・確定交渉における課題でも求めてきたが、災害時など緊急時における交通費の自己負担の解消に向けた対応をはかることや、災害時における特別休暇についても新設を求める。

 次に職業生活と家庭生活の両立支援策についてである。

 これまでも市労連として求めてきた内容であるが、育児・介護休暇の制度運用については、職場実態に応じた効果的な運用と女性の活躍推進の観点から、大阪市として、男性の取得促進に向けた、勤務環境の整備・充実をはかるべきと認識するところである。子育てや介護については、今日、社会的にも強く求められているものであり、それらの休暇制度の充実・改善をはかることはもとより、育児職免については継続して実施することを求めておく。

 さらに、不妊治療にかかる特別休暇などについても、雇用主としての責務として、休暇制度の充実・改善をはかるなど、早急な対応をはかるよう改めて求めておく。

 最後に、本日申し入れた「市労連2019年統一賃金要求」は、引き続き組合員が大阪市の公共サービスを担う上で重要な要求であり、使用者である市側の責務において、組合員の置かれた状況を十分踏まえて真剣に対処されることを強く求めておく。

市側 ただ今、多岐にわたる要求をお受けしたところであるが、まず、技能労務職給料表について、現段階での認識を申し上げる。

 平成31年度に技能労務職相当職種民間給与調査を実施し、直近の社会経済状況を反映した調査結果を踏まえて、改めて提案をさせていただくこととしているが、職員の給与は、民間の同種又は類似の業務の従事者との均衡をはかるという方針に変わりはなく、この民間準拠の方針についてはご理解いただきたいと考えているので、引き続きの協議をよろしくお願いする。

 災害時における特別休暇の新設等及び職業生活と家庭生活の両立支援策にかかる休暇制度については、今後も国や他都市、民間状況の動向を踏まえるとともに、職場の利用状況を把握するなど、適正な職員の勤務労働条件の確保に努めてまいりたい。

 その他の要求項目についても、制度の透明性を確保し、市民に対する説明責任を果たす観点から、今後、慎重に検討するとともに、大阪市労使関係に関する条例に基づき、適正かつ健全な労使関係の確保に努め、十分な協議のもと交渉を進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。

組合 ただ今、市側から、われわれの要求に対して考え方が示された。

 組合員の賃金、勤務条件・職場環境の改善は、労使の自主的・主体的な交渉と合意により決定されるものであり、この間の労使交渉・協議において確認してきた経緯を踏まえ、誠意と責任ある市側の対応はもとより、交渉は労使対等が原則であり、市側の一方的な思いだけでは合意はありえない。引き続き、労使対等の原則に則り、市労連及び傘下の各単組との健全な労使関係の構築に努めるよう要請しておく。

以 上


 

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