更新日:2018年9月19日
「チェックオフ廃止事件」
大阪市は、労働委員会が行った「チェックオフ廃止事件」にかかわる救済命令の取消請求について、8月30日に東京高裁が行った「控訴棄却」の判決を不服とし、9月13日、最高裁に上告した。
東京地裁・高裁での訴訟に引き続き、大阪市が法廷の場でわれわれに行った不当労働行為を争うことは、公費をもって国を相手取り争うという前代未聞の事態が引き続くことになり、また、不当労働行為を争うことに留まらず、労働界全体に与える影響が危惧される。
市労連は市側に対し、一日も早く健全な労使関係を構築するよう求めるとともに、今回の大阪市の上告に対し、市労連見解を発出した。
大阪市「チェックオフ廃止事件」東京高裁行政訴訟にかかる
最高裁への上告に対する見解
「チェックオフ廃止事件」について大阪市は、東京高裁(以下、高裁)が8月30日に行った「控訴棄却」の判決を不服として、9月13日、最高裁に上告した。これは、東京地裁(以下、地裁)に対して、市側の不当労働行為を認めた労働委員会救済命令取消請求を地裁が「請求を棄却」としたことにより高裁へ控訴をしたものの、高裁においても「控訴を棄却」とされた判決に対してのものである。
これにより、地方自治体が不当労働行為を認めず、公費をもって国を相手取り争うという前代未聞の事態が引き続くこととなる。この間の控訴や上告は、大阪市がわれわれに行った不当労働行為を争うことに留まらず、労働界全体、強いては政労使の関係にまで及ぼす影響も危惧される。そうした、事の重大性からも上告の是非については、慎重に判断すべきではなかったかと考えるところである。
労働委員会が行った本件命令では、チェックオフ廃止は不当労働行為と認定されており、かつ命令はすぐさま履行すべき行政処分であり、訴訟中であっても履行の義務を伴うものである。行政機関である大阪市が行政処分に従わない事自体、許されるものではない。
法廷での争いを続けるという市側の姿勢は、この間市労連が求めている健全な労使関係の構築には程遠いと言わざるを得ない。
高裁は判決において、使用者が一旦開始したチェックオフを廃止するには、労働組合に対して「廃止による不利益を与えてもなお廃止せざるを得ないという相当な理由があることが必要」としており、今回の場合は「不利益を与えてもなお廃止せざるを得ない理由があるものとは解されない」と判断し、市側の不当労働行為を認定している。こうした今回の高裁の判断は、地裁の不当労働行為に認定判決を踏まえた上で、よりわれわれの主張を認めた補正を行っており、われわれにとって前進した内容の判決といえる。
これまでの労働委員会命令や裁判所の判決において、そのすべてで市側の不当労働行為が認定されており、市側のすべき事は裁判で争うことではなく、一日も早く健全な労使関係を構築することである。チェックオフは労働組合として組織運営上、極めて重要なことであり、一日も早くその再開を求めるものである。市労連は改めて市側に対し、無用な争いに終止符を打ち、まっとうな労使関係の構築に努力することを強く求める。
2018年9月18日
大阪市労働組合連合会
大阪市従業員労働組合
大阪市水道労働組合
大阪市学校職員労働組合
大阪市学校給食調理員労働組合