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更新日:2017年3月22日

大都市協が人事主管者会議に、2017年賃金引き上げ・労働条件改善を申し入れ

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は、3月17日(金)に東京都で大都市協ブロック会議を開催し「2017年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求」などについて協議した。

 その後、当地で開催中の大都市人事主管者会議に対して、以下の申し入れを行った。

2017年3月17日

大都市人事主管者会議 様

大都市労連連絡協議会

2017年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書

 大都市自治体に働く職員の賃金・労働条件の改善に努力されている貴職に敬意を表します。

 2016年地方賃金をめぐっては、人事院の3年連続となる月例給及び一時金の引き上げ勧告に続き、各人事委員会からは給与を改善する勧告がされ、総じて給与の改善を行うことができました。一方、政府は地方自治体及び人事委員会に助言と称する指導、圧力、不当介入を強め、持ち家に係る住居手当の廃止、給与制度の総合的見直し、配偶者に係る扶養手当の見直しなどにより、自治体職員の給与制度は改悪の一途をたどっています。また、職員の減少と求められる行政サービスの増加の相反する状況において、超過勤務の削減がさらに求められ、業務の遂行は困難を極めています。

 このような現状においても、職員は住民サービスを低下させることなく、責任をもって業務に従事しています。

 貴職におかれましては、職員が不安なく業務に専念できますよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善に向けた要求を受け止めていただき、その実現にご尽力されますよう次のとおり申し入れます。

1.賃金の改善について

(1) 賃金水準の引き上げ

  1. 2017年の給与改定にあたっては、「地方公共団体の行政改革」、「給与・手当の適正化」等を理由に行われる不当な国の指導を排除し、大都市自治体に働く職員の生活を維持・向上できる賃金水準に改善すること。
  2. 教育職関係給料表については、これまでの水準・体系を堅持すること。
  3. 「地域手当」については、本給繰入れを基本に改善すること。

(2) 賃金決定基準の改善

  1. 初任給決定基準ならびに中途採用者の賃金改善を行うこと。
  2. 昇格基準の改善をはかること。
  3. 病休者・育休者などの昇給抑制等に対する復元措置の改善をはかること。
  4. 新たな人事評価制度の検討にあたっては、十分に労使協議を行い、合意なき導入は行わないこと。また、勤務条件等、処遇への活用を行わないこと。

(3) 諸手当の改善

  1. 扶養手当については、支給額を引き上げ、扶養認定及び扶養認定限度額など支給基準の改善をはかること。
  2. 住居手当については、国と異なる実態を踏まえ、制度の抜本的改善と支給額の引上げをはかること。
  3. 通勤手当については、実費全額支給とし、引き続き、交通用具利用者に対する手当を改善すること。あわせて全額非課税とすること。
  4. 交替制・変則勤務者に対する手当等を充実すること。具体的には、夜勤手当を100分の50、超過勤務手当を100分の150(深夜勤100分の200)、休日給を100分の200に改善すること。
  5. 1か月45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率を引き上げること。なお、超過勤務手当を全額支給すること。
  6. 一時金については、年間支給月数を5か月以上とすること。あわせて成績率の導入や拡大を行わず、加算措置の改善をはかること。また、支給にあたっては、基準日主義を止めて、勤務実績に基づく支給とすること。
  7. 退職手当制度の改悪は行わないこと。

(4) 関連労働者の賃金改善について

  1. 全国全産業一律最低賃金の制度化に努め、地域別最低賃金の大幅引き上げなど、具体的取組みを行うこと。
  2. 公共サービス基本法の制定を踏まえ、業務等委託先企業に対する適正な賃金の支払いをはじめ公正労働基準の遵守の義務付けなど、公契約条例の制定に取り組むこと。あわせて公契約における適正な労働条件を義務付けるILO94号条約を批准するよう政府関係機関に働きかけること。
  3. 大都市自治体に雇用される労働者の最低賃金を行政職(一)表、高卒初任給並みに引き上げること。非常勤、臨時職員などについて、賃金・労働条件の抜本的改善を行い、常勤職員との「均等待遇」をはかること。

2.労働時間の短縮について

(1) 全ての職場で完全週休2日制を実施すること。そのために必要な予算・人員増を含め諸条件の整備を行うこと。勤務時間については、1週37時間30分、1日7時間30分、休憩時間を1時間とすること。

(2) 実効ある超過勤務縮減に向けた具体策を確立すること。

(3) 夏季休暇増をはじめリフレッシュ休暇などの休暇制度の新設・改善や、自己啓発、自己実現や社会貢献を促進するための休業制度の新設を含め、総合的休業制度を確立すること。

3.職員の福利厚生について、雇用主責任を果たすために、福利厚生事業の充実・改善をはかること。

4.労働基本権の確立について

(1) ILO結社の自由委員会第329次、第331次報告・勧告を全面的に受け入れ、公務員労働者に労働基本権を完全に保障するとともに、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を確立するよう政府関係機関に働きかけること。

(2) 労働運動を理由とする行政処分を一切行わないこと。

(3) 労働運動を理由とした過去の一切の行政処分を撤回し、損害の回復措置を講ずること。

(4) 在籍専従制限を廃止すること。

5.年金制度・医療制度などの社会保障制度の充実に向けて、政府関係機関に必要な働きかけを行うこと。

6.高齢期の雇用問題について

(1) 雇用と年金の接続の観点から、定年延長も含めた高齢者雇用制度を確立すること。

(2) 高齢者雇用制度の確立にあたっては、国と異なる大都市自治体の実態を踏まえ、人事給与制度の改悪を行わず、生活水準の維持・確保を基本に、労働組合と十分な協議と合意に基づくこと。

(3) 賃金のみで生活を支え得る賃金水準を確保すること。

(4) 再任用制度等で対応する場合には、希望する者の全員雇用を保障すること。

7.共同参画社会の実現、女性労働者の労働基本権確立について

(1) 男女共同参画促進の実現に向けて、「次世代育成支援対策推進法」に基づく「特定事業主行動計画」については、労働組合と協議の上で実効あるものとし、男女がともに家庭的責任を担いつつ、職業生活と家庭生活を両立できる環境整備など、具体的な支援措置を充実すること。

(2) 公務における男女平等実現のため、昇任・昇格基準、運用などを抜本的に改善し、女性を積極的に任用することや間接差別の禁止など、その実効性を高めること。

(3) 産前・産後休暇の延長や妊娠症状対応休暇の充実など、諸休暇制度を改善するとともに、職場環境の整備を進めること。

(4) 職業生活と家庭生活の両立支援のため、子どもの看護休暇、介護休暇、育児休業、育児部分休業、育児時間等を改善し、昇給・昇格などの欠格条件としないこと。また、育児休業の男性取得を促進すること。

(5) セクシャル・ハラスメント及びパワー・ハラスメントの実態を把握し、実効性のある防止対策を確立すること。

8.安全衛生対策を厳格に確立し、メンタルヘルス対策をはじめ、総合的な対策を労使協議で確立すること。

9.行政サービスの水準を低下させることのないよう、業務の安易な民営化や民間委託を行わないこと。「市場化テスト」を強要することなく、地方独立行政法人、指定管理者制度については、労働組合と十分な協議を行うこと。

10.自治体財政危機を理由とした、賃金・労働条件の引き下げや行政サービスの低下に転嫁しないこと。また、地方分権にふさわしい税源移譲、必要な地方交付税の確保を求め、自治体財源の確立のため国等に働きかけること。

以上

人事主管者会議 本日の要請は、慣例により、大都市人事主管者会議を代表して東京都がお受けする。

 ただ今、大都市労連連絡協議会の「2017年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求」を承わった。要求書及び発言の内容については、早速、私どもから各都市にお伝えする。

 わが国の経済は緩やかな回復基調が続いているものの、海外の政治・金融市場をめぐる先行き不透明な情勢など、企業の経営環境は楽観視できる状況とは言えない。

 こうした中、今春闘において企業側は、経済の好循環を力強く回すという社会的要請を重視し、年収ベースの賃金引き上げは継続していく必要があるとしながらも、ベースアップには慎重な姿勢を示している。

 また、現在直面している少子高齢化や産業構造の転換といった問題に対して、将来にわたって我が国の成長力を確保していくため、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の拡大など、社会全体で働き方改革が本格化している。国においては、働き方改革を一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジと位置付けており、今月にも実行計画が取りまとめられる予定となっている。

 このような情勢を踏まえ、給与をはじめとする地方公務員の勤務条件については、公務運営を取り巻く諸状況を考慮した上で適切に対応し、住民の理解と納得を得ていくことが不可欠である。

 いずれにしても、皆さんから頂いた要求の内容については、各都市事情もあるので、それぞれの都市ごとに、今後よく検討させていただきたいと考えている。

以 上

 

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