更新日:2015年3月25日
「事務所団交拒否事件」
中央労働委員会は、3月24日「事務所団交拒否事件」について、再審査の申し立てを棄却した。
本件は大阪市が2013年9月、大阪府労働委員会が不当労働行為であると救済命令を交付したことを不服とし、同10月に中央労働委員会に対し再審査の申し立てを行っていたものである。この命令により大阪府労働委員会と同様、大阪市の不当労働行為が認定されたこととなった。
中央労働委員会が大阪市の再審査申し立てを棄却する命令を交付したことを受け、自治労・市労連弁護団として見解を発表した。
見解で市労連は、中央労働委員会が、大阪府労働委員会と同様に市の不当労働行為であることを明確に認め、再審査申し立てを棄却したことからも、市労連は大阪市に対して命令内容を直ちに履行するとともに、引き続き、健全な労使関係の構築に向けた努力を要請してきた。
2015. 3. 24
事務所団交拒否事件に係る中労委命令について
大阪市労働組合連合会
自治労大阪府本部
自治労・市労連弁護団
2015年3月24日、中央労働委員会は、平成25年(不再)第74号大阪市(組合事務所団交)不当労働行為事件につき、再審査命令を交付しました。大阪府労委と同じく、大阪市の団交拒否を不当労働行為であると明確に認定したものであり、組合の全面勝利であります。
主文の要旨は次のとおりです。
1 再審査申立人(大阪市)は、再審査被申立人大阪市労働組合連合会が平成24年2月13日付けで、同大阪市従業員労働組合が同月23日付けで、同大阪市学校職員労働組合及び同大阪市立学校職員組合が同日付けで、同大阪市学校給食調理員労働組合が同日付でそれぞれ申し入れた団体交渉につき、交渉事項を確認することなく拒否してはならない。
2 ポストノーティス(誓約文書の手交)
自治労大阪府本部、大阪市労連、市労連弁護団の見解
中央労働委員会は、大阪府労委に続き、団体交渉応諾とポストノーティス(誓約文の交付)を命じ、労働組合を全面的に救済しました。
市労連、市従、学職労、学職組、学給労など労働組合が組合事務所退去通告に対し団体交渉を申し入れたのに対し、大阪市は、「管理運営事項」にあたるとして拒否しました。大阪市は全く団体交渉を行わないまま、組合事務所を退去させたのであります。
地公労法7条は、管理運営事項を団体交渉事項から除外していますが、何が管理運営事項にあたるかは抽象的であり必ずしも明確ではありません。大阪市は本件団体交渉申入れにつき管理運営事項を対象とすると主張しました。
公務員も憲法28条の保障を受ける「勤労者」であることは最高裁判例も承認しているところであり、地公労法は、憲法28条を受け、労働組合の団結権、団体交渉権を保障しています。
労働組合事務所の退去問題は労使関係の基本にかかわる事項です。「管理運営事項」の範囲を無限定に拡大し、これが団体交渉の対象とならないという大阪市の対応が不当労働行為にあたることは明白です。
組合事務所不許可取消に関する大阪地裁判決も、「明渡し期限の相当期間前に、労働組合等と団体交渉を行い、従前の取扱いを変更する理由について具体的に説明するとともに、明け渡し時期も含む労働組合等の受ける不利益の軽減処置について誠実に交渉を行ってしかるべきである」【判決】36頁1~4行目)と指摘しているところです。
およそ考えられない理由による本件の団体交渉拒否は一連の組合に対する攻撃に基づくものであることは明らかです。
また、本件救済申立に関し、大阪市は市労連、学職組はいずれも混合組合であるという理由で労働委員会に対する申立て適格を争いましたが、中労委は府労委と同様これを退けました。
本件団体交渉拒否が不当労働行為であることが中労委においても決定された意義は大きいものです。
大阪市は、本命令に従い、直ちに労働組合との団体交渉に誠実に応じ、労使関係の正常化を図るべきであります。
本事件の概要
(1) 大阪府労委申立日 2012年4月6日
(2) 大阪府労委救済命令交付日 2013年9月26日
申 立 人 大阪市労働組合連合会(執行委員長 上谷高正)、大阪市従業員労働組合(執行委員長 上谷高正)、大阪市学校職員労働組合(執行委員長 場口博文)、大阪市立学校職員組合(執行委員長 場口博文)、大阪市学校給食調理員労働組合(執行委員長 寺西由記江)
被申立人 大阪市(橋下徹市長)
(3) 請求する救済の内容
(4) 請求の根拠
大阪市(橋下徹市長)は、上記各団体交渉申し入れについて、管理運営事項であると主張して団体交渉を拒否する旨書面で回答し、応じなかった。
これは労働組合法7条2号の不当労働行為に該当する。
(5) 主要な争点