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更新日:2012年4月9日

「第三者調査チーム」による最終報告に対する市労連見解を取りまとめる。
市側の不当労働行為を許さず、引き続き、健全な労使関係の構築を求める。

 野村特別顧問による「第三者調査チーム」が、4月2日に市長に対して「大阪市政における違法行為等に関する調査報告」を提出した。その内容は、大阪市で起こった違法行為などの背景に「労使癒着の構造」が存在していたと結論づけ、事実誤認と憶測による記述も多く、意図的に組織の弱体化を企図し、組織内に混乱をもたらす内容と判断せざるを得ない。市労連として引き続き調査、分析を行うとともに、健全な労使関係の構築を市側に求めることとする。

「大阪市政における違法行為等に関する調査報告」
に対する市労連見解

 2012年4月2日、野村修也特別顧問を代表とする「第三者調査チーム」から「大阪市政における違法行為等に関する調査報告」(以下、「報告書」)が橋下市長に対して提出された。

 「報告書」は、過去の様々な実例を挙げながら当時の資料を添付して公表、関元市長時代から平松前市長時代に生起した事象を列記した上で、関改革の後も「労使癒着」の解消は不徹底であった等とし、大阪市政をめぐる違法行為等の背景には、「労使癒着の構造がある」と結論付けている。さらに、関改革によっても「労使癒着の構造」が完全に払拭できなかったことが問題、「労使癒着の構造」をもたらしている元凶は、管理職職員の管理能力の乏しさに起因して生じた「労働組合による人事介入」であると断定し、関改革を一定評価しつつ「平松市長が組合の支援によって当選したこともあり改革は進まなくなった」と評している。

 さらに、「労組が人事に介入している」ことを前提に「組合が人事権を掌握しているように振る舞う機会を得ることとなり、ここに抑圧の構造が生まれる」と分析、加えて、労組の高い組織率の一因には「辞めるに辞められないといったプレッシャーを感じている者もいる」と記述しているが、労組への事実確認もないまま、内部告発や管理職への調査のみで結論付けており、明らかに労組への誹謗中傷にあたる。

 また、管理職側の組合への依存体質が、「ヤミ便宜供与、ヤミ専従の温床」「職場規律の緩みを生み出し、様々な不祥事を引き起こす原因」とし、管理職の職場管理能力に起因する問題を、組合への依存体質が原因であると関連付けているが、その因果関係が具体的に証明されたのか疑問に思わざるを得ない。

 その上で、助役出身の関元市長と民間出身の平松前市長を対比し、改革を進めたのが関元市長で、その改革を止めたのが平松前市長と位置付け、労組が支援した候補者だから「労使癒着」を温存したかのごとく印象を与え、前市長時代に進めた労使関係や市政改革の実績を正しく評価していない。

 特に、「第三者調査チーム」が実施した職員アンケートについて、過去の実例を挙げて「アンケートに答える必要がないだろうと考える職員が多い」からと、市長が業務命令を発したことの理由づけを行い、府労働委員会が実効確保の措置申し立てにかかる勧告を行った事実には一切触れずに、不当な調査を実施したことを認めず、アンケートを実施したことを正当化しようとする姿勢は断じて許しがたい。

 市労連はこの間、市政改革に関する様々な課題に対し、組合員にとって厳しい内容であっても改革すべきは改革する立場で臨み、組合員の勤務労働条件の改善、維持向上に取り組んできたところであり、各単組、各支部における地道な活動の積み重ねを通じて組合員からの信頼を得、厳しい状況下でも高い組織率を保ち続けてきた。にもかかわらず、あたかも構造的に労組が人事に介入し、これを労組が利用して職員・組合員への抑圧構造を作り出すことで、組織を維持しているかのような記述は、組合員のみならず市民にもあらぬ誤解を与えるものと言わざるを得ず、真実を歪曲し、憶測で労組の組織実態を評価する行為は決して認めるわけにはいかない。

 また、労働組合自らが、組織的な確認の下で活動したにもかかわらず、昨年の市長選挙が労使癒着の構造下で取り組んだものと断定した上で、管理職職員や地域団体まで巻き込んだ仕組みに、労働組合が組み込まれているような記述自体に、恣意的かつ意図的なものを感じざるを得ない。連合大阪に結集し、各単組の判断で取り組んだもので、結果的に同一候補者を応援しただけであり、全くの事実誤認である。

 一方で、政治活動については、労働組合に認められた適法な活動として行ったものであるが、一部に不適切な事象があった事は否めず、その点は真摯に反省しつつ再発しないよう各単組は自らを律し、正すべきは正す姿勢で今後とも取り組まなければならない。

 総じて、この「報告書」は、独自の調査で判明した一部の事例を全体化し、過去に生起した不適正な事象と結びつけつつ不健全な労使関係が構造的に存在していたと決め付け、昨年の市長選挙と関連付けながら、市役所組織全体が違法、不適正な政治活動を行っていたと取りまとめている。

 「報告書」の最後の提言には、「労働条件の交渉という原点に立ち返ることによって、健全な労使関係を構築することを期待する」とあるが、この「報告書」を提出する時点において、組合敵視による不当労働行為が連続しているにも関わらず、労使関係を一方的に破壊しようとしている市側対応を指摘すらしていない。

 「労働条件の交渉という原点に立ち返り」との表現は、明らかに管理運営事項に労組が口出し、介入しているとの認識に立っているが、現行の「職員団体及び労働組合との交渉に関するガイドライン」は、市側が自ら作成したものであり、たとえ管理運営事項であっても勤務労働条件に影響する事項は意見交換ができるとされたものである。仮に、行きすぎた行為が労組側にあるとすれば改めなければならないにしても、これまでの関係全てが不健全であったかのように、すでに労組との関わりを一切断ち切ろうとする事象がほぼ全所属において発生しており、異常とも言える状況に陥っていることは看過できない。

 健全な労使関係は、対立構造を作り出せば達成できるわけではなく、労組へのあらゆる便宜供与を一方的に廃止しようとする対応を見る限り、市側が健全な労使関係を望んでいるとは到底思えず、このままでは正常な交渉ができる状況にない。今大阪市における労使関係を不健全にしている要因は当局側にあり、まずそのことの是正をはかるべきである。

 とりわけ第三者調査チームが行った違法なアンケート調査が、組合員及び労組に与えた影響は計り知れず、今後の組織運営に深刻な事態を招かないか懸念されることから、総力をあげて組織防衛に取り組まなければならない。

 市労連は、今般出された報告書に記載された内容について、引き続き各単組での調査、分析を行うとともに、当局による一方的な不当労働行為には毅然とした態度で臨み、健全な労使関係の構築を市側に求めることとする。

以 上
大阪市労働組合連合会

 

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