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更新日:2011年10月17日

2011年大阪市人事委員会報告・勧告

【市人事委員会】
公民較差 ▲0.44%(▲1,882円)、一時金 改定なし
【市労連】
給料月額の減額措置に対する対応は極めて不十分
一時金勤勉手当基礎額への扶養手当算入廃止に言及したことは、認めることはできない

 大阪市人事委員会は、10月13日(木)午前10時から市長、続いて市会議長に対して、2011年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。

 また、市労連に対し、午前11時10分から「報告・勧告」についての説明があった。

 市労連は、とりわけ給料月額の減額措置に対して中止勧告を行わなかった人事委員会の姿勢とその対応を批判しつつ、労働基本権制約の代償措置として与えられた役割と責務を果たすよう求めた。

 さらに、昨年に引き続いて一時金勤勉手当にかかる算定基礎額への扶養手当算入廃止に言及したことについて、市労連として決して認められないと抗議の意思を明らかにした。

 その上で、賃金・労働条件の決定はあくまでも労使の主体的な交渉による合意が基本との立場を踏まえ、本年の較差にかかわって市側と交渉を行うことを表明した。

人事委員会委員長  これまで検討してまいった結果、とりまとめることができた「職員の給与に関する報告及び勧告」を、本日、市長及び議長に対して行ったところである。

 「報告・勧告」の内容については、局長からご説明申し上げる。

監査・人事制度事務総括局長 まず、本年の民間給与実態調査では、比較対象事業所規模を50人以上として調査を行ったところ、ベースアップを実施した事業所の割合が減少するなど、全国以上に厳しい状況が見られたところである。

 本年の給与改定についてであるが、月例給については、職員と民間従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行った。職員給与については、本年4月より給料及び管理職手当の減額措置が実施されており、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は426,133円であり、給与減額措置実施後の行政職給料表適用者の平均給与月額は412,742円となる。一方、民間給与は424,251円となり、その差は、給与減額措置がないものとした場合には▲1,882円、率にすると▲0.44%となり、給与減額措置実施後は11,509円、率にすると2.79%となる。職員と民間の給与を均衡させるためには、本来支払われるべき職員給与である、給与減額措置がないものとした場合の職員給与との較差に基づき、月例給の改定を行うことが適当であると判断したところである。

 また、特別給については、民間の支給割合は3.96月分となっている。ただし、勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しているので、小数点第2位を2捨3入・7捨8入した3.95月分となり、本市職員の期末・勤勉手当の支給月数3.95月分と均衡している。

 この公民較差の解消方法として、月例給の引き下げ改定が必要となり、職務給の原則のさらなる徹底など本市給与制度上の課題等を考慮しながら、改定する必要がある旨、勧告を行った。

 月例給については、給料表の引き下げ改定が必要であるが、本市では国及び他都市と比べ、年功的な給与上昇の抑制が不十分であることから、給料表の改定にあたっては、昇給カーブのフラット化をはかり、年功的な給与上昇をより抑制した給料表構造への転換を推進していく必要がある。そのための、昇給カーブのフラット化の方法について、具体的に言及した。また、行政職給料表以外の給料表の改定にあたっては、行政職給料表との均衡を基本とするが、医療職給料表(1)については、医師の処遇確保の観点から改定の必要のない旨を言及した。

 実施時期等については、改正条例の公布日の属する月の翌月から実施することとした。なお、平成23年4月からの年間公民給与を均衡させるため、医療職給料表(1)適用の職員及び給与減額措置が実施されている職員を除き、平成23年12月期の期末手当において、所要の調整措置を講じる必要がある旨を言及した。

 勧告に基づく職員給与の試算については、今回の勧告が実施された場合、行政職の平均年収は29,840円の減少となり、その場合の影響額は約3億7千万円のマイナスとなる。また、仮に給与について大阪府に準じるとされている教育職員を除く全職員に同様の改定が実施されたとした場合の影響額は約9億9千万円のマイナスとなる。

 次に、意見として、高齢期における職員の活用を推進していくための取り組みについて言及している。

 まず、本市における高齢期職員の雇用確保策に係る基本的な考え方として、国家公務員の定年の動向を踏まえつつ、市民の理解を得られる、本市組織にふさわしい雇用確保措置となるよう検討を進める必要性がある旨を言及している。

 また、人事制度の見直しとして、職員の士気を確保し、組織活力を維持していく観点から、採用・昇任管理、60歳以降の多様な働き方や職域の開発、役職定年制などの課題について検討していく必要があることなどを言及している。

 給与制度の見直しとしては、60歳台前半層の給与のあり方について、仮に定年の引き上げを行う場合には、民間の状況に鑑み、年間給与を相当程度引き下げることを検討する必要があることなどを言及している。また、60歳までの給与のあり方については、当面、給料表の昇給カーブのフラット化を更に推進していく必要があることなどを言及している。

 その他、給与構造・制度の改善に向けた課題として、次年度以降も公民較差を勘案しながら、給料表における昇給カーブのフラット化を進めていく必要性について言及している。また、各級の給料水準にメリハリをつけたより職務給の原則に適った給料表構造へ転換していくため、研究検討を進めていく旨を言及している。

 住居手当については、市内民間事業所及び他の政令指定都市の支給状況を鑑みると、持家に係る住居手当を直ちに廃止すべき状況にはないが、住居手当制度全般について検証を進め、今後の制度のあり方を検討していく旨を言及している。

 勤勉手当については、昨年も意見で言及したところであるが、本市係長級以下の職員に支給する勤勉手当の基礎額に扶養手当月額等を算入せず、勤務成績に応じた割増支給率を算出する際の原資とする必要がある旨を再度言及している。

 次に、柔軟性に富んだ、活力ある組織づくりの観点から、戦略的かつ計画的な人材の確保として、的確に市民サービスの提供等を行っていくことができる、優秀かつ多様な人材を積極的に確保し、また、将来あるべき職員構成を踏まえて、継続的かつ計画的に確保していく取り組みが必要であることなどについて言及している。

 人事交流の推進として、任期付採用制度や、民間や他の公務部門との人事交流を今後も積極的に行い、人事交流による成果を組織としてより一層効果的に活用するための取り組みの必要性などについて言及している。

 変革型組織を支える自律型人材の育成として、本市職員それぞれが能力向上に努める姿勢をもつことや、管理職員層の活性化の必要性、女性管理職員の登用に一層取り組むことの必要性などについて言及している。

 時宜に応じた人事評価制度と効果的な結果の活用として、研修を継続実施することや、より目的に適った効果的な評価結果の活用方法の検証の必要性などについて言及している。

 また、誰もがいきいきと働くことができる職場環境整備の観点から、適切な勤務時間管理と超過勤務の縮減として、超過勤務の発生要因に合わせて対策を講じることにより超過勤務縮減の取り組みを一層推進していくことの必要性や、管理職員が先頭に立って縮減への取り組みを進めていくことの重要性などについて言及している。

 両立支援の推進として、職員に対してより一層制度を周知するとともに、職員が希望する制度をできる限り利用できる職場風土を形成することの重要性や、男性職員が制度利用しやすい職場環境づくり、制度利用に向けた啓発等の取り組みが肝要であることなどについて言及している。

 メンタルヘルス対策の推進として、職員がセルフケアに努めるとともに、組織として職場のストレス状況を認識し、的確な対応をとっていくことや、管理職員を対象とした研修をより実践的に実施することが肝要であることなどについて言及している。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要であるので、よろしくお願いしたい。

組合 貴人事委員会におかれては、平素より、私たちの賃金をはじめ労働諸条件等の維持・改善にご尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点か市労連としての考え方を申し上げたい。

 まず、官民の給与比較について、本市職員給与が民間給与を上回り、マイナス0.44%、額にしてマイナス1,882円の較差が生じていること、さらに一時金については、民間の支給割合とおおむね均衡しており、改定なしとしている。

 この内容は、月例給のマイナス較差は国の内容を大きく上回っており、人事院と同様に調査を行ったとされているが、報告で示された民間の給与改定の状況や国人勧の内容からしても容易に納得できるものではない。民間実態を踏まえたものとはいえ、昨年に引き続く月例給の引き下げ勧告は、組合員にとって極めて厳しく、私たちの切実な要求に応えたものとなっていない。

 そして給与減額措置後との比較では、民間に比べて2.79%、額にして11,509円も下回っていることも明らかにされており、むしろ、その点を解消させるための勧告を行うべきである。前回交渉でも指摘したが、組合員はギリギリの生活を余儀なくされており、官民給与の較差解消が本来の役割であるにもかかわらず、勧告制度とは別個で実施されている減額措置の中止勧告を行わず、私たちの要求に応えようとしない貴人事委員会の姿勢は、労働基本権制約の代償機関である人事委員会としての責務を果たしているとは言い難く、極めて不満である。

 給料表の改定に関して、昇給カーブのフラット化を推進して年功的な給与上昇を抑制する姿勢が示され、昨年と同様、各号給の改定率まで具体的に言及されたが、給料表の改定は、まさに労使交渉を積み上げて決着させるべき課題であり、以降の労使交渉を規定づけるような勧告はすべきではないと、今一度、改めて指摘しておく。

 さらに、給与構造・制度の改善に向けた課題として、フラット化の推進以外に各級の給与水準にメリハリをつけたより職務給の原則に適った給料表構造へと転換していくことなど、給料表のあり方の研究について言及されたが、2007年の給与構造改革実施後5年目を迎える中で、給与構造改革の全体について、人事評価制度や3級昇格問題、評価結果の給与反映、昇格時の制度上の均衡問題など、制度変更以降多くの問題が生じており、給与構造改革全体の検証が必要と、これまでも幾度となく申し上げてきたが、なんら解決されることなく放置されていることについて、問題があると認識している。

 いずれにせよ、給料表の改定はあくまで比較給与内における原資配分の問題であり、労使交渉事項に介入する内容の勧告は認められないことを申し上げておく。

 また、勤勉手当に関して、一時金勤勉手当基礎額への扶養手当算入問題に関して、昨年に引き続き言及されたが、言うまでもなく人事評価結果の反映方法やその配分原資も含めて労使協議事項であり、同時に、労使間で継続協議課題として確認している内容にまで人事委員会が踏み込むこと自体、明らかに行き過ぎた勧告と言わざるを得ない。

 次に、高齢期職員の雇用確保策について、基本的な考え方について言及されたが、前回の交渉でも述べたが、言うまでもなく雇用と年金の接続は官民共通の避けて通れない重要な課題であり、今後、市側との間で具体協議を進めていくこととなるが、60歳以降も安心して働き続けることができる雇用環境の整備に向け、引き続き、貴人事委員会としても努力されるよう求めておきたい。

 また、「戦略的かつ計画的な人材の確保として、優秀かつ多様な人材を積極的に確保し、継続的かつ計画的に確保していく取り組みが必要」などと職員採用に関して言及された。

 市労連は、これまでも行政組織としての継続性や技術力の継承など、将来の大阪市政を担う人材の確保や人材育成に向けた計画的な施策推進が求められているとして、貴人事委員会に対して積極的な姿勢を示すよう求めてきたが、昨年と比べて、踏み込んだ点は評価できる内容と認識している。

 市労連として、貴人事委員会からの指摘を踏まえた具体対応策を示すよう市側に求めていくこととしたい。

 以上、貴人事委員会から言及されている個別課題に対して市労連の考え方なども含めて問題指摘した。再度、私たちの指摘事項も含めて説明いただきたい。

人事委員会委員長 本年の勧告は、公民給与を均衡させるため、昨年に続き月例給の引き下げという厳しいものとなっているが、公民較差については、毎年、人事院等と共同で実施している職種別民間給与実態調査により民間の給与水準を精確に把握し、職員給与との比較により算出しているものであり、公民給与を均衡させることは、公務員の給与水準について、各方面の理解を得る基礎である。

 一方、給与減額措置実施後の職員に実際に支払われている給与については、民間給与を下回っていることは事実であり、人事委員会としても給与減額措置にかかる条例意見照会に際しては、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものであり、誠に遺憾であるが、本市の極めて厳しい財政状況からとられたやむを得ない特例措置であると理解する旨、意見を付してきたところである。

 また、給料表の昇給カーブのフラット化や勤勉手当の問題等に関する人事委員会の具体的な言及に関してであるが、人事委員会としては、勤務条件条例主義のもと、労使が勤務条件について交渉を行い合意することは、職員の自らの勤務条件に対する納得性を高めるとともに、職員の士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なものと認識している。

 一方で、人事委員会は、職員の労働基本権が制約されている中で、その代償措置として、地方公務員法上、給与や勤務条件のあり方について、適切な勧告を行うべき機能を担っている。また、人事委員会は、中立・第三者機関として、給与報告・勧告に対する市民からの信頼を一層向上させるため、その役割を適切に発揮し、勧告の内容等についてこれまで以上に説明責任を果たすことが求められている。

 これら人事委員会の役割・責務に鑑み、給料表や諸手当等の給与制度について、より適切なものとなるよう、勧告又は意見として言及しているところである。

 本委員会としては、これまでと同様に、市労連の皆様方との連絡を密にしながら、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えており、何卒ご理解を賜るよう、よろしくお願い申し上げる。

組合 私たちの指摘に対して、人事委員会の認識が述べられたが、改めて市労連としての見解を申し上げる。

 まず、給料月額の減額措置に対する対応は、過日の交渉で中止勧告を行うよう求めたにもかかわらず極めて不十分と言わざるを得ない。大阪市の厳しい財政状況は理解するが、人事委員会の中立機関としての独立性を保ち、言うべきことは言うとの姿勢を貫き通すべきであり、「やむを得ない特例措置」との意見を付して追認すること自体問題である。労働基本権制約の代償措置として与えられた役割と責務を果たされるよう、改めて指摘しておく。

 また、給料表への配分方法や勤勉手当など、労使交渉事項の具体内容にまで踏み込んで勧告することは、以降の労使交渉を規定づけるばかりか、多大な影響を及ぼすものであり、市労連として決して認めるわけにはいかないとの立場を明確にしておきたい。この件に関して人事委員会としての役割・責務を唱えるのであれば、先に指摘した給料月額の減額措置に対しても毅然として対処すべきと考える。

 いずれにせよ、本日の人事委員会報告・勧告は、残念ながら組合員の切実な要求に何ら応えられておらず、極めて不満であり納得できるものではないことを重ねて表明せざるを得ない。

 今後、市労連として、市側に対して私たちの賃金改善を求めて主体的な交渉を行うこととするが、貴人事委員会も、私たちの指摘内容を踏まえ、改めてその使命を果たされるよう求めておく。

以 上

 

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