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更新日:2010年9月3日

大阪市人事委員会委員長交渉

【市人事委員会】
月例給及び一時金ともに公務が民間を上回る大変厳しい状況になると予想
行政職3級等の最高号給の切り下げについて再度言及する
勧告日は9月16日予定

【市労連】
賃金・労働条件の決定は、労使が自主的かつ主体的に交渉し合意することが基本
給料月額の減額措置については、毅然とした態度で中止勧告を行うよう求める!

 市労連は、9月2日(木)午後3時から三役・常任合同会議を開催し、8月19日に行った大阪市監査・人事制度事務総括局長への申し入れ以降の人事委員会勧告を巡る状況分析と対応などについて協議し、同日午後5時から、大阪市人事委員会委員長以下と、現在の進捗状況と勧告の見通しについて交渉を行った。

 交渉の中では、市人事委員会から、大阪の経済状況については全国よりも厳しい状況との説明があり、給料表や一時金の引き下げが必要と言及、さらに、給料表の昇給カーブのフラット化や行政職3級等の最高号給切り下げ、加えて、一時金勤勉手当基礎額の配分原資に踏み込んで言及すること等が表明された。

 市労連は、賃金・労働条件の決定は、あくまでも労使が自主的かつ主体的に交渉し合意することが基本であることと、労使協議内容に関わる課題に関して労使交渉への介入となるような報告・勧告は許されないことなどを指摘した。とりわけ、昨年に引き続いて行政職3級等の最高号給切り下げに言及する点について、決して容認できない立場であることを明確にした。

 また、給料月額の減額措置について、人事委員会として本来あるべき立場をふまえて毅然とした態度で中止勧告を行うよう求めた。

 さらに、具体の勧告は9月16日に行う予定であることも表明された。

組合 市労連は、8月10日に人事院勧告が行われたのを受けて、本市給与勧告の集約段階を迎えている貴人事委員会に対して、8月19日に「私たちの要求の主旨を十分受け止め、さらに労使合意事項や労使交渉の経過なども尊重して勧告を取りまとめるよう」要請してきたところである。

 また、大都市協においても、7月22日には大人連の事務局長会議に対して、8月20日には大人連の委員長・事務局長合同会議に対して、それぞれ申し入れを行うなど活発な取り組みが続けられている。

 本日は、人事委員長から、前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通しについて明らかにしていただきたい。

人事委員会 まず、作業の進捗状況であるが、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてまいったところであり、現在は、大詰めの段階を迎えている。

 民間給与の調査を行った時点での日本経済の基調判断としては、景気は着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあるという認識が示されたところである。本市においても、市税収入が昨年に比べ減少する見通しとなっており、毎月勤労統計調査でも全国では事業所の所定内給与が昨年より増加しているのに対し、大阪では昨年より減少している。

 民間給与調査の結果によると、市内において本年1月以降に雇用調整を実施した事業所の割合は全国を上回っている。また、ベースアップを実施した事業所の割合や定期昇給において昇給額が増額となった事業所の割合についても、市内は全国に比べ低水準となっているなど、厳しい状況が見受けられる。

 このように、大阪の経済状況については、全国より厳しい状況が見られたところである。

 公民比較については、平成18年に、人事院と同様に企業規模50人以上の事業所についても対象とするなど、比較方法の見直しを行ったところであり、本年についても、同様に取り扱うこととし、現在、最終的な詰めの作業に取り組んでいるところである。

組合 本年の人事院勧告は、月例給でマイナス0.19%(△757円)、一時金もマイナス0.2月分の改定とされ、昨年に引き続き月例給及び一時金ともに引き下げという極めて厳しい勧告となった。

 本年の官民格差については、2010春闘ではほぼ賃金カーブが維持され、民間賃金は概ね現行水準維持との結果が出ているものの、一方の国家公務員の実態は、昨年の給与改定がマイナスであったにも関わらず、平均年齢・平均給与がともに伸びており、これについて人事院は、(1)天下り規制の強化などで在職期間が長期化し、比較的給与の高い高齢層の割合が増加したこと、(2)比較的若い年齢層が多い社会保険庁が廃止されて大量に比較対象から外れたこと、この2点が国公給与の平均を引き上げたと説明している。すなわち、国家公務員側の事情の変化が影響してマイナス較差が出たとされているが、そもそもラスパイレス比較を行う際に重要なのは、この1年間の公務と民間の賃金の変動がどうだったのかであり、現行水準が維持された今春闘の結果からしても納得し難い内容である。

 いずれにせよ、連年に亘る月例給及び一時金の引き下げ勧告であり、とりわけ一時金について1963年以来の低水準となる大幅な引き下げが行われたことなど、民間実勢や公務の事情を反映したものとはいえ公務員の生活に多大な影響を与えるもので、極めて不満な勧告と言わざるを得ない。

 また、50歳台後半層の職員給与を一律に1.5%引き下げる措置を行うとしたことは、その適用範囲を行(一)6級相当級以上に限定したものの、年齢を理由に引き下げることには変わりがなく、職務給や能力・実績主義という基本原則に反しており、このような措置は到底認められるものではない。人事院が、公務員連絡会との協議において、今回の措置をマイナス較差の解消策、つまり配分の問題と説明しているが、従来の手法ではない新たな提案を行ったにも関わらず不十分な説明に終始し、かつ、配分問題としても十分な交渉と合意もないまま勧告を強行した人事院の姿勢は、この間のルールを逸脱したものとの批判は免れない。8月19日の監査・人事制度事務総括局長交渉でも指摘したが、貴人事委員会として、このような人事院の姿勢に決して追随しないよう繰り返し要請しておく。

 さらに、大阪市独自に行われている給料月額の減額措置についても、現在の私たちの賃金が、昨年の人事委員会勧告の水準以下に抑制されている実態を単に追認するのではなく、むしろ是正するように指導すべきとの私たちの考えを申し上げてきた。1999年以降は、民間賃金の厳しい状況を受けて私たちの賃金はほぼ一貫して下がり続け、尚且つ、昨年からは独自の給料カットによって民間水準を大きく下回る給与実態にあり、組合員はギリギリの生活を余儀なくされている。こうした組合員の生活実態を看過することなく、人事委員会勧告制度の外で実施されている措置に対しては、人事委員会として本来あるべき立場を踏まえ、毅然とした態度で中止勧告を行うよう求めておく。

 言うまでもなく、地方公務員の給与決定は、地公法第24条第3項の主旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業を進め、私たちの要求に応えるよう最大限の努力を求めておきたい。

 その上で、本年の作業の進捗状況について、先ほど貴人事委員会から最終的なツメの段階にきていると言われたが、現時点での較差や一時金の傾向を明らかにされたい。

人事委員会 私ども人事委員会の給与勧告は、大阪市域の賃金水準を反映した市内の民間企業従業員の給与を調査し、これと本市職員の給与とを均衡させることを基本としている。

 本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を引き続き誠実に果たしてまいりたいと考えている。

 較差については、月例給は、厳しい経済状況が反映され、公務が民間を上回る厳しいものとなるのではないかと予想している。賞与等の特別給についても、特に昨年冬について厳しい状況が見受けられ、年間の支給月数としては、公務が民間を上回るのではないかと予想している。

 これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案し、職員給与を民間給与と均衡した水準とするには、月例給及び特別給の引き下げ改定が必要と見込まれる。給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行ってきたところであり、人事委員会の機能発揮・説明責任の観点から、改定内容について具体的に言及する必要があると考えている。

 本年の給与改定については、公民較差に基づく改定として、年功的な給与上昇を抑制するための給料表の昇給カーブのフラット化について具体的に言及することを考えている。なお、本年、人事院が勧告した50歳台後半層の職員の給与抑制措置については、本市では給与減額措置が実施されていることなど、国との相違を勘案しながら、高齢期職員の活用の検討の中であるべき措置等を研究していくことを考えている。また、期末・勤勉手当については、期末・勤勉手当の配分を含めて、民間給与調査の結果に基づき具体的に言及する予定である。

 その他、給与構造・制度の改善に向けた課題として、給料表のフラット化の推進やより職務級の原則に適った給料表構造へ転換していくことなど給料表のあり方の研究について言及することを考えており、また、昨年、本委員会が勧告したが未実施となっている行政職給料表3級等の最高号給の切り下げについても再度言及することを考えている。

 諸手当についても、持家にかかる住居手当について民間の状況等を注視しながら検証を継続していくことや、住居手当制度全般にかかるあり方の検討について言及することを考えており、また、月60時間を超える超過勤務の割増率引き上げにかかり月60時間の超過勤務時間の積算の基礎に日曜日又はこれに相当する日を含むことについて言及することを考えている。さらに、勤勉手当において、係長級以下の職員についても扶養手当及びこれに対する地域手当額を勤勉手当の基礎額に算入するのではなく、勤務成績に応じた割増支給率を算出する際の原資とすることについても言及することを考えている。

 また、時代の要請に応じた活力ある組織づくりに向けて、本市の将来の職員構成に留意し、学歴別構成等変化している人材供給構造に即した採用方針等の検討の必要性、民間や他の公務部門との人事交流の推進、個人の能力と適性に即した人材育成、研修の継続実施及び評価結果の反映の手法やより効果的な活用方法の研究など人事評価制度の安定的運用への取り組み、高齢期職員の本市組織にふさわしい活用方法の検討の必要性などについて言及することを考えている。

 さらに、仕事と生活の調和に向けた取り組みの推進として、管理職員による業務内容の見直しや適切な職員の勤務時間管理などによる超過勤務の縮減や、制度利用しやすい職場環境づくり等の両立支援の推進、心の健康状態の変調に早期に適切な対応をとる取り組みの強化などメンタルヘルス対策の推進などについても言及することを考えている。

 なお、現在、本市で行われている給与減額措置については、人事委員会としても昨年の公民較差を超える内容で実施されていることは認識しており、給与減額措置にかかる条例案に関して市会より意見照会がなされた際には、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものとして意見を付してきたところである。本年の給与勧告でも、ここまで述べてきたように地方公務員法の規定に基づき適切な勧告を行ってまいる所存である。

組合 ただ今、人事委員会から本年度の較差について、月例給も一時金も公務が民間を上回るとの厳しい状況が明らかにされ、それぞれ引き下げ改定が必要との見込みが示されるとともに、民調結果では、全国よりも厳しい大阪の経済状況が見られるとも言及された。

 市労連としては、過日に行われた国人勧の内容からして、非常に危機感を抱いて本年の勧告を注視しており、2年連続で一時金を含めた大幅な引き下げは、組合員の生活に深刻な打撃を与えかねない。官民給与実態の精確な把握は勿論のこと、ギリギリの要求として水準維持を求めているのであり、大都市固有の生活実態を踏まえた上で生活水準の維持という観点から、組合員の期待に応えられるよう最後まで努力していただきたい。

 次に、給与改定に関して、年功的な給与上昇を抑制するため給料表の昇給カーブのフラット化について具体的に言及することや、給与構造・制度の改善に向けた課題として、行政職給料表3級等の最高号給の切り下げについて再度言及すること等が表明された。

 この間の交渉でも繰り返し申し上げてきたが、市側との間で、都度の交渉と合意を積み重ねつつ給料表を確定させてきたものであり、官民較差をどのように配分するのかはまさに労使交渉で決着させるべき内容である。勧告後に行う労使交渉に多大な影響を及ぼし、交渉自体を制約するような内容の勧告はするべきではない。

 2007年の給与構造改革が実施されて4年目を迎える中で、これまで3級昇格にかかる問題や昇格時における制度上の均衡問題などが表面化しており、人事評価制度も含めた全体の検証を踏まえた改善が必要となっている。にも関わらず、昨年の勧告では、3級高位号給の水準のみに焦点をあて、具体の号給カットにまで言及されたことから、その後の労使協議では、人事委員会勧告を楯に実施を迫る市側との間で厳しい交渉を強いられることとなった。結果として実施させてこなかった経過となっているが、本年も再度言及するとした人事委員会の姿勢は問題があると言わざるを得ず、市労連として決して容認できない立場であることを明確にしておく。

 さらに、一時金勤勉手当基礎額への扶養手当算入問題についても、配分原資にまで踏み込む姿勢が明らかとなったが、言うまでもなく人事評価結果の反映方法やその配分原資も含めて労使協議事項であり、人事委員会が触れるべき内容ではない。

 いずれにせよ、市労連としてこの間の交渉で指摘しているように、賃金・労働条件の決定は、あくまでも労使が自主的かつ主体的に交渉し合意することが基本であり、労使協議内容に関わる課題に関して、労使交渉への介入となるような報告・勧告は許されるものでないことを改めて申し上げた上で、この点にかかる認識を明らかにしていただきたい。

 次に、時代の要請に応じた活力ある組織づくりとして、人材の確保や人材育成、人事評価制度などに関しても言及するとされたが、市労連としては、行政組織としての継続性や技術力の継承など、将来の大阪市政を担う人材の確保や人材育成に向けた計画的な施策推進が求められており、とりわけ職員採用に関して、より積極的かつ踏み込んだ姿勢を示すべきと認識している。また、人事評価制度については、これまで幾度となく触れてきたが、未だに評価される側、評価する側の双方から信頼された制度にはなっていないと認識しており、現状を十分踏まえた課題の検討と適切な勧告が行われるよう求めておく。

 公務員の高齢期の雇用問題に関して、段階的定年延長の制度骨格を提示するなど、人事院から詳細な報告が行われた。今回の報告では、「公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせて2013年から定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当」とされ、制度見直しの骨格として「定年延長と60歳台の多様な働き方」や「定年延長に伴う給与制度の見直し」等が掲げられており、人事院は本年中をめどに成案を得て具体的な立法措置のための意見の申出を行うとしている。この点は、組合員にとって生涯設計に関わる非常に関心の高い課題であり、今後どのように対処しようとしているのか、現時点での貴人事委員会の認識を示していただきたい。

 また、職員の福利厚生について、これまで人事委員会報告の中で連年に亘って言及されてきた課題であるが、福利厚生協議会が設置されたものの未だに組合員が納得できる制度として確立されていない実態となっている。これまでの経過もあり、現状を踏まえた考えをお聞きしたい。

 以上、本年の勧告を目前に控えて、市労連としての考え方等について率直に申し上げた。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、組合員の思いを十分に受け止めた勧告を行うよう要請しておく。

 最後に、本年の具体的な勧告日についてお聞かせいただきたい。

人事委員会 地方公務員法は、職員の勤務条件について条例で定める必要があるとしており、人事委員会としては、この勤務条件条例主義のもと、労使が勤務条件について交渉を行い合意することは、職員の自らの勤務条件に対する納得性を高めるとともに、職員の士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なものと認識している。

 一方、公民給与の精確な比較により適正な給与水準を維持・確保することは労働基本権制約の代償措置である給与勧告に求められている役割であるとともに、公務員の給与水準について、各方面の理解を得る基礎である。そして、情勢適応の原則に基づき、職員給与水準を民間給与水準に均衡させるよう勧告することが、人事委員会に求められている責務である。

 較差については、あらゆる角度から分析を行い、作業の最終段階に入っているところであるが、先ほど申し述べたように、月例給及び賞与等の特別給の双方について、公務が民間を上回る大変厳しい状況になるのではないかと予想されるところである。

 また、高齢期の雇用問題については、本年中をめどに行われる人事院の意見の申出を踏まえ、組織活力を確保しながら人材を有効に活用する方策や職務等に応じた給与のあり方など、人事管理全体のあり方を研究していく必要があると考えている。

 福利厚生の問題については、国における「福利厚生施策の在り方に関する研究会」の報告書が本年6月に公表されたため、この報告書を踏まえて福利厚生の理念・目的、具体的内容については、今後労使間で検討すべきものと認識している。

 いずれにしても、今後とも、市労連の皆様方との連絡を密にして進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。

 最後に勧告日であるが、本年については、9月16日を予定しているところである。

以 上

 

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