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更新日:2024年9月19日

第2回大阪市人事委員会交渉

市人事委員会:月例給、一時金ともに、民間が本市職員を上回っている
給料表の構造等と職員の執務意欲の維持向上について言及する必要
勧告時期は9月中
市労連:昇給・昇格を含めた人事・給与制度全体にかかる総合的な制度の確立を強く求める!
民間の賃上げ状況や長期化する物価高騰の状況等を踏まえた勧告を行うよう求める!

 市労連は、9月19日(木)午前9時30分から大阪市人事委員会と、現在の進捗状況や勧告の見通しなどに関し交渉を行った。

 人事委員会は、月例給、一時金ともに、民間が本市職員を上回っているとした上で「月例給及び特別給の改定について検討している」ことを示した。その他、保育士及び幼稚園教員の給与改定についての考え方、給与制度等の課題として給料表の構造等と職員の執務意欲の維持向上、人事管理制度の課題として、人材の確保・育成、定年の引き上げに伴う対応、人事評価制度、多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備などについて言及する必要があるとした。最後に、勧告時期については9月中を予定していることが明らかにされた。

 市労連は、月例給、一時金の考え方について「本日示された内容は、人事委員会が正確な調査を行った結果として受け止める」ことを表明した。給与制度等に関しては、組合員の働き甲斐や執務意欲の向上をはかることは、市政運営や市民サービスの向上にも大きく寄与するものであることから、給料表構造等の抜本的見直しと改善を行い、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、人事・給与制度全体にかかる総合的な制度として確立できるよう、人事委員会として積極的かつ主体的な姿勢で取り組むことを強く求めた。また、定年の引き上げとそれに関連する課題については、定年まで安心して働き続けることができる高齢層職員における雇用施策の一層の充実に向け言及を行うよう求めた。

組合 市労連は8月8日の人事院の報告・勧告以降、大阪市においても給与勧告の集約段階を迎えている人事委員会に対して、9月4日に申し入れを行ってきたところである。その際、昇給・昇格条件等の改善を含めた人事・給与制度の構築や人事評価制度の改善に向けた大阪市への対応などを求めてきた。また、定年まで安心して働き続けることができる高齢層職員の雇用政策の充実などについても人事委員会としての対応を求めてきた。このような私たちの要求の主旨を受け止め、さらに、中立機関としての独立性を堅持しつつ、その職責を果たされるよう要請をしてきたところである。

 地方公務員の給与決定は、言うまでもなく、地公法第24条第2項の主旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業を進め、私たち組合員の切実な要求に応えるよう最大限の努力を求めておく。

 その上で、前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通し、本年の作業の進捗状況について、現時点での較差や一時金の傾向と具体的な勧告日を明らかにされたい。

行政委員会事務局 作業の進捗状況については、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析及び検討を進めてきており、現在は、大詰めの段階を迎えている。

 民間給与実態調査を行った時点での厚生労働省の毎月勤労統計調査では、大阪の所定内給与の前年同月比は全国をやや上回り、金額についても全国をやや上回るなどの状況が見受けられる。

 また、公民給与の状況についてであるが、月例給、一時金等の特別給の年間支給月数ともに、民間が本市職員を上回っている状況が見受けられる。

 これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案し、月例給及び特別給の改定について検討している。なお、保育士及び幼稚園教員の給与水準については、民間との比較のみで改定の要否を判断することは適当ではないと考えており、諸般の状況を考慮し、改定の必要性について検討しているところである。

 給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行い、公民比較の在り方等についても研究及び検証を進めている。

 これまでの研究や検証の結果、給与制度等に関する課題としては、「公民比較の在り方」や「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持向上」などについて言及する必要があると考えている。

 また、人事管理制度に関する課題としては、「人材の確保」、「人材の育成」、「定年の引上げに伴う対応」、「人事評価制度」、「多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備」、「職員の心の健康づくりの推進等」、「長時間勤務の是正」、「ハラスメントの防止」などについて言及する必要があると考えている。

 勧告時期については、9月中を予定している。

組合 ただ今、人事委員会より、本年の公民給与の状況について、「月例給、一時金等の特別給の年間支給月数ともに、民間が本市職員を上回っている状況が見受けられる」との認識が示された。市労連として、労働基本権の代償措置である勧告制度からすれば、本日示された内容は、人事委員会が正確な調査を行った結果として受け止める。

 その上で、市労連として本日の交渉で、幾つかの点について指摘をしておく。

 まず、賃金センサスの活用等については、調査データのタイムラグや精度そのものに問題が多いことから、活用は認められないことを再度指摘しておく。

 保育士及び幼稚園教員の給与水準については、「民間との比較のみで改定の要否を判断することは適当でない」として、「改定の必要性について検討している」との内容が示された。待機児童の問題については、待機児童数が過去最少となり解消への兆しが見える一方で、保育士や幼稚園教員の処遇が低く人材不足が依然として解消されず、社会的問題となっている。しかしながら、大阪市は保育士等の処遇改善について、人事委員会からの勧告に基づき給与改定を行うとの考えを示すのみで、依然として処遇改善には至っていない。市立の保育所・幼稚園は、保育・教育の深化充実とセーフティネットの観点からも大変重要であることから、人事委員会として、早急な給料表の水準回復を言及するよう求めておく。

 給与制度等に関しては、現在の給料表が適用されて以降、昇給・昇格もできずに、各級最高号給に多くの組合員が位置付けられている。人事委員会からの意見に基づき、本年4月に8号給の増設が行われたものの、数年後には最高号給に多くの組合員が再度到達することから、一時的な対策であり、組合員のモチベーション向上に繋がるものではなく具体の改善には至っていない。「給料表の構造等と職員の執務意欲の維持向上について言及する必要がある」と述べられたが、組合員の働きがいや執務意欲の向上をはかることは、市政運営や市民サービスの向上にも大きく寄与するものと認識している。そうした事からも、給料表構造等の抜本的な見直しと改善を行い、給与制度のみならず、55歳昇給停止の課題など、昇給・昇格を含めた人事・給与制度全体にかかる総合的な制度として確立できるよう、人事委員会として積極的かつ主体的な姿勢で取り組むことを強く求めておく。

 「長時間勤務の是正について言及する必要がある」と述べられた。国においては、職員個人の健康や業務能率への影響のみならず、公務が職場として選ばれるための魅力の低下に繋がるとし、業務の削減・合理化の推進はもとより、業務量に応じた柔軟な人員配置や必要な人員の確保について言及された。大阪市においても、職員不足による長時間勤務が増加していることからも、それらを踏まえた人事委員会としての対応を求めておく。

 「定年の引き上げに伴う対応について言及する必要がある」と述べられたところである。前回の交渉において「任命権者において高齢層職員の給与、環境整備等について、適切に運用が図られていくか注視していくとともに、今後必要に応じて意見を申し述べる」との考え方が示されたことから、国や他の政令市とは異なる大阪市独自の事情と業務実態を十分に踏まえ、定年まで安心して働き続けることができる高齢層職員における雇用施策の一層の充実に向け人事委員会としての対応を求めておく。

 最後に、職業生活と家庭生活の両立支援にかかわって「多様で柔軟な働き方に対応した職場環境の整備について言及する必要がある」とも述べられた。昨年の大阪市との団体交渉において、人事委員会からの言及内容を踏まえた対応として、育児職免の拡充やフレックスタイム制の導入などが行われてきたところである。今後は、制度を浸透させるための効果的な手法を検討するとともに、育児短時間勤務や部分休業も含め、子の年齢に応じた柔軟な働き方を可能とするための措置の拡充など、子育てにかかる制度全般のさらなる改善に向け人事委員会としての対応を求めておく。

 以上、本年の勧告を目前に控え、市労連としての考え方などについて率直に申し上げたところである。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、市政の発展と市民サービス向上のみならず、民間の賃上げの状況や長期化する物価高騰の状況等を踏まえた勧告を行うよう要請しておく。

行政委員会事務局 本委員会は、給与報告・勧告を行うにあたっては、これまでも、地方公務員法に基づき、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきている。

 本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただく。

以 上

 

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