更新日:2023年5月17日
夏期一時金に対する交渉を行う。
使用者・雇用主としての責任と誠意ある対応を市側に求める。
市労連は、5月17日(水)午後5時から、2023年夏期一時金についての市労連第1回団体交渉を市側と行った。
交渉で市労連は、大阪市の給与水準は、依然として国や他都市よりも低い状況であることに触れながら、総合的な人事・給与制度の早急な確立や相対評価の廃止など、一時金に影響を与える課題について市側に指摘するとともに、組合員の賃金・労働条件の課題解決に向けて、通年的な交渉・協議と勤務意欲向上に資するよう要請してきた。
その上で、夏期一時金に対する組合員の期待は大きく切実なものであり、コロナ禍の厳しい状況にあっても、市民サービスの質を低下せることなく懸命に業務に励んでいる職員の努力を総務局は真摯に受け止め、使用者・雇用主としての責任を果たすよう、誠意ある対応を求め第1回団体交渉を終了した。
組 合 各単組より5月10日までに各任命権者に対して、本年度の夏期一時金要求の申し入れを行ってきたところであるが、本日以降、従来どおり市労連の統一交渉によって課題の解決をはかっていくこととする。
なお、再任用職員及び会計年度任用職員等の夏期一時金についても、この間の交渉経過を踏まえて対処されるよう併せて要請しておく。
それでは、夏期一時金について、大阪市として申し入れを受けて以降、検討された内容について現段階における考え方を示されたい。
市 側 これまで各単組から本年度の夏季手当に関する申し入れを受けたところであるが、引き続き慎重に検討してまいり、近日中に回答したいと考えているところであるのでよろしくお願いする。
組 合 市側より、引き続き慎重に検討し近日中に回答するとの認識が示された。
その上で、市労連として、夏期一時金に影響する課題、及び昨今の状況を踏まえ市側姿勢と認識を質しておきたい。
地方公務員の給与については、この間の政治的圧力などにより、さまざまな給与削減が実施されてきたことから厳しい状況が続いており、「給与制度の総合的見直し」以降、地域間格差も拡大し、現在もなお各自治体において、多くの自治体職員の生活実態は改善されておらず、厳しい状況である。
大阪市において昨年は、月例給及び一時金について、人事委員会勧告どおり引き上げ改定が行われたが、給与制度改革により、職員の給与水準は、依然として国や他都市よりも低い状況である。一方で、新型コロナウイルス感染症については、5月8日より、2類相当から5類感染症に位置付けられたところであるが、これまで、組合員は、感染拡大が続く厳しい状況にあっても、市民の生命や日常生活を守るため、市民サービスの質を低下させることなく責任と誇りを持って、日夜、業務に励んできたところである。大阪市として、これまで果たしてきた組合員の懸命な努力と実績を、しっかりと受け止めるよう求めておく。
また、市労連として再三申し上げてきたが、2012年8月の「給与制度改革」により、給与水準が大幅に引き下げられ、各級の最高号給に多くの組合員が到達していることから、昇給・昇格の改善を含めた、総合的な人事・給与制度の早急な確立を求めてきたところである。
この間の確定交渉の際にも指摘しているが、人事委員会も執務意欲の維持・向上につながる方策を継続的に検討するよう言及しており、市労連としても総合的な人事給与制度の構築が必要との指摘も繰り返し行ってきた。昨年は、人事委員会からの意見に基づき、行政職給料表5級以下の級やその他給料表も同様に8号給の号給増設が行われたところである。しかしながら、数年後には最高号給にとどまる組合員が発生・増加することから、一時的な対策であり具体的な解決策には繋がらないことから、市労連として不満の残るものである。
さらに、職員基本条例に基づく相対評価についてである。これまでの交渉でも指摘してきたところであるが、人事評価制度の目的は人材育成であるが故に相対評価については本来の制度趣旨から逸脱しており、市労連として、制度そのものを容認できるものではない。
特に、絶対評価点が期待値レベルに達しているにもかかわらず、相対化によって、下位区分となる課題の解消がされていない事や、所属ごとで公平性を欠いている課題については、市労連としても都度の交渉において指摘しており、人事委員会においても言及されている。相対評価による給与反映は、職員の士気に影響を及ぼし、人材育成からは程遠い制度であり、あらためて、相対評価を即時廃止し、人材育成に重点をおいた評価制度を構築するよう強く求めておく。
以上、夏期一時金に少なからず影響を与える課題について申し上げたところであるが、これらに対する大阪市としての認識を示されたい。
市 側 直接の交渉議題ではないものもあるが、夏季手当の回答に少なからず影響する事項についてご指摘をいただいたので、我々としての現時点での認識を示したい。
まず、昇給・昇格条件の改善を含めた人事・給与制度の構築については、この間、最高号給の滞留の解消などの要求をいただいているところである。この点に関して、令和2年度からは、技能職員が従事する職域において、業務主任を補佐する役割等を担う2級班員を必要に応じて設置しており、令和4年度からは、人事評価の給与反映を見直し、勤勉手当のめり張りを強めており、最高号給に滞留する職員の執務意欲の維持向上につながる取組みを実施しているところである。
また、給料表については、「現在の給与体系は職務給の原則に沿ったものであり、現在の給与体系の維持を原則とする一方で、定年引上げに伴う昇給機会の確保によって高齢層職員の執務意欲の維持向上を図るために、号給の増設を行うことを検討することが適当」とされた本市人事委員会の意見を踏まえ、最高号給滞留者の執務意欲の維持向上という点も考慮したうえで、定年引上げに伴う昇給機会が生じる令和6年4月から号給の増設を行うこととしたところである。
相対評価の給与反映については、職員の頑張りや実績に報い、執務意欲の向上に資するよう、昇給制度、勤勉手当制度を運用している。令和4年度以降の相対評価結果に対する給与反映について、これまでの職員アンケートの結果、人事委員会からの意見等を踏まえ、人事評価制度の目的である職員の資質、能力及び執務意欲の向上をより一層図る制度とするため改正を行ったところであるが、今後も職員の士気の向上につながる制度となるよう、これまでの人事評価結果や人事委員会からの意見、職員アンケートの結果等の分析、検証を行い、公平、公正性、透明性、客観性、納得性を確保し、職員の十分な理解が得られるよう改善に努めるとともに、今後も協議を行ってまいりたい。
今後とも、国、他都市の動向等も勘案しながら、慎重に検討してまいりたいので、引き続きよろしくお願い申し上げる。
組 合 ただ今、市労連が申し上げた点について、現段階での大阪市の認識が示された。
本日は、夏期一時金交渉ということから一時金に影響を与える課題、及び昨今の状況を踏まえた課題について申し上げたが、市労連として、組合員の賃金・勤務労働条件に関しては、通年的な課題と認識していることから、総合的な人事給与制度をはじめ、今後も課題の解決に向けて交渉・協議を要請するとともに、組合員の勤務意欲の向上に資するよう改めて申し上げておく。
また、地方公務員の賃金引き上げは地場賃金にも影響を及ぼし、消費拡大や地域経済の活性化にも繋がるものであると認識する。
厳しい生活実態とともに将来への不安を抱える組合員にとって、夏期一時金に対する期待感は大きく切実なものである。繰り返しになるが、これまで組合員は、コロナ禍の厳しい状況にあっても、市民サービスの質を低下させることなく懸命に業務に励んできたところである。総務局は、組合員が果たしてきた努力を真摯に受け止め、使用者・雇用主としての責務を果たすことは当然として、大阪市として誠意ある対応を行うよう求めておく。
以 上