更新日:2022年10月14日
2022年賃金確定要求・年末一時金闘争 第1回対市団体交渉
市労連は、10月12日(月)午前9時30分より、2022賃金確定・年末一時金にかかる第1回対市団体交渉を行った。
団体交渉で市労連は「2022年賃金確定要求」を申し入れ、本年の人事委員会勧告において、月例給・一時金ともに引き上げ改定とされていることから、勧告された公民較差を踏まえ早急な引き上げ改定を求めた。また、組合員の勤務意欲の向上につながるよう、昇給・昇格改善を含めた総合的な人事・給与制度の早急な構築や、号給増設と併せた55歳昇給停止の廃止などを求めた。
その上で、「団体交渉は、労使合意という、あたりまえの労使間ルールを市側が守らなければ解決はあり得ない」など、市労連として、確定闘争に臨む基本姿勢を表明し、市側の考え方を明らかにするよう求めた。
市側は、「要求内容及び人事委員会からの勧告内容並びに国、他都市の状況等を慎重に検討し、精力的に交渉・協議の上、早急に回答する」との考え方を明らかにした。
市労連は、市側の一方的な思いだけでは、労使合意はあり得ず、市側の誠意ある対応を改めて求め、団体交渉を終了した。
組合 2022年賃金確定並びに年末一時金にかかる交渉をはじめさせていただく。
市労連は、10月5日に開催した市労連定期大会において「2022年賃金確定要求」を確認したので先ず冒頭に申し入れる。
2022年賃金確定要求書手交
詳細については、書記長より説明させていただく。
2022年10月12日
大阪市長 松井 一郎 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 金子 俊雄
2022年賃金確定要求
賃金決定基準の改善等の具体要求項目について、大都市事情を反映した制度改善をはかること。また、保育士及び幼稚園教員の給与水準を回復させること。
給与制度改革による給与水準を回復させた上で、定年引上げの状況を踏まえ、組合員の勤務意欲の向上につながるよう、労使合意の下に総合的な人事・給与制度を構築すること。
給与構造改革による未解決課題に対し、必要な改善措置に取り組むこと。
1.給料表
給料表については、国・他都市の較差を踏まえつつ、大都市事情を十分考慮して検討すること。給与改定については、人事委員会の勧告に基づいた取り扱いを基本とすること。とりわけ、給与制度改革において給料表の制度改悪が行われていることから、職員構成の実態を踏まえ、早期に水準の回復をはかること。
2.諸手当
諸手当については、国・他都市の動向、民間支給状況を見極めつつ、大都市事情を考慮して検討すること。住居手当については、労使合意を前提に持家にかかる手当の回復及び、制度の維持・改善をはかること。また、扶養手当については、現行水準を維持すること。通勤手当について改善をはかること。地域手当については、現行の支給水準を維持するとともに、本給繰り入れを基本に支給率の改善をはかること。手当の改廃については、職務の実績を鑑み、慎重かつ適切に対応すること。
3.初任給基準(中途採用者を含む)については、大都市事情を十分踏まえ検討を行うこと。
4.格付・昇格・昇給基準
(1) 格付基準(臨時期間・前歴の格付基準を含む)の改善・充実をはかること。
(2) 休職者等の昇給抑制者に対する復職時調整の改善をはかること。
(3) 昇格枠とりわけ行政職3級昇格枠の拡大をはかるとともに、専門職については、専門性に応じた昇格制度に改善すること。
(4) 技能労務職2級昇格条件の改善をはかること。
(5) 行政職4級への格付について改善をはかること。
(6)55歳昇給停止を廃止すること。
5.専門職の給料表については、他都市・人事院勧告の較差水準を踏まえつつ、大都市事情を考慮して検討すること。特に、看護師については人材確保の観点から検討すること。また、福祉職給料表については国・他都市の動向を注視しつつ、慎重に調査・研究を行うこと。
6.技能労務職給料表については、他都市と比較して給与水準が低いことから改善をはかること。
7.保育士については、その職の社会的重要性や国の動向等を踏まえた給与水準の回復とともに昇格枠の拡大をはかること。また、幼稚園教諭の給料表については、小学校・中学校教育職給料表に戻すこと。
8.教職員の給料表及び勤務労働条件については「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」や「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」を鑑み、「情勢適用の原則」「均衡の原則」に基づいた水準の適用と、学校現場の実態に即した制度を構築すること。
9.課長代理級については、その職務職責を明確にするとともに、それに見合う給与制度とすること。
10.職員が不安なく職務に専念できるよう、総合的な人事・給与制度を早急に構築すること。
11.一時金の支給方法の改善をはかること。
12.人事評価制度については、公平・公正性、透明性、客観性、納得性を確保し、組合員の十分な理解の下に人材育成のための制度となるよう検証・改善を行うこと。
13.「職員基本条例」に基づく相対評価による給与反映は即時廃止すること。また、人事評価結果の昇給制度への活用は、給与制度改革の実施に伴い、評価結果が昇給に反映されない組合員が多数存在することも踏まえ、慎重に検討を行い十分な交渉・合意により改善をはかること。
14.職員基本条例に基づく分限処分は行わないこと。
15.業務上交通事故に対する失職を防止するための特例を定めるなど、分限にかかる基準を見直すこと。
16.夜間勤務手当及び超過勤務手当(深夜超勤を含む)の支給率の改善をはかること。
17.勤務時間については、ワーク・ライフ・バランスの重要性を踏まえ、労使合意を前提に年間総労働時間の短縮に取り組むこと。
18.その他
(1) 職員の福利厚生については、制度設立の意義を踏まえるとともに、地方公務員法42条の使用者責任(義務)に基づいて、労使で十分な意見交換・協議を行いながら、「安心して働き続けることのできる制度の確立」「組合員の働き甲斐」につながる福利厚生制度の確立・充実をはかること。
(2) 休職者の生活保障の観点から支給内容などの改善をはかるとともに、傷病手当金附加金廃止の代替措置を講じること。
(3) 近年の休職者の実態を踏まえ、「大阪市職員心の健康づくり計画」を十分に踏まえたメンタルヘルス対策の一層の充実をはかること。特に、心の健康の保持・増進の観点から職場における勤務環境の改善をはかること。また、職場におけるあらゆるハラスメント対策について、相談体制のさらなる充実など、防止に向けた取り組みの充実をはかること。
(4) 病気休暇の当初3日無給の取り扱いを廃止すること。休暇・休職制度の運用改善をはかり、現行の休暇・職免制度の改悪を行わないこと。また、各制度において取得しやすい職場環境の整備をはかるとともに災害時における休暇制度を構築すること。
(5) 定年引上げに伴い、高齢期の雇用制度については、業務実態を十分に踏まえ、定年まで安心して働き続けられる職場環境の整備をはかるとともに、多様で柔軟な働き方が可能となる雇用制度を構築すること。また、制度完成までの再任用制度については、希望する全職員の雇用を確保するとともに、雇用と年金の確実な接続と生活できる給与水準を前提とし、十分な労使交渉のもと再任用制度の充実・改善をはかること。
(6) 職業生活と家庭生活の両立支援については、特定事業主行動計画の周知徹底と、計画の推進をはかりつつ、支援制度の充実を行うこと。また、両立支援を目的とする休暇・休業制度などの検証を行い、勤務環境の整備をはかるとともに、男性の取得促進に向け、制度の充実と取得しやすい職場づくりに取り組むこと。
(7) 臨時・非常勤職員及び任期付職員の勤務・労働条件については、地方公務員法改正の趣旨などを踏まえた改善を行うこと。会計年度任用職員制度については、正規職員との権衡を確保するとともに、賃金水準の改善を行うこと。任期付職員制度については、職の流動化や人件費抑制を意図する運用を行わないこと。
(8) 災害時における交通費の自費負担をはじめ、勤務体制の整備をはかること。
19.新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向け、市民及び職員の安全を確保するためにも、業務執行体制の構築はもとより、職員が安心して業務に従事できるよう、職場環境の整備や制度の充実をはかること。また、関係業務にかかる手当等については、さまざまな事態を想定し、業務実態を踏まえた措置を講じること。
20.実施については、労使合意に基づくこととし、労働基本権制約のもとでの生活防衛の観点から、使用者責任を全うするよう大阪市としての主体的な決着をはかること。
「2022年賃金確定要求」については以上であるが、すでに各単組において年末一時金にかかる申し入れも行ってきており、本日以降、従来どおり市労連統一交渉を通じて解決をはかっていくことを申し上げておく。
市労連は、3月14日に大阪市に対して「2022年統一賃金要求に関する申し入れ」を行うとともに、その具体化に向けて取り組みを進めてきたところである。
9月29日、大阪市人事委員会は、月例給については、平均で7,564円、率にして1.93%の官民較差があることから、初任給及び若年層に対し重点的に給料表の引き上げ改定を行うとし、一時金については0.10月分を引き上げ、年間4.40月分とする勧告を行った。給与水準が大きく引き下げられてきたことを踏まえると、本年の勧告結果は、当然のものとして受け止めている。また、会計年度任用職員について、期末手当で同様に支給月数を引き上げるとしたことは、この間の市労連の指摘を踏まえたものと認識している。
今回の勧告内容は、組合員にとって大きな期待を持つものであり、市労連としては人事委員会より勧告された公民較差を踏まえ、給料表と一時金の早急な引き上げ改定と4月1日遡及分については年内精算を行うべきと認識している。
人事委員会が第三者機関であることを踏まえ、労働基本権制約の代償措置である人事委員会の勧告内容を尊重し、その実施をはかるべきと認識するところであり、その上で、数点にわたって市側の考え方を示されたい。
保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。保育士及び幼稚園教員の職務の重要性に鑑み、人材確保の観点から処遇改善の必要性、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、現行の保育士給料表及び幼稚園教育職給料表の改善を求めておく。
人事評価制度については、昨年の確定交渉において、生涯賃金への影響を抑制する見直しがなされたものの、絶対評価点と相対評価区分に不整合が生じる課題については解消されていない。市労連としては、この間指摘しているとおり、相対評価そのものが公務に馴染む制度ではなく、相対評価の給与反映については即時廃止するよう改めて強く指摘しておく。職員一人ひとりの能力の違いや各職場事情等を十分考慮し、制度の趣旨に合致した制度構築が必要であることから、総務局としてこうしたことを踏まえた検討を行うよう求めておく。
教職員の給与制度については、主務教諭の職の設置及び初任給水準の引き上げが行われたが、そのことが執務意欲の向上や優秀な人材確保につながっているかどうか、精確な検証を求めておく。また、2018年度より人事評価制度が導入されたが、市長部局と同様、人材育成と執務意欲の向上を目的としていることから、その目的に合致しているか、アンケートを実施するなど引き続き検証を行うよう求めておく。さらに、教職員における長時間労働が社会問題視されている状況にある。職員の士気の高揚が子どもたちの教育条件や教育環境の維持・向上に繋がることから、そのような内容を十分踏まえた制度の構築を要請しておく。
総合的な人事・給与制度ついては、給与制度改革で最高号給が大幅に引き下げられたことにより、多くの組合員が昇給できずに、各級最高号給付近に留められており、近年、その数はさらに増加している。また、定年引き上げに伴い、今後も増加することが想定される。こうしたことから、本年、人事委員会は「課長級以下の級について、5年の昇給の機会に相当する程度の号給の増設を行うことを検討することが適当」と言及した。号給の増設については、この間人事委員会も「慎重に検討」としてきたところである。しかしながら、定年の引き上げに伴うものとはいえ、号給増設に言及したことは、各級最高号給付近に滞留する職員の執務意欲の維持・向上が、重要かつ喫緊の課題であるとの認識からのものと考えている。この間、大阪市は、市労連の再三の指摘に対し、現状認識を示すのみで具体的な対策案を示してこなかったが、本確定交渉においては、この課題に真摯に取り組み、現状認識のみに留めることなく、給料表構造等の抜本的な改善を行うとともに、昇給・昇格改善を含めた総合的な人事・給与制度を、早急に構築するよう求めておく。さらに、55歳昇給停止についても、高齢層職員の昇給の機会を確保する観点からも、号給の増設と併せて廃止するよう求めておく。
また、定年の引き上げに伴い、高齢層職員の雇用制度については、定年まで安心して働き続けられる職場環境の整備をはかるとともに、多様で柔軟な働き方が可能となるような雇用制度を構築するよう求めておく。
課長代理級の職務職責について、非管理職となったにもかかわらず、超過勤務命令の命令権者となっているなど、引き続き管理・監督者としての業務を担っていることは問題があるものと認識している。非管理職としての職務を明確にし、それに見合った給与制度とするよう求める。
再任用職員の給与月額について、大阪府との整合性を理由に大幅に引き下げられてきたが、雇用と年金の接続までの給与水準の保障を前提とした給与制度となるよう求めておく。
総労働時間の短縮にかかわってであるが、長時間勤務の是正を目的として時間外勤務時間の上限設定が規則により定められて以降、新型コロナウイルス感染症対策等の影響があったとはいえ、時間外勤務時間は大幅に増加している。こうした実態は、職員不足が原因であることは明らかであるにもかかわらず、大阪市は今年度においても、年度途中の兼務発令等を行うなど、業務量に応じた適切な要員の確保がなされているとは言い難い状況となっている。総務局として、感染症対策等による長時間勤務のみならず、恒常的に発生している長時間勤務の是正や賃金不払残業の発生防止に向けた適切な対応と、上限時間を超える長時間勤務を生じさせないよう必要な対応を求めておく。
職業生活と家庭生活の両立支援については、今年度より有給化した「出生サポート休暇」の取得状況等を把握・検証し、勤務環境の整備をはかるとともに、必要に応じて制度改善を行うよう求めておく。また、男性職員の育児休業取得促進に向けた制度の充実や取得しやすい職場づくりに取り組むとともに、妊娠・出産・育児等にかかる諸制度の新設・改善を求めておく。
新型コロナウイルス感染症については、依然として予断を許さない状況が続いている。そのような中、組合員は市民の生活と安全を守るため、公務・公共サービスに従事する労働者としての使命感と責任を持って精力的に職務に取り組んでいる。この間、感染拡大防止の観点から、組合員の勤務労働条件にかかわって、さまざまな対応を行ってきた。今後も大阪市として市民及び職員の安全を確保するためにも、業務執行体制の構築はもとより、組合員が安心して業務に従事できるよう、職場環境の整備や制度の充実をはかるとともに、関係業務に従事する職員に対しては、業務実態に応じた手当など必要な措置を行うよう求めておく。
最後に、団体交渉は、労使合意という、あたりまえの労使間ルールを市側が守らなければ解決はあり得ず、健全な労使関係の下で労使交渉が行われなければならない。市側として組合員の勤務意欲の向上と、その家族の生活実態を十分踏まえ、本日申し入れた要求内容に関し、大阪市としての主体的な努力と誠意ある対応の下で、労使交渉・合意がはかれるよう強く求めておく。
その上で、今後、労使間で主体的に交渉を進めていくにあたって、市側の基本的な考え方を明らかにするよう求める。
市側 ただ今、賃金確定要求に関する申し入れをお受けしたところである。
この件については、皆様方から、去る3月14日に「賃金要求に関する申し入れ」を、9月29日には本市人事委員会から「職員の給与に関する報告及び勧告」が行われたところである。また、年末手当については、この間、各単組からの申し入れがなされてきたところである。
私ども公務員の人事、給与等の勤務条件については、制度の透明性を確保しつつ、市民に対する説明責任を十分に果たすことが求められている。
いずれにしても、本日要求を受けたところであり、今後については、要求内容及び人事委員会からの勧告内容並びに国、他都市の状況等を慎重に検討し、精力的に交渉・協議のうえ、早急に回答をお示ししてまいりたいと考えているのでよろしくお願いする。
組合 ただ今、市労連の申し入れに対し、総務局長より「要求内容及び人事委員会からの勧告内容並びに国、他都市の状況等、慎重に検討し、精力的に交渉・協議のうえ、早急に回答する」との考え方が示された。
これまでも、人事委員会勧告制度が労働基本権制約の代償措置としてある以上、その実施に向けては自主的・主体的に労使で交渉を重ね決着をはかってきたところである。繰り返しになるが、市労連として、賃金確定・年末一時金は、労使における自主的・主体的な交渉と合意がはかられることが重要であると認識しており、市側の一方的な思いだけでは、労使合意はあり得ないことを申し上げ、交渉期間の確保と市側の誠意ある対応を改めて求めておく。
以 上