本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

更新日:2022年9月1日

大阪市人事委員会第1回申し入れ

大阪市に働く組合員の生活実態を考慮し、組合の要求主旨を受け止め、本年の勧告に十分反映されるよう強く要請 !

 市労連は、9月1日に大阪市人事委員会に対して、2022年の人事委員会勧告に向けた「申し入れ」を行うとともに、春の段階で提出していた、2022年統一賃金要求に対する回答を引き出した。

 申し入れの中で市労連は、総合的な人事・給与制度の構築や人事評価制度について言及を求めるとともに、大都市における職員の生活実態を考慮し、精確な公民水準比較を行った上で勧告するよう要請した。

 その上で、本年の勧告に向けた基本的な姿勢、ならびに調査作業の進捗状況と特徴点、現時点で予定している本年の勧告時期について明らかにするよう求めた。

 人事委員会から、「市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本としつつ、本市の給与制度が、国や他都市の状況、地方公務員法に定められた職務給の原則や均衡の原則といった給与決定の諸原則の観点から、適切なものとなるよう勧告してまいりたい」とし「全国の状況と比較し、個々の産業や企業によって様々な状況にありますが、全体として改善されている状況が見られる」との回答があり、勧告時期については「例年並みの日程を勘案しつつ努力してまいる」と述べられた。

 市労連は引き続き、本年の勧告に向けた人事委員会対策を強めることとする。

組合 本日は、2022年人事委員会勧告に向けた、市労連としての申し入れを行う。

申し入れ書手交

 日頃から、大阪市に働く職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている貴職に対して、敬意を表する。

 8月8日に2022年の人事院勧告が行われ、大阪市においても勧告に向けて最終的な作業の最中にあると認識している。その上で、本年の市人事委員会勧告にあたっては、大都市事情と大阪市に働く組合員の生活実態を考慮するよう求めておく。また、市労連が本年3月14日に行った統一賃金要求に関する申し入れ内容を十分に尊重するとともに、本日申し入れを行う事項も含め、民間の賃上げ状況や物価の動向を踏まえ、本年の勧告に十分反映されるよう強く要請する。一方、新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大により、職員自身の感染に留まらず濃厚接触者となるケースも急増している。そうした厳しい状況下にあっても、組合員は、エッセンシャルワーカーとしての自覚と責任感をもって業務にあたっており、人事委員会として、そうした実態を十分に踏まえた勧告を行うべきと認識するところである。

 改めて、本年においても、新型コロナウイルス感染症拡大が収まりを見せない中、調査が困難な状況であるとは認識するところであるが、人事委員会が労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮するとともに、中立機関としての独立性を堅持しつつ、その職責を果たされるよう申し上げておく。

 それでは、詳細について書記長から申し上げる。

申し入れ書読み上げ

2022年9月1日

大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 金子 俊雄

2022年大阪市人事委員会勧告に関する申し入れ

 日頃から、私ども大阪市に働く職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている貴職に対して、敬意を表します。

 さて、人事院は8月8日、国会と内閣に対して2022年の「国家公務員の給与等に関する報告・勧告」を行いました。内容については、月例給は官民較差921円(0.23%)を埋めるため初任給と若年層の俸給月額を引き上げ、一時金については0.10月分を引き上げ年間で4.40月とし、一時金の引き上げ分は勤勉手当に配分し、その一部を上位の成績区分にかかる原資としました。

 公務員人事管理に関する報告では、柔軟な働き方を推進するためテレワークやフレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化などの勤務環境の整備などについて言及されています。

 大阪市における昨年の勧告については、月例給は官民較差が極めて小さく改定は行わないとしたものの、一時金については、0.15月分を引き下げるとしました。さらに、引き下げ分について、期末手当で調整するとしたことにより、とりわけ会計年度任用職員へ大きな影響を及ぼすものとなっています。

 本年の勧告において、一時金は、会計年度任用職員への影響を考慮した勧告となるよう、また、給与制度改革により大阪市の月例給が政令市の中でも低く抑えられていることから改善に向けた勧告を行うよう強く要請します。

 人事委員会は、昨年の勧告においても、最高号給に達した職員の課題について言及されましたが改善はされていません。今後、定年の引き上げに伴い最高号給に達する職員はさらに増加することから、昇給・昇格を含む人事・給与制度の全般的な改善が喫緊の課題であり、その解決に向けた勧告を行うよう強く要請します。

 公務における長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現に向けては、新型コロナウイルス感染症の影響により時間外勤務が増加していることから、総労働時間の短縮や超過勤務時間の縮減について言及するよう強く要請します。

 高齢期の雇用制度については、年金と雇用の確実な接続と、安定した生活が送れる給与水準の保障はもとより、60歳以降も安心して働き続けられる雇用環境の整備など、高齢期の雇用施策の一層の充実がはかられる対応を求めておきます。

 人事評価制度については、2021年賃金確定交渉において、生涯賃金への影響を一定考慮した給与反映方法に改善が行われたものの、一昨年の人事委員会の報告において言及された、絶対評価点と相対評価区分の不整合等については、いまだ改善が行われていません。人事委員会として、これまでの報告において言及された内容が早急かつ確実に実施されるよう大阪市への対応を強く要請します。

 保育士及び幼稚園教員については、独自給料表の導入により給与水準が大きく引き下げられています。今後、定年年齢が65歳まで引き上げられることから、より多くの組合員が最高号給の適用を受けることとなります。待機児童解消に向けた動きがある一方で、社会的にも、保育士の処遇が極めて低く人材不足が問題となっています。市立の保育所・幼稚園は、保育・教育の深化充実とセーフティーネットの観点から大変重要であり、人財確保に向けて、早急に給料水準の回復を言及されるよう強く求めます。

 教職員の給与、勤務労働条件については、政令市への移管による教育職給料表の給与月額の引き下げや、勤務条件の後退などにより、教職員のモチベーションは大きく低下しています。また、教職員の長時間労働も社会問題となっていることから、給与・勤務労働条件について、子どもたちの教育条件や教育環境の維持・向上のため、良識ある対応を求めておきます。

 現在、人事委員会におかれましては、勧告に向けての最終段階であると認識しますが、公共サービス従事者として、より優秀な人財確保の観点と大阪市に働く職員が現在おかれている状況を十二分に踏まえ、精確な公民水準比較を行った上で勧告されるよう求めておきます。

 あわせて、職員が不安なく公務に専念できるよう、大阪市で働く職員・組合員の生活実態を考慮して作業を進められることを求めるとともに、人事委員会として、公平で中立的な第三者機関の役割を十分に果たされ、その上で市労連が本年3月14日に行った申し入れの主旨を尊重されるよう改めて強く要請します。

以 上

 申し入れについては以上である。

 先ほども申し上げたが、3月14日の統一賃金要求に関する申し入れの回答と、事前質問事項である本年の勧告に向けた基本的な姿勢、ならびに本年の調査作業の進捗状況と特徴点、現時点で予定されている本年の勧告時期について明らかにされたい。

行政委員会事務局 「2022年統一賃金要求に関する申し入れ」については、人事委員会に諮った結果、別紙のとおり回答します。

 また、ただいまお受けした「2022年大阪市人事委員会勧告に関する申し入れ」については、事前にお聞きしていた申し入れの内容を人事委員会に諮っています。本日は、その結果に基づき、回答をお求めの件について、本委員会の見解等を申し述べます。

 勧告に向けての基本的な姿勢につきましては、人事委員会は、職員の労働基本権が制約されている中で、その代償措置として、地方公務員法に基づき、給与その他の勤務条件について、適切な勧告を行うべき機能を担っており、中立・第三者機関として、人事委員会勧告に対する市民からの信頼を一層向上させるため、その役割を適切に発揮し、勧告の内容等について、説明責任を果たすことが求められています。

 本委員会は、これら法の規定及び人事委員会の役割・責務のもと、市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本としつつ、本市の給与制度が、国や他都市の状況、地方公務員法に定められた職務給の原則や均衡の原則といった給与決定の諸原則の観点から、適切なものとなるよう勧告してまいりたいと考えています。

 本年の調査作業の進捗状況と特徴点につきましては、職種別民間給与実態調査は、4月25日から6月17日にかけ、人事院及び大阪府人事委員会等と共同で、全産業を対象として、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の市内417民間事業所を抽出して行いました。現在、勧告に向け、公民比較に向けた作業を進めておりますが、民間給与を取り巻く状況は、全国の状況と比較し、個々の産業や企業によって様々な状況にありますが、全体として改善されている状況が見られるところです。

 給与制度につきましては、公民比較の在り方や賃金センサスの参考としての活用、給料表の構造、定年引上げの実施を前提とした高齢層職員の給与の在り方などの課題について、研究検討していく必要があると考えています。

 また、本市の保育士及び幼稚園教員については、その給料表の改定の必要性について、平成25年より実施している保育士・幼稚園教員民間給与調査結果のほか、その職務の重要性、処遇確保の必要性、賃金センサス結果に基づく一般的な民間従業員の給与の状況、国及び他都市の状況、本市の保育士及び幼稚園教員以外の職員の給与改定の状況等を総合的に考慮して、引き続き検討する必要があると考えています。

 人事管理制度につきましては、これまで様々な意見を申し述べてまいりましたが、今後とも、必要に応じて、長期的視点に立った組織・人員体制の構築及び人材育成、定年の引上げに伴う対応、人事評価制度のほか、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、仕事と家庭の両立支援、長時間勤務の是正、働きやすい職場環境の整備、ハラスメントの防止といった課題について、適宜、意見を申し述べてまいりたいと考えています。なお、定年の引上げについては、昨年6月に「国家公務員法等の一部を改正する法律案」及び「地方公務員法の一部を改正する法律案」が成立、令和5年4月に施行されることとなりました。本委員会としても、まず定年引上げが円滑に行われるよう、また、高齢層職員の給与、環境整備等について、任命権者において適切に運用が図られるよう意見を申し述べていきたいと考えています。

 本年の勧告時期につきましては、例年並みの日程を勘案しつつ努力してまいりたいと考えています。

組合 ただ今、本年の民間給与の状況について、全国の状況と比較し、個々の産業や企業によってさまざまな状況にあるものの、全体として改善されている状況となっているとの内容が示された。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、引き続き、厳しい状況であることは想定されるが、本年の勧告内容についても民間給与実態を精確に把握しつつ、大都市における職員の生活実態を考慮した上で、私たちの生活を守るための賃金水準を維持するよう求めておく。

 給与制度については、調査対象企業規模を50人以上とした比較方法を改め、以前の調査対象企業規模に戻すとともに、団体交渉によって賃金・労働条件を決定している事業所を対象とすることも申し入れている。さらに、賃金センサスの活用に関してもその調査対象や調査時期等、問題点が多く、その活用は認められるものではないことも指摘しておく。

 現在の給料表構造と昇給制度については、給料表と昇給制度の乖離が大きく、定年の引き上げに伴い各級最高号給に位置付けられ昇給できない職員が、さらに増加することは明らかであり、職員の勤務意欲の観点からも研究・検討ではなく、早急に抜本的な見直しが必要である。人事委員会として、改めて総合的な人事・給与制度の構築を言及するよう要請する。

 定年の引き上げとそれに関連する課題については、高齢層職員の給与、環境整備等について、任命権者において適切に運用がはかられるよう意見を申し述べるとの考えが示されたが、国や他の政令市、都道府県とは異なる大阪市独自の事情と業務実態を踏まえ、その解消と定年まで安心して働き続けることができる高齢期雇用施策の一層の充実に向け言及するよう求めておく。

 さらに、人事評価制度については、一昨年に人事委員会より言及された、絶対評価点と相対評価区分の不整合等の課題が、依然として改善されていないことから、人事委員会として、早急かつ確実な実施に向け、改めて言及するよう強く要請する。

 また、人事院の勧告及び報告内容の十分な分析はもちろんのこと、安易に人事院勧告に追随することなく、他都市人事委員会の動向にも注視しつつ、大阪市で働く職員の生活実態を十分に考慮して作業にあたられるよう求めておく。

 最後に、勧告時期について、例年並みの日程を勘案しつつ努力しているとのことであるが、近年の勧告時期が過去と比べて遅くなっていることに、市労連として問題意識を持つものである。人事委員会の報告・勧告を受け、その後、給与改定をはじめ確定交渉を行っていくことから、勧告時期が遅くなればなるほど交渉期間が圧縮されることとなる。職員の賃金・労働条件は、労使間の主体的な交渉・協議によって決定されることが大前提である。四囲の状況からも、人事委員会の作業が非常に困難なことは認識しているが、交渉期間を確保するということを踏まえ、人事委員会として可能な限り勧告時期を考慮すべきである。そのことについて、改めて強く要請しておく。

 これまで申し上げてきたとおり、この間、私たちの実質賃金が大きく引き下げられてきたことに鑑みて、人事委員会が、労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮し、改めて、中立機関としての独立性を堅持しつつその職責を果たされるよう求めておく。

行政委員会事務局 本委員会は、給与報告・勧告を行うにあたり、これまでも、地方公務員法に基づき、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきたところでございます。

 本日お聞きした内容等については、人事委員会に報告させていただきたいと考えております。

「2022年統一賃金要求に関する申し入れ」に対する回答
申し入れ項目 回   答
1 人事委員会は地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、勧告に際しては、労使合意事項、労使交渉の経過、組合の意見を十分尊重すること。  地方公務員法第14条第2項及び第26条により人事委員会に与えられた権限(給与報告・勧告等)は、人事委員会の専門的で公正な中立機関としての判断により、職員の適正な勤務条件を確保するとともに、報告(勧告)に基づく給与は適正なものとして、市民の理解を求めるよりどころを与えるものであると考えており、今後も適切に対応してまいりたいと考えています。
2 勧告内容にかかわっては政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、中立・第三者機関としての立場を堅持し、公平・公正な立場で作業を進めること。
3 勧告にあたり、地公法第24条第2項に規定する給与基準を考慮する場合、大都市における生活事情を正確に把握し、反映すること。その上で、給料表作成にかかわる内容は労使交渉による決定事項であり、具体的中身に踏み込まないこと。  生計費の算定は毎年4月における費目別平均支出金額を基礎として行い、給与勧告資料の労働経済指標において全国と本市民間の生計費・物価の状況を比較するとともに、標準生計費(理論生計費)の算定・公表を行っているところです。
 給料表の勧告については、人事委員会の説明責任、機能発揮の観点から研究を行っていく必要があると考えています。
4 民間給与実態調査及び公民給与の比較を行う場合は、合理的な方法を採るよう努めるとともに、下記の内容を踏まえて改善すること。
(1) 調査対象企業規模50人以上とした比較方法を改め、少なくとも以前の調査対象企業規模に戻すこと。また、団体交渉によって賃金、労働条件を決定している事業所を調査対象とし、「会社更生法等の適用企業」は調査対象から除外すること。
  調査対象企業規模については、国において平成18年より企業規模50人以上100人未満の事業所についても調査対象とされ、本市においても、民間給与実態調査は人事院等との共同調査であることから同様に実施してきたところであり、今後とも国等の動向を踏まえ、対応してまいりたいと考えています。
 民間給与実態調査は、民間事業所を無作為で調査することが職員の給与額の適正性に対する市民の理解を得る大きな要素となっており、作為的に一部の事業所を対象除外とすることは誤解を招きかねず、加えて、現実の問題として、当該調査が人事院等との共同調査となっていることからも、本委員会のみ調査対象の考え方を変更することは困難であると考えています。
(3) 比較給与の範囲は、原則として公務員の基本給に相当する給与とすること。  民間においては、いわゆる基本給部分と呼ばれるものであっても、資格給、年齢給、職能給等さまざまな要素で組み立てられている場合が多く、一律に基本給部分をどこまでとみなして調査することは困難であると考えています。
 一方、昨今の人事給与制度の変革の流れの中で、民間の給与の構造は大きく変貌の様相を見せており、今後とも、より精密な公民比較を行うため、研究を続けてまいりたいと考えています。
(4) 比較にあたっては、年齢だけでなく経験年数を加味すること。   経験年数について調査が可能となれば、年齢との2つの要素の組み合わせで公民比較を行うという新たな手法も考えられますが、民間のデータを調査する際に、正しくデータを分析するためにも同種外部経歴等の経験年数換算を行う必要がありますが、調査対象企業にそれらのデータを求めることは困難であることから、現実的には経験年数を調査することは難しいケースが多く、調査効率や調査の正確性が損なわれるおそれが多分にあります。また、全国一律の調査様式など、現実の問題として、本市独自でクリアすることは非常に困難と考えています。
 なお、「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会」報告書においても、民間給与実態調査の基礎となる民間企業の賃金台帳には、勤続年数の記入は義務づけられていないことなど調査技術上の問題等が存在しているとされているところです。
(5) 精確な公民較差を算出するため、春季賃金改定状況を把握した上で、積み残し事業所を追加調査し、追加較差を算出すること。  例年、積み残し事業所の追跡調査については、人事院が定めた調査期限一杯のところまで努力しているところです。
(6) 特別給については、調査・比較方法を改め、公民同一基準による精確な月数算定を行うこと。  特別給に関する現行公民比較方式については、人事院等との共同調査という枠がある中で、調査対象を本市独自で設定することは困難であると考えています。
 なお、特別給の調査については、平成16年より前年夏冬の調査から前年冬と当年夏の調査に改められているところです。
(7) 賃金センサスについては、月例給や特別給における調査データのタイムラグや、実費弁償的な要素の強い通勤手当額を分離できないことなど問題が多いことから、ラスパイレス比較するためのデータとしては不適当であり活用しないこと。  賃金センサスについては、平成24年6月に施行された大阪市職員基本条例第24条第3項において、人事委員会は、民間事業者における給与水準及び勤務条件の実態を把握するため、直近の賃金センサス等を参考として活用しなければならないとされていることから、その活用について研究を進めてきたところです。
 その結果、本委員会としては賃金センサスを民間給与調査の代替としてそのまま用いることには無理があると考え、役職段階や年齢等に応じた給与水準等の民間給与の傾向を把握するものとして活用するという方法をとったところであり、その際には、市内の事業所における雇用形態や職種が職員と同種の者を対象とし、経年的なデータのバラつきなどを考慮して直近3年間の調査データを用いることとしています。
(8) 研究職給料表については、職務給の原則に基づいて課長代理級にふさわしい給与制度を勧告すること。  研究職給料表について、行政職給料表等と同様に、職務給の原則の徹底という観点から、本市における人事運用の実態を踏まえながら検証・検討してまいりたいと考えています。
(9) 保育士及び幼稚園教員については、職務の重要性や国の動向等を踏まえた給料水準となるよう勧告すること。  保育士及び幼稚園教員の給与につきまして、民間の保育士又は幼稚園教員の給与水準だけではなく、その職務の重要性、処遇確保の必要性、他都市の状況、本市保育所及び幼稚園の運営への影響や、賃金センサス結果に基づく一般的な民間従業員の給与の状況等を考慮して検討すべきであると考えています。
5 2012年8月の給与制度改革に伴う大幅な給与水準見直しに関し、是正に向け、具体的に踏み込んだ対応を求めるとともに、50歳台後半層における昇給制度について、国とは異なる地方自治体の実態を踏まえ改善をはかること。  平成24年8月の給与制度改革に伴う影響等や、50歳台後半層の昇給制度については、職務給の原則の徹底という観点から、本市における人事運用の実態を踏まえながら検証・検討してまいりたいと考えています。
6 諸手当について、とりわけ住居手当は、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた住居手当制度を確立するとともに、持ち家にかかる手当の精緻な調査を行うこと。また、地域手当については、本給繰り入れを基本に改善すること。  本市職員の住居手当については、この間の職種別民間給与実態調査結果から、民間との均衡が一定図られておりますが、国及び他都市状況等を注視しながら引き続き調査・研究してまいりたいと考えています。
 また、地域手当については、国家公務員において、民間賃金の地域間格差が適切に反映されるよう、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し支給することとされているもので、国の制度にならった手当のひとつであります。人事委員会としては、民間との比較給与の中に含めて較差を算出していますが、手当の配分や制度の在り方などについて、国や他の自治体の動向も見守りつつ、今後とも研究してまいりたいと考えています。
7 高齢者雇用制度について、年金と雇用の確実な接続と生活できる給与水準を保障すること。特に、段階的定年延長が実現するまでの間は、再任用制度について、60歳以降も安心して働きつづけることができる雇用環境の整備に向け、本市の業務実態を十分ふまえ、充実した制度となるよう具体的に勧告すること。  60歳以降の雇用確保策や人事・給与制度などについては、平成30年に人事院が「定年を段階的に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」を行い、本委員会としても、定年を引き上げることの妥当性について言及してきたところです。昨年6月には定年引上げについて法改正が行われ、令和5年4月に施行されるにあたり、本委員会としても、昨年は高齢層職員が職場で力を発揮できる環境の整備や、長期的視点に立った業務執行体制の構築についての継続的な検討に言及したところです。任命権者において定年引上げが円滑に行われ、その運用が適切になされているか注視してまいりたいと考えています。
8 年間総労働時間1,800時間を早期に達成するため、実効性ある超過勤務規制のための施策推進や年次有給休暇の取得促進、業務量に見合う人員確保策など、総労働時間短縮に向けた具体的な方策を示すよう努めること。  働き方改革関連法の施行に伴い、本市においても長時間勤務を是正するため、時間外勤務の上限規制等を導入するなど関係規則等の改正が行われたところです。本委員会としては、労働基準監督機関としての機能を適切に発揮し、各事業場の取組状況を把握の上、必要な改善指導を行ってまいります。
9 すべてのハラスメント対策については、積極的な防止策を講じるよう言及すること。また、男女共同参画社会の実現に向けて、必要な施策が確立できるよう勧告すること。  ハラスメント対策や、男女共同参画社会の実現に向けての取組みなどについて、重要な課題として長年注目しており、本委員会では、これまで人事委員会勧告・報告において、言及してまいりました。今後とも、必要に応じて適宜意見を申し述べてまいりたいと考えています。
10 福利厚生について、各種制度、各種施設、支給などの実態を調査し、地公法42条の趣旨に沿った制度構築に努めること。  給与以外の勤務労働条件等について、人事院は毎年項目を変えて民間給与実態調査の調査票の中に盛り込んでいるところでありますが、一方、民間給与実態調査は人事院・大阪府等との共同調査であり、調査対象企業の負担増を招くことにより調査結果に影響を及ぼすことから、現実的には本市独自の調査を行うことは困難であると考えています。
11 私たちの意向を反映の上、早期勧告に向けて努力し、労使交渉期間を確保すること。  適切な時期に給与報告・勧告を行うことができるよう、努めてまいります。
 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会