更新日2019年1月15日
2018年賃金確定・年末一時金闘争第3回対市団体交渉
市労連は、1月9日(水)午後5時00分より三役・常任合同会議、午後5時45から闘争委員会を開催し、対市団体交渉を含む2018年賃金確定要求・年末一時金問題について協議を行い、1月10日午前9時30分より第3回対市団体交渉に臨んだ。
給与改定及び一時金については、11月13日の第2回団体交渉ですでに確認していることから、今回は、それ以外の勤務労働条件を中心とする確定要求項目に対する回答が市側から示された。
市労連は、傷病手当金の受給期間が短くなる課題については、一定の改善がされたものの、他都市にはない病気休暇取得時の3日間が無給となる制度に問題があると指摘し、引き続き制度の廃止を求めた。また、傷病手当金附加金の廃止に伴い、休職期間中に生じる6月の無収入期間の解消については、雇用責任を果たすよう、引き続きの対応を求めた。
休暇制度に関しては、育児に関する職務免除の継続運用、子の看護休暇の対象範囲を中学校就学前までに拡大、また、事実婚の場合に取得できる休暇制度等について、LGBTなどのいわゆる性的に少数者とされている職員も利用可能としたことについては、一定の理解を示した。
しかしながら、災害時の特別休暇や交通費負担、不妊治療に関する休暇等の対応については、継続協議として対応を求めた。
市労連として、これまでわれわれが求めてきた経過からすると不満な点はあるものの、2018年賃金確定闘争における一定の到達点として市側回答提案を基本了解し、今後、必要な協議に関しては市側の誠意ある対応を改めて求め団体交渉を終了した。
市側 給与改定に関しては、11月13日の本交渉において、人事委員会勧告どおり、給料表を平成30年4月1日に遡及して引上げ、期末・勤勉手当についても本年度の12月期から年間0.05月引き上げることを提案し、合意いただいたところである。
以降、その他の要求項目について、引き続き協議を行ってきたところであるが、本日はこれまでの協議内容を踏まえ、「賃金確定要求」に対する回答を行いたいのでよろしくお願いする。
内容については各担当課長から説明する。
以上、私どもとしての精一杯の回答であるので、よろしくお願いする。
組合 市労連は、10月12日の第1回団体交渉の申し入れ以降、組合員の賃金・勤務労働条件改善に向け、事務折衝・小委員会交渉を精力的に積み重ねてきた。
給与改定及び一時金に関しては、11月13日の第2回団体交渉ですでに確認しており、「2018年賃金確定要求」に関する残る課題について、この間の交渉・協議を踏まえた回答が示されたところである。
市側回答についてであるが、諸手当の項目では、まず、災害時における交通費の自費負担の解消については、各所属の判断において物件費として支出しているとの回答であるが、そのことが結果として、所属ごとでの対応にばらつきが生じている。その課題整理に向けた市側としての考え方を明らかにされたい。
市労連は、この間、課長代理級の課題については、職務職責に見合った処遇の改善を求めてきた。特に、研究職の課長代理級に関しては、非管理職となると同時に、下位級の給料表に移行させられたことから、新たな給料表の作成も含めて処遇改善を求めてきたところである。とりわけ研究職についてであるが、府市統合による独立行政法人化に伴っては、課長代理級の新たな給料表も作成されている。こうした状況を踏まえるならば市側回答については極めて不満と言わざるを得ない。今後も研究職における代理級はもとより、課長代理級全般にわたる処遇改善に向けて、引き続きの協議を行うよう求めておく。
保育士、幼稚園教員の労働条件については、3年前に給与水準が引き下げられ、職員のモチベーションが低下している。その職の重要性からも、大阪市として、現在の給与水準について検証すべきであると認識しているが、市側の考え方を示されたい。
さらに、教職員については、昨年の人事委員会勧告・報告でも、新たな人事給与制度は教育職員の人材育成に寄与し、教育職としての執務意欲を高め、学校園の活性化につながるものが求められているとされている。賃金をはじめ、勤務・労働条件を維持向上することが、教職員の士気高揚につながり、ひいては、すべての子どもやその家族にとって、より一層安心した教育が受けられることにつながることから、大阪府からの権限委譲により引き下げられた労働条件の残る課題の解決に向けて、引き続き誠意をもって協議を行うよう求めておく。
また、教職員の初任給の課題については、一定の整理がはかられたものの、新たな課題も生じており、課題解消に向けた対応を求めておく。
総合的な人事・給与制度については、2012年の給与制度改革以降、多くの組合員が昇給・昇格もできずに各級の最高号給の適用を長年受けている。市労連として、現行の給与水準を回復させた上で、組合員の勤務意欲向上につながるよう、昇給・昇格条件の改善を含めた総合的な人事・給与制度の構築を求めてきたところである。しかしながら、本確定交渉においても、具体的な対策案が市側から示されなかったことは、不満であると言わざるを得ない。引き続き、日々努力を重ねている組合員の頑張りや実績が報われるよう、総合的な人事・給与制度の構築について改めて示されたい。
人事評価についてであるが、市労連として、この間、公平・公正な人材育成のための評価制度となるよう求めている。公務に馴染まない相対評価の導入自体市労連として合意しておらず、廃止を求めることに変わりはないが、市側の一方的な運用をさせない立場から、改善すべき点は改善すべきであると考えている。また、市労連として人事評価による給与への反映については労使交渉事項と認識するところであるが、市側の認識を明らかにされたい。
この間、市労連としては、相対化を行うことによって絶対評価と相対評価の乖離が大きく、職員の士気に影響を及ぼし、人材育成からは程遠い制度であることを再三指摘してきた。また、人事委員会からは、絶対評価基準の一層の明確化や相対評価制度のあり方などの検討が言及されている。相対化が導入されて6年が経過しており、制度上の運用での特例幅を広げるなど柔軟な対応も含めて、抜本的改善の検討を改めて強く求めておく。
超過勤務時間の縮減は、早急に解決すべき課題であると認識しており、国においては超過勤務命令の上限を人事院規則で定めることとされている。大阪市においても超過勤務命令の上限設定の条例化など、国の措置を踏まえた対応が必要であると考えるが、市側の考え方を明らかにされたい。
福利厚生については、職員の働き甲斐や勤務意欲向上という観点からも、福利厚生事業の充実は必要不可欠であることを、例年、確定交渉の場で指摘している。にもかかわらず、市側は例年同じ回答を示しているが、福利厚生事業の充実はメンタルヘルス対策の一環にもなり、結果として大阪市政の発展に繋がるものであることを、この間、市労連として述べてきたところである。市側として、福利厚生事業の重要性を再認識し、施策の充実に向けた全市的な対応を強く求めておく。
傷病手当金の受給期間が短くなる課題について、一定の改善がされたが、そもそも他都市にはない病気休暇取得時の当初3日間が無給となる制度が問題であり、その制度の廃止を求めておく。
また、傷病手当金附加金の廃止に伴い、休職期間中における6月の無収入期間の解消については、具体的な回答が示されておらず、職員に無収入の期間が生じないよう、引き続きの対応を求めておく。
パワーハラスメントの課題については、職場の人間関係やさまざまな要因があることから、迅速かつ慎重な対応が必要であり、所属任せにせず、市としての対応も求めておく。また、パワーハラスメントのみでなく、あらゆるハラスメントは職場から無くすべきものであり、今後もハラスメント対策について、大阪市総体として取り組み、働きやすい職場環境に向けたさらなる改善を求めておく。
休暇制度についてであるが、インフルエンザ等の3日無給の特例の取り扱いや、育児に関する職務免除の継続運用、子の看護休暇の対象範囲を中学校就学前までへの拡大、また、LGBTなど、いわゆる性的に少数者とされている職員も事実婚の場合に取得できる休暇制度等を利用可能としたことは、一定、理解できる内容である。
しかしながら、災害時の退勤時における特別休暇や勤務体制のあり方、不妊治療に関する休暇等の対応については、具体的な回答が示されておらず不満であり、継続協議として早急な対応を求めておく。
勤勉手当の原資グループの変更については、教育委員会事務局に所属する指導主事について、市長部局の原資グループに含めて支給月数を算出する回答内容について、この場で確認する。
以上、市側の回答に対して、われわれの思いを述べた。改めて市側の認識を示すよう求める。
市側 委員長から様々な指摘をいただいたのでお答えしたい。
まず、災害時における交通費についてであるが、各所属においては、必要と認められる範囲で適切に支出しているものと認識している。その上で、災害発生時の対応については、動員体制等を含めて総合的に整理する課題であると考えており、引き続き検討してまいりたい。
保育士及び幼稚園教員の給与については、人事委員会の意見を踏まえ、民間の保育士及び幼稚園教員の給与水準に加え、取り巻く諸般の状況を考慮して、新たな給料表を平成27年4月に導入したものであり、今年度は人事委員会の意見に基づき、保育士給料表の改定を行ったところである。また、幼稚園教員については、「若年層の給与が民間を下回っているような状況が見られないため、幼稚園教育職給料表を改定する必要はないと判断する」とされたところである。今後も人事委員会の意見を注視しつつ、引き続き協議に応じてまいりたい。
昇給・昇格改善を含めた人事・給与制度の構築については、この間の交渉において、号給延長や55歳以上昇給停止の見直しなどの要求をいただいている。号給延長については、職員の平均給与が上昇し公民較差に影響すること等、多くの課題があることはこれまでの交渉でも申し上げたとおりである。また、人事委員会からは、今年度は「職務給の原則を踏まえると、これ以上の号給の増設については慎重に検討する必要がある」とされているところであり、高齢層職員の処遇については「定年の引上げを念頭に検討していく」とされているところである。これらの課題や実態を分析のうえ、人事委員会の意見を注視しながら、職員の勤務意欲の向上の観点から、引き続き検討してまいりたい。
人事評価の給与反映について、交渉事項として協議を重ねてきているところである。今後とも職員の士気の向上につながる制度となるよう、制度検証を積み重ね、引き続き協議に応じてまいりたい。
超過勤務時間の縮減についてであるが、国からは、条例に超過勤務命令の上限を定めるための委任規定を設け、具体的な上限時間等については人事委員会規則で定めるよう助言を受けているところであり、この趣旨に即した対応を図ってまいりたい。
その他にもこの間、交渉を重ねてきたものの決着に至らなかった項目がある。これらについても引き続き協議に応じてまいりたい。
組合 市側から、われわれの指摘に対する認識が示された。組合員の勤務労働条件にかかわる課題は、確定闘争だけでなく通年的に継続して協議を行うべきであり、市側の誠意ある対応がなければ解決できないものである。
申し入れの際にも述べたが、組合員の給与水準は、給与制度改革やこの間の人件費削減により、大きく引き下げられており、生活実態は限界に達していることは言うまでもない。組合員は、こうした厳しい生活実態にあっても、市民生活と市政発展のため日々努力を惜しまず業務に励んでいる。組合員の生活を鑑みない市側の姿勢は、使用者としての責務を果たしているとは言い難い。市労連として、本日の団体交渉は、これまでの交渉で明らかになった課題の解決に向け臨んでいる。市側には、継続協議として扱うこととした課題に関しては、改めて真摯な姿勢と誠意ある対応を要請しておく。
その上で、本日示された市側回答については、これまで市労連が求めてきた経過からすると不満な点はあるものの、2018年賃金確定闘争における一定の到達点として市側回答提案を基本了解し、各単組の機関判断を行った上で改めて回答することとする。
以 上