更新日:2018年10月15日
2018年賃金確定・年末一時金闘争第1回対市団体交渉
市労連は、10月10日(水)午後5時から三役・常任合同会議を開催し、2018年の「賃金確定・年末一時金」問題を協議するとともに、10月12日(金)午後4時45分より、2018年賃金確定・年末一時金の第1回対市団体交渉を行った。
団体交渉で、市労連は「2018年賃金確定要求」を申し入れ、本年の人事委員会勧告では、月例給・一時金ともに較差が小さいものの、引き上げ改定がされていることから、給料表の早急な引き上げ改定と一時金の年内清算を求めた。また、組合員の勤務意欲の向上につながるよう、昇給・昇格改善を含めた総合的な人事・給与制度の早急な構築や、災害発生時における勤怠・労働条件の整理・改善などを求めた。
また、確定とは別個の課題である、技能労務職員給与の見直しについて、引き続き、十分な資料を提示した上で説明するなど、誠実な交渉を行うよう求めた。
その上で、「団体交渉は、労使合意という、あたりまえの労使間ルールを市側が守らなければ解決はあり得ない」など、市労連として確定闘争に臨む基本姿勢を表明し、労使間で主体的に交渉を進めていくにあたっての市側の考え方を明らかにするよう求めた。
市側は、「要求内容及び人事委員会からの勧告内容並びに国、他都市の状況等、慎重に検討し、精力的に交渉・協議のうえ、早急に回答する」との考えを明らかにした。
市労連は、市側の一方的な思いだけでは労使合意はあり得ず、市側の誠意ある対応をあらためて求め、団体交渉を終了した。
組合 2018年賃金確定並びに年末一時金にかかる交渉をはじめさせていただく。
市労連は、10月10日に開催した、市労連定期大会において「2018年賃金確定要求」を確認したので、先ず冒頭に申し入れる。
2018年賃金確定要求書手交
詳細については、書記長より説明させていただく。
2018年10月12日
大阪市長 吉村 洋文 様
大阪市労働組合連合会
執行委員長 吉田 隆一
2018年賃金確定要求
賃金決定基準の改善等の具体要求項目について、大都市事情を反映した制度改善をはかること。また、保育士及び幼稚園教員の給与水準を回復させるとともに、技能職員給与の改悪・引き下げを行わないこと。
給与制度改革による給与水準低下を回復させた上で、組合員の勤務意欲の向上につながるよう、労使合意の下に総合的な人事・給与制度を構築すること。
給与構造改革による未解決課題に対し、必要な改善措置に取り組むこと。
1.給料表
給料表については、国・他都市の較差を踏まえつつ、大都市事情を十分考慮して検討すること。給与改定については、人事委員会の勧告に基づいた取り扱いとすること。とりわけ、給与制度改革において給料表の制度改悪が行われていることから、職員構成の実態を踏まえ、早期に水準の回復をはかること。
2.諸手当
諸手当については、国・他都市の動向、民間支給状況を見極めつつ、大都市事情を考慮して検討すること。住居手当については、労使合意を前提に持家にかかる手当の回復及び、制度の維持・改善をはかること。また、扶養手当については、現行水準を維持すること。通勤手当について改善をはかるとともに、災害時における交通費の自費負担を解消すること。地域手当については、現行の支給水準を維持するとともに、本給繰り入れを基本に支給率の改善をはかること。手当の改廃については、職務の実績を鑑み、慎重かつ適切に対応すること。
3.初任給基準(中途採用者を含む)については、大都市事情を十分踏まえ検討を行うこと。
4.格付・昇格・昇給基準
(1) 格付基準(臨時期間・前歴の格付基準を含む)の改善・充実をはかること。
(2) 休職者等の昇給抑制者に対する復職時調整の改善をはかること。
(3) 昇格枠とりわけ行政職3級昇格枠の拡大をはかるとともに、専門職については、専門性に応じた昇格制度に改善すること。
(4) 技能労務職2級昇格条件の改善をはかること。
(5) 行政職4級への格付について改善をはかること。
5.専門職の給料表については、他都市・人事院勧告の較差水準を踏まえつつ、大都市事情を考慮して検討すること。特に、看護師については人材確保の観点から検討すること。また、福祉職給料表については国・他都市の動向を注視しつつ、慎重に調査・研究を行うこと。
6.技能労務職給料表については、人事委員会の「技能労務職相当職種民間給与調査」による公民比較は、正確性に欠けることから、それらに基づく改悪を行わないこと。
7.保育士については、給与水準の回復とともに昇格枠の拡大をはかること。
8.教職員の給料表及び勤務労働条件については「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」や「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」を鑑み、「情勢適用の原則」「均衡の原則」に基づいた現行水準の適用と、学校現場の実態に即した制度を構築すること。
9.課長代理級については、その職務職責に見合う給与制度とすること。
10.職員が不安なく職務に専念できるよう、総合的な人事・給与制度を早急に構築すること。
11.一時金の支給方法の改善をはかること。
12.人事評価制度については、公平・公正性、透明性、客観性、納得性を確保し、組合員の十分な理解の下に人材育成のための制度となるよう検証・改善を行うこと。
13.「職員基本条例」に基づく相対評価による給与反映は即時廃止すること。また、人事評価結果の昇給制度への活用は、給与制度改革の実施に伴い、評価結果が昇給に反映されない組合員が多数存在することも踏まえ、慎重に検討を行い十分な交渉・合意により改善をはかること。
14.職員基本条例に基づく分限処分は行わないこと。
15.業務上交通事故に対する失職の特例を定めるなど、分限にかかる基準を見直すこと。
16.夜間勤務手当及び超過勤務手当(深夜超勤を含む)の支給率の改善をはかること。
17.勤務時間については、ワーク・ライフ・バランスの重要性を踏まえ、労使合意を前提に年間総労働時間の短縮に取り組むこと。
18.その他
(1) 職員の福利厚生については、制度設立の意義を踏まえるとともに、地方公務員法42条の使用者責任(義務)に基づいて、労使で十分な意見交換・協議を行いながら、「安心して働き続けることのできる制度の確立」「組合員の働き甲斐」につながる福利厚生制度の確立・充実をはかること。
(2) 休職者の生活保障の観点から支給内容などの改善をはかるとともに、傷病手当金の受給期間が短くなる課題を解消すること。また、傷病手当金附加金廃止の代替措置を講じること。
(3) 近年の休職者の実態を踏まえ、「大阪市職員心の健康づくり計画」を十分に踏まえたメンタルヘルス対策の一層の充実をはかること。特に、心の健康の保持・増進の観点から職場における勤務環境の改善をはかること。また、職場におけるパワーハラスメント対策について、相談体制のさらなる充実など、防止に向けた取り組みの充実をはかること。
(4) 病気休暇の当初3日無給の取り扱いの廃止をはじめ、休暇・休職制度の運用改善をはかり、現行の休暇・職免制度の改悪を行わないこと。特に、育児に関する職免を廃止しないこと。また、各制度において取得しやすい職場環境の整備をはかるとともに災害発生時の職員の安全を確保するための休暇制度を構築すること。
(5) 定年退職後の生活設計の支援として、再任用を希望する全職員の雇用を確保すること。また、定年延長も視野に入れ、業務実態を十分に踏まえた高齢者雇用制度を構築し、雇用と年金の確実な接続と生活できる給与水準の保障を前提とすること。当面の再任用制度の諸課題については、十分な労使交渉と合意を前提に充実・改善をはかり、大阪市にふさわしい制度として確立するよう努力すること。
(6) 職業生活と家庭生活の両立支援については、特定事業主行動計画の周知徹底と、計画の推進をはかりつつ、支援制度の充実を行うこと。また、両立支援を目的とする休暇・休業制度などの検証を行い、勤務環境の整備をはかるとともに、男性の取得促進に取り組むこと。
(7) 臨時・非常勤職員及び任期付職員の勤務・労働条件については、地方公務員法改正や国・他都市の状況を踏まえ、早急に「会計年度任用職員」制度導入に関する考え方を示し、十分な労使交渉と合意に基づいた実施とすること。制度実施にあたっては、雇い止めや労働条件の引き下げを行わず、処遇を改善すること。任期付職員制度については、職の流動化や人件費抑制を意図する運用を行わないこと。
19.実施時期については、2018年4月1日とし、清算を年内に行うこと。
「2018年賃金確定要求」については以上であるが、すでに各単組において、年末一時金にかかる申し入れも行ってきており、本日以降、従来どおり市労連統一交渉を通じて解決をはかっていくことを申し上げておく。
市労連は、3月14日に市側に対して「2018年統一賃金要求に関する申し入れ」を行うとともに、具体化に向けて取り組みを進めてきたところである。
9月28日、大阪市人事委員会は、月例給について平均で453円、率にして0.11%の引き上げ、一時金については0.05月分を引き上げ、年間4.45月分とする勧告を行った。大阪市においては、職員・組合員の給与水準が引き下げられていることから、今回の勧告結果は、較差が小さく不満ではあるものの、引き上げという観点からすると当然の結果として受け止めている。しかしながら、人事委員会は本年の公民比較においても、スミルノフ・グラブス検定を用いて平均値からの乖離が極端なデータを除外して比較を行った。市労連として、人事委員会がこのような、明らかに国や他都市とは違った取り扱いを行うのは、市側からの一方的な要請により、職員の給与水準を意図的に引き下げることが目的であると考えるところである。いずれにしても、正確な公民比較とは言えないことから、このような取り扱いは即刻改めるよう、人事委員会に対して強く指摘してきたところである。
すでに給与勧告が行われている他の政令市でもほぼ同様の状況であり、今回の勧告内容は、組合員にとって大きな期待を持つものである。われわれとしては人事委員会より勧告された公民較差を踏まえ、給料表の早急な引き上げ改定を行うべきと認識している。
人事委員会が第三者機関であることを踏まえ、市側として実施時期も含め、労働基本権制約の代償措置である人事委員会の勧告内容を尊重し、早期にその実施をはかるべきである。
とりわけ、年末一時金について、昨年は基準日の12月1日までに条例改正が行えず、引き上げ分の差額清算が越年となった。本年については、そのような事態を生じさせることなく、年内清算を行うよう指摘しておく。
保育士給料表については、勧告において、本市保育士の若年層の給与が民間を下回っていることから、初任給を含む若年層を中心に引き上げるが、幼稚園教育職給料表については改定すべき状況にはないとされている。保育士及び幼稚園教員については、2015年に独自の給料表が策定され、給与水準が引き下げられた経過がある。保育士及び幼稚園教員の職務の重要性に鑑み、人材確保の観点から処遇確保の必要性、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、現行の幼稚園教育職給料表、保育士給料表の改善を求めておく。
教職員については、優秀な教員の確保策の一環として、初任給水準の引き上げと研修制度の充実が、教育委員会で決定された。教職員については、現在、長時間労働が社会問題視されている状況にあるが、教職員の士気の高揚が、子どもたちの教育条件や教育環境の維持・向上に繋がることから、そのような内容を十分踏まえ、学校現場の実態に即した制度の構築を要請しておく。
総合的な人事・給与制度ついては、この間、市労連として再三指摘しているが、給与制度改革で最高号給が大幅に引き下げられたことにより、多くの組合員が昇給・昇格もできずに、各級最高号給付近に留められており、組合員のモチベーションは、低下する一方である。組合員の勤務意欲の向上につながるよう、給料表構造等の抜本的見直しを行うとともに、昇給・昇格改善を含めた総合的な人事・給与制度を、早急に構築するよう求めておく。
諸手当にかかわっては、夜間看護手当、宿日直手当について国における改正の状況、及び大都市事情を踏まえて引き上げるよう求めておく。
休職者にかかわる傷病手当金について、2017年4月に休職給と傷病手当金の支給順序を入れ替えたことから、病気休暇取得時に当初3日間が無給となった場合、傷病手当金の支給期間が実質的に短くなることが明らかになった。組合員の不利益とならないよう、この課題の解消に向けた早急な対応を求めておく。
長時間勤務の是正は、早急に解決すべき課題であると認識しており、国においては、超過勤務命令の上限を人事院規則で定めることが言及された。地方公務員においては、労基法33条の規定もあることから、上限規制の条例化など、国の措置を踏まえた対応を求めておく。
6月の大阪北部地震や9月の台風21号、24号などの大規模な自然災害が頻発する中、組合員は市民の生活と安全を守るため、公務・公共サービスに従事する労働者として精力的に職務に取り組んでいる。その一方で今回の災害発生時において、勤怠や業務対応のルールが不明確であったため、現場において混乱を生じる結果となった。こうした事態を解消するためにも、災害発生時における勤務労働条件の整理及び改善を早急に行うよう求めておく。
テレワークについては、柔軟な勤務制度の一つの柱として導入の必要性を人事委員会も言及している。テレワークについては、この間、市側において試行実施を行っており、導入にあたっては、十分な検証を踏まえた上での対応となるよう求めておく。
確定とは別個の課題ではあるが、確定交渉にも影響を与えることになるので、技能労務職員給与の見直しについても触れておく。
人事委員会として「多くの職種で年齢・勤続年数区分単位での民間側の調査データ数が少数にとどまっており、有意な比較であるとは言い難い状況もある」とする調査結果データをもとに、有識者会議の議論経過を踏まえ、勤続年数を要素とするラスパイレス比較によってマイナスの公民較差を導いている市側提案については到底納得できるものではない。技能労務職にかかわる2012年と2014年の2度にわたる厳しい交渉の経過を踏まえておらず、技能労務職員の給与の削減ありきのもので許されるものではない。
8月9日の提案以降、継続して交渉を行っているが、引き続き、市側の考え方に至った根拠などについて、十分な資料を提示した上で説明するなど、誠実な交渉を求めておく。
いずれにせよ、団体交渉は、労使合意という、あたりまえの労使間ルールを市側が守らなければ解決はあり得ず、健全な労使関係の下で労使交渉が行われなければならない。市側として組合員の勤務意欲の向上と、その家族の生活実態を十分踏まえ、本日申し入れた要求内容に関し、市側の主体的な努力と誠意ある対応の下で、労使交渉・合意がはかれるよう強く求めておく。
その上で、今後、労使間で主体的に交渉を進めていくにあたって、市側の基本的な考え方を明らかにするよう求める。
市側 ただ今、賃金確定要求に関する申し入れをお受けしたところである。
この件については、皆様方から、去る3月14日に「賃金要求に関する申し入れ」を、先月9月28日には本市人事委員会から「職員の給与に関する報告及び勧告」が行われたところである。また、年末手当については、この間、各単組からの申し入れがなされてきたところである。
私ども公務員の人事、給与等の勤務条件については、制度の透明性を確保しつつ、市民に対する説明責任を十分に果たすことがこれまで以上に求められている。
いずれにしても、本日要求を受けたところであり、今後については、要求内容及び人事委員会からの勧告内容並びに国、他都市の状況等、慎重に検討し、精力的に交渉・協議のうえ、早急に回答をお示ししてまいりたいと考えているのでよろしくお願いする。
なお、確定とは別個の課題ではあるが、技能労務職員給与の見直しについて、今後とも丁寧な説明に努め、誠実に対応してまいりたいと考えているのでよろしくお願いする。
組合 ただ今、市側より「賃金確定要求及び年末一時金について」の現段階における考えが示された。その中で「要求内容及び人事委員会からの勧告内容並びに国、他都市の状況等、慎重に検討し、精力的に交渉・協議のうえ、早急に回答する」との考え方が述べられた。
市労連としては、人事委員会勧告制度が労働基本権制約の代償措置としてある以上、その実施に向けては自主的・主体的に労使で交渉を重ね決着をはかってきたところである。賃金確定・年末一時金は、労使における自主的・主体的な交渉と合意がはかられることが重要であると認識しており、市側の一方的な思いだけでは、労使合意はあり得ないことを申し上げ、市側の誠意ある対応をあらためて求めておく。
以 上