更新日:2018年11月26日
「技能職員等の早期退職特例制度について」第2回団体交渉
市労連は、11月19日(月)、技能職員等の早期退職特例制度について、第2回団体交渉を行った。
市側は、本日の団体交渉で、最終的な判断を求めるが、市側回答は、人員マネジメントの適切な実行とスリムで効果的な業務執行体制の構築をめざすのみにとどまっており、現段階での市側回答の内容では、市労連として回答することは困難であるとしてきた。
また、市側が手続きを進めることに対して、このようなことは、今後許されるものではないことを強く指摘して、団体交渉を終了した。
市 側(人事室長) 技能職員等の早期退職特例制度については、10月に提案を行って以降、小委員会交渉を開催し、本市の考え方について、詳細に説明をさせていただいたところであるが、本日の本交渉の場においても、皆様方のご理解を得るために、改めてご説明させていただきたいと考える。
まず、実施の趣旨としては、市政改革プラン2.0に基づき、財政健全化への取り組みを進める必要があることから、人員マネジメントを適切に行い、スリムで効果的な業務執行体制の構築を目指すものである。
具体的には、平成28年度から平成31年度までの4年間の計画期間中に、市長部局の職員数を、経営システムの見直し等や、万博、G20等の期間を限定した臨時的な増員を除き1000人削減することを一定の達成目標としているところであるが、現時点で厳しい状況となっているため、今回、改めて提案をさせていただいたものである。
この間の交渉において、様々なご指摘をいただいている点についてであるが、まず、対象職種を限定する点については、他都市と比較をすると、本市の技能職員等は依然として多いという現状があるということである。
同様の比較を技能職員等以外の職員で行ったところ、ほぼ同水準であることから、対象職種を限定したところである。
本市としても、単純に他都市に合わせるだけでよいとは考えてはいないが、他の政令市と比較をして多いという現状については、解消する必要があると考えている。
次に、新規採用を再開するよう求められている点についてであるが、現在は、市政改革プラン2.0に基づく人員マネジメントの計画期間中でもあり、まずは、現状定められている計画を着実に実行していくことが重要であると考えているのでご理解をいただきたい。
最後に、先般の本交渉において、今回の提案が労使の信頼関係に対して齟齬を来しかねないと強く指摘を受けたことについてである。
私どもとしても、労使の信頼関係は重要であると考えており、皆様方と同じ認識であるということについて改めて申し上げておきたい。
この間の交渉経過と労使合意の重みについても、決して軽視しているわけではなく、苦渋の思いで提案を行う判断を行ったものであることについても改めて申し上げておきたい。
制度実施に関する説明については以上であり、私どもとして、この間の皆様方からのご指摘に対し、誠意を持ってご説明を行ってまいった。
制度実施に関する諸手続きや職員周知等の期間を考慮すると、本日の交渉において、最終的なご判断をいただけるよう何卒よろしくお願い申し上げる。
組合 市労連は、技能職員等の早期退職特例制度について、市側より提案交渉の要請があり、10月26日に団体交渉を行った。
その中で、市労連は、2017年1月の団体交渉において、1年の継続実施を判断した交渉経過を踏まえておらず、このような行為は労使合意の重みを軽視するものであり、労使の信頼関係に齟齬を来たしかねないことを強く指摘した。
また、大規模な自然災害が頻発し、明らかに人員不足が要因で都市機能が回復していない実態がある中で再提案を行ったことや、対象を技能職員等に限定したことについても指摘した。
さらに、継続的な行政運営の観点から、業務における技術の継承や、年齢バランスの取れた組織構成の確立は重要かつ急務な課題であり、将来を見据えた真の市政改革の視点から、新規採用の再開など、早急な対応策を講じるよう求めた。
市側は、一定の考え方を団体交渉で示したが、明らかにされなかった点や詳細な説明を求めるため、今後は小委員会交渉等において協議を行っていくこととした。
小委員会交渉において、市側からは制度に関する詳細説明と、これまでどおり退職勧奨といった意図はなく、実態的な退職勧奨とはしないとの考え方が示された。また、市側は、他都市と比較して技能職員が多いことを削減の対象とした根拠としているにもかかわらず、他都市との業務の種類・内容を考慮していないことや、行政職同様の業務実態にある技能職員の職務内容について比較の対象から除外していないという事実も、この間の交渉で明らかとなった。
市労連は、職員数が減少する中での現場実態について強く訴えるとともに、団体交渉で指摘した事項について、改めて市側の考え方を質してきた。
しかしながら、市側からは将来の職員構成のあり方について、具体的な回答が示されないまま、本日の団体交渉を迎えている。
本日の団体交渉においても、市側からは、組織の活性化、職員の士気向上、技術の継承の課題は認識しているとしながら、市政改革プラン2.0に基づく人員マネジメントを行い、スリムで効果的な業務執行体制をめざすとの回答にとどまっている。
先ほども述べたが、継続的な行政運営の観点から、業務における技術の継承や、年齢バランスの取れた組織構成の確立は重要かつ急務な課題である。大阪市として、市民生活の安全・安心を守るためにどのような施策が必要か、そのための人員の確保などの検討を行うことが、将来を見据えた真の市政改革であると考える。人員削減のみを優先した市政運営では、このような課題が解消できるとは考えられず、あらためて、市側としての考え方を示されたい。
市 側(人事室長) 委員長から様々なご指摘を受けたところであるので、改めて本市の考え方を申し上げたい。
私どもとしても技能職員の採用凍結を維持することで、組織の活性化、職員の士気向上、技術の承継や大規模災害時に果たすべき危機管理などといった課題があることは認識している。
しかしながら、繰り返しになるが、本市の技能職員数は依然として他都市水準より多い状況にある。ご指摘のように、数値上の単純比較ではあるが、本市と同様に公務を担うという役割は共通する部分が多いと認識をしており、技能職員等に限らず、他都市と比較を行う手法としては指標になるものと考えている。
これらのことから、現在は、市政改革プラン2.0に基づき、財政健全化への取り組みを進める必要があるため、退職不補充などによる人員マネジメントを適切に行い、スリムで効果的な業務執行体制の構築を目指しているところでもあり、まずは、計画を着実に実行することが重要であると考えているところである。
組合 スリムで効果的な業務執行体制をめざすとしても、そのバランスと内実が重要であると考える。人員削減が進む中、効果的な業務執行体制となっているのか甚だ疑問であり、負担のみが現場に押し付けられている状況も見受けられる。
また、技能職員について、民間でできることは民間で行うとして、委託が進められているが、その結果として市民サービスが向上しているとは言えず、むしろ行政サービスの質は低下しているのではないかと認識している。
市側は、市政改革プランに基づく人員マネジメントとして、職員削減を進めているが、本質を見誤り、その事のみに特化した姿勢についてはもはや転換すべきあり、大阪市としての将来ビジョンを示すべきである。
今回提案について、我々としても、この間の交渉経過を踏まえると、非常に大きな意味を持った提案だと受け止めている。
しかしながら、市側が苦渋の判断による提案としているにもかかわらず、大阪市の将来を見据えた、具体的な考え方が示されなかったことは、非常に不満である。
市側から、本日の交渉において判断を求められているが、現段階での市側回答の内容では、市労連として回答することは困難である。
市 側(人事室長) 私どもとしては、労使対等の立場で交渉の到達点を目指す努力が重要であるとの認識のもと、これまでのご指摘に対して誠意を持って対応させていただいたところである。
本日においても、技能職員等の採用を行っていないことに対する課題認識についてご説明をさせていただき、労使関係に関する私どもの認識についても述べさせていただいた。
皆様方は、新規採用の再開を強くお求めであるということは十分理解をしているが、市政改革プラン2.0は今後の厳しい財政状況や市政課題に対応していくため策定されたものであり、まずは、現状定められている計画を着実に実行していくことが重要であると考えていることもお伝えをしてきたところである。
私どもとして、今後も引き続き協議をお願いし、ご理解をいただけるよう努力してまいりたいと考えているが、この度の提案については、職員にとって決して不利益となる制度ではなく、また、私どもとしても説明責任を果たす必要があるため、12月市会において条例の手続きを進めてまいりたい。
なお、諸手続きを進めるに当たっては、本制度が実態的な退職勧奨とはならないように細心の注意を払ってまいりたいと考えているので、どうぞよろしくお願いしたい。
組合 市側より手続きを進めるとの発言があった。
先ほども申し上げたが、市側が苦渋の判断としながらも、具体的な考え方を示さなかったことが問題であると指摘している。制度については組合員の不利益にはならないものと一定理解はするものの、今後、本制度により、問題が生じた場合には市側として誠意をもって交渉に応じることを確認しておく。
また今回の提案は、結果として結論ありきのものであり、このようなことは、今後許されるものではないことを強く指摘して、本日の交渉を終了する。
以 上