2012年5月23日
「新たな労使間ルール」問題にかかる第1回対市団体交渉
市労連は、5月23日(水)8時30分から対市団体交渉を行い、「新たな労使間ルール」に関する提案を受けた。
交渉で、市側は労使関係について、この間「ガイドライン」に基づき適正化に取り組んできたが、一部で発生した時間内組合活動事象や不適正な労使関係が存在しているとした、第三者調査チームの報告を重く受け止め、「新たな労使間ルール」を条例化して、労使関係の更なる適正化に取り組むとした考え方が示された。
市労連は、「組合無給職免」や「会議室使用」を一切認めない考え方が明確に示されたことは、組合の弱体化を企図するものとして抗議の意思を明らかにするとともに、職員団体に対し収支報告を求めることを条例化するなど問題点も多く、到底納得できるものではないとしたが、市側から小委員会交渉において協議を重ねたいとの申し出があったことから、今後の協議に応じることとし、市側の誠実な対応を求め交渉を終えた。
市側 本市では労使関係の適正化をはかるため、新たな労使間ルールを条例化し、市会に提出する準備を進めている。市会に提出する前に本日この場で提案したい。
本市では平成16年から17年にかけてヤミ専従など問題が表面化したことを受け、大阪市福利厚生制度等改革委員会を設置し、時間内組合活動の適正化、組合への事務所スペースにかかる便宜供与の見直しのほか、平成18年6月に「職員団体及び労働組合との交渉等に関するガイドライン」を策定するなど、労使関係の適正化に取り組んできたところである。しかしながら、その後もヤミ便宜供与や、勤務時間中の認められない組合活動など労使間の不適正な事案が明らかとなり、市民の信頼を大きく失墜させる事態を招いている。このような状況を踏まえ、次のとおり新たな労使間ルールを条例化し更なる労使関係の適正化に向けて取り組んでいく。
一つ目は管理運営事項の取り扱いについてである。
交渉事項と管理運営事項の取り扱いの明確化や管理運営事項についての労働組合等との意見交換を禁止する。なお、交渉において必要な場合は、既に市として意思決定を行った管理運営事項について、説明を行うことは出来るが、この場についても、人事異動などの具体的な任命権の行使に関する事項は除かしていだだく。
二つ目の交渉内容の公表についてであるが、交渉にあたっては原則として2日前までに交渉日時・場所・交渉事項等を公表し報道機関へ公開すること。交渉後は、速やかに議事内容を労使で確認した上で公表し、公表期間は交渉内容の妥結、合意した日から1年間とすること。組合有給職免については、その職務免除の回数、時間などを毎年公表すること。
三つ目の適正な労使関係の確保についてであるが、任命権者は、適正な労使関係が確保されているか検証を行い、必要な措置を取ること。任命権者は、労働組合等に対し、当該組合員による違法な組合活動を抑止する措置を取ることを求めることができること。人事委員会は、地公法第52条第1項に定められている職員の勤務条件の維持改善を図るという目的に合致するか確認するために職員団体に対して収支報告の提出を求めること。人事委員会は、上記の目的に合致しない場合、地公法第53条第6項により職員団体の登録の取消等をすることが出来ること。労働組合等に対する便宜供与は、健全な労使関係が確保するまでは行わないこと。
条例制定後、次に掲げる便宜供与を廃止すること。具体的には、組合無給職免や組合活動を行うための会議室の使用、並びに組合本部との本交渉前の有給職免、などである。ただし、労働協約によって行っている便宜供与については、その労働協約の締結終了日をもって廃止することとする。
提案は以上であるが、皆さまには、なにとぞご理解・ご協力賜りたい。
組合 ただ今、提案を受けた。内容については、要点のみの提案では理解し難い。市労連としては、提案内容について、そもそも条例化する必要があるのかどうか疑問に思う。そういったことも含めて、これから検証が必要だと考える。
従って、本日は個別・具体的な内容についての言及は避けるが、あえて基本的な考え方について書記長から質したい。
市側の姿勢も含めて確認する必要がある。この間の労使関係が、そもそも不健全な関係であったと市側自らが認めているのかどうか、という点である。
市長就任以降、年末の市政方針演説に始まり、年始以降の議会等において、労働組合と市側との関係性、政治活動への関与の問題など多くの市長発言があった。大阪市の労働組合がおかしい、よって労使関係、労働組合を適正化する等と発言したことが発端となり、このような条例を提案するに至ったと考えている。
提案文の前文に記載があるように、一部の現場で不適正な事象があったのは事実で、今後は、そういったことは無いように対応すると表明してきたが、そうした一部の事象をもって、全ての職場における労使関係が不健全であったかの如く扱われていると率直に思わざるを得ない。その点も含めて、市側の認識を質したい。
次に、新たな条例案は、基本的にはガイドラインに沿った条例なのかという点である。
そもそも数年前に問題が生じたことに合わせて、市側自らが策定したガイドラインには、例え管理運営事項であっても交渉課題であれば意見交換はできるとされ、スムーズな業務運営とそれにかかる執行体制を作るため、労使関係を正常化した上で、しっかりと交渉テーブルを作って協議や意見交換をやろうということが、当時の考え方であった。
今回、意見交換そのものを禁止するとしているが、ガイドラインを作成した当時の市側認識とどこでどう変わったのか、我々には理解し難い。その点について説明を求めたい。
3点目の適正な労使関係の確保についてであるが、人事委員会に対して、意見するような内容を敢えて条例に記載しようとしているのは何故なのか。職員団体に対して、収支報告書の提出を求めること自体どうかと思うし、人事委員会の権能にまで踏み込むような記述であり問題があると思うが、その点については如何か。
また、「労働組合に対して、当該組合員による違法な組合活動を抑制・抑止する措置を取ることを求めることができる」という記述は、労働組合の活動を規制するものと解されるのではないのか。
さらに、便宜供与に関して「健全な労使関係を確保されるまでは行わない」という記述があるが、何をもって健全な労使関係が確保されたのかどうか、また誰がどこで判断するのかも不明である。こういう主旨のことを条例に盛り込むことは、現在も不健全な労使関係が存在していると、市側自らが言っているに等しいが、現場実態は本当にそうなのか。
4月2日に出された、第三者調査チームの報告書には、労働組合があたかも人事に恒常的に介入しているかのような表現や、労使関係の不健全な状態が未だに続いているととれるような表記が多くみられたが、そこともリンクしていると思わざるを得ない。
いずれにしても、趣旨説明の内容について解明すべき課題が数点あり、今後の交渉を通じてしっかりと市側の認識を問い質したい。
市側 何点かご指摘いただいたところではあるが、我々としては、この間のヤミ便宜供与や、勤務時間中の認められない組合活動などの不適正な労使関係については重く受け止めているところである。その為にも今のガイドラインを踏まえて新たな労使間ルールを条例化して労使関係の適正化に向けて取り組んでまいりたいと考えているところである。人事委員会の関係であるが、我々としても人事委員会の独立性・中立性については十分認識している。今回提案を予定する条例案については、人事委員会の権能を侵すものではないというふうに考えているところである。
この間、でてきた労働組合等に対する便宜供与の問題であるが、これらの点については、室長から労使間ルールの概要、条例案のポイントは説明させていただいたところである。今後、新たな労使間ルールの策定に向けて、指摘のあった事項について、実際の条例案を見ていただき、その点について十分ご提示させていただきたいと考えているのでよろしくお願いしたい。第三者調査チームの報告の関係についても、市長の委嘱を受けて独立をした第三者のチームによる中立的な調査結果であるので、我々としては、その報告を受けて重く受け止めていかなければならないのかなと認識してところである。いずれにしても、今後、十分協議してまいりたいと考えているのでよろしくお願いする。今後の交渉方向としては小委員会において協議させていただきたいと考えているのでよろしくお願いしたい。私からの説明は以上である。
組合 われわれは、条例など必要ないと主張している。今回の回答ではまったく納得できない。
そもそも、この提案内容については問題点が多すぎる。市側から実際の条例案を示した上で協議をお願いしたいということについて、われわれとしても応じていきたい。
本日はポイントの提案を受けたということで、一旦持ち帰り、市労連としての考え方をまとめることとするが、いずれにせよ、労使双方が真摯な協議を積み重ね、合意に向けた市側の誠実な対応を求めておく。
新たな労使間ルールについて(案)
本市では、平成16年から平成17年にかけて様々なヤミ専従問題が表面化したことを受けて、大阪市福利厚生制度等改革委員会を設置し、時間内組合活動の適正化、組合への事務所スペースにかかる便宜供与の見直し等のほか、平成18年6月に「職員団体及び労働組合との交渉等に関するガイドライン」を策定するなど、労使関係の適正化に取り組んできたところである。
しかしながら、その後もヤミ便宜供与や、勤務時間中の認められない組合活動など労使間の不適正な事案が明らかになり、市民の信頼を大きく失墜させる事態を招いている。
こうした状況を踏まえ、次のとおり新たに労使間ルールを条例化し、更なる労使関係の適正化に向けて取り組んでいく。
1.管理運営事項の取り扱い
2.交渉内容の公表
3.適正な労使関係の確保