更新日:2011年1月13日
「給料月額の減額措置について」第1回対市団体交渉
市労連は、1月12日午後3時から三役・常任合同会議、事務折衝、午後4時30分から闘争委員会を開催し、平成23年度以降の「給料月額の減額措置」について協議し、午後5時から第1回対市団体交渉を行った。
交渉の中で市労連は、これまでの小委員会交渉で出された資料の分析を行い、あらためて4点について市側から説明を求め、その上で、大阪市における財政収支の悪化については事実として認識するものの、給料カットを行うことが前提とされていることは納得できるものではない。引き続き小委員会交渉で協議していくこととするが、「給料月額の減額措置について」合意を前提とするならば、市側の誠意ある対応と責任ある提案が必要であることを求めておくとして団体交渉を終了した。
市側 「給料月額の減額措置」については「平成20年5月暫定版の中期的な財政収支概算」において、法人市民税の減による市税の減等により、平成17年度に策定した「市政改革マニフェスト」(市政改革基本方針)に基づく経費削減を達成したとしても、累積収支において、平成26年度には早期健全化基準(837億円)を超過し、さらに平成28年度には1,200億円を超過するという、本市の非常に厳しい財政状況が公表された。
「市政改革マニフェスト」における経費削減の目標を達成し、本市の危機的な財政状況を解消し、持続可能な行財政基盤を確立するために、平成20年4月に「経費削減PT」を設置し、9月に「経費削減の取組について」(素案)を策定した。
この「経費削減の取組について」(素案)の中の「人件費削減の取組みについて」において、給料月額等のカット等による総人件費の削減を掲げており、平成21年度から給料月額を全職員一律5%カットすることとし、この給料月額のカットにより50億円の財源確保を行い、平成22年度からは地域手当及び期末勤勉手当へのはね返りを想定するとともに、管理職手当の10%カット・住居手当の見直しや超過勤務手当の縮減と職員数の削減ともあいまって、財源不足に相当する1,200億円を確保することとし、「給料月額の減額措置」の措置期間としては「市政改革マニフェスト」の実施期間である平成21・22年度までの2カ年間としてご提案申し上げ、皆様方のご協力をいただいてきたところである。
また、リーマンショック後の世界的な経済危機の中、市税収入の大幅な落ち込みや生活保護費をはじめとした扶助費の大幅な増により、財政収支がさらに悪化する状況の中、人事委員会勧告による期末・勤勉手当の2年間の削減0.55月分についてもご協力をいただいてきたところであり、改めてこの場をお借りしてお礼申し上げたい。
平成23年度以降の「給料月額の減額措置」について、具体の提案させていただくべく12月20日の小委員会交渉以降、精力的に交渉を重ねてきたところであり、本日は、本市として検討した結果を提案する。
提案文の読み上げ
これまでの意見交換や小委員会交渉でご説明させていただいたが、百年に一度という世界的な経済危機を背景として、本市の財政状況は平成30年度には累積収支不足が2,700億円となる見込みとなっており、単年度300億円の収支改善が求められている。
これまでに経験したことのないこの財政危機を克服するために、
など、持続可能な大阪市を支える行財政基盤の構築の方針をたてて今後取り組むこととしているところであるが、職員の皆様におかれても、何卒ご協力賜りたいと考えているのでよろしくお願いする。
組合 ただ今市側から、市税収入の大幅な落ち込みや、景気低迷による扶助費の増加などによる財政危機を乗り越えるため、引き続き「給料月額の減額措置」の取り組みへの協力について要請があったところである。
市労連は、「給料月額の減額措置」については、平成20年9月に策定された「経費削減の取組みについて」(素案)の中の、人件費削減の取組みの中で、平成21年度から給料月額の全職員一律5%カットが明記されたことから、一方的な市側提案を許さず、あくまで労使交渉と合意を基本に取り組むこととし、「協力すべきは協力する」立場から団体交渉及び小委員会交渉を積み重ねた結果、平成21年度・平成22年度の2年間に限り、「給料月額の減額措置」に応じることについて判断してきた。
これまでの2年間は、平成21年度は50億円、平成22年度は地域手当及び期末勤勉手当にも影響させることを前提に80億円とされ、給料カットなどにより合計130億円の財源確保が前提とされていたことから、交渉の中では単なる数字合わせの提案であることを指摘してきたものの、我々が納得できるような明確な根拠が示される事はなく、加えて、当初想定されていなかった一時金のマイナス勧告による大幅な減額も行われたところである。この2年間のマイナス勧告と給料カットなどを含めた人件費削減効果額として、すでに197億円程度生じることが明らかとなっており、結果的には想定を上回る人件費の減額効果が生じている。
この間の交渉でも幾度となく指摘してきように、大阪市職員の給与水準は、政令市の中でも最低水準に押しとどめられ、さらに一時金の連年のマイナス勧告による影響から、職員の生活は相当厳しい実態となっており、人事委員会勧告を大きく下回る給与水準の一刻も早い回復を求めてきたところである。
「給料月額の減額措置」を行う前提となった平成20年5月暫定版の「中期的な財政収支概算」以降、平成20年10月版では、5%の給料カットが前提として盛り込まれたこと、さらに平成22年2月版では、平成23年度から平成29年度末までの7年間の人件費削減として、給料カットの継続を前提に作成されていること、そして昨年10月に公表された「新しい大阪市をつくる市政改革方針」(素案)には、その内容がそのまま反映されていることからして、市側の頑なな姿勢が一層明確化している。
市労連は、これまでの交渉を通じて、大阪市の危機的な財政状況については、事実として認識するものの、給料カットを前提にした人件費削減ありきの市側姿勢を容認するわけにはいかず、改めて給料カットの早期終了を市側に求めてきたところである。
このような状況の中、昨年12月13日に行った三役・常任との意見交換の場で、平成23年度以降にかかる「給料月額の減額措置について」の協議要請があったことから、市労連として、市側が作成した財政収支概算や「新しい大阪市をつくる市政改革方針」(素案)などの分析・解明を行うことを前提に協議に応じることとし、12月20日以降これまで3回に及ぶ小委員会交渉を行ってきたところである。
その上に立って、あらためて以下の点について市側の説明を求める。
1点目については、これまでも給料カットによる財政収支の改善は、職員のモチベーションの低下や、ひいては市民サービスへの影響を及ぼすため、幾度となく給与カットについては早急に終了すべきと求めてきた。
しかしながら、新たに策定された「新しい大阪市をつくる市政改革方針」(素案)においても、給料カットすることが前提となっている。職員の給料カットに頼らず収支不足を解消する方法について、なぜ検討しなかったのかを明らかにされたい。
2点目については、「新しい大阪市をつくる市政改革方針」(素案)の中で、生活保護費の全額国費負担や国への制度変更を求めている点、政策ビジョンの効果による税収の回復など年間300億円相当の財政確保策が記載されているが、この間の市側説明を聞く限りでは不確定要素が多いと指摘せざるを得ない。仮に想定している財源が確保されなかった場合、市側としてどのようにして財源確保していくのか明らかにされたい。
3点目については、財政悪化の原因として、平成22年2月版において、平成21年度7月版の収支概算に比べて人件費で320億円相当の増加要素があるとしているが、この2年間の給料カットや連年のマイナス勧告、さらに職員総数の減が続いている中にあって、なぜ人件費が増になるのか具体的に明らかにされたい。
4点目については、今後、給料カットをしなくても一時金支給月数の減により、少なくとも今後5年間でどれだけの効果が発生することになるのか明らかにされたい。
以上の4点について、市側からの説明を求める。
市側 ただ今の4点について説明する。
1点目については、平成30年度には累積収支不足が2,700億円となり、単年度300億円の収支改善が求められている危機的な財政状況の中で、収支不足を解消するため、あらゆる方面から検討を行ったところであり、生活保護制度の抜本的な制度改革の国への要望、税収回復のための政策の推進、施策事業の再構築と事務事業の不断の精査・検討を行うこととしており、今後、大阪市役所全体でこの実現に向けて全力で取り組むこととしている。
皆様方から端的にご質問のあった点についても検討いたしましたが、現在、本市が置かれている状況は如何ともし難く、引き続き皆様方のご協力をいただくことが必要であると考えており、何卒ご協力賜りたいと考えている。
2点目については、今ご説明させていただいたが、新しい市政改革方針(素案)の中で掲げている財源確保策については、本市として何としても実現することが必要不可欠であると考えているところであり、今後、大阪市として全力を傾注して取り組む。
3点目については、平成22年2月の中期収支概算における人件費の見込額については、平成21年7月の中期収支概算と比較して、期末勤勉手当の減額支給等を勘案するとともに、退職手当についても退職者見込数の減により合わせて約102億円の人件費の減を見込んだ。しかし、平成22年度予算において、
などにより人件費が増となり、この増要素が平成23年度以降も引き続いて影響することから約432億円の増となることから減要素と合わせて人件費が約320億円悪化となった。
4点目について、平成21年度勧告による0.35月、平成22年度勧告による0.2月を合わせた0.55月分を試算すると、平成23年度以降の5年間累計で約259億円の効果が生じることとなる。
4点についての説明は以上である。
繰り返しになり恐縮であるが、かつてないこの危機的な状況を全市一丸となって乗り切るためにも、皆様方の協力が不可欠であると考えている。
引き続き、皆様方の合意を得るべく、精力的に協議してまいりたいので何卒よろしくお願いしたい。
組合 ただ今市側から、市労連から求めた説明について回答がされた。
大阪市における財政収支の悪化については、事実として認識するものの、収支不足の解消と市税収入の確保のための方策として、給料カットの終了も検討されたと言われたが、結果を見れば、引き続き、給料カットを行う事が前提となっており、そのような回答では納得できるものではない。また、財政悪化の原因として説明がされたが、月例給のマイナスや職員数の減にも関わらず、共済費の大幅な負担増や市施策推進のための職員数の増加による人件費の増は、市施策推進のための必要な人件費であり、それらが悪化の要因とされていることは理解しがたいものがあり、5年間で259億円もの一時金のマイナス0.55月の削減効果額が、次年度以降の給料カットに反映されていない事も納得できない。
一方で、税収確保について市側から強い決意を持って取り組む姿勢が示されたことは当然のことであり、さらなる財源確保策を実施するなど市側の努力を求めておく。
市労連としては、これまでの小委員会交渉でこれまで公表された「中期的な財政収支概算」について、鋭意分析を行いながら、必要な資料についても提出を求めてきた。さらに、市側から提案された平成23年度以降の「給料月額の減額措置」について、再考を求めてきたところである。
その上で、市側提案はこれまでの小委員会交渉で求めてきたことからするとなお不満であり、このままでは合意することはできない。
引き続き、小委員会交渉で協議していくこととするが、「給料月額の減額措置について」合意を前提とするならば、市側の誠意ある対応と責任ある提案が必要であることを求めておく。
以 上
給料月額の減額措置について
平成23年度以降について、次のとおり給料月額の減額措置を実施してまいりたい。
1 減額率
3.2%
※ただし、行政職給料表2級相当級以下の職員(再任用職員を除く。)のうち、本市勤続年数が10年未満の者の減額率は、次のとおりとする。
勤続年数 (各年度末時点での勤続年数) |
減額率 |
---|---|
8年超10年以下 | 2.8% |
6年超8年以下 | 2.4% |
4年超6年以下 | 2.0% |
2年超4年以下 | 1.0% |
2年以下 | 0% |
2 減額期間
平成23年4月から平成28年3月まで
3 減額措置除外者
以下の職員は減額措置を行わないこととする。