本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

更新日:2017年4月17日

大都市協が大人連委員長会議に申し入れ

人事院の動向や政府の圧力に屈せず主体的立場の堅持を!
大都市で働く職員の生活実態を直視し要求実現を求める!

 大都市労連連絡協議会(大都市協)は4月17日(月)、川崎市で書記長会議及び代表者会議を開催し、2017年賃金に関する中央情勢及び各都市からの報告と、大都市人事委員会連絡協議会(大人連)に対する「申し入れ」を中心に協議した。

 その後、当地で開催中の大都市人事委員会連絡協議会委員長会議に対し、以下の申し入れを行った。

2017年4月17日

大都市人事委員会連絡協議会
 委員長会議 様

大都市労連連絡協議会

申し入れ書

 日頃から、大都市職員の賃金・労働条件の改善にご尽力されている貴職に敬意を表します。

 さて、2016年地方賃金をめぐっては、人事院の3年連続となる月例給及び一時金の引き上げ勧告と、これを踏まえた各都市人事委員会勧告によって、多くの自治体でも給与改善を行うことができました。昨年の給与改定に関する人事院勧告については、再任用者を含む俸給月額を幅広く引き上げるなど高齢層にも配慮したもので、一定評価できるものでした。

 しかし、労働力不足を反映した、非正規労働者全体の処遇改善が進む中、臨時・非常勤職員の賃金・処遇について、具体的な言及が行われなかったことは残念でなりません。確実な雇用とともに基本賃金の改善自体が急務となっていることから、「均等待遇」「同一価値労働・同一賃金」の立場から積極的な改善が求められます。また、配偶者にかかる扶養手当を半減する一方で、それによる原資を用いた子にかかる手当額の増額を勧告しましたが、背景は安倍政権の提起する「ニッポン一億総活躍社会プラン」「女性改革推進計画」などの政策に応えたもので、勧告が政府の要請で歪められたことは、人事院の第三者機関としての立場を放棄したもので、決して許されるものではありません。

 わが国は社会・経済が成熟化し、少子化・高齢化が進む中で、人口減少局面に突入しています。こうした社会・経済の構造的な問題を抱える中で、持続可能な経済成長を成し遂げるために、連合は「働くことを軸とする安心社会」の実現を提起しています。しかし、現状は低成長とデフレ経済の中で、企業は短期的な利益確保の重視や株主重視の姿勢を強め、賃金の低下や非正規労働者の増加、所得などの格差の拡大など、社会の安定成長の基盤を損なう状況を招いています。

 公務員労働者が国民・市民の期待に応え、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、国民生活の安心と安全を確保していくためには、雇用の安定と公務員に相応しい労働条件が確保されなければならないと考えます。

 本年の賃金・労働条件改善にあたっては、公務員労働者の賃金・労働条件を維持・改善することはもとより、臨時・非常勤職員等の処遇と雇用のあり方を抜本的に改善すること、雇用と年金の確実な接続に向けて、人事院が行った段階的定年延長の意見の申し出を踏まえた高齢者雇用施策について、確実に言及することなどが貴職の最も重要な課題であると考えます。

 各都市人事委員会においては、人事院の動向や政府の圧力に屈することなく、人事委員会としての主体的立場を堅持し、大都市で働く職員の生活実態を直視し、以下の要求を受け止め、その実現にご尽力されるよう申し入れます。

1.人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、不利益不遡及の原則を守り、労使合意事項、労使交渉の経過および組合の意見を十分に尊重すること。

2.勧告に係る内容について、政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、第三者機関としての独立性を守り、公平・公正な立場で勧告作業を進めること。

3.諸手当の改善については、組合と十分な交渉・協議に基づき地方公務員の実情と実態を踏まえ、次の事項の実現に努めること。

(1) 実効性のある超過勤務規制のための施策推進

(2) 年次有給休暇取得の促進

(3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策構築

(4) 育児休業・介護休暇の男性取得の促進

4.高齢者雇用施策について

(1) 雇用と年金の接続方法については、人事院の意見の申し出に基づき、65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢雇用施策を直ちに意見申し出をすること。

(2) 再任用制度を含む高齢者雇用制度など公務における高齢対策について、一層の充実をはかり、雇用と年金の接続を確実に保証すること。

5.臨時・非常勤職員の賃金労働条件については、2016年12月27日に総務省「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等のあり方に関する研究会報告書」に示された「任用根拠の適正化」「給与・手当支給の対象とする」「育児休業制度や各種休暇制度の整備」などの勤務条件等について均等処遇の原則に基づき早期に改善すること。

6.ワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間を早期に1,800時間程度に短縮し、引き続き次の事項の実現に努めること。

(1) 実効性のある超過勤務規制のための施策推進

(2) 年次有給休暇取得の促進

(3) 労働時間短縮のための人員確保等の施策構築

(4) 育児休業・介護休暇の男性取得の促進

7.ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇制度の新設・拡充、総合的な休業制度などを実現すること。特に、家族看護休暇および、リフレッシュ休暇・有給教育休暇(リカレント休暇)の新設ならびに夏季休暇日数の改善をはかること。

8.各種ハラスメントの積極的な防止策を推進すること。また、男女共同参画社会の実現に向けて、必要な施策の確立をはかること。

9.公務職場における障がい者や外国人の採用促進をはかるため、職場環境の整備を含め必要な措置を行うこと。

10.人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進め、大都市協の意向を十分に反映し早期勧告に向けて努力すること。

以上

大人連委員長会議  本日は、慣例により、当番都市である川崎市から、ただ今の申し入れについて、大都市人事委員会連絡協議会を代表してお答えする。

 ただ今の申し入れについては、大人連として確かに承った。

 さて、最近の経済状況であるが、3月23日に政府が発表した3月の月例経済報告は、景気の基調判断について「景気は、一部に改善の遅れも見られるが、緩やかな回復基調が続いている。」としている。先行きについては「雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」と言及している。

 本年の春季労使交渉では、3月中旬の大手企業の一斉回答では、昨年に比べると低い水準とはなったものの、4年連続となるベア回答が見られた。こうした動きが、中小企業にも波及するかどうかが今後の焦点となるが、まだ多くの企業で労使交渉が続けられていることから、引き続きその動向を注視する必要があると考えている。

 これまで、各人事委員会では、民間従業員の給与の状況をできる限り広く、より適正に公務員給与に反映させるよう努めてきた。

 本日申し入れのあった諸手当の改善、高齢者雇用施策、臨時・非常勤職員の賃金労働条件、ワーク・ライフ・バランスの確保など個々の項目については、民間給与の実態を的確に把握するとともに、民間や国の動向にも留意しつつ、各都市区がそれぞれの団体の事情を考慮し検討してまいりたいと考えている。

 景気の先行きや、国の財政健全化に向けた動向の影響など、公務員給与を取り巻く環境は、不透明で、予断を許さない状況にあるが、各人事委員会においては、これまでと同様、地方公務員法の趣旨に則り、中立かつ公正な第三者機関としての立場を堅持し、適正な給与勧告を行ってまいる所在である。

以 上

 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会