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更新日:2015年10月2日

2015年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
月例給の引き下げを勧告
公民較差▲2.43%(▲9,925円)、一時金は0.10月分を引き上げ総合的見直しの実施を言及
【市労連】
他都市の状況や民間賃上げ結果から、マイナス改定は理解も納得もできない
総合的見直しについては到底受け入れられない
本年の勧告に対する声明を発出

 大阪市人事委員会は10月1日、「職員の給与に関する報告及び勧告」と「人事管理制度に関する報告」を行った。勧告内容は月例給について、本年4月時点で▲9,925円、率にして▲2.43%、給与減額措置後では1,130円、率にして0.28%となる。

 市労連は勧告に際し、とりわけ月例給について国及び他都市においては総じてプラス較差が勧告されており、今年の民間賃上げ状況や、職員の給与水準を考慮すれば、大幅なマイナス勧告が出されたことについて、理解も納得もできないことを表明した。また、本年の調査においても、民間給与データの上下2.5%ずつを除外して比較を行ったことに関して、意図的に給与水準の引き下げを行っていると理解せざるを得ないと指摘してきた。「給与制度の総合的見直し」については、給料表での引き下げは組合員の生涯賃金に多大な影響を与えることから、受け入れられないことや、「給料月額の減額措置」についても、懸命に働く組合員のモチベーションや生活実態を踏まえるならば、即時終了を明確に言及するべきであると人事委員会の姿勢を質してきた。

 また、「人事管理制度に関する報告」に対しては、人材育成に向けたものではなく、職員数を削減し職員間に格差や混乱を生じさせる内容となっており、大阪市の人事管理の把握や問題点の抽出・分析を行わず、報告が取りまとめられたことは問題であることを指摘してきた。

 市労連は、本年の勧告に対して声明を発出し、2015賃金確定闘争は、大幅なマイナス勧告という厳しい状況下での闘いとなるが、組合員の生活を守るべく、粘り強く闘う意思を表明した。

人事委員会委員長 これまで検討してまいった結果、とりまとめることができた「職員の給与に関する報告及び勧告」と「人事管理制度に関する報告」を、本日、市長及び議長に対して行ったところである。

 これらの内容については、局長から説明申し上げる。

行政委員会事務局長 はじめに、本年の給与改定についてであるが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行った。職員給与については、現在、給料及び管理職手当の減額措置が実施されており、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は408,962円であり、給与減額措置実施後の平均給与月額は397,907円となる。一方、民間給与は399,037円となり、その差は、給与減額措置がないものとした場合にはマイナス9,925円、率にするとマイナス2.43%となり、給与減額措置実施後は1,130円、率にすると0.28%となる。

 職員と民間の給与を均衡させるためには、本来支払われるべき職員給与である、給与減額措置がないものとした場合の職員給与との較差に基づき、月例給の改定を行うことが適当であると判断するところであり、本年引下げ改定すべき月例給の額は、9,925円となる。

 また、特別給については、民間の支給割合は4.21月分となっている。ただし、勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しているので、小数点第2位を2捨3入した4.20月分となり、本市職員の期末・勤勉手当の支給月数4.10月分との差は0.10月分となる。

 これらの公民の給与較差を解消するため、月例給の引下げ改定及び特別給の引上げ改定を勧告したところである。なお、月例給は平成25年以来2年ぶりの引下げ、特別給は平成26年に続いて2年連続の引上げ改定となる。

 月例給の引下げ改定については、本年の公民給与の較差が比較的大きなものとなっていること、民間における諸手当の支給状況を考慮すると、主として基礎的な給与である給料表の引下げ改定によることが適当であると考える。

 給料表の引下げ改定に当たっては、平成25年、平成26年に引き続き、民間給与実態調査に基づく公民較差の解消を基本としつつ、賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえた上で、具体的な改定を行うという方法を採用している。

 また、これまで、本委員会の勧告に基づく給与改定によって昇給カーブのフラット化が進められるとともに、平成24年8月の給与制度の改正により各級の最高号給の大幅な切下げが実施されるなど、年功的な給与上昇は一定程度抑制されている状態にあり、初任給水準については、民間や国の支給状況とおおむね均衡している状況にある。

 これらの状況を総合的に勘案すると、本年については、各職務の級においては同一の改定率での改定を基本としつつ、賃金センサスに基づく民間の該当役職の給与水準を参考に、民間との給与水準の差が大きい職務の級については、給料表構造全体のバランスも考慮しながら、改定率を大きくすることとし、また、昇給カーブのフラット化については、初任給水準や前後の級とのバランスを考慮し、給料表全体のバランスが取れる範囲で行うにとどめることが適当であると考えた。

 具体的な給料表の改定内容については、1級及び2級については、1級の全号給及び2級の初号付近は引下げを行わず、2級の中位号給以上については1級からの昇格時の対応も考慮しながら最大で平均改定率の8割程度の引下げにとどめる。4級については、平均改定率程度から平均改定率の1.2倍程度の引下げとする。6級については、平均改定率程度から平均改定率の1.5倍程度の引下げとする。7級及び8級については、平均改定率の1.2倍程度の引下げとする。3級及び5級については、それぞれ前後の職務の級の給料水準とのバランスを考慮して改定するよう言及している。なお、医療職給料表(1)適用者については、医師の処遇確保の観点から改定の必要のない旨を言及した。

 また、保育士及び幼稚園教員については、本市側の給与水準が民間側を上回っているものの、本市と民間とで組織・人事の構造が大きく異なっているため、直接的に本市給与水準と民間給与水準とを均衡させることには慎重であるべきであり、本市側と民間側の給与水準の状況のほか、民間側の給与水準は昨年と比べ大きな変化は見られないこと、多数の職員が給料月額を段階的に引き下げる経過措置の対象となっており、その給与水準は漸減していくことなどを考慮すると、保育士給料表及び幼稚園教育職給料表については改定すべき状態にあるとは言えないと考え、改定について勧告していない。

 期末・勤勉手当については、年間支給月数を0.10月分引上げ、4.20月分とすること。期末手当及び勤勉手当の区分ごとの引上げ及び支給割合は、民間の考課査定分の支給状況や勤務実績を適正に給与に反映させることなどを勘案し、勤勉手当に配分することを勧告している。

 改定の実施時期については、月例給については、改定条例の公布日の属する月の翌月から実施することとした。なお、平成27年4月からの年間公民給与を均衡させるための調整措置については、給与減額措置が実施されている職員には必要ない旨を言及した。特別給については、本年12月期の期末・勤勉手当は改正条例の公布日の属する月の翌月から実施し、平成27年6月期以降の期末・勤勉手当は平成27年4月1日に実施することを勧告している。

 勧告に基づく職員給与の試算については、今回の勧告が実施された場合、給与減額措置実施前の行政職の平均年収は120,512円の減少となり、その場合の行政職全体の影響額は約12億2千万円となる。

 次に、意見として、公民給与の比較の在り方や賃金センサスに基づく給与水準等の傾向の比較等について言及している。本年については、先ほど説明したとおりである。なお、本委員会は、平成25年より、民間給与実態調査により収集した民間給与データには極端な額のデータも存在するため、そのうち給与額の上下2.5%ずつ、合わせて5%のデータについては、公民比較の対象から除外しており、本年についても同様の取扱いとしている。

 次に、国における給与制度の総合的見直しへの対応については、都道府県の約9割で実施されており、政令指定都市でも多くの都市で本年の人事委員会勧告において実施勧告が見込まれることや、大阪市域における地域手当支給割合が平成28年4月より改定されることを考慮し、地方公務員法第24条第3項に基づく国及び他の地方公共団体との均衡の観点から、本市においても実施する必要があると判断した。

 本市における給与制度の総合的見直しとして、まず、給料表について、平均1%程度の引下げ改定、地域手当の支給割合について16%への引上げ改定を勧告している。

 これは、昨年人事院が俸給表水準の平均2%引下げを勧告したのは、国家公務員の地域間の給与配分を適正化するためであることや、本市では本年の公民較差マイナス2.43%に基づく給料表の引下げ改定を行うことを踏まえると、同じく地域間の給与配分の適正化のために行われる地域手当の支給割合の改定が大阪市域においては1%の引上げであることから、本市における給与制度の総合的見直しによる給料表水準の引下げについては、地域手当の支給割合率の引上げ分に相当する平均1%程度とすることが適当であると考えたことによるものである。

 給料表の引下げの際には、本市においてはこれまでの本委員会の勧告に基づく給与改定によって昇給カーブのフラット化を進めてきたところであり、さらに、平成24年8月の給与制度の改正により各級の最高号給の大幅な切下げが実施されており、年功的な給与上昇は一定程度抑制されていることから、各職務の級及び号給について、平均改定率で引き下げることを基本とした上で、1級の全号給及び2級の初号付近は引下げを行わず、2級の中位号給以上については1級からの昇格時の対応も考慮しながら最大で平均改定率の8割程度の引下げにとどめ、3級から8級については、平均改定率程度から平均改定率の1.2倍程度の引下げを行う必要がある旨を言及した。

 また、3級の最高号給には50歳台前半層までの者が460人、4級には700人いることを踏まえ、これらの職員に対して勤務実績に応じた昇給の機会を確保するため、給料月額の引下げの範囲内でそれぞれ4号給から8号給程度の号給の増設を行うことを検討することが適当である旨を言及した。

 なお、行政職給料表以外の給料表については、行政職給料表との均衡を基本として改定する必要がある旨を言及した。ただし、医療職給料表(1)については、国における取扱い及び医師の処遇を確保する観点から、引下げ改定を行わないことが適当である旨を言及し、また、幼稚園教育職給料表については、幼稚園の教育職員等の地域手当支給割合は、府費負担職員との権衡を考慮して、別途定められているところであり、府費負担職員の地域手当の支給割合率の改定状況も踏まえた上で、必要な改定を行う必要がある旨を言及した。

 給与制度の総合的見直しの実施時期については、平成28年4月1日とすることを勧告している。

 その他、給与制度等に関する課題として、本市の給料表構造について、多くの職員に最高号給が適用されているところ、給与制度の総合的見直しと合わせて3級及び4級の号給について一定の増設を行うことが適当であると考えており、これが実現されると現在最高号給に到達している職員にも昇給の機会が得られることになるが、昇給可能号給数はかなり限定的なものにとどまるため、国・他都市の状況や民間における傾向等も考慮の上、将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討を進めていく必要がある旨を言及している。また、再任用職員の給与について、公民給与を的確に比較し分析するにはデータの蓄積が十分であるとは言えないと考えられることから、民間事業所における再雇用者の給与の動向や国の再任用職員の給与改定の状況等を踏まえ、引き続き検討する旨を言及している。

 また、保育士及び幼稚園教員の給与改定の在り方について、保育士や幼稚園教員を取り巻く状況について注視し、適切かつ効率的に給与改定を行うことができるよう研究を進めていく旨を言及している。

 さらに、府費負担教職員の給与負担等の本市への移譲に関して、平成29年4月に大阪市立の小・中学校の教職員の給与負担等が大阪府から本市へ移譲されることとなるため、本委員会としても本市教育委員会所管の学校教職員の給与・勤務条件等について、課題の検討を進めていく旨を言及している。

 他にも、技能労務職員の給与水準に関して、任命権者で行った個別の職種ごとの民間の技能・労務関係職種従業員の給与水準等に関する調査結果の集計・分析について、民間給与調査等におけるノウハウを持つ本委員会に協力依頼があり、集計・分析を行った。その結果については、参考資料149ページから157ページに掲載したとおりであるが、本委員会における集計、分析結果については、短期間での作業であったこともあり、十全とは言い難い部分や、調査データ数が少なく分析が困難な職種も存在することについて留意が必要である旨、言及している。

 なお、平成21年度の開始から9年間という長期にわたり実施されることとなった給与減額措置について、当該措置は、公務員の給与水準を民間給与水準に均衡させることを基本として行われる人事委員会勧告の制度趣旨とは異なること、職員の士気や人材確保に与える影響等も懸念されることから、早期に解消されることを望む旨、改めて言及している。

 次に、勤務環境等に関する課題として、仕事と介護の両立支援の推進について、実際にどれぐらいの職員が介護に関わっているかは、介護に係る両立支援制度の利用実績だけではわからないところもあり、その実態の把握と、仕事と介護を両立させるために現行の制度が十分か等の検証や介護サービスに係る情報等の職員への周知啓発の取組が求められる旨を言及している。

 また、職員の心の健康保持について、平成23年3月に策定された「心の健康づくり指針」の中で掲げた目標の達成状況を始め、この5か年の取組結果に対する評価・総括を行い、その上で平成28年度以降を対象とした新たな指針を策定することが望ましい旨を言及している。さらに、本市では、先行してストレス調査に取り組んできたところであるが、ストレスチェックの実施を義務付ける改正労働安全衛生法が求める内容に基づいてストレスチェック等を実施できるよう、所要の措置が求められることについも言及している。

 最後に、パワーハラスメント防止の取組として、この度策定されたパワーハラスメントの防止等に関する指針等について、今後、広く職員に周知啓発し、パワーハラスメント防止の取組を推進していくことが求められる旨を言及している。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要である。

 続いて、「人事管理制度に関する報告」について、説明申し上げる。

 これは、本委員会として、これまで本市人事管理制度全般の在り方について調査研究及び検討を進めてきた内容を取りまとめたものであり、人事管理制度改革のため、大きく8つの項目について提言している。

 まず、1つ目が「長期的視点に立った組織・人員管理」であり、長期的視点から適正職員数を合理的にシミュレーションし、計画的な人員の採用・配置が必要であることなどを提言している。

 2つ目が「組織内外や性別を問わない、多様かつ有能な人材の積極的登用」であり、「職員の専門性の向上」として高度な専門性が必要な分野では、職員の自主的な能力開発を奨励するプログラムの設定や、専門性を向上させるプログラムの開発が必要であることなどについて提言している。

 また、「人材の評価」として、係長級以上の職への昇格・昇任要件をより明確化していくこと、複数年にわたり人事評価で高評価を得た者については、より大胆な抜擢を可能とすること、課長代理級以上への昇格・昇任には、評価成績のほか、実務能力試験、第三者を含む評価面接により、管理監督者としての適性を見極めることが必要である旨を提言している。

 その他、「民間企業等外部機関との人的交流の促進」の必要性について述べるとともに、「外部人材の登用、配置、処遇等」として、周囲への影響力が大きい管理職への外部人材の登用が有効であり、目安を設定し、計画的・実証的に拡大していくことが必要であること、外部人材の実務経験、実績、専門性等が最も活用でき得る業務分野に配置することが必要であること、具体的な業績目標を予め明示し、その実績等に相応しい待遇の確保が必要であり、期待に沿う成果を挙げた者は本務職員しての任用も可能とする制度設計が必要である旨を提言している。

 3つ目が「女性職員の活躍促進」であり、「女性職員に対する計画的かつ柔軟な職務経験の付与」として、女性職員にライフデザインと仕事において志向する専門コース、キャリアパスのイメージを作成させ、それに基づくキャリアデザインを基に、計画的かつ柔軟に職務経験を付与することが必要であること、「女性職員のキャリアアップへの意欲の喚起」として、育児休業からの早期の職場復帰とそれに伴うキャリアイメージ形成への積極的支援や、幹部候補としての選抜等について、出産等に基づく一時的な中断によるデメリットが最小限となるよう配慮が必要であること、「女性職員の積極的な幹部への登用」として、管理職候補となり得る女性職員について、個別の育成計画に基づく計画的な育成を図り、特に部長級以上の管理職に登用される女性職員の育成を強力に推進することが必要である旨を提言している。

 4つ目が「業務改善・効率化や生産性の向上への視点を重視した透明性ある人事評価制度」であり、「業務改善・効率化・生産性の向上につながる行動の人事評価への反映」が必要である旨や、「メリハリをつけた処遇」として、特に区長・局長については、内外人材の別なく任期を設け、実績主義を徹底した評価手法の開発が必要であり、管理能力の欠如等が明らかな区長・局長等は、任期途中でも退任を可能とするなど厳格な人事制度の運用が必要である旨提言している。また、「全庁的な業務改善の取組の促進等」では、業務改善・効率化・生産性向上のための行動の結果を区長及び局部長級職員の勤勉手当に反映させることで、所属間で業務改善を競い合うことを促し、切磋琢磨する組織風土を創成することが重要である旨を提言している。

 5つ目が「職員の自律的なキャリア形成」であり、「専門コース別人事管理制度の導入」として、現行の自己申告制度を発展させ、そこで「希望する分野」として挙げられている各分野を参考に専門コースを設定し、各コース別に人事管理することが適当である旨や、その他「人事配置・人事異動に関するフィードバック」の重要性についてや、「職務と人材に関する情報の可視化」では、各職務の内容、そこで必要な能力・資格等と職員の持つ能力、資格、適性等の情報をそれぞれ整理し「可視化」することで、自律的にキャリア形成できる土壌を整備するとともに、能力・適性に基づく効果的な人員配置で、業務の効率性等につなげていくことが肝要である旨を提言している。さらに、「庁内公募制度等の拡充」が、自律的キャリア形成のための制度として必要である旨を提言している。

 6つ目が「管理職員の能力向上」であり、「管理職研修の充実」として、業務マネジメントやコーチングスキル等の研修の更なる充実が必要である旨や、「人事評価の項目見直し」として、管理職員については、業務の改善・効率化や部下職員の育成に関する成果をより評価するよう、人事評価項目やその配分ウェイトの見直しの検討が必要である旨を提言している。さらに、「管理職員への昇格・昇任」については、管理監督者としての適性、資質の有無で厳正に判断することが肝要であり、課長昇任前アセスメント研修の内容の充実化とその結果のより厳密な昇任への反映が必要である旨を提言している。

 7つ目が「上級幹部候補の選抜・育成」であり、「上級幹部候補の選抜方法」では、上級幹部候補の選抜機会を例えばキャリア段階に応じて設け、段階ごとに絞り込む方法で行うことが必要である旨を、「上級幹部候補の育成」では、選抜の段階に応じて、政策の企画立案、業務・人員の管理に係る能力等を効果的に修得できるよう、計画的な人員配置が必要であることなど提言している。また、「幹部候補としての継続判定及び再選抜」が必要である旨提言している。

 8つ目が「働きやすい職場環境と多様な働き方が可能となる柔軟な勤務体系」であり、「超過勤務を当たり前としない職場環境整備」として、「所定勤務時間内で業務を処理することが基本である」ことを職員、とりわけ管理職員に徹底することが重要であり、所属長の強いリーダーシップの下、超過勤務時間の多い課の管理職に改善策等の検証、検討をさせるとともに、不要不急な業務を廃止することなどに取り組むことが重要である旨を提言している。また、「テレワークの導入検討の加速」では、テレワークのモデル実施の検証結果も踏まえ、可能な限り幅広い業務でテレワークを利用できるようにすることが望ましい旨提言している。

 「人事事管理制度に関する報告」の説明は以上である。

組合 貴人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善にご尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げたい。

 まず、公民の給与比較であるが、月例給について、本年4月時点でマイナス9,925円、率にしてマイナス2.43%の較差があり、給与減額措置後では1,130円、率にして0.28%となることが明らかにされた。また、一時金に関しては民間の支給割合との差から0.10月分を引き上げ、4.20月分とするなどの説明があった。率直に申し上げて、月例給での大幅なマイナス勧告が出されたことについて理解も納得もできるものではない。国及び他都市、隣接する堺・神戸・京都市においてもプラス較差が勧告されており、人事院と同様に調査を行ったとされているにもかかわらず、大阪市のみが大きなマイナス勧告ということには、大きな疑問を感じる。

 9月14日の交渉でも指摘したが、今春闘における7月の最終集計では、大手企業のみならず中小・地場組合についても、前年比較で妥結額・賃上げ率ともに大幅に増加した結果となっている。同交渉の中で人事委員会自らも、「ベースアップを実施した民間事業所の割合は昨年より増加している」と回答しており、民間の賃上げ率が昨年以上であることを示している。一方、職員の給与水準が「給料月額の減額措置」や「給与制度改革」により、大幅に引き下げ続けられていることも、この間、指摘してきているが、この4月からは「給与制度改革」による経過措置適用者の基本給は、5%引き下げられ大多数の職員が制度値に移行しており、平均給与水準はさらに下がっている。また、給与カーブについても、この間のマイナス改定と合わせて2年前の大幅なマイナス改定において、国と同様のフラット化にされており、ラスパイレス比較においても大阪市は国を下回っている。このような、今年の民間賃上げ状況や、職員の給与水準を考慮すれば、大阪市のみが月例給において公務が民間を上回ることは考えられない。仮に民間が下回っているとすれば、大阪府市における経済政策は賃金上昇に結びついておらず、一向に経済状況は好転していないことになる。さらに、本年の調査においても、民間給与データの上下2.5%ずつを除外して比較を行っており、われわれとして、このような手法を活用した公民比較は精確性を欠くことから、直ちに従前の手法に改めるよう再三にわたり指摘してきている。にもかかわらず、頑なまでにこのような手法を強行する人事委員会の姿勢には、憤りを覚えるところであり、このような手法の活用が本年のマイナス勧告に影響を及ぼし、意図的に給与水準の引き下げを行っていると理解せざるを得ない。

 給料表の改定に関して、引き下げ率に軽重をつけることも勧告されているが、人事委員会がこれまでに増して、各級における給料表の改定率まで具体的に言及することは、労使交渉事項にまで踏み込むものである。今後の労使交渉を規定づけるような人事委員会の行為は、われわれとしては看過できない。

 次に「給与制度の総合的見直し」に関しては、国家公務員の給与配分の問題であり、大阪市ではその必要性を認めがたく、職員の給与水準引き下げに直結する問題であることを、再三申し上げてきた。しかし、本年の人事委員会による勧告では、給料表において、地域手当の引き上げ分に相当する、平均1%程度の引き下げ改定が適当とされており、給料表での引き下げとなると、組合員の生涯賃金に多大な影響を与えることとなる。市労連は、総合的見直しの実施勧告は受け入れられるものではなく、人事委員会としての独自性と主体性を持って判断されることを、この間の交渉で再三求めてきた。しかしながら本勧告において、われわれの指摘や組合員の生活実態を顧みず、国や他都市との均衡の観点を名目とした実施勧告は認められるものではない。

 給与制度等に関しては、3・4級においての号給増設や、将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の必要性を言及しているが、「給与制度の総合的見直し」における範囲内での極めて限定的な号給増設にすぎず、われわれが求めてきたものからすると懸け離れており、総合的見直しありきではなく、人事・給与制度全体にかかわる制度の構築が必要である。

 「給料月額の減額措置」については、本勧告においても、早期に解消されることを望む旨、改めて言及しているとされているが、昨年同様、従来の表現に終始しており、市労連としては不満の残るところであり、懸命に働く組合員のモチベーションや生活実態を踏まえるならば、即時終了を明確に言及するべきである。

 保育士及び幼稚園教員の給与改定の在り方について言及もしているが、そもそも、本年4月から適用されている独自給料表に関しては、労使合意に至っていないにもかかわらず、一方的に市側が市会に上程し適用されている。この間、われわれは人事委員会に対して、勧告内容を踏まえていない給料表の改善と、労使合意という当たり前のルールを無視した、市側の一方的な姿勢を質す内容の勧告を求めてきた。しかしながら、そのようなことには全く触れられておらず、中立・公平な第三者機関として、責務と機能を果たしていない人事委員会の対応を強く質しておく。

 さらに、技能労務職員の給与水準に関して、大阪市独自で行った、民間の技能・労務関係職種従業員の給与水準等に関する調査結果について、大阪市からの依頼を受け集計・分析を行ったことが明らかにされた。人事委員会の責務として、独自性を持って精確な公民比較を行うことが大前提であるにもかかわらず、市側が行った独自調査を集計・分析し、その結果を勧告・報告の内容に資料として掲載するなど言語道断である。このようなことは、人事委員会自身が勧告制度そのものを否定していると言える。

 勤務環境等に関する課題としては、仕事と介護の両立支援や心の健康保持、また、パワーハラスメント防止の取り組みなどが言及されている。これらの課題は職員が職務に専念するためには重要な課題であり、人事委員会でも述べられているように、現行制度と職員の現状を十分に検証・把握し、都度の必要な措置を講じなければならないと認識している。

 続いて、昨年来から人事委員会で研究・検討を進めてきたとされている、「人事管理制度に関する報告」8項目についての説明があった。市労連として、昨年の勧告時の交渉でも、人事管理制度全般において人材育成のための制度の構築に向け、努力されるよう申し上げてきた。しかしながら、総体的な人材育成とは程遠く、職員数を削減し職員間に格差や混乱を生じさせる内容でしかない。大阪市の現在の人事管理がどのように行われているか適切公平な把握、また、問題点の抽出・分析を行わずして、報告が取りまとめられたことは問題である。その上でそれぞれの項目に対して意見を述べたい。

 まず、適正職員数の合理的かつ計画的な人員の採用・配置や、組織内外を問わない有能な人材の登用と言われているが、適正職員数の合理的なシミュレーションとは、いわゆる人員削減であり、専門分野においても組織外から人材の登用を行う必要はなく、正規職員の人材確保に努めるべきである。

 次に、複数年にわたり人事評価で高評価を得た者には、大胆な抜擢を可能とするとあるが、相対評価による人事評価は公平・公正性に欠けるものであり、相対評価結果を活用した人事管理制度は人材育成の制度とは言えない。昨日発令された分限免職は、その最たる事例であり、到底認められない。

 また、管理職への外部人材の登用は、現段階でも組合員は昇格が困難な状況であるのに、管理職に外部人材を登用すれば、管理職である上位級での昇格がなし得なくなり、すなわち、管理職級以下の各級でも昇格への道がさらに狭くなることとなる。人事委員会においても、将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討を進めていく必要があることを言及しており、それらと相反する内容と言える。

 女性職員の活躍促進に関しては、育児休業や出産等においての職場復帰時の支援や、積極的な幹部への登用など、一定評価はできる。しかし、限られた女性職員のみを登用させるような内容もあり、選考理由や基準等においては、職員間の混乱や格差を生じさせないよう詳細な配慮が必要と言える。

 透明性ある人事評価制度について言われており、メリハリをつけた処遇として、特に区長・局長について、退任を可能とする厳格な人事制度の運用が必要であると提言したとある。ここで言われているのは、区長・局長に対してであるが、このような極端な実績主義は、組合員への波及も危惧されるところである。先程も述べたが、相対評価による人事評価は公平・公正性に欠けるものであり、市労連はこの間、相対評価の廃止を強く求めてきていることから、相対評価結果を活用した人事管理制度には納得できない。

 最後に、職員の健康管理やライフ・ワーク・バランスの観点からも、超過勤務縮減は重要な課題であるが、職員一人ひとり能力の違いがあり千差万別である。所定勤務時間内で業務を処理するように努めることや、管理職が改善策等を検討することは重要であると認識する。しかし、先程も述べたが、結果を求めるあまり極端な実績主義が蔓延し、パワハラに繋がったり、組合員がメンタル不調に陥る可能性も考えられることから、管理職に対しての十分な配慮が必要である。また、テレワークの導入については、モデル実施の結果を十分検証し、大阪市の多種多様な職場事情等を考慮した上での判断が必要である。

 以上、「勧告・報告」の内容に関する考え方を述べさせて頂いた。

 いずれにしても、今後市労連として、市側に対して賃金・労働条件改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、懸命に働く職員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、改めてその使命と職責を果たされるよう求めておく。

人事委員会委員長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしたところである。

 いずれにしても、本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えている。

以 上

2015大阪市人事委員会勧告に対する市労連声明

 大阪市人事委員会は10月1日、「職員の給与に関する報告及び勧告」と「人事管理制度に関する報告」を行った。勧告内容は月例給について、本年4月時点で▲9,925円、率にして▲2.43%、給与減額措置後では1,130円、率にして0.28%。また、一時金に関しては民間の支給割合との差から0.10月分を引き上げ、4.20月分とするものである。月例給については大幅なマイナス勧告となっており、市労連としては、到底、理解も納得もできるものではない。本年の国や他都市の状況を見ても、総じて民間が公務を上回っており、プラスの勧告となっている。そうした状況にも関わらず、大阪市のみ大幅なマイナス勧告となった背景が理解できない。春闘でもベースアップについて昨年を超える内容で妥結されており、9月14日の人事委員会との第2回目の交渉でも「ベースアップを実施した民間事業所の割合は昨年より増加している」と回答し、民間の賃上げ率が昨年以上であることを示している。であるにも関わらず、本日の勧告では、民間給与が公務を大きく下回っているとされている。特に隣接する堺市の民間の平均給与総額では404,180円となっているにもかかわらず、大阪市が399,037円となっている。職員の構成年齢等の違いはあるにせよ、近畿の各政令市においても総じて400,000円を超えている実態がある。現段階では大阪府の勧告が出ていないが、その動向に高い関心をもつものである。そうしたことからも市労連として、人事委員会の調査手法に疑念を抱かざるを得ず、さらには何らかの意図があるのではないかと憂慮すらするものである。また、この間、大阪市独自に行われている上下2.5%を除外していることも影響していると思われ、従来の調査手法に改めるべきである。仮に民間が公務を下回っているとするならば、大阪府市における経済産業施策は賃金上昇に結びついておらず、一向に経済状況は好転していないことにもなる。

 次に「給与制度の総合的見直し」についてであるが、この間の交渉で「給与制度の総合的見直し」については国家公務員の地域間の給与配分の問題であり、国に追随することなく大阪市として主体的に対応すべきと発言してきた。しかしながら本日の勧告では、国において地域手当の支給割合の改定が大阪市域においては1%の引上げであることから、同様の引き上げをする一方、給料表水準の引下げについては、地域手当の支給割合率の引上げ分に相当する平均1%程度実施することが適当であるとされたところである。国に追随した給料表の引き下げは、生涯賃金にも大きく影響することから、断じて認められるものではない。

 最後に「人事・管理制度に関する報告」についてであるが、そもそも現在の大阪市における人事管理制度の問題点や検証が行われた形跡もなく、そのような中での一方的な報告の取りまとめについては、問題である。

 いずれにせよ本日、勧告を受けたところであり、市労連としても詳細な分析が必要であるが、中立機関としての人事委員会の対応にも問題意識をもつことから改めて、人事委員会に対しても詳しい説明を求めるものである。

 2015賃金確定闘争は、給与の減額措置の継続実施、大幅なマイナス勧告という状況下での厳しい闘いとなるが、組合員の生活を守るべく、粘り強く闘うものである。

2015年10月1日
大阪市労働組合連合会

 

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