本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME
HOME市労連の活動交渉と見解 > 記事

更新日:2015年9月17日

貯金事業の廃止にかかる対市団体交渉

市 側「事業継続が困難なため、本年度をもって廃止!」
市労連「貯金事業は福利厚生の一環。丁寧な取り扱いを!」

 市労連は、9月16日(水)三役・常任合同会議を開催し、貯金事業の廃止問題について協議し、午後4時より、貯金事業の廃止にかかる対市団体交渉を行った。

 団体交渉で市側は「長期金利が低位に推移してきており、本事業継続のためには、リスクの高い資産運用に頼らざる得ないことから、継続が困難であると判断し、2016年3月31日を持って廃止したい」としてきました。

 交渉で市労連は「福利厚生事業の一環であると認識しており、慎重に取り扱うべき」との考え方を示してきた。しかしながら、事業を継続することで、返って組合員に不利益が生じる可能性もあることから、廃止については、やむを得ないとしてきました。その上で廃止後における、福利厚生施策のさらなる充実に向けた要請を行ってきた。最後に、組合員への不利益や混乱を来さないよう市側の責任ある対応を求め団体交渉を終了した。

市側 本日の本交渉において、労働基準法第18条第2項の規定に基づき実施している、職員の貯金を管理する事業の廃止について、提案させていただく。

提案文手交

組合 ただ今市側より、貯金管理事業(以降 貯金事業)についての提案があった。提案にあたりこの間の経過と詳細な説明を求める。

市側 それでは、提案内容について、説明させていただく。

 本市では、これまで、労働基準法第18条第2項の規定に基づいて、職員の貯金を管理する事業を行ってきたところであり、具体の事務については、大阪市職員互助会に業務委託することにより行ってきたものである。

 同法の規定に基づく貯金管理事業では、年間0.5%以上の利子を付さなければならないとされているところ、本市では、利率を法令上の下限利率と同率の0.5%としており、事業の受託者である互助会においては、当該利率による利子を産み出すために、債券等による資産運用を行ってきたところである。

 しかしながら、日本の長期金利が低位に推移してきていることなどにより、事業継続の困難化が予想されたことから、平成25年11月に、本市から互助会あてに事業の廃止に向けた準備を要請したものである。これを受けて互助会においては、リスクのある債券等を売却するなどにより、貯金管理事業における資産の健全化をはかってきたところである。

 今般、本市においては、互助会より資産が健全化したことなどの報告を受け、また、同事業の継続のためにはリスクの高い資産運用に頼らざるを得なくなってきていることなどから、同法に基づく貯金管理事業の継続が困難と判断し、同事業については、平成28年3月31日をもって廃止することとしたい。なお、同事業の廃止に伴い、貯金の新規申込み等については、平成27年12月18日までに所定の手続きを完了したものまでとしたい。

 提案内容は以上である。なにとぞ、よろしくお願い申し上げる。

組合 ただ今、市側より、貯金管理事業の廃止についての提案がされた。互助会における貯金事業においては、会員間の相互扶助の観点から福利厚生事業として運営が行われてきたと認識している。本事業は社内貯金としての性格であり、よって労使での交渉事項であるので、もう少し慎重に対応すべきであったと考える。また、提案で事業の継続は、リスクを伴う資産運用となっていることも認識している。互助会を通じてそういった情報は入っているも、この間、市側からは情報提供すらすらなかった。やはり社内貯金の性格上、そのあたりが欠如していたのではないか。

市側 先ほどのご説明と重複するが、平成25年11月に、互助会に対して事業の廃止に向けた準備を要請して以降、互助会においては、リスクのある債券等を売却するなどにより、貯金管理事業における資産の健全化をはかってきたところである。

 その後、平成27年3月に、資産の健全化がほぼはかれた旨の報告を受けたところであるが、いまだ引き続き債券の売却を進めている途中であり、貯金管理事業廃止に係る情報がオープンになると、債券を買いたたかれ不利益を被る恐れがあったことから、情報提供ができなかったものである。

 今般、資金確保のめどが立ったことから、提案に至ったものであるが、慎重な対応にかけていたとのご指摘については、なにとぞ、こうした事情を勘案していただきたい。

組合 貯金事業については、労使における福利厚生協議会での経過においても、事業主の事業に限らず、共済組合や互助会への委託事業としての観点等も必要という意見から、福利事業については互助会への委託事業として、運営してきたと認識している。先程も申し上げたが、社内貯金と位置付けされていることから、市側として、本事業の廃止後、受け皿的なものは検討していないのか聞かせてもらいたい。

市側 労基法に基づく貯金管理事業は、法令で定める利率0.5%以上の利子を付けなければならないため、運用が難しいことから、同法に基づく事業の実施は考えていない。ただし、職員の財産形成に関しては、すでに財産形成促進法に基づく財形貯蓄を実施しているところであり、現在、約14,000件の利用がある。引き続き継続していきたい。

 なお、ご指摘のように福利厚生協議会においては、いわゆる福利厚生事業における事業主、共済組合、互助会の役割分担が確認されていることから、引き続き、それぞれの実施主体の役割に応じ、時代に合った事業に取り組むとともに、互助会においては慰安厚生事業や福利事業を実施することとされていることから、引き続き有効な事業が行われるよう、市においても連携をとっていきたいと考えている。

組合 受け皿としての、いわゆる財形貯蓄のことが示されたが、財形貯蓄は職員の財産形成を目的とされ、福利厚生としての意味合いが高い貯金事業としては、そもそも性格が違うと考えられる。よって、互助会における慰安厚生事業や福利事業において、引き続き有効な事業が行われるよう連携をはかっていく事は極めて重要である。今後、検討を行う際は、福利厚生協議会において協議・検討してきた経過を踏まえ、労使においても、十分な協議がされるよう要請しておく。

 提案で、本事業は2016年3月31日をもって廃止することとしたいとあるが、今後、職員への周知や控除の終了等、どのようなスケジュール感で行っていくのか聞かせてもらいたい。

市側 今後のスケジュールについては、貯金管理事業について、皆様方のご了解をいただきましたら、速やかに関係職員団体・労働組合と、事業の廃止及び廃止に向けた手続き等に関して、協定を締結させていただきたいと考えている。

 内容については、貯金管理事業を、平成28年3月末をもって廃止することとする。また、給与控除を、平成28年2月分までとすることとし、新規申込み等は、平成27年12月18日までの手続き完了分までとする。平成28年4月時点での残高は、5月下旬を目途に各職員の口座に振り込み、なお、平成28年3月末まではこれまでどおり引き出せるが、必要なカードの再発行は2月19日までに申込みが必要であることといったものである。

 あわせて、こうした内容について、すみやかに事業の委託先である大阪市職員互助会に対して通知するとともに、互助会と連携して、所属を通じて職員に周知していきたいと考えている。

 その後、現在、貯金をされている職員個人へも通知するよう調整していきたい。なお、これについては、例年10月下旬に、互助会から個人あてに、はがきで貯金残高をお知らせするタイミングがあるので、これと同時に行えるよう調整したいと考えている。

 職員への周知は1度限りで終わることなく、互助会と連携して、適宜、繰り返し行っていきたいと考えている。

組合 2016年3月31日に向けた、一連のスケジュールが述べられ、2月分まで控除を行い、その後、5月下旬を目途に各職員の口座に振り込むとなっているが、少しタイムラグがあるように思う。システム上の問題もあるのかもしれないが、もう少し早く振り込むことはできないのか。5月の振込になってしまうのであれば、その間の利息はどのような扱いになるのか聞かせてもらいたい。また、退職者に関しては、どのような振込方法になるのか。3月末退職の組合員もそうだが、例えば、今年の9月に退職される組合員もおられると思うが、何か対応は考えているのか教えてもらいたい。

市側 3月31日までは、貯金管理事業として継続しているので、それまでは従前どおり引き出すことができる。

 事業廃止後の4月時点で引き出されていない残高については、その後、速やかに職員個人の口座へ振り込むこととするが、これには件数も多いことから、手続きに時間を要し、目途としては5月下旬となる。しかしながら、できるだけ早く振り込みができるように互助会において努力されるよう、連携していきたい。具体の日付については、判明次第、職員に周知するとともに、皆さま方にも情報提供をしていく。

 なお、その際、4月以降は、貯金事業としては廃止していることから、その分の利子は付さないこととなるが、3月31日までは貯金事業が継続しているので、それまでの利息は、当然、付したうえで振り込むこととなる。

 また退職者については、これまでも協定に基づいて行っており、概ね退職から1月ちょっと後に、互助会から本人への返還の手続きを行ってきているところである。平成28年3月末退職以外は、これと同様の扱いとなる。ただし、3月末退職者については、事業廃止に伴う振込件数とあわせて、例年の3月末退職者の振込件数の20倍を超える件数となることから、先ほどご説明したスケジュールとなる。

組合 ここまで、貯金事業の廃止に関して疑問点や今後の方向性、廃止に向けたスケジュール感等を聞かせて頂いた。先程も申し上げたが、互助会と連携をとり、剰余金が発生した場合は、公費でないため真に職員の福利厚生に活用すべきと考えるがいかがか。

市側 貯金管理事業における剰余金に関しては、現行の協定書において規定しているとおり、取り扱われると考えている。つまり、互助会における貯金管理事業に係る事務費のほか、互助会会員たる職員の福利増進のために使用される。

組合 市労連として、本事業は、福利厚生の一環として社内貯金と位置付け、現在も多くの組合員が利用していることから、今後も存続を望むものではあるが、一方で、リスクを伴う資産運用となっており、今回の貯金事業の廃止については、やむを得ないと認識している。

 市側は今回の交渉以降、関係単組とも廃止に伴う協定書を交わすこととなるが、その際には、丁寧な説明と誠意ある対応を要請しておく。また、利用者・組合員への周知に関しては、職場に混乱を来さないように、十分な猶予を持って、詳細で丁寧な周知をはかるよう求めておく。

 いずれにしても、市民に対し良質な行政サービスを提供するためには、職員が心身ともに良好で業務を遂行していくことが重要である。そのようなことからも、福利厚生施策は、職員が職務を長期的・持続的に遂行し、安定した生活を維持する上で必要なものであり、職員はもとより、行政サービスの維持・向上のために実施していることにも留意し、福利厚生施策の様々な事業において、さらなる充実に向けた協議・検討を求め団体交渉を終了する。

以 上

貯金管理事業について(案)

1 提案理由

 本市では、労働基準法第18条第2項の規定に基づき職員の貯金を管理する事業(以下「貯金管理事業」という。)を実施してきたところであるが、昨今の経済情勢等を勘案し、事業の継続が困難であると判断したことから、次のとおり提案する。

2 提案内容

 貯金管理事業を廃止する。

3 廃止日

 平成28年3月31日をもって廃止する。

 なお、貯金管理事業の廃止に伴い、貯金の新規申込み、内容の変更、停止及び再開については、平成27年12月18日までに所定の手続きを完了したものに限る。


 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会