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更新日:2014年9月26日

2014年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
7年ぶりの引き上げを勧告
公民較差3.05%(12,240円)、一時金0.15月分を引き上げ
総合的見直しを今後検討することを言及
【市労連】
民間企業の賃上げ結果からも勧告内容は当然と認識
総合的見直しについては到底認められない
減額措置について人事委員会の姿勢を質す

 大阪市人事委員会は9月25日、市長及び市会議長に対して、2014年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。

 同日、市労連に対しても「報告・勧告」についての説明があった。

 市労連は人事委員会からの説明に対し、今年の大阪における景気動向及び民間企業の賃上げ状況がある一方、給与制度改革により多くの組合員が最高号給に到達していることなどから、大阪市の平均給与水準も年々下がっており、それらを踏まえれば今年の勧告結果は当然との表明を行った。

 また、給与減額措置に対しては、勧告・報告の中で、「人事委員会勧告の制度趣旨とは異なるものであることから、早期に解消されることを望む」とある一方、来年以降も継続実施することを容認するかとも受けとれる内容が示されている点について、市労連として「この間の人事委員会交渉にて求めていたことからするとあまりにもかけ離れており容認できない」ことを表明した。人事委員会が給与減額措置の継続実施ありきとする勧告・報告をしたことは言語道断であり、労働基本権制約の代償機関としての責務を果たしているとは言い難いとして、人事委員会の姿勢を厳しく質した。また、昨年に引き続き、民間給与データの上下2.5%ずつを公民比較の対象から除外したことについても従前の手法に改めるべきとし、「給与制度の総合的見直し」に対しては、安易に国に追随することなく大都市事情や大阪市に働く組合員の実情を踏まえた対応を求めた。

 さらに、保育士及び幼稚園教員並びに技能職員の給与水準に対する報告については、さらなる引き下げに繋がる人事委員会の対応と、賃金センサスを活用すること自体問題であるとの指摘を行った。

 最後に人事評価制度については、職員・組合員の納得性と人材育成のための制度となることを強く要請し、その上で、賃金・労働条件はあくまでも労使の主体的な交渉による合意が基本との立場を踏まえ、本年の較差にかかわって市側と交渉を行うことを表明した。

人事委員会委員長 これまで検討してまいった結果、とりまとめることができた「職員の給与に関する報告及び勧告」を、本日、市長及び議長に対して行ったところである。

 「報告・勧告」の内容については、局長から説明申し上げる。

行政委員会事務局長 まず、本年の民間給与実態調査では、調査対象産業を全産業、比較対象事業所規模を50人以上として調査を行ったところである。

 本年の給与改定についてであるが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行った。職員給与については、現在、給料及び管理職手当の減額措置が実施されており、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は401,963円であり、給与減額措置実施後の行政職給料表適用者の平均給与月額は379,213円となる。一方、民間給与は414,203円となり、その差は、給与減額措置がないものとした場合には12,240円、率にすると3.05%となり、給与減額措置実施後は34,990円、率にすると9.23%となる。

 職員と民間の給与を均衡させるためには、本来支払われるべき職員給与である、給与減額措置がないものとした場合の職員給与との較差に基づき、月例給の改定を行うことが適当であると判断するところであり、本年引上げ改定すべき月例給の額は、12,240円となる。

 また、特別給については、民間の支給割合は4.11月分となっている。ただし、勧告月数は、国や他都市と同様に、0.05月単位で決定しているので、小数点第2位を2捨3入した4.10月分となり本市職員の期末・勤勉手当の支給月数3.95月分との差は0.15月分となる。

 これらの公民の給与較差を解消するため、月例給及び特別給の引上げ改定を勧告したところである。なお、月例給、特別給ともに平成19年以来7年ぶりの引上げ改定となる。

 月例給の引上げ改定については、本年の公民較差がかなり大きなものとなっていることを考慮すると、主として基礎的な給与である給料表の引上げ改定によることが適当であると考える。

 給料表の引上げ改定に当たっては、昨年より、民間給与実態調査に基づく公民較差の解消を基本としつつ、賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえた上で、具体的な改定を行うという方法を採用したところであり、本年についても、賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえ、昇給カーブのフラット化や役職段階ごとの給与水準の傾向を反映させることが求められる。しかし、本年については、初任給水準を国及び民間の支給状況と均衡させる必要から、若年層職員が多く在職している各級の初号付近の引上げ率を大きくし、中高齢層職員が在職している最高号給付近の改定率を小さくする昇給カーブのフラット化が技術的に困難な状況にある。また、昨年の本委員会の給与勧告に基づき、昇給カーブのフラット化や民間の役職段階ごとの給与の傾向を反映した改定が行われていることや、国において、給与制度の総合的見直しとして、世代間の給与配分の見直しなどを目的とした俸給表の改定が来年度に予定されており、今後本市としても対応の検討が必要な状況もある。

 これらの状況を考慮すると、本年の公民較差を解消するため、給料表を改定する場合には、各級ともに平均改定率程度の改定を基本として、初任給水準や前後の級とのバランスを考慮して改定を行い、昇給カーブのフラット化等は、給料表全体のバランスが取れる範囲で行うことが適当であると考える。

 具体的な給料表の改定内容については、1級及び2級については、国や民間の初任給の支給状況との均衡を考慮した引上げ改定を行い、3級以上については、全体として平均改定率程度の引上げとするよう言及している。

 その他、月例給については、医師等に対する初任給調整手当について、人材確保の観点から、人事院が勧告した措置や他都市の状況等を勘案の上、引き上げる必要があると勧告している。

 期末・勤勉手当については、年間支給月数を0.15月分引上げ、4.10月分とすること。期末手当及び勤勉手当の区分ごとの引上げ及び支給割合は、民間の考課査定分の支給状況や勤務実績を適正に給与に反映させることなどを勘案し、勤勉手当に配分することを勧告している。

 改定の実施時期については、月例給は本年4月に遡及して実施し、本年12月期の期末・勤勉手当は改正条例の公布日の属する月の翌月から実施し、平成27年6月期以降の期末・勤勉手当は平成27年4月1日に実施することを勧告している。

 勧告に基づく職員給与の試算については、今回の勧告が実施された場合、給与減額措置実施後の行政職の平均年収は233,526円の増加となり、その場合の行政職全体の影響額は約26億5千万円となる。

 次に、意見として、公民給与の比較の在り方や賃金センサスに基づく給与水準等の傾向の比較等について言及している。本年については、先ほど説明したとおりである。なお、本委員会は、昨年より、民間給与実態調査により収集した民間給与データには極端な額のデータも存在するため、そのうち給与額の上下2.5%ずつ、合わせて5%のデータについては、公民比較の対象から除外しており、本年についても同様の取扱いとしている。

 その他、給与制度等に関する課題として、給料表構造及び地域手当について、本年、人事院は地域間給与配分の見直し及び世代間給与配分の見直しとしての俸給表及び地域手当の改正を勧告したが、今後本市給料表及び地域手当の改正について、他都市等の動向を注視しながら検討していく必要がある旨を言及している。

 次に、昇給制度に関する課題として、最高号給に到達した職員の業績や能力の適正な評価と士気向上との関連について、将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討が必要であること、諸手当について、人事院が勧告した交通用具使用者に係る通勤手当、単身赴任手当及び管理職員特別勤務手当の見直しに関して、民間の支給状況のほか、本市職員の勤務実態や当該手当の支給状況等を勘案の上、検討する必要がある旨を言及している。

 再任用職員の人事・給与制度については、今後、再任用職員の人事管理が大きな課題となるが、再任用職員ならではの役割を果たせる職務への配置等の検討が求められることや、再任用職員の給与水準について、民間の再雇用者の給与水準等を把握し、今後の再任用職員が担うべき職務や勤務形態等を考慮の上、引き続き検討する旨を言及している。

 他にも、保育士及び幼稚園教員並びに技能労務職員の給与水準等について、昨年に引き続き、民間の保育士及び幼稚園教員の給与水準等を調査し、本市の保育士及び幼稚園教員の給与水準等と比較しており、結果について参考資料に掲載している。技能労務職員についても、昨年と同様、賃金センサス結果から民間の技能・労務関係職種の給与水準等を把握し、本市技能労務職員の昇給カーブ等の給料表構造と比較しており、結果を参考資料に掲載している。

 なお、給与減額措置については、人事委員会勧告の制度趣旨とは異なるものであることから、早期に解消されることを望む旨など、付言したところである。

 また、誰もがいきいきと働きやすい職場環境づくりの観点から、超過勤務の縮減として、長時間にわたる超過勤務を生じさせている要因に応じ、人員配置計画も含めた実効性のある超過勤務縮減策が求められることなどについて言及している。

 両立支援の推進として、今後、新たな特定事業主行動計画の策定作業を進めるに際しては、後期行動計画で掲げた数値目標の達成が容易ではなかった要因を分析した上で、策定することが求められることや、現行の介護休暇制度が仕事と介護の両立を図る上で十分な制度となっているか等について、検証・検討が必要と考えることなどについて言及している。

 メンタルヘルス対策の推進として、「大阪市職員心の健康づくり計画」に則り総合健康リスクの改善の取組を進めているが、その取組に対する中間評価を踏まえ、引き続き取組を前進させることが重要であることなどについて言及している。

 パワーハラスメント防止の取組として、本市においても、パワーハラスメントに関する相談窓口を設けること、パワーハラスメント防止等に係る指針の策定等の検討を進めることが求められることなどについて言及している。

 なお、本委員会は、人材の確保、人事評価や教育研修などの人材育成、複線型人事制度など、本市人事管理制度全般について研究・検討を進めており、成案を得られた段階で別途報告を行う予定である。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要である。

組合 冒頭、貴人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善にご尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げたい。

 まず、公民給与比較について、本来支払われるべき職員給与である減額措置がないものとした場合の較差に基づき、月例給の改定を行うことが適当との判断から、本年引き上げ改定を行うこと、また、一時金についても民間の支給割合との差から0.15月分を引き上げ、4.10月分とするなど、勧告内容の説明があった。

 とりわけ、月例給について、本年4月時点で民間給与が12,240円、率にして3.05%上回っており、給与減額措置後では34,990円、率にして9.23%上回っていることが明らかにされた。今年の大阪における景気動向及び民間企業の賃上げ状況がある一方、大阪市においては給与制度改革により、組合員の多数が最高号給に到達していることなどから、職員・組合員の平均給与水準は年々下がっていることは事実であり、人事委員会から明らかにされた勧告結果は、当然のものとして受け止める。

 給与減額措置については、人事委員会としても先の交渉で「長期にわたる給与減額措置は職員の士気に影響を及ぼすことも懸念される」ことを踏まえ、必要な意見を付していくことが示された。先ほどの事務局長の発言において、「人事委員会勧告の制度趣旨とは異なるものであることから、早期に解消されることを望む」と言われた。

 一方で、勧告内容を見るとあたかも人事委員会として来年度以降も継続実施することを容認しているとも受け取れる内容も言われている。この点についてはこの間、私たちが交渉にて求めていたことからするとあまりにもかけ離れており容認できない。継続実施するとさらに職員のモチベーション低下を招くことは明らかである。給与減額措置は早期に解消するべきであり継続実施ありきとする勧告・報告など言語道断と言わざるを得ない。

 また、人事委員会より本年についても、民間給与データの上下2.5%ずつ、合わせて5%のデータについて、昨年と同様の取り扱いとして、公民比較の対象から除外したことが明らかにされた。市労連として繰り返し申し上げてきたが、精確な公民水準比較を行うということや、中立機関として職責を果たすべき人事委員会の立場性から見ても、このような大阪市独自の比較方法は、市労連として認められるものでなく、即時やめるべきであり、従前の手法に改めるべきであることを再度申し上げておく。

 給与制度等に関する課題として人事院が勧告した「地域間給与配分の見直し及び世代間給与配分の見直しとしての俸給表及び地域手当の改正」について、「他都市等の動向に注視し、検討していく必要がある」と述べられた。再三申し上げてきたが「給与制度の総合的見直し」は、あくまで霞が関に勤務する職員の処遇改善を狙ったものであることは明白であり、われわれとして決して認められるものでない。国とは制度内容も大きく異なることから、安易に国に追随することなく、大都市事情と大阪市に働く職員・組合員の実情を十分踏まえた対応することを強く求めておく。

 保育士及び幼稚園教員並びに技能職員の給与水準についても、昨年に引き続き、民間との給与水準の比較結果を参考資料として掲載しているということが示された。とりわけ、保育士及び幼稚園教員の給与水準等については、昨年12月の人事委員会からの報告において、人員構成等の組織・人事の構造が大きく異なることや、職務の重要性、処遇確保の必要性等、いくつかの留意点を示している。

 この間、繰り返し申し上げてきたが、給与制度改革により実態給与は大きく引き下げられており、さらなる引き下げに繋がる人事委員会の対応には憤りさえ覚える。単純な給与水準の比較を行うのではなく、人材確保の観点からも検討が必要と認識している。また、技能職員の給与にかかる見解も報告されているようだが、昨年10月においても調査実務上の課題が山積し、困難であることから賃金センサスの結果における類似の民間従業員の給与水準を把握することでの内容が示された。再三にわたり指摘してきたが、賃金センサスの調査データの精度そのものが疑問であり、活用自体問題であると認識している。

 懸命に働く職員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、人事委員会としての機能を十二分に果たし、あらためて中立機関として独立性を堅持し、その機能を果たすことを要請しておく。

 最後に人事委員会より、人材の確保、人事評価や教育研修などの人材育成、複線型人事制度などの人事管理制度全般について、成案を得られた段階で報告を行う旨が示された。あらためて申し上げるが、現在、大阪市では、相対評価による人事評価が実施されており、相対評価制度そのものが公務に馴染むものでなく、決して人材育成のための制度とは言えない。人事委員会として人事管理制度全般の成案化に向け、引き続き研究・検討を進めるのであれば、この間繰り返し申し上げているように、職員・組合員の納得性は勿論のこと、人材育成のための制度の構築に向け、一層の努力を払われるよう申し上げておく。

 いずれにしても、今後市労連として、市側に対し賃金改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、人事委員会としても、私たちの指摘内容を十分踏まえ、あらためてその使命と職責を果たされるよう求めておく。

人事委員会委員長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしたところである。
いずれにしても、本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えている。

組合 先ほど事務局長の方からも給与減額措置についての発言を行ったが、「早期に解消を求める」という点については市労連としても一定理解をするが、その後、示されている次年度以降の内容に触れられていることについて再度申し上げておきたい。

 市労連として、昨年の給与改定時期以降、給与減額措置については設定当初の前提条件が変わっていることから、引き続く交渉を現在も行っているところである。給与減額措置について条例上は、来年の3月末までとなっているが、人事委員会が示した内容を見れば、交渉にも大きな影響を及ぼすことが懸念される。次年度以降の継続を容認するかのような内容が示されていることは極めて問題であるとの認識に立っている。

 とりわけ、労使交渉事項となることや、引き続き減額措置中止を求めていることからも、勧告・報告で示されている内容は容認できない。率直に申し上げ、この間の交渉で繰り返し申し上げてきたことからすれば、われわれの思いとは逆行していると言わざるを得ない。

 ただ今、勧告・報告を受けたところであるので、すべての内容を理解したわけではないが、現在、即時中止を求める交渉を行っていることから、ただ今指摘した点については危機意識を持っていることもあわせて申し上げておく。

以 上

 

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