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更新日:2013年9月20日

2013年大阪市人事委員会報告及び勧告

【市人事委員会】
公民較差▲4.19%(▲17,579円)、一時金改定なし。
役職段階に応じ、引き下げ率に軽重をつける勧告。
【市労連】
大幅なマイナス勧告に、到底納得は出来ない。
給料表まで言及することは、看過できないことを指摘!

 大阪市人事委員会は9月18日、市長及び市会議長に対して、2013年の「職員の給与に関する報告及び勧告」を行った。

 同日、市労連に対しても、「報告・勧告」について説明があった。

 市労連は市人事委員会からの説明に対し、国との較差を大きく上回る非常に厳しい内容であり、率直に納得できるものでないことを表明した。さらに、勧告制度の外で実施されている「減額措置」について中止勧告を行わないどころか、一切触れられていない内容であり、人事委員会の姿勢が「労働基本権制約の代償機関としての責務を果たしているとは言い難い」ことを表明するとともに、その他、意見で示された、保育士と技能労務職給与水準の検証・検討について、実態給与が大きく引き下げられ、さらなる引き下げにつながる人事委員会の対応は認められないことを表明。さらに、賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえたものとして、具体的に給料表にまで言及することは、労使交渉事項にまで踏み込むことであることから、看過できないことを指摘した。

 その上で、賃金・労働条件はあくまでも労使の主体的な交渉による合意が基本との立場を踏まえ、本年の較差にかかわって市側と交渉を行うことを表明した。

人事委員会委員長 これまで検討してまいった結果、とりまとめることができた「職員の給与に関する報告及び勧告」を、本日、市長及び議長に対して行ったところである。

 「報告・勧告」の内容については、局長から説明申し上げる。

行政委員会事務局長 まず、本年の民間給与実態調査では、調査対象を全産業に拡大し、比較対象事業所規模を50人以上として調査を行ったところ、全国以上に厳しい状況が見られたところである。

 本年の給与改定についてであるが、月例給については、職員と民間企業従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較を行った。職員給与については、現在、給料及び管理職手当の減額措置が実施されており、この給与減額措置がないものとした場合の行政職給料表適用者の平均給与月額は419,439円であり、給与減額措置実施後の行政職給料表適用者の平均給与月額は395,388円となる。一方、民間給与は401,860円となり、その差は、給与減額措置がないものとした場合には▲17,579円、率にすると▲4.19%となり、給与減額措置実施後は6,472円、率にすると1.64%となる。

 職員と民間の給与を均衡させるためには、本来支払われるべき職員給与である、給与減額措置がないものとした場合の職員給与との較差に基づき、月例給の改定を行うことが適当であると判断するところであり、本年引下げ改定すべき月例給の額は、17,579円となる。

 また、特別給については、民間の支給割合は3.97月分となっており、本市職員の期末・勤勉手当の支給月数3.95月分と概ね均衡している。

 月例給の引下げ改定については、昨年、勧告したように地域手当の支給割合の引下げを行うことも考えられるが、本年、人事院は地域間給与配分の在り方について、更なる見直しを検討するとしており、今後、地域手当の支給割合が変更される可能性もあるなど、現時点で地域手当の支給割合を改定することには慎重であるべきであり、本年の月例給の改定については、主として給料表の引下げ改定を行うことが適当であると判断した。

 給料表の引下げ改定に当たっては、本年の公民較差の解消を基本としつつ、賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえた上で、具体的な改定を行うことが適当であると判断した。賃金センサスに基づく民間給与の傾向をみると、非役職者では本市と民間とで概ね給与水準が均衡しているといえるが、係長級では本市側の給与水準がやや高めとなっており、課長級では本市側がかなり高くなっている。部長級でも本市側が高めとなっている。そのため、給料表の改定については、役職段階に応じ、係員級である1級及び2級については引下げ率を小さめに、課長級である6級については引下げ率を大きくするなど、民間の傾向を踏まえて引下げ率に軽重を付けるよう勧告している。なお、医療職給料表(1)適用者については、医師の処遇確保の観点から改定の必要のない旨を言及した。

 改定の実施時期等については、改正条例の公布日の属する月の翌月から実施することとした。なお、平成25年4月からの年間公民給与を均衡させるための調整措置については、給与減額措置が実施されている職員には必要ない旨を言及した。

 勧告に基づく職員給与の試算については、今回の勧告が実施された場合、給与減額措置実施前の行政職の平均年収は279,405円の減少となり、その場合の行政職全体の影響額は約32億4千万円のマイナスとなる。

 次に、意見として、公民給与の比較の在り方や賃金構造基本統計調査に基づく民間給与との比較等について言及している。これらについては、公民給与の比較について、より市民の理解を得られる方法を模索していく必要があると考えており、本年については、先ほど説明したように、民間給与実態調査を用い、ラスパイレス方式により算出した本年4月時点の公民較差を解消することを基本としつつ、賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえた上で、具体的な改定方法を勧告したところである。

 なお、本委員会は、本年より、民間給与実態調査により収集した民間給与データには極端な額のデータも存在するため、そのうち給与額の上下2.5%ずつ、合わせて5%のデータについては、公民比較の対象から除外する取扱いとしている。

 その他の意見では、給与制度等に関する課題として、保育士、幼稚園教諭及び技能労務職についても民間の類似職種と給与比較すべきではないかとの指摘があり、現在、本委員会として、早急に結論を得るべく検証・検討を進めている旨を言及している。他にも、昨年8月の給与制度の改正に伴い、給料表の最高号給に到達した多数の職員については、その業績が昇給に反映されなくなっていることから、これらの職員の執務意欲の維持・向上を図るための方策を検討する必要性や、昨年、人事院が勧告した55歳以上の職員の昇給制度の見直しについて、本市の実態を含め、他都市の状況や民間の傾向等も考慮し、将来の人事管理の全体像を見据えた検討を行う必要性や、賃貸に係るもの等、住居手当全般について研究・検討を進めることについて言及している。また、公民比較方法や賃金センサスの活用方法については、勧告制度の根幹に関わる課題であり、今後、更に研究・検討を進めていくことを言及している。

 次に、高齢期における職員の活用として、再任用制度を円滑に実施して行くための課題として、再任用の要件、再任用の形態及び再任用者が担う職務、職員に対する制度周知及び意向の確保、再任用職員の給与の在り方などについて、検討を進める必要があることなどを言及している。

 その他、時代の要請に応じた活力ある組織づくりの観点から、活力ある組織のための多様かつ有為な人材確保として、昨年行った大幅な採用試験の見直しの結果検証や、中途採用者の処遇の検証、若年層職員の確保と高齢期職員の再任用との両立などについて言及している。

 相対評価による人事評価の検証と適切な評価結果の反映に関して、職員の能力・実績に基づく適正な評価結果となっているか等について詳細な検証を行い、更に制度を改善していく取組みが不可欠であることや、職員の執務意欲の向上に資する評価結果の反映ができるよう、その手法について検証・検討する必要があることなどについて言及している。

 自律的な人材の育成として、管理職員に対する部下育成能力の向上に資する研修の実施、職員の自己啓発の取組みを促進する仕組みの導入、職員がその専門性を発揮して働くことができるような複線型の人事異動の導入を検討することや、能力を有する女性職員を管理職に積極的に登用していくことなどについて言及している。

 また、誰もがいきいきと働きやすい職場環境づくりの観点から、超過勤務の縮減として、超過勤務を当たり前のものとしない職員の意識改革や職場風土づくり、管理職員が職員の勤務時間管理を厳正に行うことの重要性、業務内容及び業務量の抜本的な見直しを図ること等の取組みが肝要であることなどについて言及している。

 両立支援の推進として、男性職員の育児休業等の取得率を上げる取組みを推進するため、両立支援に係る制度内容の一層の周知とともに、男性の育児参加が重要であることを啓発し、職員の希望に応じて制度を利用できる環境整備が重要であることなどについて言及している。

 職員の心の健康保持として、「大阪市職員心の健康づくり計画」に基づき、各所属で職場環境改善の取組み等を実施していくことや、パワーハラスメントに関する相談窓口を設置、パワーハラスメント防止等に係る指針の策定など取組みを進めることが必要であることなどについて言及している。

 病気休暇・休職制度として、本委員会が民間給与実態調査の附帯調査において把握した民間の制度内容と本市の制度内容との比較や、病気休暇・休職制度の検討を進めていく際には、民間の状況も参考としつつ、研究・検討を進める必要があることなどについて言及している。

 以上が本年の給与報告・勧告の概要である。

組合 貴人事委員会におかれては、平素より私たちの賃金諸条件等の維持・改善にご尽力いただいていることに敬意を表しておきたい。

 さて、ただ今説明された本年の「職員の給与に関する報告及び勧告」の内容について、何点かに絞り市労連の考え方を申し上げたい。

 まず、公民の給与比較について、本来支払われるべき職員給与である減額措置がないものとした場合の較差に基づき、月例給の改定を行うことが適当との判断から、本年引き下げ改定を行うこと、そして、一時金については民間の支給割合と均衡しており改定しないなどと、勧告内容の説明があった。

 とりわけ月例給について、本年4月時点でマイナス4.19%、額にして17,579円の較差があり、給与減額措置実施後は1.64%、額にして6,472円下回っていることが明らかにされたが、月例給のマイナス較差が国の較差を大きく上回る非常に厳しい内容であり、人事院と同様に調査を行ったとされているものの、国や他都市に比して較差が大きく乖離しており、率直に申し上げて納得できるものではない。

 前回の交渉でも指摘したが、本年より民間給与データの上下2.5%ずつ、あわせて5%を除外したことが少なからず影響していると理解せざるを得ず、前回交渉時に慎重に対応すべきと申し上げたにもかかわらず、強行した人事委員会の姿勢に憤りすら覚える。各政令市をはじめ、国においても取り入れていないこうした調査データの活用方法は、直ちに改め、従前の手法に戻すべきであることをあらためて強く申し上げる。

 この間の交渉でも指摘してきたが、人事委員会勧告制度の外で実施されている給与カットと水準引き下げにより、組合員の生活実態は極めて厳しい。本来、公民較差の解消することが役割であるにもかかわらず、減額措置の中止勧告を行わないどころか、触れることすらしない人事委員会の姿勢は、労働基本権制約の代償機関としての責務を果たしているとは言い難い。

 また昨年、官民給与比較項目である持ち家にかかる住居手当が、労使合意なく一方的に廃止されたことに関し、本年の勧告でも何らそのことに触れようとしない人事委員会の対応も、中立的かつ公正な役割を果たしているとは言い難く、加えて、そうした状況を加味してもなお大幅なマイナス勧告が出ていることについても、容易に納得できるものではない。

 さらに、賃金センサスに基づく民間給与の傾向を踏まえて役職段階に応じて引き下げ改定を行うとして、引き下げ率に軽重をつけることも勧告されたが、人事委員会がこれまでにまして、各級における給料表の改定率まで具体的に言及することは、労使交渉事項にまで踏み込むものである。今後の労使交渉を規定づけるような、そうした人事委員会の行為は、われわれとしては看過できない。人事委員会自らが、賃金センサスの結果はそのまま活用できないと結論づけながらも、その活用方策を無理やり見出そうとした結果が今回の手法と認識せざるを得ない。

 また、給与制度等に関する課題では、保育士・幼稚園教諭・技能労務職の給与水準について、検証・検討を進めていると言及されているが、昨年8月の給与制度改革により実態給与が大きく引き下げられており、さらなる引き下げに繋がるような人事委員会の対応は極めて問題だ。また、給料表の構造に関して、とりわけ昇給・昇格に関しては、給与制度改革以降、給料表との乖離が大きく、職員の勤務意欲の維持向上の観点から検討が必要と言及されたが、この間の交渉でも繰り返し指摘を行ってきたにもかかわらず、何ら具体的に触れられておらず、現行制度の課題解決に向けては一切示されていない。懸命に働く職員のモチベーションを低下させることなく、その向上のためにも、人事委員会としての機能を十二分に果たし、積極的かつ適切な方向性を示されるよう求めておきたい。

 また、人材の育成に関して、人事評価について人材育成のため有効に活用と言われるが、相対評価を導入すること自体、人材育成の点からも逸脱しており、その手法については、問題があると言わざるを得ない。

 先ほどの説明にはなかったが、超過勤務の縮減に関し、管理職員が職員の勤務時間管理を厳正に行うとされているが、この間、全市的に超過勤務の縮減が言われている中で、管理職員は勤務時間管理のみ言われており、果たしてそれでいいのか、はなはだ疑問が残る。管理職員として超過勤務縮減に向け、具体的な改善策を講ずるべきである。加えて、職員の心の健康保持についても、社会問題となっているメンタルヘルス課題について、パワーハラスメントの課題については触れられているものの、メンタルヘルスに関しては、原因が多岐にわたっており問題解決をはかる上では、全体的には具体性に乏しいと言わざるを得ない。これらの点について、現実を踏まえた改善策を示すなど、人事委員会の踏み込んだ対応を求めておきたい

 本日の人事委員会の給与報告及び勧告は、率直に申し上げて、これまでわれわれが求めてきた、組合員の切実な要求とは相反する内容であることは言うまでもなく、到底納得できるものではないことを重ねて表明せざるを得ない。また、勧告制度に抵触する事象への対応を見る限り、第三者機関としての役割を果たしているとは言い難い。われわれとしては、今回の勧告については、総じて納得も、理解もできないが、特に上下2.5%ずつを公民比較の対象から除外している点について、もし、例年通りの手法で公民比較を行った場合、どのようになっていたか、示してもらいたい。調査範囲を全産業に拡大したとされているが、その事についても詳細に説明を受けていない。また、賃金センサスに基づく役職段階別給与水準の引き下げ改定についても、具体的に賃金センサスのどの部分と、人事委員会が行った今回の民間給与実態調査、本市職員の給与との関係からも示していただきたい。今回の勧告については、さらなる解明と分析が必要と認識している。人事委員会勧告の透明性からも、資料についても求めておく。

 いずれにしても、今後市労連として、市側に対し賃金改善を求め主体的な交渉を行うこととするが、貴人事委員会も、私たちの指摘内容を十分踏まえ、改めてその使命と職責を果たされるよう求めておく。

人事委員会委員長 ただいま、市労連の皆様の「報告・勧告」の内容に関する考え方について、お聞きしたところである。

 いずれにしても、本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を誠実に果たしてまいりたいと考えている。

以 上

 

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