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更新日:2010年8月20日

大阪市監査・人事制度事務総括局長交渉(申し入れ)

人事委員会勧告に際し、要求主旨を十分に受け止め、
最大限の努力を強く要請 !
~人事院勧告に安易に追随することなく、引き続き、組合との誠実な協議を~

 市労連は、8月19日(木)午前10時から三役・常任合同会議を開催し、8月10日に人事院が内閣と国会に対して行った勧告・報告内容(月例給及び一時金を引き下げや、65歳定年制の実現に向けた高齢期の雇用問題など)にかかる分析を行い、大阪市人事委員会の勧告に向けた対応などについて協議した。

 そして、同日午後6時から、大阪市監査・人事制度事務総括局長に対して、2010年の大阪市人事委員会勧告に向けた「申し入れ」を行った。

 交渉の中で市労連は、市人事委員会に対し「勧告に向けた基本姿勢、調査作業の進捗状況と特徴」などについて明らかにするよう求めたところ、昨年勧告したが未実施となっている行政職3級相当給の水準問題や、勤勉手当基礎額への扶養手当算入問題などについて言及する姿勢を示した。

 市労連は、労使交渉を制約する内容の勧告は問題があることや、市独自に実施されている給料月額の減額措置は是正するよう指導すべきと指摘した上で、人事院勧告に安易に追随することなく、この間の労使合意や労使交渉の経過などを尊重し、引き続き、組合との誠実な交渉を求めた。

 また、勧告日は「昨年並みの日程を目処に努力する」ことが確認された。

組合 2010年の大阪市人事委員会勧告に向けて「申し入れ」を行う。

 市労連は、去る3月18日に市長に対して「2010年統一賃金要求」を申し入れるとともに、同日、貴人事委員会に対しても申し入れを行い、月例給及び一時金が大幅に減額されている実情を鑑み、私たちの賃金要求の主旨を踏まえながら、労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮するよう要請してきた。さらに、この間の交渉において申し上げてきたが、労使交渉を制約するような勧告内容は問題があるとともに、官民の給与実態を精確に把握し反映させる立場からすると、むしろ勧告内容に反して給料月額の減額措置が行われている実態こそ、問題にするべきと認識している。改めて、中立機関としての独立性を堅持しつつその職責を果たされるよう申し上げておく。

 さて、本年の春季生活闘争は、長引く不況とデフレを背景に、先行き不透明な経済情勢かつ厳しい雇用情勢の中での取り組みとなり、大手企業を中心に定昇実施は確保されたものの、一時金の回答や中小企業では厳しい状況となっており、一昨年来続いてきた危機的な状況は脱したとは言いながらも、短期利益追求・総人件費抑制の経営側姿勢を転換させるには至っていない。依然として先行きが不透明な日本経済の下で、民間労働者の雇用不安の増大や所得格差の拡大・固定化が進むことによって、雇用や賃金のあり方が大きく変化し、そのことが結果的に私たち公務員の給与・労働条件にも大きな影響を与えている。

 私たちの賃金は、連年に亘るマイナス勧告に加えて、給料月額の減額措置によって大幅な年収減を余儀なくされ、社会保障費の増大や住宅費・教育費等が日常生活に重くのしかかり、組合員の生活実態は非常に厳しい状況となっている。そうした組合員が置かれている厳しい実情を十二分に踏まえた勧告を行うよう、過日の申し入れの際にも申し上げてきたところである。

 こうした中で、人事院は8月10日に内閣と国会に対して、本年度の国家公務員の給与等について、月例給を平均で0.19%(757円)引き下げることと、一時金を0.2月分引き下げること等を勧告し、とりわけ一時金は4.0月を割り込み、1963年以来の低水準となる3.95月分まで引き下げられるという非常に厳しい内容となった。そして月例給を引き下げるにあたっては、当該年度に56歳以上となる行(一)6級以上の職員の俸給月額等に1.5%を乗じた額を減額した上で、残された較差分を埋めるために、俸給表の一部を平均0.1%マイナス改定するとされており、給与改定の内容も極めて問題があると言わざるを得ない。

 市労連として、公務員の賃金・労働条件が民間準拠の枠組みのもとで決定されることとしては理解しつつも、昨年に続く月例給・一時金の引き下げは、組合員の生活に与える影響は深刻なものとなり、政令市で最低水準にある現行の給与実態を見れば、生活防衛の観点からも容認できるものではない。特に、年齢を理由とした一定率による削減は、職務給原則や能力実績主義など、この間人事院自身が主張してきたこととも矛盾しており、給与構造改革の検証もないままに勧告した人事院の姿勢は許されるものではなく、このような措置は到底認められるものではない。

 現在、貴人事委員会としても本年の勧告に向けた作業の集約段階と認識しているが、本市勧告に際しては、これまでの市労連の要求主旨を十分に受け止め、最大限の努力を払われるよう強く要請するとともに、賃金・労働条件の決定は、あくまでも労使の交渉による合意が基本であり、大阪市における労使交渉経過を十分踏まえて対応されるよう求めておく。

 以上申し上げた点を踏まえて、本年の勧告に向けた基本的な姿勢、並びに本年の調査作業の進捗状況と特徴点を明らかにされたい。

人事委員会 本年の給与勧告に向けての作業については、公務員給与を取り巻く諸情勢や民間の給与、勤務条件などを踏まえ、市労連の皆様方の申し入れの趣旨を十分認識し、取り組んできたところである。

 まず、人事委員会の給与勧告に向けた基本姿勢についてであるが、私どもの給与勧告は、民間準拠の考え方のもと、従来から、市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本として勧告している。

 次に、本年の調査作業の進捗状況と特徴点であるが、本年の民間給与実態調査は5月から6月にかけ、人事院及び大阪府人事委員会と共同で、企業規模50人以上の市内386民間事業所を対象に行ったところであり、現在、その集計作業を行っているところである。併せて、8月10日に行われた人事院勧告の考え方・内容を分析しているところであり、さらには20日に行われる大都市人事委員会連絡協議会委員長・事務局長合同会議における他都市状況等も分析していく予定である。

 経済情勢については、一昨年来の世界的な金融危機を契機として、大幅に落ち込んだ景気は持ち直してきてはいるものの、民間の雇用・賃金情勢は、本年も厳しい状況が続いている。民間における雇用調整の状況については、全国では雇用調整を実施した事業所の割合は減少しているものの、市内では採用の停止・抑制、転籍出向など一部の項目では増加しており、全体としても景気の急速な悪化により、大幅に増加した昨年とほぼ同水準にある。また、昇給制度のうちでも査定昇給を実施している事業所の割合が全国平均を上回っており、企業や従業員個々の業績が賃金水準に大きく影響する体系になっていると考えられる。一時金については、人件費抑制の動きが産業界全体に広がっており、業績により出せる企業と出せない企業の差が広がっているなど、厳しい要素も見られ、本年の民調結果はこれらの状況を反映した厳しいものとなるのではないかと見込まれる。

 給与制度については、職員がより一層意欲と能力を発揮できるバランスのとれたものとなるよう、研究検討を進めていく旨、昨年の勧告時に言及を行ったところであるが、本年についても、より職務給の原則を徹底し、人事委員会の説明責任を果たす観点から検討を進めている。給料表構造については、引き続き、昇給カーブのフラット化の推進について検討することや、昨年勧告したが未実施となっている行政職3級等の最高号給水準の切り下げについて再度言及することが必要であると考えている。また、各級の給料水準にメリハリをつけたより職務給の原則に適った給料表構造へ転換していくことなど、給料表のあり方について研究していく必要があると考えている。なお、本年、人事院が勧告した50歳台後半層の職員に対しての給与抑制措置については、国と本市との状況の相違等を踏まえ、研究検討しているところである。

 諸手当については、係長級以下の職員の勤勉手当基礎額に扶養手当等を含んでいることの見直しについて検討する必要があると考えている。また、住居手当について、持家、借家双方を含む住居手当全体のあり方について研究検討を進めていく必要があると考えている。

 また、時代の要請に応じた活力ある組織づくりに向けて、取り組むことが重要であると考えており、継続的かつ計画的な人材の確保や能力・適性に即した人材の育成、人事評価制度、高齢期における職員の活用などについても、国・他都市の動向にも留意しながら、検討していく必要があると考えている。

 さらに、仕事と生活の調和の実現のための取り組みを推進していくことが重要であると考えており、超過勤務の縮減に向けた取り組み、両立支援の推進やメンタルヘルス対策の推進などについて検討していく必要があると考えている。

 なお、現在、本市では昨年の人事委員会勧告の内容を超える給与減額措置が実施されているが、人事委員会としても人事委員会勧告制度の趣旨とは異なる給与支給状況にあることは認識しており、給与減額措置にかかる条例意見照会に際しては、意見を付してきたところである。本年の給与勧告では、ここまで述べてきたように市内民間企業と本市の給与水準を精査し、地方公務員法の規定に基づき適切な勧告を行ってまいる所存である。

 いずれにしても、市労連の皆様方と連絡を密にして進めてまいりたいと考えているので、よろしくご理解を賜るよう、お願い申し上げる。

組合 ただ今、民調結果は厳しいものとなるとの見込みが述べられ、国の人事院勧告内容を見る限りでは予断を許さない状況と認識するが、民間給与実態を精確に把握しつつ、大都市における職員の生活実態も考慮した上で、私たちの生活を守るための賃金水準を維持するよう求めておく。とりわけ、人事院勧告で言及された50歳台後半層に対する一定率減額措置は、職務給等の公務員給与の基本原則に反して明らかに年齢差別であり、先程、研究検討していると述べられたが、貴人事委員会として人事院の姿勢に追随しないよう強く要請しておく。

 その上で、現行の給与制度に関わって、昇給カーブのフラット化推進や行政職3級相当給の水準問題、加えて、一時金勤勉手当基礎額への扶養手当算入問題や、住居手当全体のあり方に関しても検討の必要性などが言及された。繰り返しになるが、私たちとして、労使交渉を制約する内容の勧告は問題があり、都度の労使交渉で合意し、決着させてきた内容にまで具体的に踏み込むべきではないと認識している。とりわけ、昨年に引き続き行政職3級相当給の水準問題に言及する姿勢は認められるものではなく、2007年に給与構造改革が実施されて以降、人事評価制度も含めた人事・給与制度全体にかかる検証も実施されていない中で、一部給料表の水準問題に焦点を当てた勧告を行うことに対しては、明確に反対の意思を表明しておく。

 さらに、一時金勤勉手当基礎額への扶養手当算入問題に触れられたが、この問題は、市側との間において給与構造改革実施以降の継続協議課題としてきており、人事評価の結果を給料等にどのように反映させ、またその配分原資をどうするか等は、まさに労使協議と合意の上で結論づけるべき課題である。労使間で継続協議としている課題にまで人事委員会が踏み込んで言及するべきではない。

 また、住居手当に関しても触れられたが、住宅手当を含む比較給与項目について、公民較差を均衡させる勧告を人事委員会として行うこと自体には異論を挟まないが、その範囲を逸脱することのないよう敢えて申し上げておく。

 そして、財政危機を理由として大阪市独自に実施されている給料月額の減額措置については、人事委員会勧告制度の趣旨と異なるとの認識が述べられたが、勧告された給与水準以下に抑制されている実態について、現状を単に追認する姿勢ではなく、むしろ是正するよう指導することが本来のあるべき姿だと認識しており、貴人事委員会として適切な対処を行うよう求めておく。

 私たちは、大都市に働く仲間とともに、明日(8月20日)には大都市人事委員会連絡協議会と交渉を行う予定だが、人事院勧告内容の十分な分析は勿論のこと、人事院勧告に安易に追随することなく、他都市人事委員会の動向にも注視しながら、大阪市職員の生活実態を考慮して作業を進めるよう求めておく。さらに、この間の労使合意事項や労使交渉の経過、及び組合側の意見を十分に尊重するとともに、引き続き、組合との誠実な協議を求めておく。

 その上で、現時点で予定されている本年の勧告時期についてお聞かせ頂きたい。

人事委員会 勧告の日程については、現在のところ、昨年並の日程を勘案しつつ努力してまいりたいと考えており、ご理解を賜るようお願い申し上げる。

以 上

 

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