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更新日:2009年9月2日

大阪市人事委員会委員長交渉

【市人事委員会】
厳しい状況を反映した「勧告」になると予測
行政職3級の最高号給付近の給与水準、住居手当、通勤手当等について具体に言及する 勧告日は9月11日予定

【市労連】
賃金・労働条件の変更に繋がる労使交渉への介入となる報告・勧告は許されるものではない!
労働基本権制約の代償措置である人事委員会と勧告の役割を十分踏まえ、最大限の努力を要請!

 市労連は、8月31日(月)午後5時から三役・常任合同会議を開催し、人事院が8月11日に、国会と内閣に対して官民較差マイナス0.22%(836円)、月例給・一時金とも引き下げ、自宅にかかる住居手当を廃止するなどの給与勧告及び報告を行ったことを受けて、8月20日の大阪市監査・人事制度事務総括局長への申し入れ以降の人事委員会勧告をめぐる状況分析と対応などについて協議した。

 翌9月1日午後5時30分から大阪市人事委員会委員長以下と、「現在の進捗状況と勧告の見通し」について交渉を行った。

 交渉の中で、市人事委員会から給料表や一時金など引き下げが必要とした上で、年功的な給与上昇を抑えるためとして昇給カーブのフラット化や行政職3級の最高号給付近の給与水準の引き下げ、住居手当のローン償還加算の廃止、通勤手当の見直し等について具体に言及することが示された。

 市労連は、市人事委員会に対し、「賃金・労働条件の決定はあくまでも労使の交渉による合意が基本であり、賃金・労働条件の変更に繋がる労使交渉への介入となる報告・勧告が許されるものではない」ことを強く指摘するとともに、労働基本権制約の代償措置である人事委員会と勧告の役割を十分踏まえた最大限の努力を要請した。

 また、「給与勧告の見通しや勧告日」などについて明らかにすることを求め、市人事委員会から、「作業の最終段階に入っている」「月例給・一時金とも、公務が民間を上回る大変厳しい状況」などが示された。

 さらに、勧告日について、「9月11日を予定している」とした。

組合 市労連は、8月11日に人事院勧告が行われたのを受けて、本市給与勧告の集約段階を迎える貴人事委員会に対し、我々の要求の趣旨を十分受け止めて「勧告」を取りまとめるよう、あらためて8月20日に要請を行ったところである。

また、大都市協においても、7月24日に大人連の事務局長会議に対し、さらに、8月21日には大人連の委員長・事務局長合同会議に対して、申し入れを行うなど、活発な取り組みが続けられている。

本日は、人事委員長から、前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらには「勧告」の見通しについて明らかにしていただきたい。

人事委員会 まず、作業の進捗状況であるが、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてまいったところであり、現在は、大詰めの段階を迎えている。

 民間給与の調査を行った時点での日本経済の基調判断としては、内閣府の月例経済報告において、景気は、急速な悪化が続いており、個人消費も緩やかに減少しているという認識が示されたところである。本市においても、市税収入が昨年に比べ大幅に減少する見通しとなっており、大阪府の失業率についても全国に比べ高水準で推移している。

 民間給与調査の結果によると、ベースアップを実施した事業所の割合が昨年より減少しており、定期昇給についても、昇給額が昨年に比べ増額となっている事業所が大幅に減少しているのに対し、減額となっている事業所が増加している。また、雇用調整を実施した事業所の割合が全国と同様に大阪でも昨年より大幅に増加しているなど、厳しい状況が見受けられる。

 このように、大阪の経済状況については、全国と同様厳しい状況が見られたところである。

 公民比較については、平成18年に、人事院と同様に企業規模50人以上の事業所についても対象とするなど、比較方法の見直しを行ったところであり、本年についても、同様に取り扱うこととし、現在、最終的な詰めの作業に取り組んでいるところである。

組合 人事院は、本年、官民較差が、マイナス0.22%(836円)として、月例給・一時金とも引き下げ、自宅にかかる住居手当の廃止、超過勤務の支給割合の引上げ等を内容とする給与勧告を行った。

 経済危機の下で民間実勢を反映したものとは言え、公務員の生活に大きな影響を与えるものであり、極めて不満な内容であると言わざるを得ない。

 市労連は、8月20日の監査・人事制度事務総括局長交渉の際にも、大阪市に働く組合員の生活実態は、国や他都市を大幅に下回るマイナス較差から、連年にわたる給料表のマイナス改定となったことや、また、社会保障費の増大や教育費・住宅費などの大都市特有の経費高で、組合員の生活実態はこれまでにも増して厳しい状況に置かれていることや、さらには、昨年12月に「経費削減にかかる給料月額の減額措置について」の市側提案があり、市労連として今日時点での提案であることを本年2月に確認し、4月から給料月額の減額措置も実施され、結果として、昨年の人事委員会勧告が尊重されなかったと言わざるを得ず、このような状況の中、本年の給与勧告に向けた組合員の期待はこれまで以上に高まっており、本年の勧告は、貴人事委員会が市労連と組合員から信頼を得られるか否かの重要なものと考えていることを申し上げた。

 さらに、本市においては、昨年、較差が極めて小さいとして据え置かれた国の人事院勧告を下回るマイナス勧告が行なわれ、また、労使が自主的・主体的に交渉を行うべき事項について、これまで労使の自主的な交渉経過があるにもかかわらず労使交渉を制約する内容で勧告が行なわれたものと認識していることを指摘し、貴人事委員会に対して、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度が現行の公務員の賃金・労働条件決定制度である限り、それを機能させ、社会経済の変化に対応した公務員処遇を確保することが人事委員会としての使命であることも申し上げた。

 貴人事委員会に対し、地方公務員法24条第3項を踏まえ、人事院勧告内容の十分な分析、他都市人事委員会の動向にも注視しながら、職員の生活実態を考慮して作業を進めるよう求めてきたところであり、貴人事委員会におかれては、引き続きこれらを十分勘案し、我々の要求に応えるよう最大限の努力をしていただきたい。

 その上で、貴人事委員会から先ほど、本年の作業の進捗状況について、最終的な詰めの段階にきているとの報告がされたが、先ず、現時点における較差や一時金の傾向について明らかにされたい。

 また、市労連がこれまで要求してきた総労働時間の短縮、職員のメンタルヘルス対策などの労働条件改善などについて、さらには、貴人事委員会が連年にわたり言及され、2007年労使における協議会の設置に至ったものの未だ組合員の求める制度確立に至っていない福利厚生についても、貴人事委員会としての考え方を示されたい。

人事委員会 私ども人事委員会の給与勧告は、大阪市域の賃金水準を反映した市内の民間企業従業員の給与を調査し、これと本市職員の給与とを均衡させることを基本としている。

 本委員会としては、これまでと同様に、中立かつ公正な第三者機関として、法に定められた責務を引き続き誠実に果たしてまいりたいと考えている。

 較差については、月例給は、厳しい経済状況が反映され、公務が民間を上回る厳しいものとなるのではないかと予想している。賞与等の特別給についても、特に本年夏について厳しい状況が見受けられ、年間の支給月数としては、公務が民間を大幅に上回るのではないかと予想している。

 これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案し、職員給与を民間給与と均衡した水準とするには、給料表や諸手当など月例給及び特別給の引下げ改定が必要と見込まれる。給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行ってきたところであり、人事委員会の機能発揮・説明責任の観点から、改定内容について具体的に言及する必要があると考えている。本年は、公民較差に基づく改定として、年功的な給与上昇を抑制するための給料表の昇給カーブのフラット化について具体的に言及することを考えている。また、期末・勤勉手当については、本委員会の意見の申出に基づく本年6月期の期末・勤勉手当における一部凍結措置分の取扱いや、期末・勤勉手当の配分などを含めて、民間給与調査の結果に基づき具体的に言及する予定である。その他の給与改定として、職務・職責に応じた給与水準にすることにより職員の士気を確保するため、行政職3級の最高号給付近の給与水準の引下げについて言及することを考えており、また、国が持家にかかる住居手当を廃止したことに伴う、本市住居手当制度、とりわけ他都市にも例のないローン償還中の加算制度の廃止や、ほとんどの都市区で廃止され、意義が薄れている通勤手当の全額支給限度額を超える場合の2分の1加算の見直しについても言及することを考えている。

 また、新しい時代にふさわしい活力ある組織づくりに向けて、将来の職員構成に留意し、大学進学率の上昇等の人材供給構造の変化に適合した採用方針の検討の必要性、民間や他の公務部門との人事交流の推進、個人の能力と適性に応じた人材育成、評価者研修及び被評価者研修の継続実施や評価結果の活用方法の研究など人事評価制度の向上、高齢期職員の本市組織にふさわしい活用方法の検討の必要性などについて言及することを考えている。

 さらに、働きやすい勤務環境の実現に向けて、管理職員による職員の在庁時間の把握など適切な勤務時間管理による超過勤務の縮減や、両立支援の推進、相談体制等の基本的知識の周知徹底などメンタルヘルス対策の推進、本市の福利厚生の理念・目的、具体的事業の整理・検討の必要性などについても言及することを考えている。

組合 ただ今人事委員会から、較差について、厳しい大阪の経済状況が反映された、公務が民間を上回る厳しいものになるとして、給料表や諸手当など月例給、さらには一時金についても引き下げ改定が必要と見込まれるとの認識が示されたところである。

 人事院の給与勧告が、較差がマイナス0.22%であるとして、月例給の引き下げ、さらには一時金については、0.35月と大幅な引き下げ改定であることは承知しているところであるが、本市職員が置かれている賃金実態や生活実態を十分把握され、こういう厳しい時代であるからこそ、労働基本権の代償措置である貴人事委員会と勧告の役割を十分踏まえ、大都市固有の生活実態や組合員の生活水準の維持という観点から最後のギリギリまで努力していただくようまず要請しておきたい。

 その上で、本年の官民較差に基づく給与改定として、年功的な給与上昇を抑制するためとして昇給カーブのフラット化や期末勤勉手当の配分も含め具体に言及するとの表明がされた。

 さらに、その他の給与改定として、行政職3級の最高号給付近の給与水準の引き下げについて言及する予定との表明があった。

 市労連としては、地公法24条の職員の給与はその職務と責任に応ずるものでなくてはならないとする「職務給の原則」の徹底、人事委員会の説明責任を果たすとの人事委員会の姿勢について否定するものではないことを申し上げた上で、給与構造改革において、市側と交渉合意の上、各給料表については、職務の複雑、困難、責任の度合いに応じた「級」と職務経験年数による習熟度等を反映させた「号」との組み合わせによって確定してきたと認識するものである。

 給与構造改革の全体について、人事評価制度や3級昇格問題、評価結果の給与反映、昇格時の制度上の均衡問題など、制度変更以降多くの問題が生じており、給与構造改革全体の検証が必要であるとの認識については、既に申し上げている。

 その上で、級別定数が定められていないにもかかわらず、とりわけ2級から3級について定められているかのような取扱いが現にされていること、また、行政職給料表適用のいくつかの職種についてはポストが限定されており、ポストへの抜けが無ければ上位級への昇任が限られる現状もあり、給与構造改革自体の検証を行わないまま、3級高位号給の水準のみを捉えて言及されることは、人事委員会の権威からしても極めて問題があると言わざるを得ず、さらには、市労連として給料表をはじめとした賃金・労働条件について市側と交渉合意してきた経過からも問題であると指摘せざるを得ない。

 また、住居手当や通勤手当について言及されているが、そもそも人事委員会の給与勧告制度とは、毎年4月時点において、比較給与項目を公民比較し、そこで生じている公民較差を均衡させるため、比較給与項目の範囲で給与勧告する制度であると認識している。

 住居手当を含む比較給与項目について、本年4月の公民較差を均衡させる勧告を行うことは人事委員会の権能であることは理解しているが、その範囲を逸脱することは人事委員会の権限の及ぶところでないとの認識を持つものであり、その点について齟齬がないよう貴人事委員会に強く求めておく。

 さらに、現在、通勤手当は比較給与項目ではなく、比較給与項目でない通勤手当制度について人事委員会が言及することは、人事委員会の給与勧告制度の趣旨にそぐわないものであると認識していることを敢えて指摘しておく。

 いずれにしても、市労連として都度の交渉で指摘しているように、賃金・労働条件の決定はあくまでも労使の交渉による合意が基本であり、賃金・労働条件の変更に繋がる労使交渉への介入となる報告・勧告が許されるものではないことをここで改めて申し上げておく。

 また、新しい時代にふさわしい活力ある組織づくりとして、人材の確保や人材の育成、国において2013年度からの65歳定年制の具体化にむけ検討がおこなわれることとなっている高齢期の職員の課題、さらには両立支援、超過勤務の縮減、メンタルヘルス対策、福利厚生制度などの課題についても言及していくことが表明された。

 市労連としては、行政組織としての継続性や技術力の継承など、将来の大阪市政を担っていくためにも、人材の確保や人材の育成に向けた計画的な施策が求められているものと考えている。同時に、職員が公務公共サービス業務の遂行に不安なく専念できる勤務労働条件の確保も不可欠と考えており、これらの課題に関わっても十分な検討が行われるよう求めておく。

 なお、新たな人事評価制度については、市労連としては、評価される組合員からも、評価する側の組合員からも、なお不信感が払拭でききれた制度とはなっていないと考えている。

 昨年も要請したところであるが、これらの実態について十分に踏まえながら、人事評価制度の運用にあたっての課題の検討が行われるよう求めておく。

 さらに、貴人事委員会が連年にわたり言及してきた地方公務員法に基づく福利厚生制度のあり方については、2007年の賃金確定交渉において、労使における協議会を設置し、検討会開催に至ったところであるが、本年の勧告を前にした現時点においてもなお、組合員が求める制度確立には至っておらず、大阪市当局が事業主責任を果たす状況には程遠いという事実について、敢えて指摘しておく。

 また、給料表の勧告について、既に、仙台市や東京都などが実施しており、今後増えることが予想されるが、給料表についてはまさしく我々の賃金・労働条件の基本であり、賃金・労働条件の変更に繋がる労使交渉への介入となる報告・勧告が許されるものではないことを市労連として貴人事委員会に指摘してきたところであり、給料表勧告という新たな状況が想定される中において、これまでの市労連指摘の趣旨を踏まえた人事委員会としての対応を求めておく。

 次に、勧告日についてであるが、人事院は、8月11日に勧告を行っている。

 貴人事委員会におかれては早期勧告に向けて努力していただいていると考えているが、本年の勧告時期についてお聞かせ願いたい。

人事委員会 公民給与の精確な比較により適正な給与水準を維持・確保することは労働基本権制約の代償措置である給与勧告に求められている役割であるとともに、公務員の給与水準について、各方面の理解を得る基礎である。そして、情勢適応の原則に基づき、職員給与水準を民間給与水準に均衡させるよう勧告することが、人事委員会に求められている責務である。

 較差については、あらゆる角度から分析を行い、作業の最終段階に入っているところであるが、先ほど申し述べたように、月例給及び賞与等の特別給の双方について、公務が民間を上回る大変厳しい状況になるのではないかと予想されるところである。

 最後に勧告日であるが、本年については、9月11日を予定しているところである。

組合 われわれの賃金・労働条件が民間準拠の枠組みの下で決定されるシステムであることは、一定の理解をしている。しかし、度重なる月例給の引き下げにより、年収が大幅に減収となり、いまや大阪市の給与水準は大きく低下しており、組合員の生活は苦しくなる一方である。

 ただ今委員長から言及された各課題については、労使が自主的・主体的に交渉を行うべき事項であり、労使交渉を制約する内容であるとの市労連としての問題認識を持たざるを得ない。とりわけ、給料表や各種手当については、賃金・労働条件であり、あくまで労使の交渉による合意が基本であり、賃金労働条件の変更につながる労使協議への規定は許されるものではないことを強く申し上げておく。

 引き続き、我々の要請事項を十分受け止めるとともに、大都市固有の生活実態をふまえ、組合員の生活水準の維持という観点から本市職員が置かれている賃金実態や生活実態を十分把握され、こういう厳しい時代であるからこそ、労働基本権の代償措置である貴人事委員会と勧告の役割を十分踏まえ、最大限の努力を続けていただくようあらためて要請しておきたい。

人事委員会 地方公務員法は、職員の勤務条件について条例で定める必要があるとしており、人事委員会としては、この勤務条件条例主義のもと、労使が勤務条件について交渉を行い合意することは、職員の自らの勤務条件に対する納得性を高めるとともに、職員の士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なものと認識している。

 一方、人事委員会は、職員の労働基本権が制約されている中で、地方公務員制度上、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する機能とともに、人事行政の運営や給与制度、勤務条件のあり方についても、適宜・適切な勧告を行うべき機能を担っており、中立・第三者機関として、給与報告・勧告に対する市民からの信頼を一層向上させるため、その役割を適切に発揮し、勧告の内容等についてこれまで以上に説明責任を果たすことが求められている。

 いずれにしても、今後とも、市労連の皆様方との連絡を密にして進めてまいりたいと考えているので、よろしくお願いする。

以 上

 

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