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更新日:2009年8月20日

大阪市監査・人事制度事務総括局長交渉(申し入れ)

人事委員会勧告に際し、要求趣旨を十分に受け止め、
最大限の努力を強く要請!

 市労連は、8月19日(水)午後4時から三役・常任合同会議を開催し、8月11日に人事院が内閣と国会に対し月例給及び一時金について引き下げることや、自宅にかかる住居手当の廃止などの勧告・報告を行ったことに対する分析を行い、大阪市人事委員会の勧告に向けた対応などについて協議した。翌8月20日午前9時30分から、大阪市監査・人事制度事務総括局長に対し、2009年の大阪市人事委員会の勧告に向けた「申し入れ」を行った。

 交渉の中で、市人事委員会に対し「市人勧に向けた基本的な姿勢、調査作業の進捗状況と特徴」などについて明らかにするよう求め、市人事委員会から給料表構造、諸手当などについて言及がされた。

 市労連は、「労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告制度を機能させ、社会経済情勢の変化に対応した公務員処遇を確保するという人事委員会としての使命を果たされるよう求めておく」と表明し最大限の努力を強く求めた。

 また、勧告日については、「昨年並みの日程をめどに努力する」ことが確認された。

組合 2009年の大阪市人事委員会勧告に向け「申し入れ」を行う。

 市労連は、3月19日、市長に対し、「2009年統一賃金要求」の申し入れを行い、同日、貴人事委員会に対しても、市労連の賃金要求の趣旨を踏まえ、人勧制度が公務員労働者の労働基本権制約の代償措置として実質的に公務員の賃金を規定していることに鑑みて、大都市に働く職員の置かれている生活実態を十分精査され、本年についても早期勧告および早期完全実施を確保できるよう要請してきたところである。

 さて、米国におけるサブプライムローン問題を端緒にしたアメリカ発世界同時金融危機は、実体経済と乖離した無秩序な金融資本主義の実態を明らかにするとともに、世界経済の収縮と社会不安を増大させている。

 こうした世界経済の低迷は日本経済にも深刻な状況を与え、急激に悪化した経済に対する対応は遅れたまま今日に至っており、地域や雇用・所得の格差は、昨年にも増して拡大しており、長期に続く格差社会は、ワーキングプアや貧困など、深刻な社会的問題を発生させている。また、大都市固有の住居費や教育費などが大都市に働く労働者にとって大きな負担となっており、大都市事情を十分に考慮した対応策が強く求められている。

 こうした中で人事院は8月11日、内閣と国会に対して、(1)月例給及び一時金について引き下げることや、自宅にかかる住居手当の廃止、超過勤務の支給割合の引上げなどの給与に関する勧告 (2)高齢期の雇用問題として、2013年度から定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当として、2010年中を目途に意見の申出を行うなどの報告を行った。

 公務員連絡会は、本年の勧告に対して、(1)月例給の引き下げに加えて、一時金をも大幅に引き下げるものとなったことについては、経済危機の下で民間実勢を反映したものとは言え、公務員の生活に大きな影響を与えるものであり、極めて不満である (2)自宅にかかる住居手当の廃止については、あくまで国家公務員における実情をふまえた措置として受け止め、地方公務員についてはその住宅事情を踏まえた取り組みを進める (3)高齢者雇用に関わって、定年年齢を段階的に引き上げる意見の申出を来年中に行う方向を打ち出したことについては、評価したい (4)超過勤務手当の割増率の改定、育児休業・介護休暇等の改善は、民間の法改正に対応したものであり当然のこと、などとしながら、政府に対して「勧告の取扱いに当たって、十分交渉・協議し合意すること」などを要求している。

 また公務員連絡会地公部会は8月12日、全国人事委員会連絡協議会に対し申し入れを行い、地方公務員の生活を守るという人事委員会の使命を十分認識し、最大限の努力を払うよう要請した。

 さらに連合は給与勧告について、「民間実勢を反映したものであるとはいえ、組合員の生活に与える影響は大きく、極めて不満なものである。加えて、この勧告は、地方や地場企業の労働条件にも波及していくことが予想され、厳しい地域経済や景気をさらに悪化させる可能性が高いものと懸念する」としながら、「公務における労使関係の根本的な問題解決のためには、現行の職員団体制度を廃止し、労働基本権を回復させることによって、民間労働者と同様に、団体交渉による労働条件決定をできるようにすべき」「ILO勧告に沿う労働基本権の確立による公務員制度改革と良質な公共サービスの確立のため、引き続き全力で取り組んでいく」などの事務局長談話を発表している。

 一方、本市においては、昨年、較差が極めて小さいとして据え置かれた国の人事院勧告を下回るマイナス勧告が行なわれ、また、労使が自主的・主体的に交渉を行うべき事項について、これまで労使の自主的な交渉経過があるにもかかわらず労使交渉を制約する内容で勧告が行なわれたものと認識している。

 また、「経費削減にかかる給料月額の減額措置について」は、昨年12月に市側提案を受け、市労連として今日時点での提案であることを本年2月に確認し、4月から給料月額の減額措置が実施されているが、その際、「平成21年大阪市人事委員会勧告において、職員の給与水準に変動をきたす勧告がなされた場合は、改めて協議を行う」として、秋の確定交渉で改めて協議を行うこととしてきた経過を持っている。

 市労連として、引き続き市側の使用者責任をふまえた誠実な対応を求めることとしているが、結果として人事委員会勧告が尊重されなかったと言わざるを得ない。

 さらに、本年の夏期一時金にかかわって5月11日に出された人事委員会の意見の申出は、政府の圧力に屈した人事院の臨時勧告に追随したものであり、人事委員会勧告制度の信頼性を大きく損ねる、精確性を欠くものであること、さらに、大阪市における新たな独自の給与削減の実施など、職員に対して相当な負担・犠牲を強いながら市政・財政の建て直しに取り組んでいるその矢先の拙速で無責任な行為であるとして、市労連として貴人事委員会に対し強く抗議を行ったところである。

 改めて、貴人事委員会におかれては、中立機関としての独立性を堅持し、与えられた役割と任務を真摯に果たされてこそ、職員との信頼関係が保たれるものと認識するものであり、中立・第三者機関としての立場を十二分に踏まえられ、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告制度が、現行の公務員の賃金・労働条件決定制度である限り、それを機能させ、社会経済情勢の変化に対応した公務員処遇を確保するという人事委員会としての使命を果たされるよう求めておく。

 現在、貴人事委員会としても、本年の勧告に向けて作業を集約される段階にあると考えている。本年の本市勧告に際しては、これまでの市労連の要求趣旨を十分受け止め、最大限の努力を払われるよう強く要請するものである。

 なお、賃金・労働条件の決定はあくまでも労使の交渉による合意が基本であり、こうした大阪市における労使交渉の経過について十分認識を持って対応されるよう求めておく。

 それでは、以上申し上げた点を踏まえて、本年の勧告に向けた基本的な姿勢、並びに本年の調査作業の進捗状況と特徴点を明らかにされるよう求める。

人事委員会 本年の給与勧告に向けての作業については、公務員給与を取り巻く諸情勢や民間の給与、勤務条件などを踏まえ、市労連の皆様方の申し入れの趣旨を十分認識し、取り組んできたところである。

 まず、人事委員会の給与勧告に向けた基本姿勢についてであるが、私どもの給与勧告は、民間準拠の考え方のもと、従来から、市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本として勧告している。

 次に、本年の調査作業の進捗状況と特徴点であるが、本年の民間給与実態調査は5月から6月にかけ、人事院及び大阪府人事委員会と共同で、企業規模50人以上の市内386民間事業所を対象に行ったところであり、現在、その集計作業を行っているところである。併せて、8月11日に行われた人事院勧告の考え方・内容を分析しているところであり、さらには21日に行われる大都市人事委員会連絡協議会委員長・事務局長合同会議における他都市状況等も分析していく予定である。

 経済情勢については、昨年来の世界的な景気後退の影響により、本年に入ってからも非常に厳しい状況にあり、民間における雇用調整の状況については、全国、大阪双方とも部門の整理・部門間の配転、採用の停止・抑制などを実施している事業所の割合が大幅に増加している。ベースアップを実施している事業所の割合も昨年より大幅に減少しており、また、昇給制度のうちでも査定昇給を実施している事業所の割合が全国平均を上回っており、企業や従業員個々の業績が賃金水準に大きく影響する体系になっていると考えられる。一時金については、人件費抑制の動きが産業界全体に広がっており、業績により出せる企業と出せない企業の差が広がっているなど、厳しい要素も見られ、本年の民調結果はこれらの状況を反映した大変厳しいものとなるのではないかと見込まれる。

 給与制度については、職員がより一層意欲や能力を発揮できるバランスのとれたものとなるよう、引き続き研究検討を行っていく旨、昨年の勧告時に言及を行ったところであるが、本年についても、より職務給の原則を徹底し、人事委員会の説明責任を果たす観点から検討を進めている。給料表構造については、昇給カーブのフラット化の推進や行政職3級の最高号給付近の給与水準の見直しについて検討する必要があると考えている。諸手当については、持家にかかる住居手当のうちローン償還中の加算制度や、通勤手当の全額支給限度額を超える場合の2分の1加算などの見直しについて、検討していく必要があると考えている。なお、期末・勤勉手当については、本委員会が当時の民間の状況を反映させるため行った意見の申出に基づく本年6月期の期末・勤勉手当における一部凍結措置分の取扱いや、期末・勤勉手当の配分などを含めて、民間給与実態調査に基づき具体的に言及する予定である。

 また、新しい時代にふさわしい活力ある組織づくりに向けて取組むことが重要であると考えており、継続的かつ計画的な人材の確保や人材の育成、人事評価制度、高齢期における職員の活用などについても、国・他都市の動向にも留意しながら、検討していく必要があると考えている。

 さらに、働きやすい勤務環境の実現をめざして、仕事と生活の調和の実現のための取組みが重要であると考えており、超過勤務の縮減に向けた取組み、両立支援の推進やメンタルヘルス対策の推進などについて検討していく必要があると考えている。

 なお、現在、昨年の人事委員会勧告の内容を超える給与減額措置が実施されているが、この給与減額措置は人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものであり、遺憾ではあるが、本市の極めて厳しい財政状況からとられたやむを得ない措置であると認識している。本年の給与勧告では、ここまで述べてきたように市内民間企業と本市の給与水準を精査し、地方公務員法の規定に基づき適切な勧告を行ってまいる所存である。

 いずれにしても、市労連の皆様方と連絡を密にして進めてまいりたいと考えているので、よろしくご理解を賜るよう、お願い申し上げる。

組合 ただ人事委員会から、企業規模50人以上の民間事業所を対象に調査が行われたこと、経済状況については、本年に入ってからも引き続き厳しい状況にあること並びに雇用調整については、全国的にも雇用調整の割合が大幅に増加している状況などの本年の調査作業の進捗状況と特徴点が言及された。
さらに、基本姿勢と本年勧告に向けた課題についても言及された。

 先ほども指摘しているように、国や他都市を大幅に下回るマイナス較差から、連年にわたる給料表のマイナス改定となったことや、昨年、較差が極めて小さいとして据え置かれた国の人事院勧告を下回るマイナス勧告が行なわれ、また、社会保障費の増大や教育費・住宅費などの大都市特有の経費高で、組合員の生活実態はこれまでにも増して厳しいものとなっており、本年の給与勧告に向けた組合員の期待はこれまで以上に高まっており、本年の勧告は、貴人事委員会が市労連と組合員から信頼を得られるか否かの重要なものと考えていることを敢えて申し上げておく。

 また、先ほど労使が自主的・主体的に交渉を行うべき事項について、これまで労使の自主的な交渉経過があるにもかかわらず労使交渉を制約する内容で昨年勧告が行なわれたとの市労連としての問題認識を持つと申し上げたが、ただ今言及された課題に関わっても同じ問題認識を持たざるを得ない。

 その上で申し上げるが、行政職3級の問題が言及されているが、市労連としては、給与構造改革の全体について、人事評価制度や3級昇格問題、評価結果の給与反映、昇格時の制度上の均衡問題など多くの問題が生じており、給与構造改革全体の検証が必要と認識している。

 給与構造改革自体の検証を行わないまま、3級高位号給の水準のみを捉えて問題意識が示されることは、人事委員会の権威からしても問題があるものと指摘しておきたい。

 なお、新たな人事評価制度については、市労連としては、評価される組合員からも、評価する側の組合員からも、なお不信感が払拭でききれた制度とはなっていないと考えている。昨年も要請したところであるが、これらの実態について十分に踏まえながら、人事評価制度の運用にあたっての課題の検討が行われるよう改めて求めておく。

 また、住居手当や通勤手当について言及されているが、そもそも人事委員会の給与勧告制度とは、毎年4月時点において、比較給与項目を公民比較し、そこで生じている公民較差を均衡させるため、比較給与項目の範囲で給与勧告する制度であると認識している。

 現在、通勤手当は比較給与項目ではなく、比較給与項目でない通勤手当制度について人事委員会が言及することは、人事委員会の給与勧告制度の趣旨にそぐわないものであるとの認識であることを表明しておく。

 さらに住居手当を含む比較給与項目について、本年4月の公民較差を均衡させる勧告を行うことは人事委員会の権能であることは理解しているが、その範囲を逸脱することは人事委員会の権限の及ぶところでないことを敢えて申し上げておく。

 また、継続的かつ計画的な人材の確保や人材の育成や、国において2013年度からの65歳定年制の具体化にむけ検討がおこなわれることとなっている高齢期の職員の課題、さらには両立支援、超過勤務の縮減、メンタルヘルス対策などの課題についても検討していく必要が表明されている。

 市労連としては、行政組織としての継続性や技術力の継承など、将来の大阪市政を担っていくためにも、人材の確保や人材の育成に向けた計画的な施策が求められているものと考えている。同時に、職員が公務公共サービス業務の遂行に不安なく専念できる勤務労働条件の確保も不可欠と考えており、これらの課題に関わっても十分な検討が行われるよう求めておく。

 さらに、課題として本日言及されなかったが、貴人事委員会が連年にわたり言及してきた地方公務員法に基づく福利厚生制度のあり方については、2007年の賃金確定交渉において、労使における協議会を設置し、検討会開催に至ったところであるが、本年の勧告を前にした現時点においてもなお、組合員が求める制度確立には至っておらず、大阪市当局が事業主責任を果たす状況には程遠いという事実について、敢えて指摘しておく。

 われわれは大都市協として、8月21日にも大人連に対して交渉を行うこととしているが、貴人事委員会においては、人事院勧告内容の十分な分析を行い、他都市人事委員会の動向にも注視しながら、職員の生活実態を考慮して作業を進めるよう求めるとともに、引き続き、組合と協議のうえ、積極的に努力をしていただくよう強く求めておく。

 次に、勧告日についてであるが、人事院は、8月11日に勧告を行っている。貴人事委員会におかれては早期勧告に向けて努力していただいていると考えているが、本年の勧告時期についてお聞かせ願いたい。

人事委員会 勧告の日程については、現在のところ、昨年並の日程を勘案しつつ努力してまいりたいと考えており、ご理解を賜るようお願い申し上げる。

以 上

 

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