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更新日:2008年3月31日

2008年3月31日
大阪市労働組合連合会
執行委員長 木下平和

不当労働行為であるチェックオフ禁止の条例可決についての市労連見解

 自由民主党・市民クラブ市会議員団は、3月28日、市会本会議においてチェックオフ制度(給与から組合費を控除することができる)の廃止の議員提案を行い、即日採決を実施し、賛成多数により、可決・成立させました。

 市労連は、市会での議員提案自体が民主主義の破壊であり、不当労働行為であること、ましてや議員提案として労使自治へ介入するものであり、到底許されるものではないと認識しています。市労連としては、議員提案を行った自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団、並びに条例案に賛成した公明党市会議員団に対し断固抗議の意を表すものです。

 市労連は市会閉会後即刻、平松大阪市長に対して、「大阪市給与条例の『チェックオフ制度廃止』の議決の公布を行わず地方自治法第176条による市長の再議権行使を求める要請」を行いました。

 そもそも労働組合は、労働者がその労働条件改善のために自主的に結成し、加入する任意団体であり、労働者の団結権は憲法28条によって保障されています。チェックオフを一方的に禁止することは、労働組合の組織運営と活動に多大な影響を及ぼすものであり、明らかに団結権の侵害、すなわち憲法違反であります。

 また、使用者が労働組合との合意に基づいて行うことを条例で禁止することは、労働者保護のため制定された労働基準法の基本趣旨に真っ向から反するものであり、労使自治への不当な介入であります。

 さらに、ILO国際労働機関第87号条約の第11条では「労働者及び使用者が団結権を自由に行使することができることを確保するために、必要にしてかつ適当なすべての措置を約束する」としています。そしてILOの結社の自由委員会は、使用者によるチェックオフの便宜の撤回や法律による禁止は、労働組合に財政的困難をもたらす可能性があり、チェックオフの継続中に一方的に使用者がこれを中止することは、日本も批准しているILO87号条約に違反するとしています。

 当然のことですが、チェックオフ条例に基づいて組合費のチェックオフを行っている全国の自治体において、チェックオフ条例を当局・議会が禁止した前例はなく、全国的に重大な影響を及ぼすことは必至だといえます。

 さらに議員提案であるとはいえ、当該の大阪市職や市労連に対して、使用者である大阪市当局からは何らの情報提供もなされておらず、使用者としての見解も示されていないことは、極めて不誠実な対応であることを指摘せざるを得ません。

 過去、国政においては、2000年に自由民主党が、労働組合費のチェックオフを禁止するとともに、組合会計報告の一般公表を義務付けるなどとする労働基準法第24条改正案の国会上程を画策しました。

 しかしながら、労働団体・企業・法律家・政界を巻き込む議論が展開され、連合をはじめとする全国の労働組合、日本労働弁護団、経営者団体等多方面から「ILO条約違反」「団結権侵害」「労働基準法違反」「労使自治への介入」であることを表明・問題視する世論の反対を受け、結果的に成案に至らなかった経過があります。

 このような経過があるにもかかわらず、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団が同様の行動を引き起こしたことは、日本の民主主義を全面的に否定するものであり、真に労働者を冒涜する行為であると言わざるを得ません。
 従って市労連は、以下の闘いを強めることを表明します。

  1. 市労連は、憲法、並びに各法令さらにILO条約を無視する自由民主党・市民クラブの動きを決して許せるものではなく、平松市長に地方自治法第176条における再議権の行使を求めます。
  2. また、連合大阪・大阪公務労協・関係産別に対し、不当労働行為であるチェックオフ制度(給与から組合費を控除することができる)廃止を許さない支援要請を行うこととします。
  3. 条例適用となる市職に対して、憲法・労働基準法・地方公務員法違反をもって、直ちに新田孝議員をはじめとする提案議員を相手取り、団結権侵害の損害賠償請求の提訴を求めます。

市労連は、組織の総力を挙げて、不退転の決意を持って闘います。

以上

 

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