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更新日:2016年3月22日

2016年統一賃金要求対市申し入れ

賃金・労働条件の改善にかかる10項目の要求書を提出!
組合員の生活実態を十分踏まえ、市側の誠意と責任ある対応を要請!

 市労連は、3月9日(水)午後6時30分から開催した、2015年度市労連第1回委員会において確認された「市労連2016年統一賃金要求」について、3月17日(木)午前9時30分から、市側に対して以下のとおり申し入れを行った。

 特に「引き下げ改定」と「給与制度の総合的見直し」が合わせて実施されることから「給料月額の減額措置」の即時終了を求めるとともに、相対評価の廃止と人事・給与制度全般的な検討を早急に行うよう強く求めた。

 また、使用者である市側の責務において、組合員の置かれている状況を十分踏まえて真剣に対処するよう求めてきた。

組合 本日は、2016年統一賃金要求について交渉を行いたい。

 市労連は、3月9日に2015年度市労連第1回委員会を開催し、当面する2016年春季生活改善闘争を闘う方針と、市労連2016年統一賃金要求を確認した。

 それでは、ただ今より、2016年統一賃金要求を申し入れる。

 なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。

2016年3月17日

大阪市長 吉村 洋文 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 上谷 高正

市労連2016年統一賃金要求に関する申し入れについて

 公務員給与をめぐっては、昨年来より、政府が「給与制度の総合的見直し」を推し進める一方で、総務省が国の見直しを踏まえた検討を各地方へも要請したことなどから、2016年4月時点で、大阪市を含む多くの政令市において実施されることとなっています。

 また、各地方自治体では、財政の逼迫を理由に独自の給与削減も行われており、地方公務員のさらなる給与引き下げは容認できません。

 大阪市においては、人事委員会勧告に基づかない「給料月額の減額措置」が継続されていますが、昨年の大阪市人事委員会が勧告した内容が、2.43%の給与引き下げ改定とする異例な内容であり、勧告に基づく給与改定や「給与制度の総合的見直し」とあわせて、今後も継続実施を行えば、組合員とその家族に与える影響は甚大であることから「給料月額の減額措置」については、直ちに終了することを強く求めます。また「給与制度改革」以降、多くの組合員が最高号給に位置付けられ、昇給停止となる組合員が年々増加しています。2015確定交渉においては、一部の級で号給増設が行われたとはいえ、極めて限定的なものであることから、現在のような給与制度は早期に見直すべきであり、早急に総合的な人事・給与制度の再構築を求めておきます。

 さらに、人事評価制度の本来の主旨にそぐわない「相対評価」による昇給や一時金への給与反映が実施されており「相対評価」による給与反映は、組合員の納得性が高いとは言えず、慎重に検討を行い十分な交渉・合意による改善をはかることはもとより「相対評価」自体の廃止を求めておきます。

 いずれにしても、「賃金・労働条件は、労使の交渉によって決定すべき事項」という基本態度を堅持し、組合員の生活実態、勤務条件・環境の改善にかかる下記の要求事項について、これまでの交渉経過と自主性をもった労使協議と交渉により実現されるよう申し入れます。

1.賃金引き上げについて

 生活保障のため、大都市に見合う現行賃金水準の改善をはかること。

2.給料月額の減額措置について

 「給料月額の減額措置」については、人件費削減を前提とした市政運営や政治的意図による継続実施は認められるものではなく、また、組合員の生活や士気に及ぼす影響は甚大であることから、直ちに終了すること。

3.賃金体系の改善と配分について

 賃金体系の改善にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時にあたる若年層と中高年層の体系是正をはかり、配分については本給重視とすること。

 また、職務・職責に応じた総合的な人事・給与制度を構築すること。さらに、号給延長などの措置を講じ給与水準の改善を行うこと。

4.賃金決定基準の改善について

(1) 初任給基準(中途採用者を含む)の改善をはかること。

(2) 格付基準(臨時期間・前歴の格付通算を含む)の改善をはかるとともに、昇格枠の拡大と昇格条件の改善をはかること。また、昇格について公正・公平・納得性のある選考方法とすること。

(3) 給与制度改革が実施された結果、給与水準は大幅に抑制されていることから、国の昇給抑制の動きに追随しないこと。

(4) 病気休職等の昇給抑制者に対する復元措置を講ずること。

(5) 給料表については、職員構成及び業務実態を踏まえつつ、給料表構造の改善をはかること。また、専門職給料表については、国・他都市事情を考慮して検討すること。

(6) 初任給調整手当については、支給額の引き上げを行うこと。

(7) 技能労務職給料表について、賃金センサスなどの民間企業給与データを活用した公民比較は、技能職員との業務実態と比べて精確性を欠き問題である。また「大阪市技能労務職員給与検討有識者会議」における「委員意見まとめ」を受けた「大阪市の考え方」に基づく改悪を行わないこと。

(8) 保育士については、その職の社会的重要性を踏まえた、給与水準の改善と昇格枠の拡大をはかること。

(9) 医師・看護師・福祉職員については、人材確保・定着の観点から、給与処遇の改善をはかること。

5.諸手当の改善について

(1) 扶養手当は属性区分の見直しなど支給基準を改善し、支給額の引き上げをはかること。

(2) 通勤手当は支給基準の改善を行い、交通用具利用者に対する手当の基準を改善し、全額非課税となるよう国に働きかけること。また、経路認定基準の見直しに伴う課題は、十分な検証とともに引き続き必要な改善を行うこと。

(3) 住居手当は、国と異なる実態を踏まえ、大都市での住宅事情に見合ったものとして、持ち家にかかる手当の回復を含めた制度改善と支給額の引き上げをはかること。

(4) 地域手当については、本給繰り入れを基本に改善をはかること。

(5) 夜間勤務手当及び超過勤務手当(深夜勤務を含む)の支給率の改善をはかること。

 また、必要な時間外手当財源を確保し、全額支給を行うとともに、労働基準法を遵守した超過勤務命令の運用を行うよう周知徹底をはかること。

(6) 一時金については、期末手当一本とし、年間5.0ヶ月以上とするとともに、支給方法の改善をはかること。

 なお、勤勉手当への相対評価結果の反映については、評価結果の納得性が得られないことから、労使合意を基本に十分な交渉・協議を行うこと。

(7) 特殊勤務手当については、業務実態を十分踏まえた手当制度として改善すること。

(8) 夜間看護手当については、医療技術の高度化等、深夜における看護業務の実態を踏まえ、支給額の引き上げをはかること。

(9) 課長代理、課副参事について、その役割を十分考慮した上で、給与水準の回復をはかること。

6.昇給・昇格制度と人事評価制度について

 人事評価制度については、4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)2要件(労使協議制度の確立・苦情処理機関の設置)の確立した制度に改め、人材育成を主眼とする制度運用をはかること。また、「職員基本条例」に基づく相対評価は、人事評価制度の本旨に反していることから廃止すること。

 さらに、昇給制度等の検討については、将来の人事給与制度の全体像を見据え、あるべき昇給制度等の検討を早急に行い、労働組合との必要な交渉・協議を行うこと。

7.労働条件等の改善について

(1) 仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性を踏まえ、労働時間を短縮し、完全週休2日制の実施に伴う十分な条件整備をはかること。

 また、働きやすい勤務環境の整備のため、安全衛生委員会を活用し、定期的な職場点検を行うこと。

(2) 職員基本条例に基づく、分限処分は行わないこと。

(3) 業務上交通事故に対する失職の特例を定めるなど、分限にかかる基準を見直すこと。

(4) 休職者の給与、給付内容などの改善をはかること。また、近年の休職者の実態をふまえ、「大阪市職員心の健康づくり計画」を十分に踏まえたメンタルへルス対策の一層の充実をはかること。特に、心の健康の保持・増進の観点から職場における勤務環境の改善をはかること。さらに「パワーハラスメントの防止等に関する指針」に基づき、パワーハラスメント対策の充実をはかること。

(5) 職員の福利厚生については、福利厚生制度の果たしてきた意義をふまえ、地公法第42条に基づく使用者責任を果たしつつ労使で十分な意見交換を行いながら「安心して働き続けることのできる制度の確立」「組合員の働き甲斐」につながる福利厚生制度の確立・充実に向け、福利厚生協議会等での協議を進めるなど、早期に改善をはかること。

(6) 病気休暇・休職制度の運用改善をはかること。また、現行の休暇制度・職免制度の改悪を行わず、有給教育休暇など休暇制度の新設・改善をはかること。

(7) 「育児のための短時間勤務制度」をはじめとした職業生活と家庭生活の両立支援策について、職場実態に応じた効果的な運用がはかられるよう努めるとともに、女性の活躍推進の観点をふまえ、育児・介護休暇の男性取得促進に向けた勤務環境の整備・充実に努めること。さらに、子育て、看護、介護等の勤務条件制度については、政策的な見地から充実をはかること。とりわけ、子育てに関する勤務条件については、現在の社会状況や制度利用する職員が多数存在していることを踏まえ、育児・看護職免については継続して実施すること。

(8) 雇用と年金の接続に関しては、年金支給開始年齢の引き上げと連動したものとし、希望者全員の雇用を確保すること。大阪市においても総務省通知に基づき、再任用制度を基本としていることから、給与水準についても生活実態を踏まえて検証を行うこと。また、定年退職後の生活設計が安心できるような高齢者雇用施策については、業務実態を十分ふまえた高齢者雇用制度となるよう検討し、労働組合との協議を行うこと。

(9) 臨時・非常勤職員及び任期付職員をはじめとする非正規職員の勤務・労働条件の改善をはかること。

8.職員のモチベーション維持・向上について

 2014確定において「将来の人事給与制度の全体像を描く中で、あるべき昇給制度等の検討は不可欠である」とする人事委員会の言及を、市側としても検討するとしたことから、職員のモチベーション維持・向上は喫緊の課題であり、早急に研究・検討を行うべきである。

 労使で、具体的に人事・給与制度全般にわたり、日常的に研究・検討するための場を設置するなど、必要な交渉・協議を行うこと。

9.最低賃金について

 全国一律最低賃金制度確立のため、国に強く働きかけること。また、大阪市に働く者の最低賃金を月額166,200円(日額8,310円)以上とするとともに、労働条件(一時金・休暇等)についても改善すること。

10.賃金改定の実施ならびに支払いについて

(1) 賃金改定の実施日については、2016年4月1日とすること。

(2) 賃金改定の支払いについては、決定後すみやかに行うこと。

(3) 外郭団体への派遣等職員について、賃金改定に必要となる財源的措置を行うなど、本市職員同様の改定を確実に実施すること。

以 上

 申し入れについては以上である。

 その上で、申し入れにあたって指摘しておきたい。

 2016年春闘においては、大手企業の集中回答が出されているが、年明け以降、円高・株安が進み経営者側の先行き不安を背景に、前年実績には満たないまでも、3年連続のベアを実現している。社会全体の景気の底上げに向けて、今後の中小企業の動向に注視していかなければならない。

 一方、地方公務員給与については「給与制度の総合的見直し」が、2015年4月から実施の自治体に加えて、多くの自治体で本年4月より実施予定とされている。「給与制度の総合的見直し」は給与水準の引き下げと、地域手当の支給割合を引き上げることとなっているが、75%の自治体が地域手当の非支給地であるため、地方公務員給与の地域間格差は拡大している。地方公務員給与の引き下げは、地域の民間労働者の賃金にも影響を与えることや、地域経済を冷え込ませる恐れもあることから、自治体賃金の地域間格差の是正及び、自治体労働者の生活保障に即した引き上げが求められている。

 大阪市でも、昨年、大幅なマイナス勧告が出され、本年4月からは、引き下げ改定とあわせて「給与制度の総合的見直し」が実施される。加えて「給料月額の減額措置」が今後も継続されると、組合員の生活実態は危機的な状況となることから、改めて「給料月額の減額措置」の即時終了を強く求めておく。

 また、2015年確定において市側から提案を受け、既に職員周知もされている「通勤手当における経路設定の基準の見直しについて」であるが、今回の見直しは、職員の通勤実態を鑑み、経路の認定等において、現行よりも向上させることが前提であると認識している。そうしたことからも、申請を行った職員の不利益になることはあってはならないと考える。われわれとしては、今後、組合員への不利益とならないように、必要な都度の協議と丁寧な扱いを要請しておく。

 その上で、本日申し入れた「市労連2016年統一賃金要求」は、引き続き組合員が大阪市の公共サービスを担う上で重要な要求であり、使用者である市側の責務において、組合員の置かれた状況を十分踏まえて真剣に対処されることを強く求めておく。

市側 ただ今申し入れをお受けしたところであるが、私ども公務員の人事、給与等の勤務条件については、制度の透明性を確保しつつ、市民に対する説明責任を十分に果たすことがこれまで以上に求められている。

 要求については今後、慎重に検討するとともに、十分な協議のもと交渉を進めてまいりたいので、よろしくお願いする。

組合 組合員の賃金、勤務条件・職場環境の改善は、労使の自主的・主体的な交渉と合意により決定されるものであり、この間の労使交渉・協議において確認してきた経緯を踏まえ、誠意と責任ある市側対応と、労使対等の原則に則り、市労連及び傘下の各単組との健全な労使関係の構築に努めるよう要請しておく。

以 上


 

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