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更新日:2016年9月2日

大阪市人事委員会第1回申し入れ

大阪市に働く組合員の生活実態を考慮し、組合の要求主旨を受け止め、本年の勧告に十分反映されるよう強く要請!

 市労連は、9月1日に大阪市人事委員会に対して、2016年の人事委員会勧告に向けた「申し入れ」を行うとともに、春の段階で提出していた、2016年統一賃金要求に対する回答を引き出した。

 申し入れの中で市労連は、人事院が勧告した配偶者にかかる手当の見直しについて、民間の支給実態からも乖離しており、拙速な見直しであることから、安易に国に追随するのではなく、慎重な対応を求めてきた。また、民間給与データの取り扱いについては、従前の手法に改めることや「給料月額の減額措置」の即時終了を明確に言及するよう強く求め、大都市事情と大阪市に働く組合員の生活実態を考慮し、精確な公民水準比較を行った上で勧告するよう要請した。その上で、本年の勧告に向けた基本的な姿勢、ならびに調査作業の進捗状況と特徴点、現時点で予定している本年の勧告時期について明らかにするよう求めた。

 人事委員会から「市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本としつつ、本市の給与制度が、国や他都市の状況、地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から、適切なものとなるよう勧告してまいりたい」との回答があり、勧告時期については「昨年並みの日程を勘案しつつ努力する」ことが述べられた。

 市労連は引き続き、本年の勧告に向けた人事委員会対策を強めることとする。

組合 本日は、2015年人事委員会勧告に向けた、市労連としての申し入れを行う。

申し入れ書手交

 日頃から、大阪市に働く職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている貴職に対して、敬意を表する。

 8月8日、2016年の人事院勧告が行われ、大阪市においても勧告に向けて最終的な作業の最中にあると認識している。その上で、本年の市人事委員会勧告にあたっては、配偶者にかかる手当の引き下げについて人事院が勧告を行ったが、明らかに拙速な見直しであることから、人事院の報告・勧告に安易に追随することなく、大都市事情と大阪市に働く組合員の生活実態を考慮するよう求めておく。また、市労連が本年3月23日に行った統一賃金要求に関する申し入れ内容を十分に尊重するとともに、本日申し入れを行う事項も含め、民間の賃上げ状況や物価の動向を踏まえ、本年の勧告に十分反映されるよう強く要請する。

 改めて、労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮するとともに、中立機関としての独立性を堅持しつつ、その職責を果たされるよう申し上げておく。

 それでは、詳細について書記長から申し上げる。

2016年9月1日

大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 上谷 高正

2016年大阪市人事委員会勧告に関する申し入れ

 日頃から、私ども大阪市に働く職員の賃金・労働条件の改善に尽力されている人事委員会に対して、敬意を表します。

 さて、人事院は8月8日、内閣に対して2016年の「国家公務員の給与等に関する報告・勧告」を行いました。内容については、月例給を平均708円、率にして0.17%、一時金を0.1月分引き上げ、年間4.3月とするものです。月例給及び一時金の3年連続での引き上げは、賃上げによる経済の好循環をはかるという観点から当然の結果と言えます。

 一方、配偶者にかかる手当においては、他の扶養親族にかかる手当額と同額まで段階的に減額し、それらの原資の範囲内で、子にかかる手当額を増額するとしています。現在の働き方の変化や少子化対策を鑑みた見直しとも言われていますが、民間の支給実態からも乖離しており、拙速な見直しであることから、安易に国に追随するのではなく、大阪市における社会状況や家庭環境を十二分に踏まえた上で、慎重な対応を人事委員会に求めます。

 大阪市では、昨年の勧告において、大幅なマイナス勧告が出され、民間の賃上げ状況や市職員の給与水準を考慮すれば、理解も納得もできないことを、市労連として再三指摘してきました。本年においても、民間における賃上げ状況が示されており、昨年のような勧告内容は想定しづらい状況と言えます。

 また、昨年の勧告でも、民間給与データの上下合わせて5%が公民比較の対象から除外されており、このような手法が、大きなマイナス較差となった要因の一つであることは明らかです。本年の勧告に際しては、従前の手法に改めるべきであることを、例年以上に強く要求します。また、人事委員会自らも問題としてきた賃金センサスの活用など、この間、市労連として人事委員会に対し問題指摘を行ってきました。

 加えて「給料月額の減額措置」が現在も継続されていることから、組合員の生活実態は危機的な状況に置かれています。これ以上の減額措置の継続は、職員のさらなる士気の低下を招き、業務への支障や市政への影響も危惧されるところであり、本年の勧告においても、即時終了を明確に言及するよう強く求めておきます。

 人事委員会は昨年、市側が独自で行った民間の技能・労務関係職種従業員の給与水準等に関する調査結果の集計・分析を行いましたが、さらに本年においては、調査段階から人事委員会自らが実施して集計・分析を行いました。市側の一方的な依頼に基づいて給与水準の調査を行い、ましてや、それらの調査内容を基に公民比較を行うなど到底容認できるものではありません。

 また、2017年4月より、府費負担教職員の給与負担等の権限が、府から市へ移譲されることとなっています。それに伴い、教育職給料表が新規に作成されると思われますが、人事委員会に対しましては、教職員の給与・勤務労働条件について、子どもたちの教育条件・環境の維持・向上を前提に、教職員のモチベーションを下げることにつながらない、良識ある対応を求めておきます。

 現在、人事委員会におかれては、勧告に向けての最終段階であると考えますが、大阪市に働く職員が現在おかれている状況を十二分に踏まえて頂き、精確な公民水準比較を行った上で勧告されるよう求めます。

 職員が不安なく公務に専念できるよう、大阪市で働く職員・組合員の生活実態を考慮して作業を進められることを求めるとともに、人事委員会として、中立的な第三者機関の役割を十分に果たしていただくよう求めます。その上で、大阪市労連が本年3月23日に行った申し入れの主旨を尊重されるよう改めて強く要請します。

以 上

 その上で、3月23日の統一賃金要求に関する申し入れの回答と、事前質問事項である本年の勧告に向けた基本的な姿勢、ならびに本年の調査作業の進捗状況と特徴点、現時点で予定されている本年の勧告時期についてお聞かせいただきたい。

 また、本年4月以降も「給料月額の減額措置」が継続実施されている。申し入れの中でも表明したが、組合員の生活実態は危機的な状況に置かれていることから、人事委員会勧告とは別で取り組まれている「給料月額の減額措置」は即時終了するべきであり、繰り返し指摘しているように、人事委員会として終了するよう明確に勧告するべきである。改めて、この点についての人事委員会としての見解を示されたい。

人事委員会 2016年統一賃金要求に関する申し入れ」については、人事委員会に諮った結果、別紙のとおり回答する。

 また、ただいまお受けした「2016年大阪市人事委員会勧告に関する申し入れ」については、事前にお聞きしていた申し入れの内容を人事委員会に諮っている。本日は、その結果に基づき、回答を求められた件について、本委員会の見解等を申し述べる。

 勧告に向けての基本的な姿勢については、人事委員会は、職員の労働基本権が制約されている中で、その代償措置として、地方公務員法に基づき、給与その他の勤務条件について、適切な勧告を行うべき機能を担っており、中立・第三者機関として、人事委員会勧告に対する市民からの信頼を一層向上させるため、その役割を適切に発揮し、勧告の内容等について、説明責任を果たすことが求められているところである。

 これら法の規定及び人事委員会の役割・責務のもと、市内の民間企業従業員の給与と本市職員の給与とを均衡させることを基本としつつ、本市の給与制度が、国や他都市の状況、地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から、適切なものとなるよう勧告してまいりたいと考えている。

 本年の調査作業の進捗状況と特徴点については、本年の民間給与実態調査は5月1日から6月17日にかけ、人事院及び大阪府人事委員会等と共同で、全産業を対象として、企業規模50人以上、かつ事業所規模50人以上の市内438民間事業所を抽出して行った。現在、勧告に向け、作業を進めているが、民間給与を取り巻く状況については、産業や企業規模等により厳しい面も、改善されている面も、両面が見られるところである。

 給与制度については、公民給与の比較の在り方や賃金構造基本統計調査の参考としての活用、民間給与データの取扱い、平成24年8月に行われた本市の給与制度の改正などを踏まえた給料表構造と昇給制度の在り方、人事院が勧告を行った扶養手当の在り方、再任用職員の給与制度、府費負担教職員に対する新たな人事・給与制度等の構築などの課題について、研究検討していく必要があると考えている。

 本市の保育士及び幼稚園教員については、昨年4月にそれぞれ新たに独自の給料表が策定されたところであり、その給料表の改定の必要性について、平成25年より実施している民間の同職種の者の給与水準の調査結果の他、その職務の重要性、処遇確保の必要性、他都市の状況、本市保育所及び幼稚園の運営への影響や、賃金センサス結果に基づく一般的な民間従業員の給与の状況、本市の保育士及び幼稚園教員以外の職員の給与改定の状況等も考慮して、検討する必要があると考えている。

 人事管理制度については、長期的視点に立った人材の確保及び育成、女性職員の活躍促進、働き方改革と勤務環境の整備といった課題について研究検討していく必要があると考えている。

 なお、技能労務職の給与については、本年の報告・勧告とは別に、報告を行う予定である。

 本年の勧告時期については、現在のところ、例年並みの日程を勘案しつつ努力してまいりたいと考えている。

 次に、給料月額等の減額措置についてであるが、本委員会としては、これまでも、給与減額措置に係る条例意見照会の際には、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものとして意見を付してきたところである。

 給与減額措置は、条例上、平成30年3月まで実施するとされており、平成21年度の開始から9年間という長期にわたり継続されることとなる。かかる措置の背景として、本市がきわめて厳しい財政状況であることは本委員会としても理解するところであるが、長期にわたり給与減額措置が継続されることによる職員の士気への影響も懸念されるところであり、早期に解消されることを望むものである。

 以上である。

組合 ただ今、本年の民調結果については、産業や企業規模により厳しい面も、改善されている面も両面が見られるところであるとのことだが、組合員の期待も大きいことから、民間給与実態を精確に把握しつつ、大都市における職員の生活実態を考慮した上で、私たちの生活を守るための賃金水準を維持するよう求めておく。

 給与制度については、賃金構造基本統計調査の参考としての活用や、民間給与データの取り扱いについて触れられている。民間給与データの取り扱いについては、ここ数年来、上下合わせて5%を民間給与データから除外する取り扱いが行われており、昨年の勧告では、そのようなデータの取り扱いが、公民較差の半分にも影響を及ぼしていたことが明らかとなっている。この間、市労連して、再三指摘を行ってきているように、精確なデータに基づいた公民比較を行うという職責を果たす上でも、従前来の手法による取り扱いを改めて要求しておく。合わせて、賃金センサスの活用に関しては、その調査対象や調査時期等、問題点が多く、その活用は認められるものではない。

 人事院が勧告を行った扶養手当のあり方についても、研究・検討していく必要があるとしているが、今年の民間における配偶者に対する家族手当の支給状況に関しては、87%の企業が支給しており、支給額においては、昨年より増額となっている。市労連として、申し入れの中でも申し上げたが、民間の支給実態からも乖離していることから、国の見直しに追随することなく、独自性と主体性を持って対応するよう求めておく。

 現在の給料表構造と昇給制度においては、給料表と昇給制度の乖離が大きく、各級最高号給に位置付けられて昇給できない職員が多数存在しており、職員の勤務意欲の観点からも研究・検討ではなく、早急に抜本的な見直しが必要である。

 また、保育士及び幼稚園教員の給料表の課題についても、給与水準が従来に比べ大幅に低くなっていることは言うまでもなく、いずれ多くの組合員が最高号給の適用を受けることとなる。職務の重要性や処遇確保の必要性、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮すると、早急な給料表の見直しが必要である。

 さらに、技能労務職給与についてであるが、昨年の段階で、市側が独自で実施した、民間の技能・労務関係職種従業員の給与水準等に関する調査の集計・分析を行い、参考資料に示してきたことから、人事委員会自身が勧告制度そのものを否定し、職務を放棄していることを市労連として指摘してきた。しかし、われわれの指摘を受け入れることなく、本年においても、技能労務職給与に関しての調査の集計・分析を、別に報告するとしている。しかも、これら一連の行為は、市側からの依頼に基づくものであり、第三者機関としての公正性を欠いていることから、市労連として、到底受け入れられないことを表明するとともに、改めて、中立・公正な第三者機関としての職責を全うするよう要請しておく。

 府費負担教職員に対する新たな人事・給与制度等の構築においては、先の、関係組合からの申し入れでも要望されているように、大阪市における教育水準の向上に向け、現場の実態を踏まえたものを構築しなくてはならない。

 「給料月額の減額措置」については、長期の減額措置は職員の士気への影響も懸念されるところであり、早期に解消されることを望むとの内容が示された。昨年の勧告においても、同じような内容が言及されていたが、毎年繰り返し申し上げているが、本年においても、明確に「即時終了」するべきであるという勧告・報告を改めて求めておく。

 私たちは大都市に働く仲間とともに、8月18日には大都市人事委員会連絡協議会とも交渉を行ってきたが、人事院の勧告及び報告内容の十分な分析はもちろんのこと、安易に人事院勧告に追随することなく、他都市人事委員会の動向にも注視しながら、大阪市に働く職員の生活実態を考慮して作業するよう求めておく。

 最後に、これまで申し上げてきたとおり、この間、私たちの実質賃金が大きく引き下げられてきたことを鑑み、また、労働基本権制約の代償措置としての機能を発揮し、改めて、中立機関としての独立性を堅持しつつその職責を果たされるよう要請しておく。

 人事委員会 本委員会は、給与報告・勧告を行うにあたっては、これまでも、地方公務員法に基づき、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向等を踏まえ、中立的な第三者機関としての役割を果たしてきているところである。

 いずれにいたしましても、本日お聞きした内容等につきましては、人事委員会に報告させていただく。


市労連 2016年統一賃金要求に関する申し入れに対する回答【別紙】
申し入れ項目 回   答
1 人事委員会が地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設立されている趣旨を踏まえ、勧告に際しては、労使合意事項、労使交渉の経過、組合の意見を十分尊重すること。  地方公務員法第14条第2項及び第26条により人事委員会に与えられた権限(給与報告・勧告等)は、人事委員会の専門的で公正な中立機関としての判断により、職員の勤務条件の確保を保障するとともに、報告(勧告)に基づく給与は適正なものとして、市民の理解を求めるよりどころを与えるものであると考えており、今後も適切に対応してまいりたいと考えています。
2 勧告内容にかかわる政府、総務省の不当な干渉に屈することなく、中立・第三者機関としての立場を堅持し、公平・公正な立場で作業を進めること。
3 勧告にあたり、地公法第24条第3項に規定する給与基準を考慮する場合、大都市における生活事情を正確に把握し、反映すること。その上で、給料表作成にかかわる内容は労使交渉による決定事項であり、具体的中身に踏み込まないこと。  生計費の算定は毎年4月における費目別平均支出金額を基礎として行い、給与勧告資料の労働経済指標において全国と本市民間の生計費・物価の状況を比較するとともに、標準生計費(理論生計費)の算定・公表を行っているところです。給料表の勧告については、人事委員会の説明責任、機能発揮の観点から研究を行っていく必要があると考えています。
4 民間給与実態調査及び公民給与の比較を行う場合は、合理的な方法を採るよう努めるとともに、下記の内容を踏まえて改善すること。(1) 調査対象企業規模50人以上とした比較方法を改め、少なくとも以前の調査対象企業 規模に戻すこと。また、団体交渉によって賃金、労働条件を決定している事業所を対象とし、「会社更生法等の適用企業」は調査対象から除外すること。  調査対象企業規模については、国において平成18年より企業規模50人以上100人未満の事業所についても調査対象とされ、本市においても、民間給与実態調査は人事院等との共同調査であることから同様に実施してきたところであり、今後とも国等の動向を踏まえ、対応してまいりたいと考えています。民間給与実態調査は、民間事業所を無作為で調査することが市民の理解を得る大きな要素となっており、作為的に一部の事業所を対象除外とすることは誤解を招きかねず、加えて、現実の問題として、当該調査が人事院等との共同調査となっていることからも、本委員会のみ調査対象の考え方を変更することは困難であると考えています。
(2) 精確な公民比較を行うために、民間給与実態調査の上下2.5%ずつを、調査対象から除外する手法を従前の方法にあらためること。  民間給与実態調査結果から上下2.5%ずつのデータをカットする取扱は、極端な給与のデータについては、給与水準を決定する基礎資料から除外することが、本市職員の給与水準を適正化するとともに、市民の信頼を得るためには必要と判断し導入したものです。ただし、平成27年は過去2年と比べて公民較差への大きな影響があったところであり、本年の結果も見たうえで、見直しをすべきかどうかについて、研究・検討を行ってまいりたいと考えています。
(3) 比較対象職種は、国及び地方自治体の基幹職種である行政職(一)表関係業種とすること。  比較対象職種は、基本的に公民双方の大部分を占める職種ということが妥当であり、人事院は行政職(一)表、本委員会においても行政職との比較を行ってきているところです。今後とも、国や他都市の動向等を踏まえ、引き続き研究してまいりたいと考えています。
(4) 比較給与の範囲は、原則として公務員の基本給に相当する給与とすること。  民間においては、いわゆる基本給部分と呼ばれるものであっても、資格給、年齢給、職能給等さまざまな要素で組み立てられている場合が多く、一律に基本給部分をどこまでとみなして調査することは困難であると考えています。一方、昨今の人事給与制度の変革の流れのなかで、民間の給与の構造は大きく変貌の様相を見せており、今後とも、より精密な公民比較を行うため、研究を続けてまいりたいと考えています。
(5) 比較にあたっては、年齢だけでなく経験年数を加味すること。  経験年数について調査が可能となれば、年齢との2つの要素の組み合わせで公民比較を行うという新たな手法も考えられますが、現実には民間のデータを調査する際に、同種外部経歴等の経験年数換算を行う必要があることから、経験年数を調査することは難しいケースが多く、調査効率や調査の正確性が損なわれるおそれが多分にあります。また、全国一律の調査様式など実際上本市独自でクリアすることは非常に難しい問題と考えています。なお、「官民給与の比較方法の在り方に関する研究会」報告書においても、民間給与実態調査の基礎となる民間企業の賃金台帳には、勤続年数の記入は義務づけられていないことなど調査技術上の問題等が存在しているとされているところです。
(6) 精確な公民較差を算出するため、春季賃金改定状況を把握した上で、積み残し事業所を追加調査し、追加較差を算出すること。  例年、積み残し事業所の追跡調査については、人事院が定めた調査期限一杯のところまで努力しているところです。
(7) 特別給については、調査・比較方法を改め、公民同一基準による精確な月数算定を行うこと。  特別給に関する現行公民比較方式については、人事院等との共同調査という枠がある中で、調査対象を本市独自で設定することは困難であると考えています。なお、特別給の調査については、平成16年より前年夏冬の調査から前年冬と当年夏の調査に改められているところです。
(8) 賃金センサスについては、月例給や特別給における調査データのタイムラグや、実費弁償的な要素の強い通勤手当額を分離できないことなど問題が多いことから、ラスパイレス比較するためのデータとしては不適当であり活用しないこと。  賃金センサスについては、平成24年6月に施行された大阪市職員基本条例第24条第3項において、人事委員会は、民間事業者における給与水準及び勤務条件の実態を把握するため、直近の賃金センサス等を参考として活用しなければならないとされていることから、その活用について研究を進めてきたところです。その結果、本委員会としては賃金センサスを民間給与調査の代替としてそのまま用いることには無理があると考え、役職段階や年齢等に応じた給与水準等の民間給与の傾向を把握するものとして活用するという方法をとったところであり、その際には、市内の事業所における雇用形態や職種が職員と同種の者を対象とし、経年的なデータのバラつきなどを考慮して直近3年間の調査データを用いることとしています。
5 勧告制度とは別個で行われている「給料月額の減額措置」について、これ以上継続すれば、職員の士気や生活に多大な悪影響を及ぼす恐れがあることから、直ちに終了するよう勧告すること。  現在行われている給料月額の減額措置については、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なる給与支給状況にあることは人事委員会としても認識しており、給与減額措置にかかる条例意見照会に際しては、意見を付してきたところです。また、昨年の報告・勧告における意見のなかで、職員の士気や人材確保に与える影響等も懸念されるところであり、早期に解消されることを望むものである旨を言及しています。
6 2012年8月の給与制度改革に伴う大幅な給与水準見直しに関し、是正に向けた具体的に踏み込んだ対応を求めるとともに、50歳台後半層における昇給制度について、国とは異なる地方自治体の実態を踏まえ、改善をはかること。  平成24年8月の給与制度改革に伴う影響等については検討を行っており、昨年行政職給料表3級及び4級(行政職給料表以外の給料表についてはそれに相当する級)の号給の増設について言及したところですが、今後も検討を進めてまいりたいと考えています。また、50歳台後半層の昇給制度については、本市における人事運用の実態を踏まえながら検証・検討してまいりたいと考えています。
7 諸手当について、とりわけ住居手当は、地方公務員の住宅制度や大都市特有の住宅事情を踏まえた住居手当制度を確立するとともに、持ち家にかかる手当の精緻な調査を行うこと。また、地域手当については、本給繰り入れを基本に改善すること。  住居手当については、職種別民間給与実態調査において民間の状況を調査しているところであり、調査結果等を踏まえ、研究してまいりたいと考えています。また、地域手当については、国家公務員において、民間賃金の地域間格差が適切に反映されるよう、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し支給することとされているもので、国の制度にならった手当のひとつであります。人事委員会としては、民間との比較給与のなかに含めて較差を算出していますが、手当の配分や制度の在り方などについて、国や他の自治体の動向も見守りつつ、今後とも研究してまいりたいと考えています。
8 新たな高齢者雇用制度の確立にあたっては、年金と雇用の確実な接続と生活できる給与水準を保障すること。特に、段階的定年延長が実現するまでの間は、再任用制度義務化による制度設計が急務であり、60歳以降も安心して働きつづけることができる雇用環境整備のため、本市の業務実態を十分ふまえた制度となるよう具体的に勧告すること。  60歳以降の雇用確保策や人事・給与制度などについては、民間や国、他の自治体の状況も踏まえつつ、本市組織にふさわしい高齢期における職員の活用について、検討を進めてまいりたいと考えています。
9 非正規労働者の増加が社会問題化する中、臨時・非常勤職員の処遇改善に関して、人事委員会として問題認識を持ち、可能な対応を図ること。  本市においては、非常勤嘱託職員は特別職とされており、その勤務条件等については、人事委員会の権限が及ばないところです。
10 年間総労働時間1800時間を早期に達成するため、実効性ある超過勤務規制のための施策推進や年次有給休暇の取得促進、業務量に見合う人員確保策など、時間短縮に向けた具体的な方策を示すよう努めること。  今後とも超過勤務の縮減や適正な労働時間管理の徹底という観点を中心に検討を進めてまいりたいと考えています。
11 女性の労働権確立、男女共同参画社会の実現に向け、仕事と家庭の両立支援策の充実が求められており、「次世代育成支援対策推進法」の行動計画の着実な実施に向けた対策を行うこと。  男女の別なく、一人ひとりの職員の能力や適性に応じて人材を育成していく取組みの継続が肝要であり、今後とも男女共同参画社会の実現に資する方策等について研究を進めていきたいと考えています。
12 福利厚生について、各種制度、各種施設、支給などの実態を調査し、地公法42条の趣旨に適う制度構築に努めること。  給与以外の勤務労働条件等について、人事院は毎年項目を変えて民間給与実態調査の調査票のなかに盛り込んでいるところでありますが、一方、民間給与実態調査は人事院・大阪府等との共同調査であり、調査対象企業の負担増を招くことにより調査結果に影響を及ぼす別途調査については行わないよう人事院から指導を受けているところであります。
13 私たちの意向を反映し、早期勧告に向けて努力すること。  適切な時期に給与報告・勧告を行うことができるよう、努めてまいります。
 

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