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更新日:2015年9月18日

第2回大阪市人事委員会交渉

市人事委員会:月例給は公務が民間を上回り、引き下げ改定が必要 「給与制度の総合的見直し」の実施にも言及
市労連:民間賃金相場や職員の給与水準からも、引き下げは理解できない!
「給与制度の総合的見直し」の必要性を認めがたい!
「給料月額の減額措置」に対して、改めて中止勧告を行うよう求める!

 市労連は、9月14日(月)午後4時から三役・常任合同会議を開催し、9月1日に行った大阪市人事委員会への申し入れ以降の対応などについて協議し、同日午後5時から大阪市人事委員会委員長以下と、現在の進捗状況や勧告の見通しなどに関し交渉を行った。

 人事委員会から、月例給は、ベースアップを実施した民間事業所の割合は昨年より増加しているものの、公務が民間を上回っている。また、一時金等の特別給については、民間が公務を上回る見込みであると表明され、「月例給の引下げ改定及び特別給の引上げ改定が必要と見込まれる」ことが示された。さらに「給与制度の総合的見直し」の実施について言及することや、保育士及び幼稚園教員の給与改定の在り方、技能職員の給与水準についても公務と民間の給与水準の状況等について示すことなどが明らかにされた。

 市労連は、本年における春闘での民間賃金相場や、長年にわたり引き下げ続けられている職員の給与水準を考慮すれば、月例給において、公務が民間を上回るとは考えにくく、理解できないことを表明した。また「給与制度の総合的見直し」の実施は受け入れられず、人事委員会として、独自性と主体性を持って判断されることを求めてきた。さらに「給料月額の減額措置」については、改めて中止勧告を行うべきであることを強く求めた。保育士及び幼稚園教員の給料表の改善も求めた。さらに、技能労務職員の給与水準を、大阪市独自で調査を行い給与比較を実施しようとしていることについても、第三者機関としての立場で独自性を堅持し責務に努めるよう強く要請してきた。

 最後に人事委員会から、勧告時期については10月初めを予定していることが表明された。

組合 市労連は8月6日に人事院勧告が行われたのを受けて、大阪市給与勧告の集約段階を迎えている貴人事委員会に対して、9月1日に「私たちの要求の主旨を受け止め、さらに、中立機関としての独立性を堅持しつつその職責をはたされるよう」要請してきたところである。

 また、大都市協においても、8月18日に大都市人事主管者会議に、8月19日には大人連の事務局長会議に対して申し入れを行うなど、活発な取り組みが続けられていることについても申し添えておく。

 この間繰り返し申し上げてきたが、大阪市においては2012年の給与制度改革、さらに本年4月以降も「給料月額の減額措置」が継続実施されており、大阪市に働く組合員の生活は、非常に厳しい実態にある。こうした幾重の給与削減により、私たちの賃金は民間水準以下に抑制されており、このような給与削減を人事委員会として追認するのではなく、大阪市に対して是正に向けた勧告をすべきである。また、勧告制度の外で実施されている減額措置に対しても、人事委員会として本来あるべき立場を踏まえ、毅然とした態度で、中止勧告を行うことを改めて求めておく。

 「給与制度の総合的見直し」について、申し入れの際にも述べたが、大阪市においては民調結果を反映した勧告が行われており、地域間や世代間の給与配分そのものの必要性が認められず、国や人事院に追随した勧告を行うことのないよう強く要請しておく。

 地方公務員の給与決定は、言うまでもなく、地公法第24条第3項の主旨を踏まえた自治体の自己決定が尊重されるべきであり、労働基本権の代償機関である人事委員会として、その機能を一層果たされるよう要請するとともに、職員の生活実態を十分考慮して作業を進め、私たち組合員の切実な要求に応えるよう最大限の努力を求めておく。

 その上で、前回申し入れ以降の作業の進捗状況、さらに「勧告」の見通し、本年の作業の進捗状況について、現時点での較差や一時金の傾向を明らかにされたい。

人事委員会 作業の進捗状況については、この間、本市職員と民間企業従業員との双方の給与の実態及び人事院勧告の内容について、鋭意分析・検討を進めてまいったところであり、現在は、大詰めの段階を迎えている。

 公民較差及び一時金の傾向については、月例給は、ベースアップを実施した民間事業所の割合は昨年より増加しているものの、公務が民間を上回る非常に厳しいものとなるのではないかと予想している。一時金等の特別給については、年間の支給月数は、民間が公務を上回ると見込んでいる。

 勧告の見通しとしては、これら民間の情勢や給与勧告の意義等を総合的に勘案したところ、職員給与を民間給与と均衡した水準とするには、月例給の引下げ改定及び特別給の引上げ改定が必要と見込まれる。給与制度は職員の勤務条件の中でも基本となるものであり、本委員会としても、職務給の原則や均衡の原則といった地方公務員法に定められた給与決定の諸原則の観点から研究検討を行い、また、公民比較のあり方や賃金構造基本統計調査の結果等についても研究・検証してきたところであり、人事委員会の機能発揮・説明責任の観点から、改定内容について具体的に言及する必要があると考えている。

 行政職給料表に関する本年の給与改定については、公民較差の状況や、民間における諸手当の支給状況等も勘案し、主として給料表の引下げ改定について言及することを考えている。なお、今年から新設された保育士及び幼稚園教員の給料表については、給与水準が民間を上回っているが、民間の人員構成は若年層が中心で人材の流動化も激しいなど、本市の状況とは大きく異なっていること、民間の給与水準は昨年と比べ全体として若干上昇しているものの大きな変化は見られないこと、多数の職員が経過措置の対象となっており給与水準が漸減していくことなどを考慮すると、改定すべき状態にあるとは言えないと考えている。

 また、国が今年度より実施している給与制度の総合的見直しについては、他都市の実施状況や、大阪市域に勤務する国家公務員に対する地域手当支給率が平成28年4月より改定されることを考え合わせると、地方公務員法第24条第3項に基づく国及び他の地方公共団体との均衡の観点から、本市においても実施について言及する必要があると考えている。

 給与制度等に関する課題等として、平成24年8月に行われた本市の給与制度の改正や本市における給与制度の総合的見直しの実施後の状況などを踏まえた給料表構造等の在り方について言及する必要があると考えているほか、再任用職員の給与制度の課題について、国や他都市の状況、民間の傾向等も考慮の上、検討していく必要があると考えている。

 また、保育士及び幼稚園教員の給与改定の在り方や、府費負担教職員の給与負担等の本市への移譲に向けた給与・勤務条件等の課題の検討について言及する必要があると考えているほか、技能労務職員の給与水準についても公務と民間の給与水準の状況等について引き続き参考として示すことを考えている。その他、仕事と介護の両立支援の推進、職員の心の健康保持、パワーハラスメント防止の取組などについても言及することを考えている。

 なお、多様かつ有能な人材の登用、人材の評価・育成、女性職員の活躍促進、職員の自律的なキャリア形成、多様な働き方が可能となる柔軟な勤務体系といった本市人事管理制度全般に関する報告について、給与に関する報告と同日に行う予定である。

組合 ただ今人事委員会から、本年の公民較差及び一時金について、「一時金等の特別給については、年間の支給月数は、民間が公務を上回る」と示されたが、月例給に関しては「ベースアップを実施した民間事業所の割合は昨年より増加しているものの、公務が民間を上回る」として、「月例給の引き下げ改定が必要と見込まれる」との考えが明らかにされた。

 今春闘における、連合大阪の集計では、加重平均(実績ベース)で6,528円、2.24%となり、前年を870円、0.25%上回る結果となっている。また、大阪府の集計でも、加重平均(比較可能な組合)で6,692円となり、前年最終集計との比較では、妥結額・賃上げ率ともに増加している。中小・地場組合については、同条件の加重平均で「300人未満」の組合で358円、6.9%増「300人~999人」で413円、7.1%増「1000人以上」も503円、8.0%増となり、すべての企業規模で大幅に増加した結果となっている。先ほど、人事委員会からも「ベースアップを実施した民間事業所の割合は昨年より増加している」との回答も示された。さらに、市職員の給与水準についても、長年の「給料月額の減額措置」や「給与制度改革」により、大幅に引き下げられていることは言うまでもない。昨年の給与改定で引き上げが実施されたものの、このような、民間の妥結状況や本市における職員の給与水準を考慮すれば、月例給において、公務が民間を上回るとは考えにくく、市労連としても理解できない。

 国の人事院勧告においては、2年連続のプラス勧告が出され、すでに幾つかの政令市における人事委員会からも勧告が出されているが、いずれにしても、月例給及び一時金ともに引き上げ勧告となっている。

 また、本年の調査においても、賃金構造基本統計調査の結果等にも研究・検証してきたことに触れられたが、1年遅れの公表であることや同種同等の原則による比較ができない等、当該調査データの精度そのものに問題があることから、賃金構造基本統計調査の活用は認められないことを繰り返し指摘してきている。さらに、2013年度からの調査において、民間給与実態調査での給与データのうち、上下合わせて5%を公民比較の対象から除外して比較を行ってきている。本年においても、これらの手法を活用し精確性を欠く公民比較を行った上での較差であるならば、意図的に給与水準の引き下げを行っていると言っても過言ではない。人事委員会の機能が労働基本権制約の代償機関としてあり、専門的・中立的立場であることを踏まえるならば、いかなる外圧からの影響も受けるべきでない。大都市における精確な官民給与比較と、大阪市に働く組合員の生活実態を踏まえた報告・勧告を行うよう要請するとともに、調査データの活用方法と公民比較について、直ちに従前の手法に改めるよう強く求めておく。

 「給与制度の総合的見直し」については申し入れの際にも、国に関しては職員間の給与配分の変更にすぎないが、地方においては、職員の給与水準引き下げに直結する問題であることから、国や人事院に追随した勧告を行うことのないよう指摘してきたところである。回答の中で「国及び他の地方公共団体との均衡の観点から、本市においても実施について言及する必要がある」と言われているが、大阪市においては民間との均衡がはかられており、「給与制度の総合的見直し」そのものの必要性を認めがたい。ただ単に、国や他都市が実施しているからというだけで、均衡の観点からの実施というのは到底受け入れられるものではなく、市人事委員会として、独自性と主体性を持って判断されることを、再度指摘しておく。

 さらに、大阪市においては長年にわたり「給料月額の減額措置」が実施されており、貴職におかれては、3月市会の給与減額措置に係る条例意見照会の際に、早期に解消されるよう望む旨の意見を付してきたことが、2015年統一賃金要求の回答において示されてきた。この間繰り返し申し上げてきたが、「給料月額の減額措置」については、人事委員会として、昨年の勧告のような曖昧な表現ではなく、即時終了すべきであるという勧告・報告を強く求めておく。

 給与制度等に関しては、給与制度改革以降、給料表と昇給制度の乖離が大きく、多くの組合員が最高号給の適用を受けていることから、組合員のモチベーション低下は日々進行しているといっても過言ではない。組合員の働き甲斐やモチベーション向上をはかることは、市政運営においても重要であることから、職員・組合員が働き甲斐を保ち続けるよう、給与制度のみならず人事・給与制度全体にかかわる制度として確立させるため、昇給に至る人事・給与制度全般を検証し、人事委員会として積極的で主体的な姿勢で取り組むことを強く要請しておく。

 また、保育士及び幼稚園教員に関しても、本年4月より独自給料表が適用されており、現段階では、多数の組合員が経過措置を受けているが、年々、制度値へと移行する組合員が増え、多くの組合員が最高号給の適用を受けることとなる。他の給料表と同様に、組合員の働き甲斐やモチベーション向上をはかることはもとより、保育所及び幼稚園の運営への影響を考慮し、早急な改善が必要である。中立で公平な第三者機関としての立場で責務に努めるよう要請しておく。

 さらに、技能労務職員の給与水準については、大阪市が発足させた「技能労務職員給与検討有識者会議」において、大阪市独自で調査を行い給与比較を実施しようとしている。回答の中で「公務と民間の給与水準の状況等について引き続き参考として示すことを考えている」としているが、申し入れ時にも指摘したが、勧告制度そのものを否定するこのような独自調査を、人事委員会として黙認・加担するような対応は、あってはならないことであり、独自性を堅持しその機能を果たすよう強く求めておく。

 以上、本年の勧告を目前に控え、市労連としての考え方などについて率直に申し上げた。私たちを取り巻く環境が引き続き厳しいことは認識しているが、市政の発展と市民サービス向上のため、日夜を問わず懸命に働く組合員の思いを十分に受け止めた勧告を行うよう重ねて要請しておく。

 最後になるが、本年の具体的な勧告日についてお聞かせいただきたい。

人事委員会 勧告時期については、10月初めを予定している。

 また、本日お聞きした内容等については、他の委員にも報告させていただく。

以上

 

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