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2012年6月27日

「新たな労使間ルール」問題にかかる第2回対市団体交渉

労使関係の破壊につながる市側の重大なルール違反に抗議!合意なき条例化は行わないよう強く求め交渉を打ち切る。

 市労連は、6月27日(水)20時45分から「新たな労使間ルール」に関する団体交渉を行った。

 交渉で市側は、これまでの交渉で市労連が指摘してきた内容についての修正に応じないばかりか、6月22日の小委員会交渉で協議経過を無視した条文修正を行ったことへの明確な説明を避け、「市会日程との関係もあり、本日をもって最終判断をお願いしたい」と不誠実な対応に終始した。

 市労連は、市側の不誠実な対応と重大なルール違反に抗議の意思を明らかにするとともに、労使合意なき条例化を行わないよう強く求めた上で、本日段階では、これ以上交渉を続けても進展がないものと判断し、やむなく交渉を打ち切った。

 今後も交渉を継続するよう市側の誠実な対応を求めていく。

市側 前回の小委員会交渉で配布したものと同じであるが、改めて参考に条例案をお示しする。

 本市では、5月23日の団体交渉において申し上げたとおり、ヤミ便宜供与や、勤務時間中の認められない組合活動など労使間の不適正な事案が明らかになり、市民の信頼を大きく失墜させる事態を招いている。

 そのため、新たな労使間ルールを条例化し、更なる労使関係の適正化に向けて取り組んでいくこととしている。

 この新たな労使間ルールについては、この間、5回にわたり小委員会交渉において、誠意をもって協議を行ってきたが、前回の小委員会交渉において提案した内容でもって最終提案であると考えている。

 ついては、市会日程との関係もあり、本日をもって最終判断をお願いしたい。

組合 ただいま市側より「新たな労使間ルール」にかかる「大阪市労使関係に関する条例案」について、市側の最終提案として示された。

 われわれは、この間の交渉において、今回の市側提案は敢えて条例化する必要性がないことを指摘し、条例案が組織の弱体化を企図していることから、提案そのものの撤回を求めてきた。市側からは、小委員会交渉を通じて条例案策定にかかる根拠などが示されたが、われわれとしては、これまで市側が策定したガイドラインを、適切に守ってきたにもかかわらず、一部不適切な時間内組合活動を引き合いに出し、この間の労使関係がすべて不正常であったと、労使関係で言う一方の当事者である市側自らが断定することは極めて問題であることも指摘してきた。

 と言いつつも、労使交渉に関する内容や便宜供与など、今後の労使関係に直接かかわる重要事項であることから、市側に誠意ある対応を求めると同時に、交渉を通じて条例案文の一部修正にも応じてきた市側対応に、一定理解を示しながら問題解決に向けて真摯な態度で協議に応じてきたところである。

 特に、6月14日の小委員会交渉では、市側が最終案として示した条例案に対して、われわれとしても、問題点指摘とあわせて、具体運用に関する課題にも踏み込みつつ、主体的に問題解決をはかる立場から協議に応じてきた。

 提案者である市側自らが、最終案として提示していたにもかかわらず、急遽、それまでの交渉経過を無視した条文修正を行い、6月22日に修正提案を行ってきた。これは紛れもなく信義則違反であり、重大なルール違反と認識せざるを得ず、市側自らが労使関係を破壊しようとする行為としか言いようがない。

 6月14日の交渉で示された条例案が、最終案であることを一旦表明しながら、唐突に、協議経過を覆す修正提案を行った市側対応は不誠実極まりないものであり、何故、このような事態を招いたのか、この場で再度、明らかにしていただきたい。

市側 便宜供与について、「適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り、原則として」という規定を削除し、「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。」と修正した理由について、不適正な組合活動や管理運営事項への不当介入の事案が発覚したことから交渉事項等について条例で規定し、適正な労使関係を再構築し、市民からの信頼を回復することが趣旨である。

 便宜供与の実施は、あくまで任命権者側の措置であり、実施にあたっては当然「適正かつ健全な労使関係」が前提となるという認識の下、便宜供与をゼロベースから見直す、ということをより明確にするために、今回の修正を行ったものである。

 今後、労使関係の適正化が図られたということが確認できれば、条例を改正することにより、便宜供与も認めることができることは、従来と変わらない。

 ただし、検証の方法として、服務規律刷新PT等の判断に加え、市民の信頼確保について議会の判断も踏まえて適正かどうかを判断することになる。

組合 今の回答では全く納得できない。

 特に、突如修正された第12条については、単に文言の修正とは言えず、内容そのものが大きく変質するものである。便宜供与の扱いについては、まさに交渉事項であって、労使対等の原則のもとに行われる交渉の結果を受けて実施主体である理事者側の判断に委ねられるものであり、今回の条例案にも交渉事項として位置づけられている課題だ。この条文が議決されれば、便宜供与を認める場合には条例改正が伴うこととなり、労使交渉事項である内容に議会判断が介在することになる。労使対等の原則に反することは明白であり、このような事態は決して認めるわけにはいかない。第12条は削除すべきだ。

市側 便宜供与を行うかどうかは、任命権者が判断することであるが、市民のみならず、特に昨年末以降、市会においても厳しい意見が出されているところであり、このような状況に鑑みると、やはり適正な労使関係の確保に関して、市民の代表である議会の判断を踏まえる必要がある。

 労使関係が適正かどうかの議会の判断を踏まえ、本市として、主体的に便宜供与を行うか判断するという認識である。

組合 このような不誠実交渉の繰り返しは、労使関係の破壊を招くばかりか、費用の面からも市民理解が得られないのではないのか。

 そもそも市側は、条例制定の目的に「適正かつ健全な労使関係の再構築」を掲げていたはずだ。「労使関係を健全化する」と言いながら、策定の段階で市側自らが重大なルール違反を行っており、このような市側姿勢こそ改めるべきである。

 一方的に不健全だと決めつけた上で、「労使関係を正す」としてきたことは、単に、労組への弾圧、支配介入を強めることだけではないのか。使用者側、職制側を縛る条例だと聞いていたが、まやかしとしか言いようがない。

 その点について、明確な市側認識を求める。

市側 この間の交渉においても、便宜供与をゼロベースで見直し、「適正かつ健全な労使関係」が確保されるまでは行わないとしており、本市の姿勢は変わっていない。

 任命権者を縛る部分としては、任命権者は、この条例が適正に運用されるように努めることや任命権者は、適正かつ健全な労使関係の確保に努めなければならないと定めている。

 労使関係の現状認識については、繰り返し述べたとおり、この間、労使間の不適正な事案が明らかになり、市民の信頼を大きく失墜させる事態を招いているため、新たな労使間ルールを条例化し、更なる労使関係の適正化に向けて取り組んでいく必要がある。

 ついては、この間十分に協議を重ねてきたと考えており、本提案の内容の条例案を7月市会に上程したい。ご理解をお願いする。

組合 われわれとしては、今回の条例案を、労使合意のないまま、市側日程に合わせて議会に提出することは決して認めるわけにはいかない。

 今後の労使関係を規定づける極めて重要な課題であり、市側は、労使関係の一方の当事者として、合意に向けた誠実な交渉を継続すべきだ。引き続き、我々との交渉に応じるよう求めておく。

 少なくとも違法と思われる内容について再考を求めるとともに、労使合意なき条例化は行わないよう強く求めた上で、本日段階では、これ以上交渉を続けても進展が無いと判断し、本日の交渉は打ち切らせていただく。

以上

新たな労使間ルールについて(案)

(目的)
第1条 この条例は、労働組合等と本市の当局との交渉の対象となる事項の範囲、交渉内容の公表等に関する事項等を定めることにより、適正かつ健全な労使関係の確保を図り、もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において「労働組合等」とは、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第52条第1項に規定する職員団体(以下「職員団体」という。)及び地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号。以下「地公労法」という。)第5条第2項(地公労法附則第5項において準用する場合を含む。)に規定する労働組合(以下「労働組合」という。)並びにこれらの連合体であって、本市の職員(法第3条第2項に規定する一般職に属する職員をいう。以下同じ。)をその構成員に含むものをいう。

(交渉事項)
第3条 労働組合等との交渉の対象となる事項は、次に掲げる事項とする。

(1) 給料その他の給与、勤務時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
(2) 懲戒処分、分限処分、転任、昇任及び昇格の基準に関する事項
(3) 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項
(4) 職員の福利厚生に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、職員の勤務労働条件に関する事項
(6) 交渉の手続その他の労働組合等と本市の当局との間の労使関係に関する事項

(管理運営事項)
第4条 法第55条第3項又は地公労法第7条ただし書(地公労法附則第5項において準用する場合を含む。)の規定により労働組合等との交渉の対象とすることができない事項は、次に掲げる事項とする。

(1) 条例の企画、立案及び提案に関する事項
(2) 行政の企画、立案及び執行に関する事項
(3) 本市の組織に関する事項
(4) 本市の職制の制定、改廃等に関する事項
(5) 職員の定数及びその配置に関する事項
(6) 懲戒処分、分限処分、職員の採用、退職、転任、昇任、昇格その他の具体的な任命権の行使に関する事項
(7) 職務上の命令に関する事項
(8) 勤務成績の評定制度の企画、立案及び実施に関する事項
(9) 管理職員等(法第52条第3項ただし書に規定する管理職員等及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第39条第2項の規定に基づき市長が定める職にある者をいう。)の範囲の決定に関する事項
(10) 本市又はその機関が当事者である不服申立て及び訴訟に関する事項
(11) 予算の編成に関する事項
(12) 本市の財産の取得、管理若しくは処分又は公の施設の設置、管理若しくは廃止に関する事項
(13) 市税、使用料、手数料等の賦課徴収に関する事項
(14) 前各号に掲げるもののほか、本市の機関がその職務又は権限として行う本市の事務の処理に関する事項であって、法令、条例、規則その他の規程又は本市の議会の議決に基づき、専ら本市の機関の判断と責任において処理する事項

2 前項各号に掲げる事項(以下「管理運営事項」という。)については、本市の当局は、労働組合等と意見交換その他交渉に類する行為を行ってはならない。ただし、交渉において必要な範囲内において、決定されている管理運営事項(転任、昇任、昇格その他の具体的な任命権の行使に関する事項を除く。)について説明を行うことを妨げない。

(交渉方法)
第5条 交渉に当たっては、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行うものとする。

2 前項の規定により交渉を行う場所について取決めを行うに際しては、効率的かつ効果的に交渉を行うことができる場所を選定するものとする。

(交渉内容の公表等)
第6条 本市の当局は、労働組合等と交渉(当該交渉の対象となる事項のうち一部の事項に限定して行われる事前協議にあたるものとして市長が定める交渉を除く。次項において同じ。)を行う場合は、原則として2日前までに、議題、時間及び場所を公表する。

2 交渉は、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。)に対し公開する。

3 本市の当局は、交渉(前条第1項の規定により交渉に必要な事項を取り決めるために行う協議等を含む。以下この項において同じ。)を行ったときは、速やかに議事録を作成し、当該交渉に係る労働組合等に当該議事録の内容の確認を求めた上、これを1年間公表する。

4 任命権者は、職員が法第55条第8項の規定により適法な交渉を行う場合又は労働組合法(昭和24年法律第174号)第7条第3号ただし書の規定により協議若しくは交渉を行う場合において承認した職務に専念する義務の免除の回数及び時間を、毎年公表する。

(懲戒処分等)
第7条 任命権者は、この条例が適正に運用されるように努め、この条例に違反する行為があった場合は、公正かつ厳格に懲戒処分その他の必要な措置をとるものとする。

(適正かつ健全な労使関係の確保)
第8条 任命権者は、適正かつ健全な労使関係の確保に努めなければならない。

2 任命権者は、適正かつ健全な労使関係が確保されているかどうかを検証し、必要かつ適切な措置を講じなければならない。

(違法な組合活動を抑止する措置)
第9条 任命権者は、労働組合等に対し、当該労働組合等の構成員である職員による法第35条の規定による職務に専念する義務又はこの条例に違反する組合活動(法第55条の2第1項本文に規定する職員団体の業務及び地公労法第6条第1項本文(地公労法附則第5項において準用する場合を含む。)に規定する組合の業務並びに職員団体及び労働組合の連合体の業務をいう。以下同じ。)を抑止するために必要な措置を講ずるよう求めることができる。

(収支報告書等の提出)
第10条 人事委員会は、法第53条に定めるところにより登録を受けた職員団体が引き続き当該登録の要件に適合しているかどうかを確認するために必要と認められる限度において、法第8条第6項の規定に基づき、職員団体に対して収支報告書その他の必要な書類の提出を求めることができる。

(職員団体の登録の取消し等)
第11条 人事委員会は、法第53条に定めるところにより登録を受けた職員団体が当該登録の要件に適合していないと認めるときは、同条第6項の規定により、当該職員団体の登録の効力を停止し、又は当該職員団体の登録を取り消すことができる。

(便宜供与)
第12条 労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は、行わないものとする。

(施行の細目)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、市規則で定める。

附 則

(施行期日)
1 この条例は、平成24年8月1日から施行する。

(経過措置)
2 この条例の施行の際現に締結されている労働協約(労働組合法第14条の労働協約をいう。)に基づき本市が行う便宜の供与については、当該労働協約が締結されている間に限り、第12条の規定は適用しない。

 

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