本文へジャンプしますcorner大阪市労働組合連合会
更新履歴主張・見解政策提言市労連とはごあいさつ市労連のはじまり組織体制お問い合わせ先用語集リンク集HOME

更新日:2011年4月19日

2011年統一賃金要求対市申し入れ

賃金・労働条件は労使の自主的・主体的な交渉・合意による決定が大原則!
確認した労使協議の経緯を踏まえた誠意と責任ある市側対応を強く求める!

 市労連は、3月16日(水)午後6時30分から、2010年度市労連第1回委員会を開催し、確認された「2011年統一賃金要求」について、4月18日(月)午後4時30分から三役・常任合同会議、事務折衝を開催し、対市交渉を含む「2011年統一賃金要求」などについて協議した。午後5時10分から以下のとおり申し入れを行い、市側に使用者としての責務において、組合員の置かれている状況を十分踏まえて真剣に対処するよう回答を求めた。

組合 本日は、2011年統一賃金要求について交渉を行いたい。

 市労連は、3月16日、2010年度市労連第1回委員会を開催し、当面する2011年春季生活改善闘争を闘う方針と市労連2011年統一賃金要求を確認した。

 それでは、ただ今より、2011年統一賃金要求を申し入れる。 なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。

2011年4月18日

大阪市長
平松 邦夫 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 中村 義男

市労連2011年統一賃金要求に関する申し入れ

 米国発の金融危機のもと、日本経済はデフレスパイラルから抜け出せない中、失業率が長期的に高止まりし、国民は不安な状況に置かれています。

 公務員給与をめぐっては、依然として厳しい経済状況を背景として、公務員の人件費削減が政治課題として位置付けられ、給与引き下げ圧力が一層強まる情勢の下での賃金交渉を余儀なくされてきました。特に地方公務員給与においては、地方財政の逼迫を理由に、6割以上の自治体において独自の給与削減措置が実施されており、大阪市も例外ではありません。2009、2010年度の2年間に続いて、2011年度以降も市側から給料カットの提案があり、交渉・協議を通じて本年4月からの継続実施は合意しましたが、秋の確定交渉において改めて協議を行うとしてきた経過となっています。

 このような事態は、労働基本権の代償措置である人事委員会勧告の空洞化につながると言わざるを得ません。

 一方、国においては、非現業職員に対する協約締結権の付与など労使交渉による賃金決定の仕組みづくりが進み、2012年度実施に向けて、政府は第177回通常国会に関連4法案を提出するとしていることから、労働基本権や労働条件決定制度のあり方も含めた公務員制度改革が大きな節目を迎えていますが、関連法案が成立し施行されるまでの間は、現行の賃金決定制度である人事院・人事委員会勧告制度を十全に機能させることが重要と市労連は考えています。

 いずれにしても、「賃金・労働条件は、労使の交渉によって決定すべき事項」という基本態度を堅持し、職員の生活実態、勤務条件・環境の改善にかかる下記の要求事項について、これまでの交渉経過と自主性をもった労使協議と交渉により実現されるよう申し入れます。

1.賃金引き上げについて

 労働者全体の賃金水準の引き下げを企図した国等からの圧力による給与水準の引き下げを行わず、現行の賃金水準の維持・改善をはかること。
 また、技能労務職の給与水準の引き下げなどの改悪を行わないこと。

2.賃金体系の改善と配分について

 賃金体系の改善にあたっては、生活保障を重視し、世帯形成時にあたる青年層と中高年層の体系是正をはかるとともに、中高年層の給料表水準の引き下げを行わず、配分については本給重視とすること。
 また、給与構造改革後の検証を行い、必要な改善措置を行うこと。

3.賃金決定基準の改善について

(1) 初任給基準(中途採用者を含む)の改善をはかること。

(2) 格付基準(臨時期間・前歴の格付通算を含む)の改善をはかるとともに、昇格枠の拡大をはかること。また、昇格について、公正・公平な選考方法とすること。

(3) 休職等の昇給抑制者に対する復元措置を講ずること。

(4) 給料表については、職員構成の実態をふまえ、給料表構造の改善をはかること。

また、号給カット等の改悪は行わないこと。

(5) 初任給調整手当については、支給額の引き上げを行うこと。

(6) 医師・看護師の人材確保・定着の観点から、給与処遇の改善をはかること。

4.諸手当の改善について

(1) 扶養手当は属性区分の見直しなど支給基準を改善し、支給額の引き上げをはかること。

(2) 通勤手当は全額実費支給とし、交通用具利用者に対する手当については、実情を踏まえ改善を行うこと。また、支給基準の改善を行い、全額非課税とすること。
 経路認定基準の見直しについては、十分な検証とともに、認定基準の改善をはかること。

(3) 住居手当は、国に追随することなく大都市での住宅事情に見合った制度とし、これまでの経過を踏まえて制度の維持・改善をはかること。

(4) 地域手当については、本給繰り入れを基本に改善をはかること。

(5) 交代制・変則勤務者に対する手当等を充実すること。
 夜間勤務手当、超過勤務手当(深夜勤務を含む)及び休日給の支給率の改善をはかること。
 労働基準法改正に伴う月60時間を超える超過勤務に対する代替休暇制度については、本人同意を前提とすること。
 また、必要な時間外勤務手当財源を確保し、全額支給を行うとともに、労働基準法を遵守した超過勤務命令の運用を行うよう周知徹底をはかること。

(6) 夜間看護手当については、医療技術の高度化等、深夜における看護業務の実態を踏まえ、支給額の引き上げをはかること。

(7) 一時金については、期末手当一本とし、年間5.0ヶ月以上とするとともに、支給方法の改善をはかること。
 また、勤勉手当の成績率の運用については、十分な労使交渉と合意によること。

5.労働条件等の改善について

(1) 仕事と生活の調和(ワークライフバランス)の重要性を踏まえ、労働時間を短縮し、完全週休2日制の実施に伴う十分な条件整備をはかること。
 また、働きやすい勤務環境の整備にむけ、安全衛生委員会を活用し、定期的な職場点検を行うこと。

(2) 業務上交通事故など、分限にかかる基準(失職規定)の改善をはかること。

(3) 休職者の給付内容などの改善をはかること。また、近年の休職者の実態をふまえ、メンタルヘルス対策の一層の充実をはかるとともに、心の健康の保持・増進の観点から、職場における勤務環境の改善をはかること。

(4) 職員の福利厚生については、地方公務員法第42条に基づく使用者責任を果たすとともに、「安心して働き続けることのできる制度の確立」「組合員の働き甲斐」につながる福利厚生制度の確立・充実をはかること。とりわけ、福利厚生の実施にあたっては、福利厚生協議会での協議と並行して、具体化に向けて労使で精力的に協議すること。

(5) 有給教育休暇など休暇制度の新設・改善をはかること。

(6) 65歳定年制の実現に向けた国の動向に注視しつつ、高齢者雇用制度の充実・改善をはかること。
 また、年金の支給開始年齢引き上げに伴う定年退職後の生活保障として、希望する職員の雇用を確保すること。

(7) 育児のための短時間勤務制度をはじめとした職業生活と家庭生活の両立支援策については、効果的な運用がはかれるよう勤務環境の整備を行い、休暇・休業制度の充実に加えて、男性の取得促進に向けた勤務環境の整備・充実に努めること。

(8) 臨時・非常勤及び任期付職員をはじめとする非正規職員の処遇及び、勤務・労働条件の改善をはかること。

6.最低賃金について

 全国一律最低賃金制度確立のため、国に強く働きかけること。また、大阪市に働く者の最低賃金を月額146,300円(日額7,000円)以上とするとともに、労働条件(一時金・休暇等)についても改善すること。

7.賃金改定の実施ならびに支払いについて

(1) 賃金改定の実施日については、2011年4月1日とすること。

(2) 賃金改定の支払いについては、決定後すみやかに行うこと。

以 上

市側 ただ今、平成23年度の統一賃金要求に関する申し入れを受けたところである。

 ご承知のとおり、我が国経済は、リーマンショック以降の急速な円高の進行等の影響もあり、長引く不況から脱しきれず、本市においても、雇用や中小企業経営をはじめ市民生活に深刻な影響を及ぼす一方、本格的な少子高齢・人口減少社会が到来し、飛躍的な経済成長が望めない時代を迎えているところである。

 このような世界経済の動向が、即時に我が国経済に影響を及ぼす現状、人口動態など社会構造の変化のもと、本市においても、今後市税収入の大幅な伸びが見込めず、扶助費・公債費が増加するなど、引き続き厳しい財政状況が見込まれており、平成23年度予算版の「中期的な財政収支概算」では、平成22年度予算版に比べて改善されてはいるものの、平成30年度の累積収支不足額が1,200億円と見込まれているところである。

 このような状況のもと、皆様方には給料月額の減額措置について多大なご協力をいただいており、本市としても、新たな市政改革に基づく施策を確実に実施し、効果的・効率的な行財政運営に取り組むこととしているところである。

 一方で、人事院は、例年5月から6月中旬にかけて実施している職種別民間給与実態調査について、今般の東日本大震災により、広い地域において多数の事業所が甚大な被害を被っていることや、民間における春闘の回答状況にも遅れが生じていることなどから、当初予定していた調査期間である5月1日からの調査は行わないこととしており、本年の調査の実施の有無についても、不透明な状況であることから、今後、人事院の動向について注視していく必要があると考えている。

 私ども公務員の給与等勤務条件については、これまで以上に各方面から強い関心が寄せられており、制度の透明性を確保し、市民に対する説明責任を十分に果たすことが強く求められている。

 いずれにしても、本日は要求を受けたところであり、内容については今後、慎重に検討するとともに、十分な協議のもと交渉を進めてまいりたいので、本日のところはよろしくお願いする。

組合 2011年の市労連統一賃金要求の申し入れに対し、市側から、大阪市の財政状況など取り巻く状況の厳しさに加えて、例年5月に行われていた人事院の民間給与実態調査が東日本大震災の影響から行われないとの情勢が述べられたところである。

 現在の大阪市は、リーマンショック以降の長引く不況から脱することができず、今後、市税収入の大幅な伸びが見込めないことや、公債費や扶助費の増、さらに財務リスクの影響により、平成30年度には累積収支不足が1,200億円発生すると見込まれているなど厳しい財政状況であり、財政再建に向けて策定された新たな市政改革基本方針でも、引き続く人件費の削減や職員数の削減なども明記されている。

 このような状況の中で、昨年の賃金確定交渉は、給料表のさらなるフラット化や一時金の0.2月減など連年によるマイナス勧告により組合員の給与水準は政令市で下位から4番目になっているなど、組合員は実質生活の切り下げを余儀なくされており、民間の給与実態を踏まえたものとはいいながらも、厳しい内容になっている。

 また、給料月額の減額措置については、大阪市の厳しい財政状況を認識した上で、2011(平成23)年度以降についても労使合意をしてきたが、引き続き市側に対し、財政収支の改善に向けた努力を強く求めるとともに、この点については秋の段階で改めて協議することとする。

 とりわけ、人事院の民間給与実態調査が当初予定どおり行われない事態は、われわれも重大な関心を持っており、今後の人事院の動向を注視しつつ必要な協議を行うよう求めておく。

 本日申し入れた「市労連2011年統一賃金要求」は、引き続き、組合員が本市の公共サービスを担う上で重要な要求であり、使用者である市側の責務において、組合員の置かれた状況を十分踏まえて真剣に対処されることを強く求めておく。

 繰り返しになるが、職員の生活実態、勤務条件・環境の改善は、これまでの労使協議の経緯を踏まえ、労使の自主的・主体的な交渉と合意により決定されるものであり、この間の賃金交渉、確認した労使協議の経緯を踏まえた誠意と責任ある市側対応を強く求め、団体交渉を終了する。

以 上

 

copyright 2005- 大阪市労働組合連合会