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更新日:2011年4月19日

2011年統一賃金要求対市人事委員会申し入れ

労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告制度であり、中立機関として独立性の堅持を求める!

 市労連は、4月18日(月)対市「市労連2011年統一賃金要求申し入れ」に基づき、午後5時40分から、市人事委員会に対して、以下の「2011年統一賃金要求に関する申し入れ」を行った。

組合 それでは、ただ今より、2011年統一賃金要求を申し入れる。なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。

2010年4月18日

大阪市人事委員会
委員長 西村 捷三 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 中村 義男

2011年統一賃金要求に関する申し入れ

 貴人事委員会におかれては、常日頃から私ども大阪市職員の賃金を中心とした勤務・労働条件の改善に尽力されていることに敬意を表します。

 市労連は、昨年11月11日に大都市労連連絡協議会として、大都市人事委員会連絡協議会課長会議に対し、勧告(報告)の準備作業にあたり「大都市の諸事情が十分反映されたものになるよう」申し入れを行い、加えて本年2月17日には、公務員連絡会を通じ、全国人事委員会連合会に対し、「本年の賃金・労働条件の改定にあたっては、非常勤職員等を含めた公務員労働者の賃金を維持・改善することはもとより、2013年度からの65歳までの段階的定年延長を中心とする新たな高齢雇用施策の実現を図ること」などの要求書を提出しました。

 また、3月10日に大都市労連連絡協議会は、春闘期の要求として大都市人事主管者会議に対して、「2011年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書」を提出しました。

 日本経済は、緩やかに回復しつつあるものの先行きは不透明で、今なおデフレの進行や失業率の高止まり、とりわけ新卒の就職状況の深刻化など、国民生活は依然として厳しい状況におかれています。

 公務員給与をめぐっては、依然として厳しい経済状況を背景として、公務員の人件費削減が政治課題として位置付けられ、給与引き下げ圧力が一層強まる情勢の下での賃金交渉を余儀なくされてきました。特に地方公務員給与においては、地方財政の逼迫を理由に、6割以上の自治体において独自の給与削減措置が実施されており、大阪市も例外ではありません。2009、2010年度の2年間に続いて、2011年度以降も市側から給料カットの提案があり、交渉・協議を通じて本年4月からの継続実施は合意しましたが、秋の確定交渉において改めて協議を行うとしてきた経過となっています。

 このような事態は、労働基本権の代償措置である人事委員会勧告の空洞化につながるものと言わざるを得ません。

 一方、国においては、非現業職員に対する協約締結権の付与など労使交渉による賃金決定の仕組みづくりが進み、2012年度実施に向けて、政府は第177回通常国会に関連4法案を提出するとしていることから、労働基本権や労働条件決定制度のあり方も含めた公務員制度改革が大きな節目を迎えていますが、関連法案が成立し施行されるまでの間は、現行の賃金決定制度である人事院・人事委員会勧告制度を十全に機能させることが重要と市労連は考えています。

 貴職におかれては、公務員労働者の雇用の安定と生活改善を求める声に応えるためにも、主体性と役割を十二分に果たされることを強く求めます。

 その上に立って、以下の2011年統一賃金要求を申し入れます。

1.人事委員会は、地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設置されたものであり、勧告に際しては労使交渉の経過及び組合員の意見を十分尊重すること。

2.勧告内容をはじめ、作業方法に対する総務省の干渉を排除し、中立機関としての独自性を堅持すること。

3.勧告にあたり、地公法24条3項に規定する給与決定基準を考慮する場合、大都市における生活事情を正確に把握し、反映を行うこと。

4.地域手当については、本給繰り入れを基本に改善すること。

5.民間給与実態調査及び公民給与の比較を行う場合は、組合との協議のうえ、合理的な方法を採ること。また、人事院に対し、小規模事業所調査は困難である旨の対応を行うこと。具体的改善事項については以下の内容として改善すること。

(1) 調査方法

  1. 民間給与実態調査に当たっては、団体交渉によって賃金・労働時間、その他の労働条件を決定している事業所を対象とすること。
  2. 調査対象企業規模1,000人以上、事業所規模500人以上とすること。当面、本年は企業規模500人以上、事業所規模50人以上とすること。

(2) 事業所抽出率
 統計上必要な最小限度にとどめること。

(3) 比較対象職種
 国及び地方自治体の基幹職種である行政(一)表関係職種とすること。

(4) 比較給与の範囲
 原則として、公務員の基本給に相当する給与とすること。

(5) 職種の対応級の設定

  1. 人事院規則に定める「級別標準職務」の分類基準を基本とするが、機械的な職名区分をやめること。
  2. 比較に当たっては、年齢だけでなく経験年数を加味すること。

(6) 追加較差
 精確な公民較差を算出するため、春季賃金改定状況を正確に把握した上で、積み残し事業所を追加調査し、追加較差を算出すること。

(7) 特別給比較

  1. 特別給については、調査・比較方法、時期、対象などを抜本的に改めること。
  2. 比較職種を行政職(一)表職種とし公民同一基準により月数算定により正確に行うこと。

6.完全週休2日制の一層の充実など、総労働時間短縮に向けて積極的な対応を行うこと。

7.調査時期及び集計作業
 早期勧告に向けて、調査及び集計作業を速やかに行うこと。

8.その他

(1) 民間における中途採用者の初任給決定基準と較差是正の実態を正確に調査すること。

(2) 深夜勤務・変則勤務・時間外勤務手当の割増率について、より詳細に調査すること。また、休日給について、より詳細に調査すること。

(3) 所定勤務時間・休日・休暇について、より詳細に調査すること。

(4) 民間における育児休業、介護休暇期間中の従業員に対する各種経済的補償について、その実態を詳細に調査すること。

(5) 福利厚生について、各種制度、各種施設、支給などの実態を調査すること。

以 上

人事委員会 監査・人事制度事務総括局長の森田でございます。

 市労連の皆様方には、平素より職員の勤務条件等の充実に向け活動を続けておられることとともに、東日本大震災の被災地への支援活動に積極的に取り組まれていることに対し、敬意を表するところです。

 さて、日本経済の状況については、4月の月例経済報告において「景気は、持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きになっている」とされている。

 日本銀行による3月の企業短期経済観測によると、最近の企業の景況感は改善がみられるが、先行きの景況感は悪化している。また、報道によると、賃金改定をめぐる今春闘の状況は、大半の労働組合がベースアップの要求を見送るなど、民間の賃金をめぐる情勢は依然として厳しい状態にある。

 大阪においても、改善はみられるものの、失業率が依然として高水準にあり、有効求人倍率も低調で、雇用情勢は総じて厳しい状況が見られる。

 こうした状況の中、人事委員会としては、法に定められている中立・第三者機関としての職責をはたしてまいる所存であるが、職員の勤務条件について、勤務条件条例主義のもと、労使が交渉を行い合意することは、職員の納得性、士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なものであると認識している。一方で、人事委員会は、職員の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう勧告を行うべき機能を担っており、本市給与勧告を行うにあたっては、これまでも、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向を踏まえ、また、市労連の皆様方の申し入れ等を考慮して対処してきているところである。

 なお、例年、5月から6月中旬にかけて実施している職種別民間給与実態調査について、人事院は、東日本大震災の発生による諸事情を考慮し、当初予定していた5月1日からの調査は行わず、本年の調査の実施については、今後の状況をみて判断することとしており、本委員会としても人事院の検討状況等を把握し、対処していきたいと考えている。

 給与報告・勧告をめぐる状況には不透明な部分もあるが、本年の給与報告・勧告に向けては、職務給の原則など給与決定の諸原則を踏まえ、公民較差を勘案しつつ、同一級内に継続して在級する場合の昇給幅を抑制するとともに、各級の給与水準にメリハリをつけた給料表構造へ転換していくことなど、給料表のあり方についてさらに検討を進めていく。

 諸手当においては、現行の住居手当制度全般について検証を進め、本市における今後のあり方を研究していく必要があると考えている。

 給与以外の勤務条件としては、人材の確保・育成、人事評価制度、超過勤務の縮減、両立支援やメンタルヘルス対策などについて、引き続き研究検討を重ねてまいりたいと考えている。

 特に、国において、定年の引き上げ等、国家公務員の高齢期の雇用問題について議論が進められているところであり、人事委員会としても、60歳以降の職員の雇用確保策や給与のあり方など、高齢期における職員について、本市組織にふさわしい人事・給与制度を研究、検討していく必要があると考えている。

 また、人事委員会の機能発揮及び説明責任という観点から、給与勧告において給料表等を具体的に示すことなどが求められている状況にあり、本委員会としても、国における公務員に対する労働協約締結権付与にかかる議論も注視しつつ、研究を続けてまいりたいと考えている。

 私どもを取り巻く周囲の情勢、とりわけ経済状況が依然として厳しい中、今後とも地方公務員法に定められた人事委員会の役割や本市の状況をはじめ諸情勢に十分留意し、市労連の皆様方との連絡を十分にはかりながら進めてまいりたいと考えているので、ご理解とご協力をお願いする。

組合 ただ今、局長から、4月の月例経済報告では、景気は、持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きになっている、と述べる一方で、賃金改定をめぐる今春闘の状況は、大半の労働組合がベースアップの要求を見送るなど、民間の賃金をめぐる情勢は依然として厳しい状態にあること、さらに、大阪の失業率が依然として高水準にあり、有効求人倍率も低調で、雇用情勢は総じて厳しい状況が見られるなどと、経済状況についても述べられた。

 さらに、人事院が東日本大震災の発生による諸事情を考慮し、当初予定していた5月1日からの調査は行わない判断を行ったことに対し、貴人事委員会も、「人事院の検討状況等を把握し、対処していきたい」との認識が述べられた。

 その上で、給与報告・勧告をめぐる状況には不透明な部分もあるとしながらも、「法に定められている中立・第三者機関としての職責を果す」「職員の勤務条件について、勤務条件条例主義のもと、労使が交渉を行い合意することは、職員の納得性、士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なもの」などと表明され、本年の給与勧告に向けた考え方が示されたところである。

 しかしながら、昨年の人事委員会勧告では、給料表の改定手法を具体的に言及したことに加え、行政職給料表3級相当級の最高号給の切り下げや、勤勉手当算定基礎額への扶養手当算入廃止に言及するなど、勤務労働条件に関わる具体的な課題にまで踏み込み、労使交渉を制約する内容の勧告が行われたこと、さらに、2009(平成21)年度から行われている給料月額の減額措置に関しても、人事委員会が公民給与の較差解消が本来の役割であるにも関わらず、勧告制度とは別個で実施されている減額措置の中止勧告を行わなかったことなど、貴人事委員会の対応は問題があると認識している。

 大都市労連連絡協議会は、3月10日に大都市人事主管者会議に対して要求書提出を行い、その中で、2010年賃金闘争の結果を受けて、大都市では、各都市人事委員会が人事院勧告に追随、もしくは上回る給与及び特別給のマイナス勧告を行うという、大都市の実勢を顧みない極めて遺憾な情勢のもとでの賃金確定交渉となった点を指摘した上で、職員が不安なく公務に専念できるよう、大都市での生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善のために要求を受け止め、その実現に尽力するよう申し入れている。

 市労連は、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告制度が、現行の公務員の賃金・労働条件決定制度である限り、それを機能させ、社会経済情勢の変化に対応した公務員処遇を確保することが、人事委員会としての使命であると考えている。

 繰り返しになるが、本年の給与勧告に関わる基本姿勢として、法に定められている中立・第三者機関としての職責を果たすとの認識が明らかにされたところであり、人事委員会勧告制度が公務員労働者の労働基本権制約の代償措置として実質的に公務員の賃金を規定していることに鑑み、大都市に働く職員の置かれている生活実態を十分精査され、貴人事委員会としての調査と作業が進んでいく過程で、市労連との連絡を十分にはかりながら進めていただくよう求めておく。

以 上

 

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