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更新日:2009年3月20日

2009年統一賃金要求対市人事委員会申し入れ

労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告制度であり、中立機関として独立性の堅持を求める!

 市労連は、3月19日(木)対市「市労連2009年統一賃金要求申し入れ」に基づき、午後5時30分から、市人事委員会に対して、以下の「2009年統一賃金要求に関する申し入れ」を行った。

組合 それでは、ただ今より、2009年統一賃金要求を申し入れる。
なお、具体的な要求事項については、書記長より申し入れる。

2009年3月19日

大阪市人事委員会
委員長 松岡 博 様

大阪市労働組合連合会
執行委員長 中村 義男

2009年統一賃金要求に関する申し入れ

 貴人事委員会におかれては、常日頃から私ども大阪市職員の賃金を中心とした勤務・労働条件の改善に尽力されていることに敬意を表します。

 市労連は、昨年11月13日大都市労連連絡協議会として、大都市人事委員会連絡協議会課長会議に対し、勧告(報告)の準備作業にあたり「大都市の諸事情が十分反映されたものになるよう」申し入れを行い、加えて本年2月10日には、公務員連絡会を通じ、全国人事委員会連合会に対し、「地方公務員の生活を改善するための賃金水準を確保すること」「公民比較方法について、社会的に公正な仕組みとなるよう抜本的な改善を行うこと。また一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと」などの要求書を提出しました。

 また、3月4日大都市労連連絡協議会は、春闘期の要求として大都市人事主管者会議に対して、「2009年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書」を提出しました。

 米国発の金融危機が世界同時不況の様相を呈し、日本経済も不況の段階に入り、相次ぐ倒産、人員削減はもとより、非正規労働者を中心に一方的な首切り・解雇が公然と行われ、雇用情勢は危機的な状態となっています。勤労者の実質生活も悪化の一途をたどっており、「格差」と「貧困」がさらに拡大する極めて深刻な状況となっています。

 公務員給与をめぐっては、既に政府が人事院に対し俸給表水準の見直し要請を行っており、与党内においては人勧制度を無視した形で公務員給与の抑制策を検討していることが伝えられています。これらの動きは労働基本権制約の代償措置である人勧制度の否定につながるものであり、容認できるものではありません。

 市労連においては、昨年12月8日市側から「経費削減の取組について(素案)」に沿った内容の「給料の月額の減額措置について」の提案を受け、市側との交渉・協議を経て、市労連として今日時点での提案であることを確認し、秋の確定交渉で改めて協議を行うこととしてきた経過を持っています。

 地方公務員法第24条では、職員の給与は「生計費」「国との均衡」「他都市との均衡」「民間との均衡」「その他事情」の5つの要素を考慮することとなっています。

 今回の市側提案は、あくまでも臨時的・特例的な措置として市として責任を持った提案であるとして「カット率は3.8%、カット期間は2年間、人事委員会勧告の趣旨に則り単年度毎の交渉」などの内容修正がされましたが、「その他事情」にのみ依拠した人件費抑制策であり、労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度と矛盾し地方公務員法の趣旨に照らしても問題があると言わざるを得ず、市労連として引き続き市側の使用者責任をふまえた誠実な対応を求めることとしています。

 労働基本権制約の代償措置としての人事院・人事委員会勧告制度が現行の賃金・労働条件決定制度である限り、それを機能させ、社会経済情勢の変化に対応した形で公務員労働者の処遇を確保することが貴職の使命であると市労連は考えています。

 労働基本権制約の代償措置としての人事院・人事委員会勧告制度は、公務員労働者の雇用の安定と生活改善を求める声に応えることができるか否かが厳しく問われており、貴職におかれては、主体性と役割を十二分に果たされるよう強く要請するとともに、本年の勧告においては、官民比較方法を見直し、公務員給与水準を改善することを強く求めます。

 その上に立って、以下の2009年統一賃金要求を申し入れます。

1.人事委員会は、地方公務員の労働基本権を一部制約した代償措置として設置されたものであり、勧告に際しては労使交渉の経過及び組合員の意見を十分尊重すること。

2.勧告内容をはじめ、作業方法に対する総務省の干渉を排除し、中立機関としての独自性を堅持すること。

3.勧告にあたり、地公法24条3項に規定する給与決定基準を考慮する場合、大都市における生活事情を正確に把握し、反映を行うこと。

4.地域手当については、本給繰り入れを基本に改善すること。

5.民間給与実態調査及び公民給与の比較を行う場合は、組合との協議の上、合理的な方法を取ること。また、人事院に対し、小規模事業所調査は困難である旨の対応を行うこと。具体的改善事項については以下の内容として改善すること。

(1) 調査方法

  1. 民間給与実態調査にあたっては、団体交渉によって賃金・労働時間、その他の労働条件を決定している事業所を対象とすること。
  2. 調査対象企業規模1,000人以上、事業所規模500人以上とすること。当面、本年は企業規模500人以上、事業所規模50人以上とすること。

(2) 事業所抽出率

 統計上必要な最小限度にとどめること。

(3) 比較対象職種

 国及び地方自治体の基幹職種である行政(一)表関係職種とすること。

(4) 比較給与の範囲

 原則として、公務員の基本給に相当する給与とすること。

(5) 職種の対応級の設定

  1. 人事院規則に定める「級別標準職務」の分類基準を基本とするが、機械的な職名区分をやめること。
  2. 比較にあたっては、年齢だけでなく経験年数を加味すること。

(6) 追加較差

 精確な公民較差を算出するため、春季賃金改定状況を正確に把握した上で、積み残し事業所を追加調査し、追加較差を算出すること。

(7) 特別給比較

  1. 特別給については、調査・比較方法、時期、対象などを抜本的に改めること。
  2. 比較職種を行政職(一)表職種とし公民同一基準により月数算定により正確に行うこと。

6.完全週休2日制の一層の充実など、総労働時間短縮に向けて積極的な対応を行うこと。

7.調査時期及び集計作業

 早期勧告に向けて、調査及び集計作業を速やかに行うこと。

8.その他

(1) 民間における中途採用者の初任給決定基準と較差是正の実態を正確に調査すること。

(2) 深夜勤務・変則勤務・時間外勤務手当の割増率について、より詳細に調査すること。また、休日給について、より詳細に調査すること。

(3) 所定勤務時間・休日・休暇について、より詳細に調査すること。

(4) 民間における育児休業、介護休暇期間中の従業員に対する各種経済的補償について、その実態を詳細に調査すること。

(5) 福利厚生について、各種制度、各種施設、支給などの実態を調査すること。

以 上

人事委員会 監査・人事制度事務総括局長の井上でございます。市労連の皆様方には、平素より職員の勤務条件等の充実に向け活動を続けておられることに対し、敬意を表するところです。

 今日の経済状況についてであるが、平成20年10月から12月期の国内総生産の成長率は大幅なマイナスとされ、2月の月例経済報告によると景気は急速な悪化が続き、今後さらに下押しするリスクが存在するとされるなど非常に厳しい状況が見られる。また、日本銀行の調査による企業の景況感も大幅に悪化しており、報道によると、賃金改定及び雇用をめぐる春闘の状況には例年にない厳しさが見られる。

 大阪府域においても、失業率は引き続き全国を上回っており、有効求人倍率が昨年1倍を下回った後においても急速に下降を続けるなど非常に厳しい状況にある。

 このような状況の中、人事委員会としては、中立・第三者機関としての立場を十分踏まえ、市労連の皆様方と協議し、さまざまな問題解決に向け誠意をもって対処してまいりたいと考えているので、今後ともご理解とご協力をよろしくお願いする。

組合 ただ今、局長から、「中立・第三者機関としての立場を十分踏まえ、市労連の皆様方と協議し、さまざまな問題解決に向け誠意をもって対処する」との姿勢が表明されたが、昨年の大阪市人事委員会勧告については、人事院と同様に比較対象企業規模を引き続き50人以上としており、人事院勧告における官民較差を下回るマイナス勧告が行われた。また、労使が自主的・主体的に交渉を行うべき事項について、これまでの労使の自主的な交渉経過があるにも関わらず、労使交渉を制約する内容で勧告が行われたものと認識している。

 改めて大阪市における労使交渉・労使自主決着についての貴人事委員会の認識を明らかにされたい。

 さらに、市労連においては、昨年12月8日市側から「経費削減の取組について(素案)」に沿った内容の「給料の月額の減額措置について」の提案を受け、市側との交渉・協議を経て、市労連として今日時点での提案であることを確認し、秋の確定交渉で改めて協議を行うこととしてきた経過を持っている。

 地方公務員法第24条では、職員の給与は「生計費」「国との均衡」「他都市との均衡」「民間との均衡」「その他事情」の5つの要素を考慮することとなっているが、今回の市側提案は、あくまでも臨時的・特例的な措置として市として責任を持った提案であるとして「カット率は3.8%、カット期間は2年間、人事委員会勧告の趣旨に則り単年度毎の交渉」などの内容修正がされたが、「その他事情」にのみ依拠した人件費抑制策であり、労働基本権制約の代償措置である人事委員会勧告制度と矛盾し地方公務員法の趣旨に照らしても問題があると言わざるを得ない。

 市労連として引き続き市側の使用者責任をふまえた誠実な対応を求めることとしているが、経費削減・給料カットに関って、人事委員会勧告が尊重されない結果となっていることについて、貴人事委員会としての認識を明らかにされたい。

 その上で、本年の給与勧告に向けた貴人事委員会の考え方を再度、質すこととする。

 先ほども申し上げたが、米国発の金融危機が日本経済にも大きく波及し実体経済への影響も広がり急速に景気が悪化し、景気の先行きも当面悪化が続くと言われている。

 非正規労働者の解雇が相次ぎ、雇用情勢も厳しさを増す中、公務員の雇用、賃金にも大きな圧力がかかってきている状況にある。

 大都市労連連絡協議会は、3月4日大都市人事主管者会議に対して「2008年賃金確定交渉では、政府による総人件費削減圧力に屈して、各都市人事委員会がマイナス勧告をはじめとして、不当な勧告、報告を行うという結果を受けて、極めて遺憾な事態が継続している」「大都市に働く職員は、困難な住宅事情など勤務条件・生活実態は低下し、不安は増大するばかり」「このような厳しい状況においても職員は、公務公共サービス業務に責任を持って従事している」「職員が不安なく公務に専念できるよう、大都市における生活実態を直視し、職員の生活防衛と改善のために要求を受け止めて、その実現に尽力されるよう申し入れる」とする2009年賃金引き上げ・労働条件改善に関する要求書を提出している。

 市労連は、労働基本権制約の代償措置としての人事委員会勧告制度を機能させ、社会経済情勢の変化に対応した公務員処遇を確保することが、人事委員会としての使命であると考える。

 貴人事委員会が、中立機関としての独立性を堅持し、与えられた役割と任務を真摯に果たされてこそ、職員との信頼関係が保たれるものと認識している。

 勧告に向けての基本的な考え方を明らかにされたい。

人事委員会 まず、労使交渉等に対する人事委員会の認識であるが、地方公務員法は、職員の勤務条件については条例で定めることとしている。人事委員会としては、この勤務条件条例主義のもと、労使が勤務条件について交渉を行い合意することは、職員自らの勤務条件に対する納得性を高めるとともに職員の士気を高め、ひいては市民サービスの向上にも資するという観点から重要なものであると認識している。

 しかしながら、人事委員会は、地方公務員制度上、職員の勤務条件が社会一般の情勢に適応するよう勧告を行うべき機能を担っており、本市給与勧告を行うにあたっては、これまでも、民間給与の実態を精確に把握するとともに、国・他都市の動向を踏まえ、また、市労連の皆様方の申し入れ等を考慮して対処してきているところである。

 公民給与の精確な比較により適正な給与水準を維持・確保することは、労働基本権制約の代償措置である給与勧告に求められている役割であり、公務員の給与水準について各方面の理解を得る基礎である。今後とも、法に定められている中立・第三者機関としての職責を果たしてまいる所存である。

 経費削減に関っての給与カットについては、人事委員会勧告制度の趣旨とは異なるものであり、遺憾ではあるが、本市の極めて厳しい財政状況からとられたやむを得ない措置であると認識している。

 また、人事委員会は、昨年の給与報告・勧告において、昇給カーブのフラット化のさらなる推進や他の級との重なりなど、給料表の在り方について一層研究を進めていく旨言及したところである。給与制度改革において、基本的に一つの級に対して一つの標準的な職務が対応するよう定められたところであり、今後、職務給の原則など給与決定の諸原則を踏まえ、同一級内に継続して在級する場合の昇給幅を抑制するとともに、職位間の給与水準のメリハリをつけた給料表構造への転換を、さらに推進していく必要があると考えている。

 併せて、人材育成、人事評価制度、両立支援、超過勤務の縮減やメンタルヘルス対策などについても、引き続き研究検討を重ねてまいりたいと考えている。

 さらに、人事委員会の機能発揮及び説明責任という観点から、給与勧告において給料表等を具体的に示すことなどが求められている状況にあり、本委員会としても研究を続けてまいりたいと考えている。

組合 ただ今、本年の給与勧告に関わる基本姿勢として、法に定められている中立・第三者機関としての職責を果たす旨の認識が明らかにされたが、その一方で地公法55条に基づく労使交渉内容にまで踏み込む考え方が示された。

 市労連としては、労使の自主的な交渉を規定する勧告は、認められるものではないことを申し上げておく。

 いずれにしても、人事委員会制度が公務員労働者の労働基本権制約の代償措置として、実質的に公務員の賃金を規定していることに鑑み、大都市に働く職員の置かれている生活実態を十分精査され、貴人事委員会としての調査と作業が進んでいく過程で、市労連との連絡を十分にはかりながら進めていただきたい。

人事委員会 私どもを取り巻く周囲の情勢は厳しく、経済状況についても非常に厳しさを増している中、今後とも地方公務員法に定められた人事委員会の役割や、本市の状況をはじめ諸情勢に十分留意し、市労連の皆様方との連絡を十分にはかりながら進めてまいりたいと考えているので、ご理解とご協力を重ねてお願いする。

以 上

 

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